最上小国川ダム問題が国会参議院へ。3/29,4/3,川田龍平参議院議員が質問!
3月29日の国会参議院 農林水産委員会、並びに4月3日の国会、参議院 農林水産委員会で、立憲民主党 川田龍平議員が「清流に殉じた漁協組合長」最上小国川ダム問題について農水大臣や、長谷水産庁長官に対して質問をおこないました。私草島は県政記者クラブでそれぞれの質問を受けて記者会見をおこないました。
なお、本日2018年度の国土交通省の補助ダム予算が決まりました。最上小国川ダムについては13億5千億円。
以下の映像は3月29日(木)に行われた川田議員の質問と書き起こしです。
○川田龍平君 (一昨日二十七日に、熊本県の球磨川で県営の荒瀬ダムの撤去工事が完了し、我が国初の歴史的な式典が開かれました。ダム湖に沈んでいた瀬やふちも姿を現し、ダムの直下にあった球磨川最大のアユの産卵場も再生されました。他方、山形県の清流最上小国川では、自県産のアユを親とした種苗生産を担っている漁協組合員有志や環境団体の長年の強い反対を押し切って新たな治水ダムの建設が強行されようとしています。
まず、水産庁長官にお尋ねしますが、長官は、この本、これは二月に出たばかりの本ですけれども、「清流に殉じた漁協組合長」というのをお読みになっておられますでしょうか。
○政府参考人(長谷成人君) そのような本が出たということは耳にしましたけれども、まだ読んでおりません。
○川田龍平君 これ、是非読んでいただきたいのですが、皆さんにも、この資料の三枚目を是非御覧ください。このダム計画に体を張って反対してきた山形県の内水面漁業、とりわけ自県産のアユを親とした種苗生産に最も貢献した沼沢勝善前漁業組合長を自死に追い込んだ山形県水産行政と、そして沼沢前組合長が清流に殉死されたことについて、長官の御所見を伺います。
○政府参考人(長谷成人君) 平成二十六年頃、小国川漁協の組合長をされていた沼沢組合長が亡くなられたこと、またそのことにつき様々に報道がなされていることについては承知しております。
魅力ある川づくりに尽力されていた沼沢組合長が亡くなられたことは誠に残念であります。改めて故人の御冥福をお祈りしたいというふうに思います。
○川田龍平君 本当に残念でなりません。
この小国川でもダムによらない治水が可能であって、その方が治水安全面でも環境面でも地域振興面でも得策であると元京都大学防災研所長である今本博健氏、大熊孝新潟大学名誉教授など多くの識者が主張しているところです。この問題はかねてより山形県議会でも取り上げております。
お手元の資料の二枚目、内水面漁業の権利及び契約関係についての法令の経緯というのを御覧ください。今回のダム建設については、まず、漁業権の放棄とそして漁業補償という法的問題があるわけですが、関連する一九七二年と一九七六年の水産庁漁政部長通達は現時点でも内水面漁業についても有効だと漁業法の第一人者である熊本一規明治学院大学教授は言っています。
関連する最高裁判決も、表にあるとおり、それぞれあるわけですが、内水面の漁業権は漁協ではなく一人一人の組合員にあるんではないかということについて、漁業の権利と契約関係に分けて整理し、法令の経緯と現時点での有効性について、水産庁長官から御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(長谷成人君) 委員から御紹介ありました七二年、七六年の漁政部長通知の関連で申し上げます。
一般論で申し上げることとなりますけれども、いわゆる漁業補償の一形態として個々の組合員に損害賠償請求権が発生する場合において、漁業協同組合が当該組合員に代わって当該損害賠償の請求並びに賠償金の受領及び配分の事務を行うには、当該組合員の委任が必要であると考えております。
一方、組合が有する漁業権の変更等に伴いまして、組合自らが補償交渉の当事者となるときにおいても、組合の運営が円滑に実施されるためには、漁業補償契約の締結及び補償金の配分に当たっては、漁業を営んでいる組合員が当該漁業権の変更等により影響を受ける場合には、組合は当該漁業権の変更等により影響を受けることになる組合員の同意を事前に取っておくことが望ましいと考えております。
○川田龍平君 つまり、水産庁としては、内水面漁業であっても増殖に取り組む組合員一人一人の合意を十分に得る必要があるということでよろしいですね。
