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2020年9月議会 1)山形県鶴岡市風力発電事業について 2)荘内病院の経営について


◆6番(草島進一議員)

 1番目、(仮称)山形県鶴岡市風力発電事業について伺います。

 出羽三山の周辺に前田建設工業によるローター直径120メーター、最大40基建設予定の風力発電開発について、現在の計画段階環境配慮書についての縦覧が行われています。

 この計画では、月山の中腹、出羽三山神社の近くに風車がずらりと並ぶ景観になる可能性があります。建設予定地は、出羽三山地域の神域であります。日本遺産に登録された羽黒山伏の修験道の聖地であり、訪れる方々の心のよりどころであり、そのかけがえのない祈りの風景が破壊されかねないこと。自然生態系が厳しく管理されてきた磐梯朝日国立公園の隣接地であること。予定地南端の黒森山などの建設予定地は、標高500メートル以上にあり、工事搬出用道路を新たに造り、林道を拡幅するためには、一度失うと再生できない貴重なブナ林などの伐採が避けられないこと。事業地域は近年豪雨水害が頻発している藤島川、今野川、京田川の上流部であり、上流部の開発行為が中・下流域へ波及する。土地の改変により、川への水の流入量が変化する可能性があること。また、地域によるオーナーシップ、地域による意思決定、地域への利益還元を規定したコミュニティパワーの3原則というのがありますが、この事業がコミュニティパワー原則から見れば、それに完全に反する植民地型開発行為であること。以上などの点から、私はこの事業に断固反対し、風車を一本たりとも建設を許さない、絶対に阻止しなければならないと考えるものです。

 そこで質問します。

 市長は、重大な懸念、取り下げてほしいなど撤回を表明されておりますが、改めて市の姿勢、問題認識を伺います。

 また、月山山麓では、南部黒森山の周辺で他業者であるユーラスエナジーホールディングスが風車の風況調査を行っています。今のままでは、風力発電銀座になりかねないと考えます。

 月山、出羽三山の地域は、全体で禁止区域を設定するなど、ガイドラインや景観条例などで規制することはできないか伺います。以上です。

 

 

◎市民部長(五十嵐浩一) それでは、風力発電開発について、2点ほど質問をいただいたと思っております。

 今議会でも答弁をした内容もございますので重複するかもしれませんけれども、順次お答えをさせていただきます。

 このたび、前田建設工業株式会社が計画しております(仮称)山形県鶴岡市風力発電事業につきましては、これまで8月21日の定例記者会見、また、26番本間議員の一般質問に対する答弁でも市長が考え方を述べておりますが、市といたしましては、このたびの事業計画は日本遺産に認定された出羽三山に近接しており、山岳信仰の聖地であるとともに、市の観光振興にとっても重要な場所における計画となっておりますことから、事業の推進には重大な懸念を持っているところでございます。

 また、この事業計画につきましては、現在反対の署名活動が行われるなど、市民の間に混乱が起きていること、また、地元との合意形成などに問題があると思われることから、この段階で事業者からの事業の取下げを望むものではありますが、まずは書面では本日まで、またホームページでは9月14日まで配慮書を縦覧されておりますので、これに対して県より9月28日まで意見書を提出するように求められておりますので、今月17日には景観審議会、18日には環境審議会、文化財保護審議会を開催する予定でおりますので、専門家の方々からも御意見を伺いながら、市の意見書を提出してまいりたいと考えております。

 続いて、出羽三山に関わる地域、景観条例などによる規制についてということでお答えをさせていただきます。

 景観法及び本市景観条例では、その対象を全市域とし、一定以上の建築物及び工作物の新築等の際には、事前の届出が義務づけられており、このたびの事業での風車建設についても届出の対象となるものです。

 他自治体の環境分野における規制の例といたしましては、秋田県にかほ市や岩手県盛岡市などでは、景観計画において風力発電設備等の立地を制限する区域を定め、景観条例に基づく届出に対する審査、指導等を行うことで、良好な景観を維持することとしている事例もございます。

 また、環境省では、風力発電事業は、地球温暖化対策を推進する上で重要な事業と位置づける一方、騒音、バードストライク等の環境への影響や住民等の反対が顕在化するとして、平成28年度から地方公共団体の協力を得て、風力発電に係るゾーニング導入可能性検討モデル事業を実施し、平成31年3月にはモデル事業の成果を踏まえ、風力発電に係る地方公共団体によるゾーニングマニュアルを取りまとめております。

 このマニュアルでは、環境保全と風力発電の導入促進を両立するため、関係者間で協議しながら環境保全、事業性、社会的調整に係る情報の重ね合わせを行い、総合的に評価をした上で区域を設定し、活用することとされております。

