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2020年3月議会 1)ギガスクール構想について 2)SDGsの普及について


6番(草島進一議員) 6番草島進一です。通告に従い、質問いたします。若干重複もありますが、よろしくお願いします。

  2020年度からプログラミング教育が小学校で必修化となります。先日の答弁でも、当市でも4年生、5年生、6年生での実践を進めていくことが示されておられました。情報活用能力の育成のためにはICTの環境整備が重要です。今般は、この環境整備について質問いたします。

  小中学校のICTの環境整備についてですが、先週の答弁にもありましたが、現在当局では2018年度、文部科学省の教育のICT化に向けた環境整備5か年計画の地方財政措置を受け、整備を進めているとのことでした。普通教室、特別教室、体育館をカバーできる校内LANの整備、小学校6校、中学校7校の整備が終了し、24校が未整備ということでした。現状についてもう少し詳しく伺いたいのですが、今はパソコン端末1台につき何名の状態でしょうか、お伺いします。また、現在抱えている課題についてお伺いします。

  さて、2019年12月に閣議決定された2019年度補正予算案に、GIGAスクール構想実現に向けた事業費2,318億円が盛り込まれました。GIGAスクール構想とは、Society5.0時代を生きる子供たちにとって、教育におけるICTを基盤とした先端技術などの効果的な活用が求められるこの令和の時代のスタンダードとして、1人1台端末及び高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する、そして多様な子供たちを誰ひとり取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させることを目指すというものであります。市では、国から示されたロードマップに従い、できる限りの整備を行いたいとのことでありましたが、こちらもお伺いしたいんですが、もう少し詳しく整備方針や考え方などをお伺いしたいと思います。まず、お願いします。

 

 

◎教育部長(石塚健) それでは、最初に市内小中学校におけるICT環境整備の現状と課題についてお答え申し上げます。

  議員御案内の教育のICT化に向けた環境整備5か年計画に基づきまして、本市でも第2期鶴岡市ICT教育機器整備計画を策定いたしまして、デジタルコンテンツなどを提示する教材提示パソコンや授業をする場ならどこでもつながる校内LAN、あとはパソコン室の学習者用パソコン等の整備を進めているところでございます。2018年度よりこの形での整備を始めまして、2年間で小学校26校中6校で、中学校11校中7校で整備が終了しております。

  一方、課題といたしましては、まず第1に全国的な整備不足が挙げられます。さきの5か年計画においては、児童生徒3人に学習者パソコンが1台程度の整備という、そういう水準を目標として掲げておりますが、文部科学省の調査では平成31年3月時点で1台に割り当たる人数が全国平均ですと5.4人でありまして、本市も5.8人と全国平均まであと一歩といったところではございますが、全国的に目標には届いていないのが実情でございます。

  課題の2つ目といたしましては、ICT機器をパソコン室で1学級のみが使用することが前提となっておりますことから、全ての学級が普通教室で日常的に使用できない環境にあるということでございます。また、これまで取り組んできましたICT活用推進事業におきまして、各校で核となる教員の参加を想定した研修会を開催してまいりましたが、先生方が実際に授業の中でICT機器を活用できる場や時間は限られておりますことから、校内に広めることが難しい状況にあると、こういったこともこの3つ目の課題として認識しているところでございます。

  続きまして、GIGAスクール構想の捉えとそれを踏まえた今後の整備方針についてお答え申し上げます。GIGAスクール構想は、1人1台端末及びそれをストレスなく使用することができるための高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する施策でありまして、端末に関しましては1台につき4万5,000円、ネットワーク構築に関しましては2分の1を国が助成して整備を推進するものであります。そうすることで全国的な整備の格差をなくし、今後ICTを基盤とした先端技術等の効果的な活用が求められますSociety5.0時代を生きる子供たちに、公正に一人一人のニーズに応じた学びを提供するために出された施策であると認識しております。

  その一方で、新学習指導要領においてはICT機器を適切に用いて基本的な操作技能を身につけたり、情報を生かしたり、情報モラルを遵守したりする情報活用能力が言語能力などと同様に学習の基盤となる資質、能力と位置づけられまして、教育課程内で確実に育むこととされました。この情報活用能力を身につけていくためには、ICT機器の十分な活用が不可欠でございます。特にOECDの生徒の学習到達度調査における読解力の低下について、これはコンピューターの使用に不慣れだったことが一因とされていることを踏まえ、文部科学省は令和4年度には全国学力・学習状況調査でも端末を使用する方針を打ち出しておりまして、学校におきましてもICT機器の使用に慣れ親しみ、使いこなすことが求められております。

  しかしながら、子供たちの日常生活を取り巻く環境にはスマートフォンやゲーム機器等、ICT機器があふれているにもかかわらず、本市の課題にあるように学校のICT機器を日常的に活用する環境整備は遅れているのが現状でございます。国の財政措置が見込まれるGIGAスクール構想を活用しまして、1人1台のICT機器整備や高速ネットワークを整えることは、本市の学校ICT環境における課題を解決して、児童生徒の情報活用能力の育成が期待されますことから、本市といたしましても国から示されたロードマップに従いまして、できる限りの整備を進めていきたいと考えております。

