ダム撤去の記事
朝日新聞にダム撤去のわかりやすい記事
五十嵐先生も登場
作る時に撤去コストも頭にいれないと次の世代のツケになるばかりだ
〈ニュースがわからん!〉ダムの撤去
http://digital.asahi.com/articles/TKY201208240569.html
写真・図版:もの知りホー先生(中央)・知りたがり屋コブク郎
(右)・ズバッと聞きますアウルさん(左)
■熊本でダムが撤去されるんだって?
コブク郎 熊本県の荒瀬(あらせ)ダムが撤去(てっきょ)され
るって聞いたけど、なんで?
A 1955年にできた球磨(くま)川中流にある発電専用ダム
なんだけど、川の水質悪化や漁業への悪影響が言われ、電力供給の
役割も下がり、前の知事が撤去を打ち出したんだ。
コ 撤去って大変?
A 9月から工事が始まるけど、火薬や重機を使って6年間かけ
て解体する。2007年度からダム湖の底にたまった泥や砂を除去
(じょきょ)してきた。ダムがなくなって下流に一気に泥が流れ出
すと魚がすめなくなる。川の流れ方も変わるから、護岸(ごがん)
の補修(ほしゅう)も必要になる。
コ お金もかかるね?
A 総額88億円かかるとされている。本格的なダム撤去は初め
てだから、手さぐりの部分もある。時代が違(ちが)うから比べに
くいけれど、55年に完成したときは、総工費29億円だった。
コ でもなぜ今なの?
A 今の蒲島郁夫(かばしま・いくお)知事は08年に就任(し
ゅうにん)したのだけど、いったん撤去を取りやめたんだ。撤去費
用の試算が見通しより膨(ふく)らんだためだ。その後、コストを
約7億円削(けず)り、国の協力も得て何とか費用を工面(くめん)
した。
コ 金策(きんさく)も苦労するね。
A それが橋や道路、鉄道、建物などに共通する問題だ。大阪市
は今年、1970年代に造ったニュータウンで、地下パイプで家庭
ごみを収集する施設(しせつ)の廃止(はいし)を決めたけど、撤
去には約30億円かかる。放っておくと危ないが、改修するにも約
80億円かかる。苦しい選択を迫られた。
コ あちこちで同じ問題が出てくるのかな。
A でも、多くの公共事業で将来の撤去費用は想定されていない
んだ。この分野に詳しい五十嵐敬喜(いがらし・たかよし)・法政
大教授は「責任の所在(しょざい)を明確にすべきだ」と指摘して
いる。撤去を見越して基金を積み立てたり、事業の費用対効果を計
算するのに将来の撤去費用を織り込んだりするのも手だね。造る前
から壊(こわ)すことを念頭(ねんとう)に置く方が自然じゃない
かな。(岩崎生之助)
写真・図版:荒瀬ダム撤去には88億円かかる