9月定例議会 予算委員会 質疑1)生物多様性
9月27日におこないました、草島の予算委員会での質問と答弁です。
1)生物多様性国家戦略・地域戦略
2)最上小国川ダムの見直し
3)再生可能エネルギーにより地域雇用の創出について。
平成24年9月27日
1 人と自然が共生する社会の形成について
(1) 豊かな環境を守り活かす自然共生社会の構築について(知事)
3.11の東日本大震災、福島原発災害から1年半を経過しました。この間の当局の様々な尽力による復興支援、また、福島第一原発事故からの教訓から、卒原発を表明し、新しい時代の社会づくりに邁進する吉村知事の姿勢に対して改めて敬意を表します。
昨年の一般質問の際もお伝えしたとおり、私は今般の特に原子力災害で露呈した、原子力ムラやそれと同様の構造的な病理を正し、持続不可能な社会から持続可能な日本への転換をおこなうことこそ、真の東北の復興、日本の再生の姿であり、我々の政治の使命であると考えるものであります。
今年は「持続可能な開発、発展」が広く発信されたリオ地球サミット20年目にあたるリオ+20が行なわれました。テーマは環境と経済の両立を目指すグリーン経済でありました。グリーン経済を担う持続可能な社会の重要要素の一つが再生可能エネルギーであり、もう一つが生態系サービスを育む生物多様性であります。
生物多様性国家戦略は、2010年10月に日本が議長国として名古屋でおこなわれたCOP10から今年のインド・でおこなわれるCOP11に向けた4度目の改定作業が、環境省の中央環境審議会で進められ、この13日に答申が示されました。
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新しい国家戦略には、「いかに社会に浸透させる」かや、「森・里・川・海のつながりを確保する」ということなど5つの基本戦略があり、具体的な施策として、注目したいのは、「生物多様性の経済的価値の評価」、生物多様性の損失に伴う経済的損失、要するに昨年一般質問でお示しした「鮎効果年間22億円」などの自然資本の経済評価等が明記されることであります。
これまで、日本社会はとかく経済優先の活動のために自然破壊をおこなってまいりました。しかし、今度は地域経済のためにも自然を守り、再生させ、共生する時代へと大転換の時代だと考えます。今、地域振興の戦略としても生物多様性を活かし、自然と共生する新たな地域戦略が進められています。
一つは、国連ユネスコのMAB(マブ)人間と生物圏 計画に基づくユネスコエコパークの動きです。このユネスコエコパークは生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的としています。
現在117カ国、598地域が登録されていますが。今年7月に、宮崎県の「綾地域」は、日本としては5番目に認定されました。「綾地域」は、地域特有の照葉樹林の保全と有機農業に積極的に取り組む、綾エコパークとして世界に発信されはじめたのであります。
もう一つは、北海道弟子屈(てしかが)町などで取り組まれているエコツーリズムです。
平成20年4月より施行されたエコツーリズム推進法で「自然観光資源」と規定された、地域特有の自然を活かした体験や自然に寄り添う暮らしそのものをメニューにした観光振興策であり、感じる幸せと書いて、「感幸」を育むこれからの観光施策として注目されている取り組みです。私は羽黒の山伏体験は究極のエコツーリズムだと考えております。
わが鶴岡では、平成20年に大山下池、上池が渡り鳥の保護地域ラムサール条約指定湿地に登録されました。現在拠点施設「ほとりあ」を拠点にワイズユースなどの環境教育などをおこなっています。
更に、森里海連環の振興策として、天然鮎が豊富な清流、島根県の高津川流域の「森里海連環 高津川流域ふるさと構想」特区が、今年度より五カ年で「内閣府 地域活性化総合特区」として取り組まれております。
この夏、その現場を訪れましたが、清流日本一の高津川を育むための「林業の再生」、流域の有機農業の拡大と、鮎については、ダムのない清流に、さらに近自然工法による自然再生事業をおこない、漁業振興として鮎の築地市場出荷のためのcas等、急速冷凍装置の設置を考えておられました。
これらの地域づくりはいずれも地域特有の自然資源に着目し、地域の価値を高める戦略としておこなわれているものであります。
県内全体を貫く最上川を有し、庄内浜に注ぐこの県で、森里海連環として、河川の自然再生や庄内浜の再生に、又、全域でエコツーリズムや、又、ユネスコエコパークにも取り組んでいく。そうした地域振興の戦略を組み立ててはいかがかと思います。
先般の知事説明で、知事は、これからの県政運営の6本の柱の一つとして、人と自然が共生する社会を形成し、環境先進地山形の構築を進める旨を述べられました。また、「森は海の恋人」としての森川海の連環についてもお触れになっておられました。 知事は、生物多様性の重要性を、どのように認識され、これを人と自然が共生する社会づくりにどう活かしていくお考えなのか、まずは知事のご所見をお伺いします。
