慶応先端研への公共投資について
先週からの市議会を傍聴しつつ、慶応大先端研への市税投入について、改めて問題点、検証すべき点を考えています。
今年度の22年度で、1期5年、2期5年、あわせて10年間の支援のひとくぎりとなります。焦点となるのは、これまでの成果をどのように分析をし、来年度からの支援のあり方をどのようにするのか。ということです。
当局は、研究のクォリティを落とすことなく今後は地元企業との連携などを模索していくため、相応の支援を考えている、などと答弁をしました。そうしながら、具体的にどのような支援をおこなうかは現段階では示せないということです。そして、これまでの成果、今後の支援の検討については県のほうで、検討委員会を識者をいれておこなう。その結果を受けて判断する。とのことでした。
「識者による検討委員会」 これ、以前の第一期でもそうした委員会が設置されながらも、いくら聞いても委員の名前もその検討の内容も明らかにされないままだったな。と思い、今週、山形県庁を訪れ、担当に話しを聞いてきました。県の担当は学術振興課から、「産業」のほうに移っていました。
伺ってみると
検討委員会はおこなれている。現在検討中で、五名ほど、担当が選任した有識者に集まって頂き協議しているとのこと。僕が、メンバーリストはいただけますか。と尋ねると、メンバーについては非公開です。で、
議論内容については公開されるのですか? と尋ねると、協議終了後、その資料を公開するかどうかの判断をします。議論の過程では公開しません。とのこと。
結局、検討検証委員会は開かれていますが、その委員は誰で、どんな議論がおこなわれているか。私たちは知ることができないのだということです。第一期目については、その検討結果についても明らかにされないまま、第2期に突入していました。役所では「成果について権威といえる方に一定の評価を得た」という事で応えが済まされておりました。
こんなことで、市民のそれも高額な税金の投入の妥当性について本来の検証ができるんでしょうか。僕は疑問をもちます。
それと、これまでの役所の答弁も、こうした委員会の検証も、学術的な評価と、公共投資としての政策的な評価は、別々に考える必要があるのではないかと思います。
今回のこれまで10年の市税、県税投入についての評価ですが、今の「誰が検証しているかわからない」。「どんな議論がおこなわれているかわからない。結果も十分に県民、市民に知らされない。そんなことでは、市民、県民が納得のいく検証とはいえないと思うのです。
いろいろな成果はあがっていることは認めた上で、しかし、今のままでは大政翼賛的なかたちで、ろくなチェックもされずに、さらなる公共投資が進められていくのではないかと、思えてなりません。
今、国までも今の事業のあり方についての検証を、議論の過程を徹底的にオープンにして、「事業仕分け」をおこなう時代です。戦略的な投資事業だという位置づけだとしても、今のような密室の「検証」のみで、よいしょっ とやられるのでは、あまりにもガバナンスが効いていないと思うのは、僕だけではないのではないでしょうか。
特例債も限りが見えてきて、更に合併特例期間後の30億円の税収減も明らかになってきている。そして、僕が思うに、地域の自然エネルギーなどの環境分野での新しいインフラ整備もやっていかねばなりませんし、それこそ地域の資源を活かし地元の産業にできる。また、地域でお金が循環するしくみをつくることができる可能性があるのではないでしょうか。より優先順位が高いのではと思える社会的ニーズも発生してきています。文化会館だって、やるとすれば今のタイミングで検討しなければ間に合わない状況。今後の大型公共投資をテーブルの上にのっけて、市民、県民参加の下で納得詰めで決めることができる新たな仕組みが必要と思いますし、そのためには、まず、これまで同様の「密室」で何かが決まるなどということを排していかねばならぬと思うのです。
こうした投資事業については、「公開すると、企業秘密のようなものもオープンになり損失が考えられるため、非公開にしている」と以前も議論過程で市の企画部長などがよく言ったものでした。今般お会いした担当の方もおっしゃっていたのですが。思うに、ならば、いよいよ公共投資になじまないのではないのか。と言いたくなります。市民の税金、県民の税金の巨額が投入されているのですから、その税の投入が適切かどうかについては、学術的な検証の他に、公共投資として適切な金額なのかどうかの検証が必要なのだと思います
それがこの10年間、ほとんど行われてきませんでした。
来年度からどのようにするのか。今年度、内輪の検証だけでなく、しっかりと市民、県民みんなで検証、検討しなくてはならないと思います。
こうした情報について、これからも調査して参りますのでどうぞ、よろしくお願い申し上げます。