鶴岡の水の事ーーー地下水販売所にて
ひさびさに鶴岡市の元の水源地にある地下水販売所に行ってみた。
お一人、せっせと水汲みをされていた。ちょっとだけお話をきいてみた。
「今の水道水はすぐには飲めない、塩素くさいというか薬の味がして。炭をいれたり、沸騰させたりして飲むしかない」「昔の水だったらなあといまさらながら思う」「浄水器も一時期つけていたんだけれど、フィルターの交換やらで出費がかさんで結局今は使っていない。」「料金もねえ、高くてねえ」「おおよそ2倍になりましたからね」などなど。
この自販機は10リットル100円。この値段はいつもの水道と比べると約100倍の値段。そして、もしあなたが、ペットボトルの水を手にして飲んでいたら、その水の値段は水道の約1000倍に近い値段の水だ。
それに、この地下水販売所の場所だが、わざわざ、こんな赤川の土手近くまで車で来て水を求めなくてはならないことがまず不憫に思えてくる。
今、スーパーのいたるところにおいしい水を汲むための自販機のようなものがあって、そこから水を汲む多くの方々を目にしている。
以前、鶴岡市民は「水道難民」状態に陥っているとして論戦していたが、まさに今、そうした状況なのではないだろうか。
「以前飲んでいた水があまりに良質だったから、今、贅沢なことをいっているだけだ」などという人もいるかもしれないが、僕はやはりあの、地下水100%の水道水こそ、鶴岡本来の資源であり、文化なのだということを訴ええ続けようと思う。そしてそれを奪ってしまった公共事業の矛盾を検証していきたいと思うのだ。
「食の都を支える水が、こんな水になってしまったか」ともう何人の方から言われたかしれない。
水源の切り替えについての住民投票運動を展開していた時から今年10年。水源切り替えから起きた鶴岡市民の暮らしの変化をもう一回考えたい。改めて、市民のみなさんに伺っていきたいし、今も災害時のための水源として残されている地下水の有効活用を提示していきたいと思う。
鶴岡の水道事業の問題は、今の時代に方向転換を迫られる公共事業の一つの事例を提示していると思う。
ダム開発の「利水」の問題の象徴的な悪例だ。
これを教訓とし、今失われつつある鶴岡ならではの資源に光を充て、もったいないことにならないようにしていかなければならないと思うのだ。