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検討委員会へのパブリックコメント


(8)検証に当たっては、各評価軸について的確な評価を行った上で、財政的、時間的な観点を加味して総合的に評価を行う。
(9)総合的な評価に当たって、一定の「安全度」を確保することを前提として、「コスト」を最も重視する。なお、これらの考え方によらずに、特に重視する評価軸により評価を行う場合等は、その理由を明示する。

意見
(要旨)ダム事業の「コスト」には生物多様性や自然破壊による「損失」を加味し、流域全体の長期的な経済の持続可能性の比較で治水プランの評価すべき。

米国、欧州の治水対策としてのダム事業の見直しやダム撤去の背景には、河川流域の経済が、特に長期的な視点を持った場合、ダム建設による生物多様性の消滅、流域の環境汚染、流域漁獲高の減少などによるダメージを大きく受けたという点が挙げられている。
 日本のダム建設事業の問題は、河川流域の生態系を破壊し、河川が本来持つ生物多様性を失わせ、川漁師で生計をたてたり、釣り人の滞在宿泊などによる流域経済を破壊し続けてきた点にある。短期的な建設コストによる治水安全度の向上の「コスト」だけで判断し続けてきた結果として、多くの河川流域で、本来の自然資本が失われ、流域の経済の持続可能性が失われてきた。 今般の「検証」は、先ずこれまでの反省に立脚をすべきであるが、その姿勢が全く感じられない。
 山形県での検証対象事業である最上小国川は、天然アユが年間300万匹も遡上し、釣り具メーカー主催などの友アユ釣りの大会が年間8回も行われ、流域の最上町、舟形町の交流人口、周辺旅館への滞在人口を増やすことに貢献し、山形県の観光やまちづくりの面でも、河川の清流環境に基づく流域経済が重要な要素となっている。
 県は「穴あきダム」は環境に影響を与えないとして、「ダム建設による流域経済の損失」について答えを拒み続け、コストといえばダムとダムではない放水路、河川改修の安全度の「コスト」による比較でダムが最も安いなどと言い続けてきた。しかし、寿命のあるコンクリート巨大構造物を長期にわたって建設する建設期間の清流環境へのダメージ、建設後の構造物への水やヘドロの滞留などによる環境へのダメージは、既存事業などから容易に想像できる。

清流環境というかけがえのない自然資本の損失を、明確に建設の際の負のコストとしてとらえ、長期的な視点で、流域の持続可能性を叶える事業を検討するというスタンスで、治水方策を検討、検証しなおす姿勢を強く求める。
 ダム建設事業はこれまで日本固有の清流を破壊し続け、流域に自然生態的に、また社会経済的にも深刻なダメージを与え続け、更にダムの寿命をむかえたり堆砂で埋まった際には、莫大なコストが発生することがわかっている。撤去の費用も莫大である。そうした建造物ゆえに、ダムに依らない治水策を徹底的に検討することは当然である。今般発表された治水対策プランや検証の姿勢では、世界の河川政策の潮流に未だ逆行する河川政策を温存しかねない。
 検証の有識者会議の委員として、淀川水系流域委員会などで実績のある京大名誉教授今本博健先生、新潟大名誉教授 大熊孝先生らを任命し、これまでの河川政策の反省にたち、真に持続可能な流域の地域作りに貢献する、又、世界の河川政策潮流に合致する治水プランの検証が行われることを強く求める。