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2021年6月議会 ゼロカーボンシティとしての地球温暖化対策について


◆6番(草島進一議員) 質問いたします。

 ゼロカーボンシティとしての地球温暖化防止対策について質問いたします。

 市は、ゼロカーボンシティ宣言を4月17日に行いました。市は、同時にごみ焼却発電の3分の2をやまがた新電力を通じて市立小・中学校30校、市有施設6施設に供給すること、また3分の1環境価値を証書化して環境対策に取り組む企業に提供するなどの取組を行っていくことを表明されました。この施策については大変評価をするものであります。

 この間、米政府が主催する気候変動に関する首脳会議が4月22日に行われ、この会議に先立ち、主要国は2030年に向けた温暖化ガスの排出削減目標を相次いで打ち出し、日本はこれまで26%削減としていたものを、2013年度比で46%削減、さらに50%の高みに向け挑戦を続けることを表明いたしました。

 そして、5月26日には2050年までのカーボンニュートラルの実現を法律に明記することで脱炭素に向けた取組、投資やイノベーションを加速させるとともに、地域の再生可能エネルギーを活用した脱炭素化の取組や企業の脱炭素経営の促進を図る地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案が国会で成立いたしました。

 2050年にゼロカーボンを実現するには、まず2030年までの行動が問われております。2050年までのゼロカーボンシティを宣言した市として、それの実質的な実現を果たすためにやらなければならないのは、政府が掲げた2030年46%削減に応えていくことだと考えます。

 今後、政府はこの46%削減を実現するエネルギー基本計画を策定していくことと思います。また、現在国・地方脱炭素実現会議が行われていますが、この6月9日に地域脱炭素ロードマップが示されました。これらを踏まえて、市の地球温暖化対策実行計画の2030年の目標値も変えて取り組まなければならないのではないかと考えます。

 長野県は、6月8日、地球温暖化対策と環境エネルギー政策を推進するための計画、長野県ゼロカーボン戦略、2050ゼロカーボン実現を目指した2030年度までのアクションを発表しました。2010年度比で温室効果ガス正味排出量を2030年度までに6割削減を目指すほか、再生可能エネルギー生産量を2030年度までに2倍増にするなどのアクションを掲げております。

 そこで質問をいたしますが、今後市の2030年までの実行計画をどうしていくのか、また対策をどうしていくのか考えを伺います。

 また、2050年に脱炭素を実現するためには、再エネ普及と省エネ対策に、より強力に力を注いでいかなければならないと考えます。再エネの普及方策としては、どのように考えているのか伺います。

 また、省エネ分野では住宅、公共建築物の省エネルギーの取組が重要と考えます。住宅の省エネでありますが、断熱性能や気密性能をいかに高めるかが重要であります。国では住宅の高断熱化と高効率設備によりできる限りの省エネルギーに努め、太陽光発電などによりエネルギーをつくることで1年間で消費する住宅のエネルギー量が正味でおおむねゼロ以下となる住宅、省エネと創エネを組み合わせたネット・ゼロ・エネルギー住宅を進めています。

 また、山形県では、国の省エネ基準よりも高い断熱性能を備えたやまがた健康住宅の普及を2018年から行っています。ヒートショックを避けるために、最も寒い時期の就寝前に暖房を切って翌朝暖房を稼働させない状況でも、室温が10度を下回らない断熱性能と気密性能を有する住宅であります。鶴岡市でのこのZEHややまがた健康住宅の普及状況はどのような状況かお伺いします。

 また、このやまがた健康住宅についてですが、山形市や飯豊町ではこのやまがた健康住宅の普及のために、30万円などの上乗せ助成を行っています。普及を促すために鶴岡市でも取り組んではどうかお伺いします。

 次に、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング、ZEBについて伺います。

 今建設すれば2050年まであり続ける今後の公共施設の取組が重要であります。公共施設の省エネの取組や、ゼロ・エネルギー・ビルディング、ZEBの認識はどうか、今後公共建築物として建てる建物は全てZEBにするぐらいの指針を持ってはいかがかと思うのですが、お伺いしたいと思います。

   

◎市民部長(五十嵐浩一) ゼロカーボンシティとしての地球温暖化防止対策について、初めに鶴岡市地球温暖化対策実行計画についてお答えをいたします。

 議員御紹介のとおり、本市は今年4月17日土曜日に公益社団法人鶴岡青年会議所と共に、かけがえのないふるさとを次の世代につないでいくため、豊富な地域資源の最大限の活用と市民や事業者など多様な主体との連携により、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロとするゼロカーボンシティに挑戦することを宣言いたしました。

 市の取組といたしましては、議員の御発言にもございましたように、今年4月に稼働したごみ焼却施設での廃熱を利用して発電を行い、自家消費以外の余剰電力を売電し、その電力を市内小・中学校などの市有施設に供給する電力の地産地消事業に取り組んでおります。

 また、自家消費分に含まれる再生可能エネルギーの環境価値を電気そのものと切り離して、グリーン電力証書という形で必要とする企業に提供するという新しい取組を始めております。

