安倍晋三政権による議会制民主主義の破壊に対する抗議声明
2017年6月15日、安倍晋三政権及び自民、公明、維新の会の3党は、共謀罪法案を参議院において委員会採決を省略する中間報告によって、強行可決、成立させました。これは、議会制民主主義と法の支配を破壊する暴挙であり、市民連合は強く抗議します。
2017年の通常国会が始まって以来、安倍政権による国家の私物化と、法の支配から前近代的な人の支配への逆行が明らかとなっています。政治・行政における公私の区別が消滅し、国有地が森友学園にただ同然で譲渡されたり、獣医学部開設において加計学園に特別な便宜が図られたりしたことは、国家の私物化の現れというほかありません。また、政策決定にかかわる幹部公務員が、法に従うのではなく、権力者の意向を慮って行動し、公文書を廃棄して政府の腐敗を隠蔽するに至りました。政府内部における規律は失われ、安倍首相は専制君主のごとく、ほしいままに権力を行使しているのです。
国家の私物化は、市民社会に対しても牙をむいています。共謀罪は、何が犯罪になるかを明確に規定しておらず、近代刑法の基本原理である罪刑法定主義を破壊するものです。この法律は、行政に大きな裁量を与え、政府に反対する市民をほしいままに抑圧することを可能にしてしまいかねません。
さらに、安倍政権による国家の私物化は、議会制民主主義の軽侮という形でも表れています。共謀罪の問題点や森友学園、加計学園の疑惑に関して立憲4党の議員が真摯な追及を行ったにもかかわらず、政府は一貫して誠実な答弁を拒否してきました。安倍首相の立憲4党に対する不遜極まりない態度は、日本の議会政治に汚点を残すものです。安倍政権は、国会という公的空間における討議を徹底的に馬鹿にし、民主主義を冷笑するかのようにふるまっています。
共謀罪の参議院の採決の際に用いられた中間報告という手続きは、例外規定です。会期を延長すれば委員会審議を続けることが可能であったにもかかわらず、委員会採決を省略したことは、国会審議の意義を否定する行為です。例外規定を濫用し、緊急事態を日常化させることは、全体主義の常套手段であり、安倍政治はその入り口に立っているといわざるをえません。
権力分立も議会制民主主義も踏みにじる安倍政治を止めるのは、国民自身の意思表示だけであり、とりわけ次の国政選挙における民意の表出が重要です。我々市民連合は、立憲4党及び危機感を同じくする全国の市民とともに、安倍政権の退陣に向けてさらに戦い抜くことを宣言します。
2017年6月15日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合