○政府参考人(長谷成人君) 先ほども答弁させていただきましたけれども、増殖に取り組む組合員というよりは、漁業を営んでいる組合員がその行為によって影響を受ける場合には、営んでいる組合員が影響を受ける場合にはという前提でお話しさせていただきました。
○川田龍平君 時間が参りましたので、続きはまた次回やらせていただきます。
ありがとうございました。
この案件について、3月29日当日午後1時半から県政記者室で記者会見をおこないました。
以下は、4月3日の質問と書き起こしです。
4月3日参議院 農林水産委員会
最上小国川ダム問題 2日目
川田龍平君 是非、中小零細企業に配慮して進めていただきたいと思います。
次に、先日、質疑の途中で終わってしまいました山形県最上小国川の天然アユと穴空きダムの件について伺います。
まずは前回の答弁の再確認をさせてください。二〇〇一年の漁業法改正にもかかわらず、漁業補償においては内水面であっても海面であっても同様に組合員の同意を得ることが望ましいということでよろしいですね。
○政府参考人(長谷成人君) 漁業補償については関係者間の契約であり、一般論で申し上げることになりますけれども、関係漁業者の同意の範囲に関しましては、内水面についても海面と考え方は同様であると考えております。
すなわち、いわゆる漁業補償の一形態として個々の組合員に損害賠償請求権が発生する場合において、漁業協同組合がその当該組合員に代わって当該損害賠償の請求並びに賠償金の受領及び配分の事務を行うには当該組合員の委任が必要であるということ。一方、組合が有する漁業権の変更等に伴いまして組合自らが補償交渉の当事者となるときにおいても、漁業を営んでいる組合員が当該漁業権の変更等により影響を受ける場合には、組合の運営が円滑に実施されるためには、漁業補償契約の締結及び補償金の配分に当たっては、組合は当該漁業権の変更等により影響を受けることになる組合員の同意を事前に取っておくことが望ましいというふうに考えているところでございます。
○川田龍平君 この山形県は、最上小国川の漁業権の付与を盾にして、公益性の担保を求めて、公益とは何かを明言せずに、それまで漁協でダム反対を決議して八年間協議に参加してこなかった沼沢前組合長に対してダム協議に参加することを強要する実態があったと聞いています。それは二〇一三年の十二月十八日の山形新聞の一面でも報道されており、このような県の強権的な姿勢が沼沢前組合長を自殺に追い込んだと言えるのではないでしょうか。
このように、漁業権の付与を盾にして、公益とは何かを明言しないまま、貴重なアユ資源を失いかねないダムを漁協に強要した行政の姿勢に対して、水産庁はどのような見解をお持ちでしょうか。
○政府参考人(長谷成人君) 漁業法の十一条になりますけれども、漁業上の総合利用を図り、漁業生産力を維持発展させるためには漁業権の内容たる漁業の免許をする必要があり、かつ、当該漁業の免許をしても漁業調整その他公益に支障を及ぼさないと認めるときに、漁場計画を策定し、漁業権を付与するという規定になっております。
一般論として申し上げることになりますけれども、この場合の公益とは、免許する必要のある漁業権を排斥し得るものとして限定的に解するべきものでありまして、その範囲として、例示でありますけれども、船舶の航行、停泊、係留、水底電線の敷設に加えまして、土地収用に関する特別法などによりまして土地を収用、使用できる事業、港湾施設とか漁港施設等の用に供する場合などが該当するということで、水産庁として、各県に対して、技術的な助言ということになりますけれども、しているところでございます。
○川田龍平君 この近畿大学農学部の有路昌彦教授は、最上小国川でのアユ釣り客による経済効果は年二十二億円に達すると試算しています。最上小国川における全国に先駆けた全県産のアユを親とした種苗生産をどのように評価していますでしょうか。
○政府参考人(長谷成人君) 水産庁といたしましては、可能な限り遺伝的多様性を維持した資源の増殖を推進することが重要であると考えております。これまでも在来種の繁殖保護に留意するよう都道府県に対して助言をしてきたところであります。
