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今後の治水対策のあり方について 中間とりまとめ


政権交代後に発表された、
今後の治水対策のあり方についての 中間とりまとめがおこなわれた。
今日、パブコメの募集もはじまっている。

http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/y2010e548b916bc9c018cb393976475cb9c8ef06f25728.html

この中間とりまとめだが、いろんな点で問題がある。
連携している水源連と八ッ場あしたの会から、国土交通省宛に緊急声明が提出された。

山形の最上小国川の問題とも共通した問題があるのでそのまま転記しておきます。

国土交通大臣 前原 誠司 様 
「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」座長 中川博次 様

八ッ場ダム再検証についての緊急声明

八ッ場あしたの会(代表世話人 野田知佑ほか)
八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会(代表世話人 関口茂樹)

 7月13日の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」第11回会議で中間取りまとめ(全国84ダム事業を検証する手順と判断基準)の案が発表されました。

 その検証手順を八ッ場ダムにあてはめれば、八ッ場ダム事業の必要性をホームページ等で今なおPRし続けているダム事業者の関東地方整備局自らが検証し、さらに、ダム建設を強く求める6都県知事等による「関係地方公共団体からなる検討の場」が設置されて、その検討の場の意見を踏まえて、検証が進められることになりますので、客観的科学的な検証はなされず、八ッ場ダムは継続が妥当という結論になる可能性がきわめて高いと考えざるを得ません。八ッ場ダムをはじめ、ダムの検証作業は、委員を公募した第三者機関によって公開の場で市民参加のもとに客観的に行うことが、真のダム見直しを進めるための必須条件です。

 私たちは11日付で別紙のとおり、八ッ場ダムについて真の科学的な再検証が行われるように「八ッ場ダム等の再検証に関する緊急提言」を提出しました。今回の中間取りまとめの案では、さらに危惧すべきことがありますので、緊急の意見を表明いたします。
1.残事業費を基本とするコストの最重視でよいのでしょうか

 中間取りまとめの案ではダム案と代替案との総合評価において、残事業費を基本とするコストを最も重視すると書かれています。しかし、これでは、ダム事業の建設が進むほどその残事業費が小さくなって、ダム案が有利となり、ダム案が自動的に選択されることになります。
 八ッ場ダムについては事業を継続すれば、地すべり対策費、工事の遅れに伴う追加予算などで、事業費がこれまで同様、今後も大きく膨らむことが予想されますので、現在の計画の枠内での残事業費は決して客観的な評価の物差しにはなりません。
 さらに、コスト最重視ではダム事業がもたらす様々なマイナス面(災害誘発の危険性、自然への多大な影響など)の評価は二の次となります。また、八ッ場ダムは土砂の流入による堆砂計画量が利根川の既設ダムの実績と比べて著しく小さく、ダムの利水機能が計画よりかなり早く低下すると予想され、そのことも正しく評価すべきです。八ッ場ダムは建設されれば、子孫にとって巨大な負の遺産となることは必至です。残事業費を基本とするコスト最重視ではなく、ダム事業がもたらす様々なマイナス面を重視して、代替案との比較評価を行うことを要望します。
2.ダム予定地の人々はいつまで生活再建を待たされるのでしょうか。

 ダム事業の検証結果については事業規模の違い等を考慮して国土交通大臣への報告期限を特に定めないとされています。
 検証の結果、ダム中止の場合、その後、ダム中止に向けての法的な手続きがとられることになりますが、八ッ場ダムの場合、それが終るのは何年先のことになるのでしょうか。八ッ場ダム予定地の人たちはその間、現在の宙ぶらりんの状態のまま放置されるのでしょうか。ダム予定地の人たちに耐えがたい苦痛をこれ以上強いることは、あまりに酷いことです。
 前原国交大臣は八ッ場ダムについては予断なき検証を行うものの、その中止方針は変わらないと言明されているのですから、中止を前提とした生活再建、地域再生の案を地元に提示し、地元の合意形成を得たうえで、その実施に取り組むべきではないでしょうか。水没予定地における居住、営業は日々困難となっており、地元住民は騒音、振動などの劣悪な環境の中、生活権を侵害される状況が続いています。ダム行政の犠牲になってきた住民への支援は、ダム事業の検証作業とは切り離して、早急に取り組むよう改めて強く要望します。
以上

2010年7月11日
国土交通大臣 前原 誠司 様 
「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」座長 中川博次 様

八ッ場ダム等の再検証に関する緊急提言

八ッ場あしたの会(代表世話人 野田知佑ほか)
八ッ場ダムを考える1都5県議員の会(代表世話人 関口茂樹)

 今夏に発表される予定の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の中間とりまとめについて提言を申し上げます。
 去る6月10日の第10回会議でそのタタキ台が示されましたが、それにそってダム事業の再検証を行えば、八ッ場ダムをはじめとする多くのダム事業は中止ではなく、むしろ推進が妥当であると結論が出ることが予想されます。
 「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換を進めるとの考えのもとに設置された有識者会議の取りまとめによって、逆に多くのダム事業が推進されることになれば、流域住民の支持を失った河川行政の変革を求めてきた国民の期待を大きく損なうことになります。
 中間とりまとめのタタキ台の検証手順を八ッ場ダムに当てはめれば、次のように検証が行われることになります。

(1) 八ッ場ダムの検証検討主体は、第三者機関ではなく、関東地方整備局であって、八ッ場ダムの事業者自らが検証を行う。

(2) 6都県知事等で構成する「関係地方公共団体からなる検討の場」が設置され、関係都県民の民意とはかけ離れた「八ッ場ダムを推進せよ」という大合唱の場が用意される。

(3) 八ッ場ダムの見直しを求める市民はパブリックコメントだけで、検証作業から排除される。

(4) 治水・利水についての検証は、ダム事業者等が今までにも一応行ってきた一般的なダム代替案との比較を行うだけである。

(5) 八ッ場ダム事業の重要な問題である地すべり等の災害誘発の危険性は検証のテーマから外されている。

 このような検証では、八ッ場ダム建設事業は継続が妥当という結論になる可能性がきわめて高いと考えざるをえませんが、お手盛りの