後期高齢者医療制度の見直しを求めて。
本日の市民生活・水道常任委員会では、後期高齢者医療の関連、また、年金から天引きされる保険料の関連などの条例案が審議されました。また、後期高齢者医療制度の見直しを求める請願について、僕は紹介議員を引き受けましたので、自分の考えを質疑応答の際に述べました。
私は、今般の後期高齢者医療制度については、まず廃案にして、根本から組み立てなおすべきだと考えています。
以下、理由を述べてまいります。
1)後期高齢者医療制度は、2006年の6月に当時の政府与党(自民・公明)が、野党の疑問や反論を途中でうちきって強行採決によって決めたものです。私がびっくりしたのは、4月1日、この制度がおこなわれる矢先になって国会、自民党議員たちのこの制度に対する勉強会が開かれていたことです。この人たちは、どんな判断基準をもって、当時強行採決までしてこの制度を決めていったのか、はなはだ無責任な話です。先般テレビにもでていましたが、もと公明党選出の厚生労働大臣まで、「よく知らなかった」などといっており、とんでもない無責任を露呈しており、「国会をなんだと思っているのか?」と僕は怒りを感じています。
第一、この制度を法案として提出した際に、どれだけ、新たな負担が生じる高齢者の方々を議論の現場にいれ、その声に耳を傾けるようなことをやってきたのでしょうか。
公聴会もほとんどおこなわれず、まったく当事者の見解なしに、議論に参加していただくこともなく勝手に霞ヶ関のテーブルで決めてしまった、それも自民、公明議員たちが、最後には、実際をよくも考えずに強行採決されて決めれた制度であります。
つまり、負担する高齢者に十分な説明もなく、議論に参加させず、完璧な議論不足の中で官僚がつくり、完全な議論不足のまま自民、公明与党が強行採決してしまった制度であるため、きちんと議論をはじめから積み上げる必要があるということです。
2)もっとも問題なのは、社会保障費を毎年2200億円削ろうという財政です。
この議論になると、よく「廃止はいいけれど、財源は?」などとよく自民党が反論しますが、根本姿勢として、社会保障費の削減ありきで考えていることが表面化されていません。
財源は、全体を見渡せば、無駄につかっているところがたくさんあると考えます。道路は維持しておいて、肝心の社会保障費をどんどん削減していこうという政府・与党の考え方そのものが生み出した制度といえると感じます。
根本の税金の使い方の議論をすべきであり、いきなりこのために消費税値上げだとかの問題ではない。どれだけ自民党の利権構造、公共事業の鉄のトライアングルとかという偽りの社会構造のために血税が無駄につかわれてきたか、にこそ、フォーカスされないといけないと考えいます。
3)負担の仕方。75才の方々に「現役世代と同様の均等負担が原則」は、おかしい。
これは、「堀田力さん(さわやか福祉財団」の方の指摘でありますが、僕も賛同します。
「負担のあり方の議論になると、すぐにでてくるのが現役世代と同様の均等負担が原則という考え方だ。後期高齢者が、均等割りに負担するといっても収入がなく、資産もなく、そして収入を得ようとしても体力的に不可能という方々がおおくなるわけだから、現役世代と同じように保険だからまず均等負担が原則という考え方を持ち込むこと自体が違うのではないか」
4)75歳以上の高齢者に加えて65歳以上の障害をもったハイリスクグループだけで、保険料を負担するような仕組みであれば、当然、医療費は年々増加し、保険料を値上げせざるをえなくなる。
「高齢者は保険料負担に余裕はなく、保険料はすぐ天井に突き当たり、その結果、医療内容も制限され十分な治療を受けられなくなり、姥捨て山する」(大阪大 堤修三氏)と指摘されています。
今後後期高齢者診療料については、いまだ厚生労働省は明らかにしていないと聞きますが、「医療連携を阻害する主病ルール」などが指摘されています。「かかりつけ医を限定させて、どんどん医者にいきたくてもいけない制度」にしてしまえというものと解釈しています。
75歳以上を分けて、そこの自己負担で基本をまかなおうという根本精神は、福祉国家のスウェーデンをはじめ、 EU諸国で相当の批判を買う制度だと思う。
どう考えても、高齢者の希望を奪う、持続不能なシステムだというほかないと考える。
5)実際に生存を脅かしているじゃかないか?
山形市の岩波地区で4/20、87歳の母親と息子の無理心中事件と思われる事件があった。
「お年寄りは、わずかな年金で生活をやりくりしながら、高くなる一方の医療費を周囲の支えによってなんとか払ってきた。年金の支給額もどんどん下げられてきた。それに、今般の後期高齢者医療制度の実施により、更に負担を迫られることとなり、失望したのではないかと考えられている。
生存権の侵害ということも指摘されているが、そう考えざるを得ない状況を実際につくりだしているのではないでしょうか。いずれにしても当事者にほとんど説明もなく、批判も受け入れず、問題を問題とも思わないできた政府与党の鈍さによって、この常軌を逸した制度がつくられたのだと思います。
6)国の強行採決でこの制度が決定されたその後、制度の準備として市町村議会でもこの制度導入への予算が組まれ、条例によって、この制度の議論をするための広域連合議会を策定することなどが決定されていきました。昨年度からこの制度を導入するための準備費用がずっとかかってきておりました。私は、市議会で、この制度のからむ条例案や予算すべてに反対をしてまいりました。
日本で持続可能という言葉を聞くと「官僚が持続可能でいられるために」とか、「既得権益のしがらみ状態が持続可能であるために」と解釈されているのかなあ と思うことがあります。
この制度も官僚、自分たちの組織を維持するため、また、政府与党が既得権益のしがらみを維持させるため、社会保障制度をどんどん切り捨て、皆保険制度、医療、地方自治体を持続不能たらしめる制度かなと考えざるを得ません。
とにかく 今のセンス悪き制度は即刻廃止、負担をあらたに強いることになる長寿の方々をまきこんで議論して、弱いものいじめではない、根本思想をきちっともって、再構築しなければならにものと思っております。
よって、今般の請願の趣旨に賛同し、意見を述べました。
6月18日は午後、県庁で