自民党への補助金還流。
asahi.com より。
補助金受給の109企業・団体、自民に献金 計7億円
2008年01月06日06時09分
国から補助金の交付決定を受けた109の企業・団体が06年、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、計7億8000万円を献金していたことが朝日新聞の調べで分かった。政治資金規正法は、補助金を受けている法人からの政治献金を原則禁じているが、多くの企業・団体が「規正法の例外に当たる」と主張している。補助金受給法人が国との癒着を深めるために献金することを防ぐ規制が名ばかりとなっている実態が明らかになった。
政治資金規正法は、国から補助金の交付決定通知を受けた法人が1年以内に政治献金することを原則禁止している。一方で、「試験研究、調査または災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないものを除く」と規定。適用対象も法人格を持つ組織に限定している。
各省から企業・団体への補助金交付状況と国民政治協会の06年分政治資金収支報告書を朝日新聞が調べた結果、補助金の交付決定後1年以内に同協会に寄付をした企業・団体数は109あった。自動車、電機、建設、鉄道などの日本を代表する大手企業が多い。寄付額は計7億8030万円で、同年に協会が集めた企業・団体献金の総額27億9903万円の4分の1以上を占めた。
これらの企業・団体が献金までの1年間に交付決定を受けた補助額は判明分だけで280億円にのぼる。経済産業、国土交通、環境、農林水産の各省の補助金で、目的も先端技術開発、新エネルギー導入や温室効果ガス排出削減などの設備投資、交通施設のバリアフリー化など広範囲に及ぶ。
献金額の多い20余りの企業・団体に国民政治協会への献金について見解を聞くと、大半が「補助金は利益を伴うものではなく規正法の適用外」と説明し、適法な寄付だと主張した。
だが、判明した補助金の中には、マンションの開発や起業支援を目的としたものも含まれ、技術開発でも製品化・実用化に向けて企業側が提案した事業に対する補助金が少なくない。
総務省は「その補助金が利益を伴うものかどうかは、個別の事業ごとに営利を助長しているかなどを詳しくみる必要がある」と説明している。
また、大手石油関連会社でつくる業界団体「石油連盟」は、経産省から06年度上半期だけで計約40億円の補助金の交付決定を受ける一方、協会に計8000万円を寄付していた。だが、同連盟は法人格のない任意団体のため規正法の対象から外れ、補助金についても「利益を伴わない」と主張している。
自民党は「企業からの寄付はすべて国民政治協会が受け、個別の寄付については承知していないが、法律の範囲内で適正に処理しているものと理解している」と説明。国民政治協会は「個別の企業の経済活動について逐一把握することは社会通念上、不可能だ」とし、政治団体側が補助金受給の有無や内容を確認することは難しいという見解を示した。
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甘い規制、税金還流 補助金受給企業・団体、自民へ献金
2008年01月06日10時01分
日本を代表する100以上の企業・団体が、国から補助金を受給する一方で、自民党の政治団体に多額の献金をしていた。企業の多くは、利益を伴わない補助金だとして適法を強調するが、マンション開発やベンチャー支援で交付を受けた企業もあった。総務省の担当者は「違法かどうかの解釈は難しい」と打ち明けた。
「駅前の新しいランドマーク」。こんなキャッチフレーズで売り出された首都圏の超高層マンションを含む2件の開発事業が、国土交通省の「住宅市街地総合整備事業費補助金」の対象になった。これらの開発を他社と共同で進めた三井不動産は06年4月、事業全体で計7億円近くの交付決定を受け、同年12月、800万円を国民政治協会に献金していた。
受給には、地域の整備計画に従い、防災や緑化などの公共的な条件を満たす必要がある。同社は「優良な住環境の整備等の社会基盤整備に対する補助金で、『利益を伴わないもの』に該当する」と説明した。一方、同じ枠組みで5億円近くの交付決定を受けた鹿島は「コメントを控えたい」と答えるにとどまった。
トヨタ自動車は、工場内の電力と熱を同時に供給し、二酸化炭素排出を抑制するシステムの設備投資に経済産業省から1億円余りの交付決定を受けた。企業にとっては実際の省エネ効果に加え、環境への取り組みをアピールできるメリットもある。しかし、同社は「環境負荷抑制という公益性のある設備投資の一部を助成する補助金で、利益を伴わない」と答えた。
松下電器産業も、環境負荷が少ない物流システムを開発する他社との連携事業に経産省から約7500万円の交付決定を受けたが、「二酸化炭素排出削減に寄与するモデル事業で、規正法の適用除外に当たる」とした。
そのほか、地球温暖化対策をうたった製品開発事業に対する補助金や、ベンチャー支援目的の補助金を受けた企業も献金していた。
朝日新聞が、補助金の交付決定から1年以内に献金した主な24企業・団体に見解を尋ねたところ、献金額上位9企業・団体を含む21企業・団体が具体的な回答を寄せ、「利益を伴わない補助金」などとして「適法」と主張した。
■「例外の解釈難しい」 総務省
どの補助金が例外に当たるのか。総務省政治資金課の担当者は「規正法の中でも最も解釈が難しい」と打ち明ける。
同課には時折、寄付前の企業から違法かどうか見解を尋ねる電話が入る。だが、「補助金の要綱の検討や、交付官庁や法務省への問い合わせなどで判断に2カ月ほどかかる」と告げると、結論を待たない企業がほとんどだという。
補助金受給法人による政治献金の規制は、もとは造船疑獄事件(54年)などをきっかけに公職選挙法に設けられた。その後も政界で汚職事件や不祥事が相次いだことを受けて75年に政治資金規正法が大きく改正され、この規制が盛り込まれた。
違反すると3年以下の禁固または50万円以下の罰金が科せられる。しかし、改正から30年余りたっても「この罰則が適用された例は聞いたことがない」と総務省や専門家らは口をそろえる。
抜け道はまだある。政治資金パーティー券の購入には、この規制は適用されない。
国から補助金を受けるJA全中とJA全農が06年、JA関連政治団体のパーティー券計3300万円分を購入。その資金が07年の参院選で初当選した全中出身の自民議員の党支部に全