知事
私達の生活は、酸素や水をはじめ、食料や 供給、医薬品の原料など、生物の多様性がもたらす、豊かな恵みによってささえられており、生物多様性は重要であると認識をしております。また、森林生態系が山地災害の防止を担っているなど、安全安心の面でも必要不可欠なものでございます。さらには、地域固有の自然の共生する文化を育むなど、県民の暮らしや産業を支える基盤の一つでもあります。しかしながら世界的にみて、地球温暖化などによる環境面の変動から、生物多様性は、急速に失われつつあり、将来人間の生活や、経済活動全般に重大な影響を及ぼす可能性が高いとされておりまして、その保全については喫緊の課題として、我が国を含め、各国で、国をあげた様々な取組みがおこなわれているものでございます。このような中、本県におきましては、第三次山形県環境基本計画における、環境分野の計画としまして、今年の3月に第三次山形県環境計画を策定しております。
今後、10年間の環境保全の取組についての方向性をお示ししているのでございます。この中で、基本目標の一つに、豊かな環境を守り、活かす、自然共生社会の構築を掲げ、生物多様性の重要性と保全の必要性について盛り込んでおります。また、生物多様性を活用した、地域振興という論点では、すでに県内につきましてもバイオマスのエネルギー利用をはじめ、観光や農業分野などにおきまして、地域の生物資源や生態系を活用した取組みがおこなわれているところで すが、地域の生物資源を将来にわたって、保全、活用しながら、地域振興に結びつく、より効果的な施策を展開していく必要があるという風に考えております。
草島
委員長、ありがとうございます。生物多様性についての非常にご理解が深いということを感じました。
え、それでは、具体的に伺いますが、
生物多様性の保全に関する取組みについて(環境エネルギー部長)
生物多様性基本法の第13条には、都道府県・市町村ともに生物多様性地域戦略を定める努力義務があり2012年5月31日時点では、18都道県が策定をされております。本県も策定の検討途中ということでございます。この取組をどのように進められるのか、環境エネルギー部長にお伺いします。
森谷環境エネルギー部長
生物多様性地域戦略の取組についてでございます。
本年度、策定作業にはいって、
策定に作業に着手したということであります。
今年度は、県内の動植物に関します、基礎資料、標本などの収集を進めますと共に、この取組においては環境相の委託事業を活用して作業内容やスケジュールなどに関しまして、環境省との事前調整をおこなってまいりました。今般詳細がととのいましたことから、来月にも学識経験者や関係団体などで構成いたします、山形県生物多様性地域戦略検討委員会 仮称でございますけれども、立ち上げまして、本格的な作業を進めて参りたいという風に考えております。また、各方面から、広くご意見をいただくために、県民の皆様へのアンケート調査等も踏まえまして、その後の保全や活用などについてご意見をお聞きしたいと考えております。あわせまして、市町村関係団体等のご意見も伺って参りたます。策定に際しましては、県政運営の基本的な考え方の中に掲げられております、豊かな環境を守り、かつ自然共生社会の構築を基本に、新たな国家戦略を踏まえながら、本県の地域性、独自性を共有いたしまして、人と自然との共生のあるべき姿、その実現のための方策などももりこみながら、地域振興に結びつく戦略にして参りたいと言う風に考えております。
草島
ありがとうございます。これからとりくまれるそうですので、しっかりと取り組んで頂きたいと思います。この戦略、たてたところも、実質的なものになっているのかというのは、今の課題でございまして、ま、名古屋での会議で、これから回復させていくんだということが盛り込まれているわけですけれども、せめてですね、ノーネットロス原則。これから、生物多様性を減らさない。開発をするなら、どこかでオフセットをかけるミチゲーションをかける。他のところで再生させて、総量を減らないと言う原則を定めてはどうか。と言ういう風に思います。これあの、これからの策定ということですので、そういった原則も踏まえて策定をしていただきたい。
それと、今年は県魚としてサクラマスが設定されて20年だそうです。
我が県の内水面漁業は、この20年間で漁獲高が半減している状況がありますし、更に今年の春、底引き網漁に影響を与えた泥やヘドロは、河川由来のものであると判明したようですけれども、暖流の影響で栄養分の少ない日本海の生態系というのは川から流入する栄養素による影響が大きいと聞きます。
河川環境に最も影響を受けやすいサクラマスや鮎というのは森里海連環の指標生物でございます。
それらをもっと増やしていく、天然のものをもっと増やしていくためにも、まずは、森里海連環の研究を、今後開催予定といえる全国豊かな海づくり大会での発表を踏まえましてて、部局横断でぜひ10年単位で長期的におこなって頂きたいと思います
これ要望でございます。ありがとうございました。