 市といたしましては、先日の5番加藤議員の一般質問への答弁のとおり、良好な景観を保存するため、ゾーニングを含めたガイドラインの改定を検討してまいりたいと考えております。

 また、この区域設定に当たりましては、環境省のマニュアルですとか、他都市の先進事例を研究するとともに、専門家の方々の意見もお聞きしながら検討を進めてまいりたいと考えております。以上です。

 

 

◆6番(草島進一議員) これに関しては、現在、意見書の提出や署名活動が行われております。

 この開発を止めるにはどうしたらいいか。まずは市としても市民も、この業者の環境影響評価報告書の作成の前に徹底的、また効果的な意思表明をすることだと思います。

 今、ゾーニングのこともありましたけれども、ぜひこれは効果的に、止めることに作用するように検討していただいて、意思表明などを行っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

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 次に、荘内病院の経営についてお伺いします。

 令和元年度決算書から分かることは、約17億5,200万円が一般会計から繰り出しが行われていること、また収支差引きが2億6,071万円の純損失となり、前年度に比べ2億307万7,000円の損失増加となったということ。累積欠損金は128億9,679万2,000円となったと、前年に比べて増加しているということでありました。赤字体質となっているのではないか。この状況についてお伺いします。また、今後の見通しはどうなっているのか教えていただきたいと思います。

 また、元年度稼働病床利用率が76.9%となっていました。100床以上空いているということであります。その要因は何か、今後の見通しはどうかお伺いします。

 

 

◎荘内病院事務部長(佐藤光治) 荘内病院の経営についての御質問に順次お答えいたします。

 初めに、議員御案内の累積欠損金について申し上げますと、これは過去の単年度損益が積み上がった結果であり、資金の収支とは異なるとともに、借入金の累積を表すものではないものでございます。

 赤字体質となっていないかという御質問ですが、単年度の損益計算には、長期前受金戻入や減価償却費など現金を伴わない収入、費用が含まれております。そのため、議員御案内のとおり令和元年度決算では、万円単位で申し上げますと、2億6,071万円の純損失のうち荘内病院の純損失は2億4,866万円でありますが、現金を伴うものだけで計算する実質的収支は約3,800万円の黒字となっており、資金不足によって赤字経営に陥っているというものではございません。

 次に、実質的収支の状況についてでありますが、近年の状況を申し上げますと、平成25年度から平成29年度までの5年間は赤字の決算となっており、資金が減るという状況でありましたが、平成30年度は約7,200万円、令和元年度は約3,800万円の黒字となっており、改善傾向にあります。

 実質的収支の赤字が直接的な病院経営における資金不足に影響するため、まずは実質的収支の黒字化を目指し、資金確保に努めてまいりたいと存じます。

 なお、近年続けての消費税率引上げに伴い、医業外費用のうち控除対象外消費税の負担が増えており、実質的収支の結果に影響していると捉えております。

 次に、今後の経営見通しでありますが、令和2年度の現状については、11番議員の総括質問、25番議員の一般質問の答弁で申し上げたとおり、新型コロナ感染症の影響もあり、4月、5月の収益は大きく減収しました。6月以降、入院の診療単価が上がったこと、また病床稼働率や患者数がやや回復してきているものの、第2波も懸念されるため、収支を大きく改善させることは大変厳しいものとなっております。まずは、院内の感染対策を強化して、一般患者診療の維持に努め、併せて診療報酬の加算の取得や経費の見直しに取り組むとともに、国からのコロナ感染症専用病床に対する空床補償料なども申請し、財源の確保に努めてまいります。

 次に、令和元年度の病床稼働率が低下した要因についてでありますが、令和元年度の11月から3月までの入院患者数を見てみますと、対前年度同期に比べ1万575人減少し、年度全体の減少の約9割に相当します。これは、インフルエンザ等の季節性感染症の患者が少なかったことや、国内で新型コロナ感染症が発生したことが受診行動に影響を与え、結果として病床稼働率の低下につながったものと捉えております。

 今後の見通しについて申し上げますと、コロナ禍の影響を強く受けた今年4月から7月までの入院延べ患者数は3万9,898人で、前年度同期に比べ8,962人、約18.3%の減少となっており、これは不急の手術・検査を延期したり、患者自身が受診を控えたことによるものと考えております。

 このような影響は今後も続くと予想されますが、手術前等の患者のスクリーニング検査を行うなど、感染防止対策を強化し、一般診療を維持できるよう努めてまいりたいと考えております。

 

 

◆6番(草島進一議員) ありがとうございました。

 再質問ですが、経営面の今後の見通しについて、病院建設の償還ですとか、医業収益の見通しですとか、繰出金の見通しですとか、令和2年までの中期経営計画ではどうなっているのか。また、その後の計画策定、見通しはどうかお伺いしたいと思います。

