知憲 憲法を改めて噛みしめるところから
本日、米沢 伊藤真 弁護士による憲法の講演会へ。 冒頭、主催の長岡弁護士から米沢、上杉藩の宇加地新八について、主催の長岡弁護士からご紹介がありました。最も早い憲法草案を25歳のときに明治政府に建白、その中には立憲君主制の採用、憲法の制定を唱え、主権在民思想の上に男女同権の選挙権を主張している先駆的な草案だったとのことであります。
本日の講演を聴き、改めて立憲主義、憲法価値、そして今の安保法案=戦争法案=完璧な憲法違反である。と改めて確信を持ちました。
そして最も本日響いたのは、憲法の番人とは誰か。ということです。 憲法の番人とは 最高裁? いいえ、結局は国民。私たちだということです。
国会で自民党高村氏ら政府自民党は「最高裁」が番人などと主張し、「憲法を超えた法律をつくってこそ責任がある政治」などとと強弁をふるっています。これはとんでもない間違いだということ。
今般の講演では、改めて憲法の理念と基本原理をとてもわかりやすくお伝えていただき、僕自身も噛みしめました。
憲法の目的とはどこにあるのか。国民主権 基本的な人権の尊重、平和主義。の三本柱と僕は実に漠然ととらえていました。
日本の憲法の土台、世界の近代国家の憲法の土台。それは何かというと立憲主義ということです。
個人の尊重を中核とする立憲主義の理念 として、「すべての人々が個人として尊重されるために、最高法規としての憲法が、国家権力を制限し、人権保障をはかるという立憲主義の理念を基盤としている。」ということ。
憲法の前文に次のようにあります。
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
まず、この憲法は、日本国民がつくりました。と宣言する中で、1)我が国全土に渡って自由をもたらす恵沢を確保し 2)政府の行為によって再び戦争の惨禍がおこることのないやうにすること 3)主権が国民に存する これは、「全国民に自由と人権をもたらすことと、二度と政府に戦争をさせない という2つの目的を国民が主権者が主体となって達成します。ということが宣言されている。
そして、強調されたのは、この3つは横並びではなくて、基本的な人権の尊重と、平和主義の2つが目的で、そして国民主権はその手段であるということです。
憲法12条には「この憲法が国民に保障する自由および権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」とあります。我々国民がこの2つの目的のために主権者である私たちが主体となっておこない、それを実現するという宣言が憲法に込められているということ。
立憲主義と憲法の必要性について
僕らは人間であるからこそ、間違いを犯す。多数意見が常に正しのか?というと、常に正しいとは限らない。ヒトラー率いるナチスドイツや戦前の日本がその実例。だから、多数意見にも歯止めが必要であり、多数意見でも、多数決で決める法律でも、「平和」「人権」など奪えない価値があるはずだ。ということ。
立憲主義とは権力の行使に憲法では歯止めをかけるという考え方であり。元々は国王の横暴に歯止めをかけるために生まれたが、民主主義社会においては多数派による「民意を反映した権力行使にも歯止め」をかけるという意味をもつ
更に、ここは絶対に押さえておきたいことですが。
憲法は法律とは違う。ということです。
●法律は、国民の自由を制限して、社会の秩序を維持するためのもの
●憲法は、国家権力を制限して、国民の人権、自由を保障するもの
憲法は法ではあるけれど、国民を縛るものではなく、権力者達を縛るものであるということ。
その縛られるべき権力者達が「憲法を越えてこそ政治」といっていたら如何におかしなことになるか。ということです。立憲民主主義国家、法治国家ではなくなるということです。
こうした際には、国の主権者である我々が権力者達に対して声を上げ、憲法を守らせないといけないのです。
伊藤先生は一貫して「日本国憲法の価値の実現」を掲げておられます。
「憲法に無関心な人がいても無関係な人はいない」今般の講演のタイトルでもありました。僕らはどれだけ「憲法」の本意を知っているのか。改憲、護憲以前に、まず憲法を知ることが今、実に重要と感じました。
今後、「知憲」の運動を広げていきたいと思います。