権力で真実がゆがめられている
最上小国川の件、昨年11月17日に申し入れ、再度年末に申し入れた公開質問状の回答がようやく山形県から届いた。
回答はhttp://www.ogunigawa.org 最上小国川の真の治水を考える会 のホームページに掲載したのでご覧いただきたいと思う。
しかしながら、その回答では、肝心なことにはまったく答えていないのである。
赤倉温泉地域の治水対策のもっとも大きな問題は、もともとなかった砂利が岩盤の上に相当量たまっているということだ。これは今本先生や大熊先生、また先日お越しになった相良村の村長 矢上さんが真っ先に気がつかれた。
「河川管理者がほとんど仕事をしていないに等しいですね。」と言われた。
県は、温泉の湯脈の影響といって、専門家も交えずに、掘削はできないの一点張りだったが、今年、山大の温泉専門の研究者である川辺先生らから指摘され、ようやく調査をすることとなり、実際3名の研究者によって調査をおこなった。そして湯脈や地下水の状況。また、2つの温泉旅館の温泉のお湯と、川の水位がほぼいっしょだったことがわかった。
その後の考察のところで、「影響があるので掘削できない」などの主張が見られるが、
ここに論理飛躍があるということを指摘しておきたい。
また、最上町での調査報告会では、3名の研究者のうち一人、温泉研究所の高橋 氏という人しか説明に来ず、僕は「なんで3名来ていないのか。説明不十分じゃないか」と指摘した・
考察のところには、山大教授は同意していない。抗議していると後でうかがった。
ようするにこの件についても、3名の研究者には調査は依頼して、湯脈の影響については一応の見解を述べさせ、考察の段階で、県のダム推進に都合がいいように情報操作がおこなわれている。
県は、これまでの流域委員会などについても、「御用」学者だけを集め「ダム推進論」だけを唱えてきた。そして「子供たちや流域の真の持続可能なあり方のためにも、ダムに拠らない治水を徹底的に考えるべきと主張し続けていた「漁協」の意見を押しつぶしてきた。
流域委員会の議論は、あまりにひどすぎると思って、僕は、「ダムに拠らない治水」を研究している、日本国内で有数の研究者である、新潟大学大熊孝先生や、今本博健 京都大学防災研究所 元所長 にご協力いただき、現地の調査、真の治水策について考えていただく機会をもってきた。
今の知事にも、その方々をひきあわせようと、知事折衝を申し入れてきた。しかし、まったく聞く耳持たずだったのである。ようするに現知事は、「ダム推進」の御用学者の意見にしか耳をかさない人だったということなのである。
要するに、今にいたるまで 「最上の治水策」は、国土交通省と政権与党いいなりのトップと、ダム推進論の「御用学者」と大きな権力、まさに政官財学の癒着構造によって「ダム論」で固められているのだ。
今回の回答についても、「砂利除去とパラペット(護岸)によってほぼ、洪水時発生する基本高水をクリアする可能性について、わからなくするために、結局60トン増えていくらになるかをぼかしている。
また、これも再三にわたって、ダム建設による損失を聞いているが、まったく答えていない。
都合の悪いところに触れず、都合が悪いことは教えず、県民を情報の格差で情報操作すればいいと思っている。・
こうした県政の姿勢は、滋賀県や熊本県とはまったく異なる、県民を愚弄した姿勢を貫いた姿勢だと僕は声を大にしていいたい。
おまけに公開討論会までも、現政権は、「もう少し開催の是非の判断の時間がほしい、待ってほしい」などと電話をしてきた。こんなことはトップ判断ですぐに決断できることだ。
熊本の元知事である潮谷知事が彼女の決断で県主催で、こうした討論会を開催していた。
それは「真実」をしっかりと県民に伝えみんなで考えようとした姿勢に他ならない。
今の山形県政にはこうした姿勢がみじんも感じられない。
まさに「真実を権力で押しつぶし、ゆがめている」県政なのだ。
国の政治も、山形県の今の政治も、本当に、いいかげんにしてほしいと思うのだ。