 このグリーン電力証書につきましては、購入者が再生可能エネルギーによって発電されたグリーン電力を使用しているとみなすことができる仕組みとなっておりまして、再生可能エネルギーの発電設備を持たなくてもグリーン電力相当量の再生可能エネルギーの普及に貢献できる仕組みとなっております。

 さて、本市では平成30年に第3次鶴岡市地球温暖化対策実行計画を策定し、温暖化防止のための目標を定めており、温室効果ガスの排出量につきましては、基準年度の2013年度と比べて市全体を対象とした区域施策編では2030年までに26%減、2050年までに80%の削減、また市の事務事業を対象とした事務事業編では2030年までに40%の削減を目標としております。

 この削減目標につきましては、2016年に国が策定した地球温暖化対策計画に基づく目標でありますが、本年4月22日に開催された第45回地球温暖化対策推進本部において、菅総理が2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すと表明しており、本市の計画についてもこの方針に沿った形で見直す必要があると考えております。

 計画見直し手順といたしましては、現在策定中の第2次鶴岡市環境基本計画において、ゼロカーボンシティに向けた取組を重点施策と位置づけ、第3次鶴岡市地球温暖化対策実行計画でその具体的取組内容や削減目標を示せるよう進めてまいりたいと考えております。

 計画の見直しに当たって、今年5月に成立した改正地球温暖化対策推進法では、地域の脱炭素の促進が盛り込まれたところであり、その内容は、市町村の地球温暖化対策実行計画において、その区域の自然的、社会的条件に応じて再生可能エネルギー利用促進等の施策や実施目標、地域脱炭素化促進事業の促進区域等を定めることが努力義務とされております。

 また、今年6月9日に開催された国・地方脱炭素実現会議で公表されました地域脱炭素ロードマップでは、2030年度までに民生部門(家庭部門及び業務その他の部門)の電力消費に伴う二酸化炭素排出量を実質ゼロにする脱炭素先行地域づくりなどを行うことが示されており、このことについても今後の計画の見直しの中で検討してまいります。

 こうした状況を踏まえ、また鶴岡市の地域特性に配慮し、具体的に必要な対策や削減目標など、第3次鶴岡市地球温暖化対策実行計画については国・県の動向を見極めながら見直しを進めてまいります。

 次に、再生可能エネルギーの普及についてお答えをいたします。

 2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロとするゼロカーボンシティを目指すためには、排出削減対策として再生可能エネルギーの普及を推進していかなければなりません。

 本市では、平成25年5月に鶴岡市地域エネルギービジョンを策定し、本市が誇る自然や歴史、文化に立脚し、地域に根差した再生可能エネルギーの導入に取り組んでまいりました。これまで再生可能エネルギー設備を導入する方を対象とした国のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業や、山形県再生可能エネルギー設備等導入事業費補助金なども併せて活用できる再生可能エネルギー設備普及促進事業補助金を設けております。平成25年度以来、374件の利用がありまして、地域のエネルギー供給力を高めるほか、地域経済の活性化に効果が期待されているところでございます。

 また、国の補助事業を活用して、小・中学校の体育館など、災害時の拠点避難施設となる市有施設への太陽光発電設備や蓄電池などの導入を進めているところでありまして、これまで鶴岡第四中学校等19の施設に再生可能エネルギーの発電設備を設置しております。今年度も朝暘武道館、そして羽黒体育館の2か所に設置を予定しております。

 今後、ゼロカーボンシティを実現するためには、このような取組を検証した上で、さらに再生可能エネルギーの導入促進を図り、二酸化炭素等温室効果ガスの排出抑制に取り組む必要があります。

 2018年に公表された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書」においては、二酸化炭素排出量を2050年頃に実質ゼロにするためには、社会のあらゆる側面において前例のない移行が必要であると示されております。また、このたびの改正地球温暖化対策推進法の趣旨や、現在国において策定が進められております地域脱炭素ロードマップ、この内容を十分に取り込み、国・県とも連携し、新たな手法も検討しながら再生可能エネルギーの普及に取り組んでまいります。

 なお、住宅の省エネにつきましては、建設部より答弁をさせていただきます。

   

◎建設部長(村上良一) 鶴岡市におけるネット・ゼロ・エネルギー・ハウスとやまがた健康住宅の補助制度と普及状況についてお答えいたします。

 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスは、高い断熱性能と太陽光発電等による創エネを組み合わせた住宅ですが、国では中小工務店が新築する場合に地域型住宅グリーン化事業の補助メニューとして上限140万円を補助する制度を用意しております。

 市内における普及状況は、令和2年度に新築された一戸建て住宅総戸数が382戸のうち、約10%がこのネット・ゼロ・エネルギー・ハウス仕様の住宅となっております。

 次に、県が認証制度を行っているやまがた健康住宅についてです。

 県の支援制度では、10年間で最大約70万円の利子補給を実施しており、本市における認証戸数は平成30年度から令和2年度まで累計28戸となっております。山形県では、やまがた健康住宅に対する支援に関して、議員御紹介のとおり山形市は今年度から、また飯豊町は令和元年度からそれぞれ30万円上乗せの補助を実施しており、昨年度の飯豊町の補助実績は3件というふうに伺っております。