 

 

◎荘内病院事務部長(佐藤光治) 再質問いただきました令和2年度を最終年度とする中期経営計画の状況と今後の見通しについてお答えいたします。

 今年度の元利償還額は総額で約13億4,300万円、このうち新病院建設に係る償還額は約10億500万円となっております。この新病院建設に伴う償還額は、令和12年度より順次減少し、令和15年度が最終の返済となっております。

 医業収益の見通しについてでありますが、先ほど申し上げたとおり、今年度はコロナ禍の影響により、中期経営計画で目標にしていた黒字化は大変厳しいものと捉えておりますが、今年度以降、現金を伴わない支出である減価償却費はかなり減少し、収支の改善に作用していくと見込まれます。まずは、先ほど申し上げたような対策に全力で取り組んでまいります。

 一般会計の繰出金については、20番議員の総括質問への答弁のとおり、総務省の基準により整理され、市と病院事業会計の状況により金額が決められております。なお、その金額は借入金の償還に対する部分が大きく影響するものであり、看護学校への繰出金を除く荘内病院への繰出金は、令和2年度は約16億7,800万円となっておりますが、繰出金の約六、七割は後年度に交付税措置されるものであります。

 コロナ禍による今年度の収支状況を踏まえ、今後とも病院経営の継続に必要な繰入れについて、市と協議が必要になるものと考えております。

 令和3年度以降の中期経営計画については、引き続き収入の確保、投資の規模、償還の平準化などを加味した新たな計画を策定し、経営基盤の安定化を目指してまいりたいと存じます。以上でございます。

 

 

◆6番(草島進一議員) 令和2年度以降の中期計画についても今お話しされていましたけれども、地域医療構想で掲げている2025年、大幅な人口減少、また患者数の減少、庄内二次医療圏の病床数が600床過剰となることが見込まれているわけですけれども、そうしたことを踏まえた見通しというのはどういうふうになっているのでしょうか。

 

 

◎荘内病院事務部長(佐藤光治) 今、議員がおっしゃられました地域医療構想における病床数の余剰につきましては、次に計画する経営計画につきまして、今般のコロナ禍における専用病床の確保ですとか状況を見ますと、今すぐ余剰を減らすという状況については、慎重を期す必要があると思います。

 一方で、人口の減少ということは続いていくと思われますので、当地域の人口、そして急性期、回復期、慢性期、そうした病院の役割ごとに必要な病床というものをよく見極めて、慎重に対応、検討を行ってまいりたいと考えております。

 

 

◆6番(草島進一議員) ありがとうございます。

 この地域医療構想を考えると、これまでの延長線上で考えることだけではなくて、鶴岡と酒田の連携だとか、あとは統合だとか病院再編なども視野に入れて踏まえていかなければいけないんじゃないかと思いますけれども、その辺についてはいかがでしょうか。

 

 

◎病院事業管理者(三科武) なかなか難しい問題だと思っておりますけど、地域医療構想で示された病床数が果たして本当にちょうどいい病床かどうか。鶴岡地区におきましては、当院が新たに病院を建設したときに、我々のところは30床ぐらい減らしているんですね。今回、この地域医療構想が明らかになって、昨年あたりまでにこの地域としての入院病床はかなり減りました。それは、うち以外の病院ではあるんですけど、減っているわけです。全体として鶴岡地区の病床数は減少しております。

 今回のコロナのときに、我々のところに専用病床を確保しました。じゃあ、そこを空けるために患者移動が必要になりますと。どこへ行くかといったときに、かなり転院先が限られるというか、少なくなって大変であるというふうに思います。

 地域医療構想で適切な病床数を今後2025年までに決めなければいけない、あるいはそれを達成する必要があると言われますけど、果たして今回の災難を考えますと、本当にそれがちょうどいいのかどうかというのは、ちょっと疑問に思うところがあります。

 あと、この地域における病院の機能、確かに人口は減りますけど、お年寄りが増えてくるのは確かです。失礼ながら団塊の世代が今後どんどん増えていくんです。お年寄りが増えていって、患者数、有病率が増えますので、疾病構造が変化するとは思いますけど、ということで、病院の機能をある程度変化する必要はありますけど、全体としての病床数をどうするのかというのは、もう少し考えていかなければならないなと私は思っているところです。

 それに備えて病院の機能をどう変化するかについては、詳細に考えていきたいなというふうに考えております。以上です。

 

 

◆6番(草島進一議員) ありがとうございます。

 コロナ禍の中で経営は大変だと思いますけれども、今後ともしっかりとやっていただきたいと思います。

 終わります。