広域水道事業について
2 広域水道事業について(企業管理者)
2001年10月20日、鶴岡市民にとっては忘れられない日であります。昭和8年から鶴岡市民が慣れ親しんできた地下水100%の水道水原がダムの水源に切り替えられた日であります。今年、丁度あれから10年になります。改めて月山ダムに伴う庄内南部広域水道事業について検証します。
(1)水道料金について
まず水道料金についてです。
平成22年の山形県の市町村の水道料金平均は10㎥では全国で最も高く2,099円と日本水道協会の統計資料にあります。以前、鶴岡はその中では安価な方でしたが、水道料金はダム水移行後、最大で切り替え以前の1.85倍 約2倍になりました。
計画の際、ダム建設工事費は780億円でしたが、完成時には1,687億円になりました。その金額が上乗せになったことと、庄内南部広域水道事業の算定の基準となる計画給水量として定めた基本水量10万9千700トンが当時の水使用量と大きく乖離していたこと、つまり水需要予測の失敗のツケが、値段の高騰につながったと考えます。
2001年切り替え当時、県は私が提出した公開質問状に、この乖離について
「計画給水量は、将来の安定供給を踏まえて、長期的な観点から計画された」と、あたかも将来的にはそれを満たすかのように応えていました。
しかし現状、鶴岡市地域は、年約1,000人ずつ人口減少する時代となりました。そして、水使用量は平成 6 年度をピークに結局この17年間減少傾向であります。この減少傾向は更に続き、給水量の増加は見込めない状況と鶴岡市水道ビジョンにも実際に記載されています。
庄内南部地域の水の使用量は、20年度で約5万トン。基本水量の46%にしか当たりません。
使用水量では、例えば20年の年間の実際の使用量と料金算定根拠の責任水量とで127万トンの差が発生しています。その分の水代、年間約2,150万円は実際に自治体は使っていないのに県に料金を支払っていることになります。
人口が右肩上がりの時代にはスケールメリットがあると思われた広域水道事業ですが、人口減少に転じた今、大きな矛盾が生じています。
この事業ですが、今は末端の市町村の水道料金でつじつま合わせをしている状況ですが、「広域水道事業という制度」そのものがもうすでに破綻しているのではないでしょうか?
であれば今後、県はどのように見直しをしていくのか、見直すとすれば、県の責任として受水費用の見直しだけではなく、「基本水量」の見直しにも踏み込むべきだと考えますが、企業管理者のお考えをうかがいます。
(2)水質の確保について
次に水質について。うかがいます。
広域水道への水源切り替え後、発ガン性物質 総トリハロメタンの値は、最高値で平成19年度0.062mg/lと、基準値内ではあるものの、以前の地下水源の23.8倍になりました。今は若干改善されましたが、それでも地下水の5倍であります。
この夏、路上での意識調査などをおこない、市民の声を集めました。
切り替え以前は、「ダムの水も十分においしいはず」と当時の市長は説明していましたが、総サンプル488人中367人、75.2%の方が水質が悪化した。水がまずくなったと答えています。
実際の声として浄水器をつけたり、スーパーの自販機で水を求めたり、飲み水として生で飲まないという水道離れを強いています。
また、地下水では年間13度前後で安定していた水温が、切り替え直後から 冬2度、夏20度以上と不安定になり、光熱費が余分にかかっているという声もいただきました。
結局、住民は水質の悪化、水温の変化にともない、水道料金高騰の他に2重3重の負担をしているのであります。
当初計画で、鶴岡市水道では1万トンの地下水の自己水をブレンドして供給する予定でした。今、一滴も地下水がはいっていません。見直しの際には、水質の面でメリットがある地下水のブレンドを認め、住民ニーズを叶える水道供給に努めて欲しいと考えますが、企業管理者の見解をお尋ねします。
●企業
私のほうからは、広域水道の事業につきまして、2点お応えさせていただきます。
まず、水道料金についてでございますが、本県の広域水道につきましては、
安全な水道水を安定的に供給しますとともに、効率的な事業運営につとめまして、水道料金は、実施しています、23の中で、安いほうから8番目ということであります。
庄内の広域水道につきましては、平成20年4月に、地元からの水道事業のの統一、あるいは料金の低廉に関する要望を踏まえまして、運営費用などの
経費節減をはかり、23.9% の引き下げを実施したところであります。そしてあわせまして、責任水量の見直しをおこないまして、受水団体の;
負担軽減をはかってまいったところでございます。今後におきましても、人口減少にともなう、給水量の減少が懸念されますが、お尋ねの基本水量の見直しにつきましては、原価主義を原則とする公営企業におきまして、事業の根幹に影響を与えかねないものでありますので、見直しは、難しいものと考えているところでございます。
企業局としましては、県および、市町村の水道事業が将来にわたって、安定的に役割を果たしていけるように、給水量の将来の見通しに加え、施設の耐震化、や老朽化による更新を加味した、中長期的な収支を勘案しまして、料金の水準等について、関係市町村と話し合いながら、様々な角度から検討して参りたいという風に考えているところでございます。
次に水質の確保についてでございます。県民に提供する水道水の水質の確保というものは、極めて重要でございまして、企業局では、水道法にもとづき、浄水場などの水質検査を定期的に実施しておりますが、水質基準の各項目については、良好な値となっているものでございます。特に朝日浄水場における総トリハロメタンにつきましては、平成21年11月から従来の浄水行程を見直しまして、水のにごりを取り除いてから塩素消毒をおこなうこととしまして、対策前の値に比べまして、3割から5割の低減をはかったところでございます。
また、夏場の水温対策としまして、月山ダムの取水深、水をとる位置を下げまして、水温の低い層から取水しまして、できるだけ冷たい水を提供できるようにつとめているところでございます。議員ご指摘の自己水源と広域水道のブレンドにつきましては、関連市町村の判断により実施される