山形県の最上小国川では、自県産のアユを親として生産された種苗の放流が行われていると承知しております。こうした取組は在来種の繁殖保護に留意したものと評価しておりまして、放流に当たっては今後とも自県産のアユを親とした種苗により行われることを期待しているところでございます。
○川田龍平君 ありがとうございます。
農水省がこの亡き組合長がつくり上げた最上小国川の自県産のアユを親とした種苗生産を多様性の観点からも高く評価されていることがよく分かりました。
ダム建設を進める県は、流水型ダム、いわゆる穴空きダムは環境に与える影響は著しく小さいと言っていますが、まだ全国でも例が少なく、この全国的にも貴重な清流を実験台に使うことは問題ではないでしょうか。穴空きダムによる最上小国川における漁業権魚種、とりわけアユの漁獲への悪影響について水産庁の見解を求めます。
○政府参考人(長谷成人君) 最上小国川ダム建設に当たりまして、山形県がダム建設予定地周辺及び最上小国川の環境保全を図るために、魚類や環境等の学識経験者及び地元代表をメンバーとする最上小国川流域環境保全協議会というものを設置しておりまして、県によれば、流域の環境保全に関する協議会での慎重な審議の結果、アユへの影響はほとんどないとの報告をいただきましたと聞いております。
県によりますと、漁協のアユの漁獲量は、ダム本体工事着工前の平成二十六年度二十七・四トンであったんですけれども、着工後の二十七年度には二十三・九トンと、着工前の平成二十六年度より若干減少したものの、二十八年度には二十九・四トンと、二十六年度より増加しておりまして、二十九年度も上回る見込みというふうに私どもは聞いております。
水産庁としては、引き続き、小国川のアユへの影響については注視してまいりたいと考えております。
○川田龍平君 この最上小国川流域環境保全協議会での環境影響調査の報告に対して、現地踏査をされたアユ生態学の権威、川那部浩哉京都大学名誉教授ら四名の生態学者らが、アユそのものの生態学見地からの調査が全く行われておらず、論外であるという申入れを二〇一四年の八月に行っています。例えば、ダムによるピークカットのために河床の攪拌頻度、強度が低下することで起こり得るアユ及びアユ漁への影響に関しては全く検討されていないとのことですが、水産庁の見解を求めます。
○政府参考人(長谷成人君) 流域環境保全協議会による調査ではふちやトロでの調査が抜けているのではないかとの指摘があることについては承知しておりますけれども、県によりますと、アユの主な餌場は、川の中で速い流れのある瀬と言われる部分であって、トロですとかふちと呼ばれる水の流れの緩やかな箇所は、川の底に砂が堆積しているとか、れきと呼ばれる小石が存在する場合であっても、そのれきの直径が小さくて餌場には適していないものであるのは一般的に知られていると判断して平瀬と早瀬を調査している、トロやふちの調査は実施していないというふうに聞いているところでございます。
○川田龍平君 国交省が造った青森県岩木川の津軽ダムでは、きちんとアユの専門家も委員に加え、アユそのものの生態学見地からの調査が行われたと聞いていますが、最上小国川における調査と比べ、津軽ダムではどのような体制でどのような調査を行ったのでしょうか、国交省、お願いします。
○政府参考人(清瀬和彦君) お答えいたします。
最上小国川ダムの建設に当たりましては、先ほどお話がありましたように、実施主体である山形県が平成二十一年に最上小国川流域環境保全協議会を設置しまして、流域における植物、魚類等の自然環境の調査及び保全対策について審議をし、アユの餌となる藻類の付着等に対してダムの影響はほとんどないというふうな趣旨の中間取りまとめを行ったというふうに聞いてございます。
最上小国川流域環境保全協議会における検討に対しまして、市民団体等から洪水調節における藻類への影響などを懸念する御意見をいただいておりますけれども、山形県におきまして調査を継続して行っており、必要に応じ協議会に調査結果を諮っていくものというふうに聞いてございます。
今ほど先生から津軽ダムのお話がございましたけれども、津軽ダムにつきましては、平成二十八年度に建設を完了いたしました青森県岩木川の洪水調節及び利水を目的とした直轄ダムでございます。最上小国川ダムと津軽川ダムでは、ダムの規模、またダムの形式も異なるために必ずしも同一の調査内容ではございませんけれども、津軽ダムの建設に当たりましては、必要な環境調査を行った上で学識経験者等の意見も聴きながら事業を進めてまいりました。
