慶応大 先端研について
今、議会報告をまとめています。
慶応大学の研究所について。今、私の思いは以下のものです。
慶応大学先端研に、毎年3億 9年間の成果は?
21年度予算は、法人市民税が7億円減と見込みつつも、慶応先端研にまたも3億円の予算計上。富塚市政肝いりの都市戦略として毎年3億円超9年間、40億円以上の市税投入の成果として、バイオ産業で「計40事業者が創業し1000人の雇用」という目標の状況を尋ねました。
市は、産業クラスターなら当然示される立地企業数も雇用人数も税収も今後の見通しも一切示さず、「世界レベルの研究所の所在、活動そのものがすでに意味がある」「若者の交流定着を促進し、本市の価値を高める重要な投資。」「立地企業数などで成果を示すことはいかがなものか」などと答弁。
9年目というのに明確な成果も表さぬ答弁に私は、「年3億ずつの“自治”の放棄をしてきたのではないか。合併後、全部署でずっと5%予算削減の中、この巨費の投入が、市民へのサービスや市民のチャレンジを阻害し元気を失わせているのでは? と問い、市長は「見解の相違」などと答えました。
◇当初、市長は市議会で「研究運営費の支援は、大学全体への実質負担40億円の内だ。本来60億だが土地の提供で20億円の市の財政負担の軽減をはかれると説明。
ところが第一期の5年間で大学関連全体へ37億円の市税投入の後、平成18年からは毎年約3億円超の市税を補助金として拠出し、合併特例債第一号を使った産業支援センター建設(14億円)を含めると大学・バイオ関連事業全体への市負担は、結局50億円を超えています。
市は当初の40億円の実質負担枠を、市民への説明や議会の同意も得ずに60億円枠に変更していたことがわかりました。
追求してようやく明らかになった先端研全体の運営費は、平成20年度、11億2千万円。そのうち市と県の補助金「山形資金」7億円と、基金35億の運用益1億4千万円との合計8億4千万円は、運営費全体の75%をしめています。民間投資の動きも見られず、私大の研究所がまるで公設公営の有り様です。
市は、「この「山形資金」が、安定的にこの鶴岡で慶応が腰を据えて研究を続けて頂く条件」などと繰り返しています。最初のルールが変わったのに、全くの説明不足です。
合併後の市政で、慶応大学のブランド力、研究能力にたよった都市戦略だけが、予算として突出し続けてきました。果たしてこうした事が市民の誇りや希望になるか甚だ疑問ですし、毎年3億円の市税投入が義務化されているような地域戦略は、地域経営としてリスクが大きすぎると考えます。
●バイオ先進国でも30年赤字垂れ流し。鶴岡は大丈夫?
私はバイオ産業については、08年3月議会で、ハーバード大学教授のゲイリーpピサノ著「サイエンスビジネスの挑戦 バイオ産業の失敗の本質を検証する」によると先進地米国のバイオ産業30年の実態でさえほぼ赤字を垂れ流し続けている状況。こうした産業をこの鶴岡の地域戦略にしていいのか。市長はミスリードしていないか。問いました。
超先端のバイオ産業は、地域の内発的な発展につながるかは疑問です。地域の既存産業とはほとんど連携せず、喫緊の課題である雇用問題を解決することには役に立たないのではないか。また研究費の多くを占める高額の研究機器購入費は地域を循環せず、外部に流出しているだけではないかと考えます。
●21年度予算全体は1131億9千万円。市の総借金額は19年度末で1646億3千万円、実質公債費比率は17.4% とイエローカード手前。一般会計593億8千万の内、義務的な経費が51.2%と50%越えている、硬直化した予算編成です。財政運営の指針として、合併後の四年間は特に毎年マイナス5%シーリングがほぼ全部署に課せられている厳しい状況。
余裕があるのならまだしも、予算的に「厳しい」といって、旧町村の独自施策を打ち切り、全国的な評価の高い学校図書館司書は21年度には4人の臨時職員化が決定されています。ちなみに、地域資源に密着した山大在来作物研究への市の支援は50万円のみです。
そんな中、直接市民サービスとは関係ない慶応先端研への3億円市税投入。私は全国の研究所支援について調査しましたが、14万人規模で年間3億円も私大の研究所に市税を投入している自治体は鶴岡だけです。
市民の皆さんがこの実態をご存じで納得されているのか。私は疑問でなりません。ご意見をお待ちしております。