持続可能な鶴岡ブログ

持続可能な鶴岡ブログ
トップページ > 持続可能な鶴岡ブログ > 新たな生物多様性国家戦略 28日、閣議決定

新たな生物多様性国家戦略 28日、閣議決定


生物多様性基本法(平成20年法律第58号)に基づいて政府が策定する「生物多様性国家戦略2012-2020」が、9月28日、閣議決定された。

この策定に、以下、パブリックコメントしました。また、これと同様の事を仙台での説明会の際に主張いたしました。

http://www.biodic.go.jp/biodiversity/wakaru/initiatives/files/unite_h24_01/0829_6.pdf

87P

第三章 生物多様性の保全及び持続可能な利用の目標
第二節 3の4 河川湿原地域
特に河川環境への取り組みについて
平成9年の河川法の改正において、環境要件が加わったわけであるが、今、東北の随一
の清流環境といえる最上小国川に「流水型ダム」が建設が予定され、清流環境が破壊さ
れようとしている。
小国川は山形県内を流れる最上川の中の唯一ダムのない天然河川。美味で明治天皇
に献上された、松原鮎に代表される鮎は、山形県内の内水面漁業の中で、ダントツ1位
の生産額1億3千万円を誇り、年間3万人もの友鮎釣りの釣り人が集まる川である。
鮎だけではなく、サクラマス、サケ、ハナカジカ、ウグイ、ヤマメ、イワナ、など天然遡上の
魚種も多く、東北サンショウウオも存在する。猛禽類、アカショウビン、ヤマセミ、カワセミ
などが多く生息するところでもある。更に、貴重種であるワタナベカレハの重要生息地で
あることもわかった。こうした国際的に貴重な清流淡水環境の生物多様性のホットスポッ
トに「流水型ダムならば環境にやさしい」などと科学的根拠もないまま、理由づけをしてダ
ム建設事業が今年より(国、県予算 5億7千2百万円)で周辺工事からおこなわれようと
している。
今年から東北随一といえる清流環境を破壊する工事に着工されようとしているのであ
る。



流域に存在する小国川漁協は反対を貫いている。財産権である漁業権をも収用してダ
ムをつくろうとしているのである。
この流域では近畿大有路研究室によって、清流環境がもたらす経済効果を、鮎だけでも
年間22億円と試算をした。この試算については山形県議会平成11年9月議会で発表さ
れ、朝日新聞山形県版で発表もされている。(この記事については仙台説明会でご担当
者に手渡しをしました)自然資本の経済が成立している清流環境である。
改正後の河川法の環境要件が今、反故にされているとしか思えないし、愛知ターゲットに
全く逆行することが山形県内で進行しつつある。
小国川ダムは治水のためのダムであるが、全体的に掘り込み河道であり、下流域はほ
ぼ50分の1の治水が達成されており、赤倉温泉流域の治水のためだけのダムである。
河道改修による別プランこそ流域の人々の命を守り、温泉街活性につながることを複数
の河川工学者、温泉研究者をはじめ、住民団体が主張し、現在、行政監査請求中であ
る。
地球環境を失ったらどんな経済も成立しない。年々、再生産できる自然資本の価値を踏
まえ、TEEBの本意をくみとった戦略にし、国土交通省の開発を抑制できる、強い戦略に
していただきたい。名古屋の国際会議の議論や愛知ターゲットを絵に描いたもちにしない
でいただきたい。


生物多様性が有する経済的価値の評価の推進について、
パブリックコメント版75ページ30行目以降に記述していま
す。
生物多様性基本法第12条第2項において、「環境基本計画
及び生物多様性国家戦略以外の国の計画は、生物の多様
性の保全及び持続可能な利用に関しては、生物多様性国
家戦略を基本とするものとする」とされており、各省庁は、生
物多様性の保全と持続可能な利用に関しては、生物多様性
国家戦略の考え方を基本として、それぞれが責任を持って
事業等を実施していきます。


全国説明会でも19Pに
http://www.biodic.go.jp/biodiversity/wakaru/initiatives/files/unite_h24_01/0829_7.pdf

草島の発言が掲載されています。生態系サービスというテーマで。

生物多様性国家戦略に期待している。東北の水辺の環境は20年前よりかなり悪化し
ており、さらにダム開発によって生態系は破壊され危機に瀕している。秋田では成
瀬川ダム、岩手では津付ダム、山形では最上小国川ダムなど、清流にダムを造って
生物多様性を破壊しようとしている。157ページでは、河川法が改正され河川環境の
保全を考えていると言っているが、実際はそうではない。2009年の検証の時に生物
多様性を損失するコストも検証する際のコストに含めてほしいと言った。生態系
サービスを経済に盛り込んで政策に反映させることは非常に重要。現在、ダムの建
設によって流域の経済価値が失われようとしている。自然災害で失った自然を、さ
らに人工的に生物多様性を失わせる開発が行われている。生物多様性国家戦略は開
発を止めることができるような実行力のあるものにして頂きたい。東北の自然を享
受して生活している人はまだいる。まさに生態系サービスであり、自然資本をこれ
以上失ってはいけない。ダムや堤防についてこの戦略をもとに再検証できるくらい
の力をもつものであってほしい。


いずれにしても何らかの反映をいただいてよかった。