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最上小国川ダム問題 科学者の最新の知見を排除したままで入札・着工は許されない


 

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_58E1922最上小国川ダム問題。

1/28、漁業行使権を有する漁協組合員有志と、守る会合同で県に対して、拙速な入札を差し止める申し入れをおこないました。

この写真は、これまでシンポジウムや講演会でいらしていただいた、先生方です。鮎研究55年の世界的権威、川那部浩也先生をはじめ、河川工学の今本博健先生、大熊孝先生、嶋津 先生、温泉研究の川辺孝幸先生、漁業法の熊本一規先生。魚類生態学の朝日田卓先生、など多くの科学者が調査やシンポジウムにご協力いただきました。

そして昨年の8月1日、川那部先生ら4名の魚類生態学者は「山形県がつくった最上小国川流域環境協議会資料のデータを解析してくださり、一本の意見書を提出しました。その意見書は アユを中心とする調査内容に関する意見書 論点。

    川那部 浩哉(京都大学名誉教授)
    竹門 康弘(京都大学防災研究所准教授)
    朝日田 卓(北里大学海洋生命科学部教授) 
    高橋 勇夫(たかはし河川生物調査事務所代表)
 

最上小国川流域環境協議会資料の問題点
1)調査の目的や方法が吟味されていない
2)限定的な調査データから逸脱した結論が導かれている。
3)各調査に結びつきがない
4)アユそのものに関する調査や検討が全く存在しない。

最上小国川流域環境保全協議会への提言(今後の調査に向けて)

小国川で計画されている流水型ダムはピークカット率が高いため、洪水時の堪水域の上流部に堆積する礫経の大きな土砂が下流へ供給されにくくなり、洪水の減水時や小出水時には堤体近くに堆積する砂泥のみが流出すると予測される。このため、①ダム下流域の河床更新度の低下と糸状藻類等の繁茂、②ダム下流へのシルトの流出による濁水発生と河床環境の悪化、③ダム下流へ供給される有機物組成の変化などを通じて、アユの餌環境やサクラマスの産卵環境の悪化が懸念される(サクラマスの産卵場が、ダム建設予定地〜下流1.5kmの範囲で発見されている)。これらは、岩手県のレン滝ダム、外枡沢ダム、島根県の益田川ダムなどの調査で得られている知見から明白と考えられる。
 上記のようなピークカット率の高い流水型ダムによって高い確率で起こると予想される影響に関しては、これまで全く調査されておらず、全く検討もされていない。したがって、今後これらの項目について詳細な調査を行い、影響をつぶさに検討することが必須である。
一般に、「ある事業等が環境にいかなる影響を及ぼすか、またその程度はどれほどか」を考えることは、それに疑問を持ちあるいは反対する人びとに対して、科学的な資料とそれに基づく具体的な判断とを提示し、その論議に供するための第一歩である。今回の「調査」と「結論」は、残念ながらそれに全く値しない。今後、最上小国川流域環境保全協議会の「資料」とそれに基づく「結論」がそれに堪えうるものとなることを希望し、そのことを強く要請する。

というものだ。28日わかったことはこの意見書が8月1日に提出されたにもかかわらず、これまで全く何の対処して来なかったことである。要するに完全に無視、排除して、今般の入札に至っている。裁判審議でもこの意見書は参考資料として提出されている。しかしながら、未だにそれに対する反論はないのである。

このことは県や県知事が「流水型ダムは通常のダムとは違って環境への影響は軽微だ」といっていることに何ら根拠がないということ。逆に流水型ダムでも確実に川を死に追いやり、鮎やサクラマスにダメージを与えうるということだ。

 

 

 

 


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