 次に、本市の支援制度について申し上げます。

 本市では、山形県との協調補助による鶴岡市住宅リフォーム補助事業を実施しており、平成23年度から令和2年度までの10年間の累計で約4,000件の実績がございます。リフォーム内容としましては、窓や外壁の断熱化、省エネ機器への交換などの工事が全体の約52%、2,083件と最も多く実施されており、これにより、既存住宅の省エネルギー化において一定の効果があったものと考えております。

 今後、本市の取組としましては、鶴岡市住宅リフォーム補助事業による既存住宅の省エネルギー化を推進するとともに、新築住宅に対する山形市、飯豊町の取組による効果の検証、県内の他市町村の動向も注視しながら新築住宅に対する支援の在り方を検討してまいりたいと考えております。

 次に、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの取組についてお答えいたします。

 ネット・ゼロ・エネルギー・ビルは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスと同様に建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物ですけれども、平成30年7月に閣議決定されたエネルギー基本計画では、地球温暖化対策やエネルギー供給の安定化のためにもネット・ゼロ・エネルギー・ビルの普及を進め、2030年度までに新築建物の平均でエネルギー収支をゼロにすることを目指していると伺っております。

 本市の公共施設の省エネの取組状況は昨年建設された学校、コミュニティセンターなど、新築工事の場合、設計の段階からイニシャルコスト、ランニングコストを比較検討し、建物の用途を考慮した上で、省エネルギー化を実施しております。

 具体的な内容としては、自然換気と自然光を多く取り入れる断面計画、室内外の間で熱損失が大きい屋根と外壁を高断熱化するとともに、断熱サッシやLow-Eガラスの採用による開口部の高断熱・高気密化を行っています。

 建築設備においては、LED等、高効率の省エネ機器を積極的に採用することで、省エネルギー化を図っております。

 また、既存建物の改修工事においても、新たに内窓を設けることで、開口部の高気密化や既存の蛍光灯をLEDに交換、空調を省エネタイプのエアコンに更新することなど、様々な対策を行っております。

 今年4月には、建築物省エネ法が改正されるなど、国は建築物のゼロカーボン化に向けた動きを加速しておりますので、本市としても国の動向を注視するとともに、山形県とも協調しながら住宅、また市の市有施設をはじめとする建築物の省エネルギー化に向けた取組を一層進めてまいりたいと考えておるところでございます。以上です。

   

◆6番(草島進一議員) お話にもありましたように、6月9日に示された政府の地域脱炭素ロードマップでは、2030年までに少なくとも100か所の脱炭素先行地域を創出する目標を掲げ、先行して国による支援を集中的に進めていく、特に今後2025年までの5年の周知期間に政策総動員すると掲げられております。

 今後、それを踏まえて支援メニューがいろいろ国から出てくると思います。市もこの先行地域として推進していけるように努力されてはと思いますが、当局の見解をお伺いしたいと思います。

 また、ZEB、ZEHについてですけれども、お伝えした長野県のゼロカーボン戦略では、30年までに全ての新築建築物のZEH、ZEB化を実現となっておりました。市でも今後ZEH、またやまがた健康住宅、そしてZEBを省エネの指標として目標を定め、積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、見解をお伺いします。

   

◎市民部長(五十嵐浩一) 再質問の1点目につきまして、地域脱炭素ロードマップで示されております先行地域として脱炭素に取り組んではどうかという御提言をいただいたと思います。

 この先行地域につきましては、基本的な要件、定義と累計が示されております。これによりまして、取り組むべき事業、またその対象区域につきましても市全域ということではなく、地理の特性などによって区域の設定が必要になるということになっております。また、支援メニューなど、まだ具体的な内容については示されておりませんので、その辺、確認をしながら検討を進めさせていただきたいと考えております。

   

◎建設部長(村上良一) ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスとやまがた健康住宅、そしてネット・ゼロ・エネルギー・ビルディングの省エネの指標、推進についてお答えいたします。

 先ほど御紹介したとおり、政府はネット・ゼロ・エネルギー・ビル、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの普及を推進し、2030年には新築住宅、建築物のエネルギー消費量を平均でゼロにする目標を掲げております。あわせて、国交省でも建築物省エネルギー法の誘導基準を政府のネット・ゼロ・エネルギー・ハウスやネット・ゼロ・エネルギー・ビルディングに相当する水準まで段階的に引き上げたいという考えを持っていると聞いております。

 今後、国から示される基準を注視しながら、それに対応する形で進めてまいりたいというふうに考えておりますのでよろしくお願いいたします。

   

◆6番(草島進一議員) ぜひこの2050年、脱炭素をできるように発想を変えて積極的に取り組んでいただきたいと思います。終わります。