ダム建設に当たりましては、一般に各ダムの特性に応じまして必要な調査を行うとともに、学識経験者等の意見も聴きながら事業を進めておるところでございます。
国土交通省といたしましては、最上小国川ダムにつきましても、事業主体である山形県に対しまして、引き続き必要な調査を行いながら適切に事業を進めるよう指導してまいりたいと思っております。
○川田龍平君 公有水面埋立法では、国土交通大臣が認可を行う際に環境大臣の意見を求めることとなっています。同様に、水産資源を取り巻く近年の厳しい諸情勢を鑑みれば、私はもっと水産庁が開発行為に意見することがきちんと法制化されてもよいのではないかと感じます。
実験台に使われてしまう小国川の清流や天然アユの貴重な資源が今後どのように変化していくのか、水産庁にもしっかり監視していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○政府参考人(長谷成人君) 先ほど申し上げましたように、小国川のアユの動向については注視していきたいというふうに思っております。
また、一方、平成二十六年に内水面漁業振興法というものができております。その中で、国及び地方公共団体が実施するその水産資源の回復と漁場環境の再生等を行うことになっておりまして、水産庁としては、内水面漁業者等が行う取組に対して支援を行っているところでございます。また、同法におきまして、都道府県内水面漁協、そして河川管理者等が内水面における漁場環境の再生等に関して必要な措置について協議を行うための協議会制度というものが設けられております。
今後とも、これらの取組を通じまして、内水面水産資源の回復ですとか漁場環境の再生が図られるよう、関係省庁や都道府県と連携してしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○川田龍平君 前回もお話ししましたように、熊本県の荒瀬ダムの例もあります。やはりこのダムを撤去して自然を回復させるということもこれ公共事業だと思いますけれども、是非しっかりやっていただきたいと思います。
農水省は和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたとアピールをしていますし、また、アユについては長良川のアユが世界農業遺産として認定も受けています。ダムによる治水は、これはもう時代遅れだと私は思います。今だけ、金だけ、自分だけの開発で貴重な水産資源、多様な生態系がこれ以上失われることはあってはならないと思っています。
この最上小国川ダムは、着工されたとはいえ、ダム撤回に向けた今も反対運動は根強くありますので、貴重な水産資源、そして日本の食文化を守るためにも、農水省にも是非他人任せにせず頑張っていただきたいとエールを送ります。
最後に大臣、この件について大臣からも、こういった農林水産省として是非この水産資源の確保、日本の食文化を守るために一言いただきたいと思います。
○国務大臣(齋藤健君) 日本食文化やそういう貴重な日本の水産資源を守るということは当然のことだと思っております。ダムの建設においてどういうことができるかというのは個々のケースにもよるんだろうと思いますけど、基本的考え方はそういうことで対応していきたいと思っております。
○川田龍平君 是非、もっと農林水産省、水産庁として、これ今まで、特に一九九九年の地方分権、地方自治といったところで、かなり水産庁のそういった管轄が地方に移管したことによって、この漁業資源が様々もう今問題になっているような状況になっているんではないかと私は思っておりますので、是非、国としての公益の管理という、公益を守るということをやっぱり是非水産庁として取り組めるように、これから私も議員立法など、議員としてしっかり取り組んでいきたいと思っております。
次に、これも前回の続きですが、水産加工業における人手不足解消のために、定年後のUターン、Iターン人材を繁忙期に一時的に受け入れる方策について、これ農水省でも使えるメニューが余りないということでしたが、各関係各省に使えるメニュー、どのようなものがあるか、国土交通省、それから総務省に伺いたいと思います。
4月3日の質疑を受けて当日午後3時から県政記者クラブでおこなった記者会見です。