  その一方で、教育委員会といたしましては、ICT機器はあくまでツールでありまして、その整備が目的ではなく、ICT機器を使用することによって身につけられるであろう情報活用能力の育成という目標を実現するためにどのように活用するのか、その活用イメージを具体的に想定した整備が重要であると考えておるところでございます。GIGAスクール構想を活用した校内ネットワーク整備は令和2年度までで、1人1台の端末整備は令和5年度までの限定された助成となっております。既に関係各課とは情報を共有しているところではございますが、この事業を確実に活用するために今後も連携を図りながら、鶴岡市の子供たちの情報活用能力を伸ばしていけるような整備になるよう協議を進めてまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

◆6番(草島進一議員) ありがとうございます。有意義な整備になることを願うばかりですけれども、先日文科省の2019年度日本ICT教育アワードを受賞された滋賀県草津市の行政視察をしてまいりました。人口12万、大体約1万2,000人の児童生徒のいるところですが、ここでは小中学校の全普通教室に大型展示電子黒板、それに3人に1台タブレット端末を平成26年に小学校3,500台、平成27年に中学校1,320台導入して、プログラミング教育ではペッパーなど小型ロボットやドローンを組み合わせるなど物理的な整備をはじめ、ICTの支援員の配置やICT教育スーパーバイザーを配置してICT活用による元気な学校づくりを推進しているという市でありました。ここの特徴的なところは教育情報化推進計画というのを作成しておりまして、ICT教育を担当する教員4名、退職校長1名、この方がICT教育スーパーバイザーとなっておりまして、行政職1名、事務職1名、計7名で構成する学校政策推進課というのを設置しておられました。こういうところが推進力になって様々な方策が展開されていました。当市でもこうした事業を進めるにおいて、こうしたここでいう学校政策推進課のような部署を設置するなど検討してみてはいかがかと考えます。いかがでしょうか、お伺いします。

  また、草津の事例では、市内にある立命館大学と連携して出前授業や、あとベネッセと連携して共同ソフトの導入、またICT支援員の配置、それからソフトバンクグループの社会貢献プログラムへの参加などが行われておりました。ICTの活用として、こういった大学や企業とのネットワークというも重要なものと考えます。そうした外部とのネットワークづくりについて、どのようにお考えかお伺いします。また、各校におけるリーダー教員の育成も重要と思いますが、見解をお伺いします。

 

 

◎教育部長(石塚健) それでは、ICT教育を担当する部署の設置について初めにお答え申し上げます。

  草津市の学校政策推進課につきましては、学校における情報化教育の全体像である推進計画の遂行を設置の目的に掲げまして、スーパーバイザーの配置による学校への指導、助言や各校におけるリーダー教員の育成等の役割を担っているものと、そういうことで認識しているところでございます。本市におきましては、この学校政策推進課のような学校のICT機器の活用を支援する、または環境整備を専門にする部署とか人員の配置は行っておりませんが、これまでもICT機器の保守管理やICT活用研修会など、その時々の学校や教員のニーズに応える支援を行ってまいったところでございます。しかしながら、さきの5か年計画の目標としております水準の一つには、4校に1人のICT支援員の配置がございます。また、現在市内小中学校に約1,200台の学習者パソコンが整備されておりますが、今後GIGAスクール構想を踏まえ、仮に1人1台端末を整備することとなれば、教職員のパソコンも含め、全市の小中学校が所有する端末は1万台を超えることになり、適切な管理はもとより、活用方法はこれまでと大きく異なってくることが予想されますことから、端末管理や研修の重要性も今後とも高まってくると認識はしているところでございます。

  また、ICT教育における大学や企業との連携についてということでございますが、各大学や企業におけるICT教育への支援につきましては、今回のGIGAスクール構想、また新学習指導要領における小学校プログラミング教育の必修化を受けまして、全国的な傾向として、その数、内容ともにますます充実してきており、そのような機関と連携していくことは、ICT教育をよりよいものにしていくための一つの方法であると考えております。特に本市におきましては、山形大学農学部や国立鶴岡工業高等専門学校、慶應義塾大学先端生命科学研究所等のこういった高等教育機関や研究施設が充実しておりますので、そういう意味では連携しやすい環境であると、そういうふうに認識しております。

  さらに、各校におけるリーダー教員の育成ということでございますが、先ほども申し上げましたが、ICT機器活用のリーダーになり得る教員の育成につきましては、本市の課題の一つとしては認識しているところでございます。そのような教員を育成するためにも、GIGAスクール構想を活用した日常的に使用できる機器整備を進めていきますとともに、日々の授業において狙いに迫るためにどのように機器を活用するのかを具体的に学び会うための研修会等をこれまでと同様に充実させまして、ICT機器の活用を広める人材を継続的に育成できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

◆6番(草島進一議員) ありがとうございました。ぜひハード面でも、それから人的配備などソフト面でも先進地に負けない、より有意義な整備に努めていただければと思います。以上でこの質問は終わります。

  次に、SDGsの普及についてお伺いします。誰ひとり取り残さない持続可能な社会の実現のための2030年国際目標、17のゴール、169のターゲット、SDGsについてでありますが、企業セクターでは今ESG投資など今後の投資先になるための必須条件としてSDGsを掲げ、取り組む企業も見受けられるようになってきました。自治体の地方創生という上でもSDGsを融合させた取組により官民のパートナーシップを図ったり、部局横断の問題解決ができるとも評価されております。持続可能なまちづくりや地域活性化に向けて取組を推進するに当たって、SDGsの理念に沿って進めることにより、政策全体の全体最適化、地域課題解決の加速化という相乗効果が期待でき、地方創生の取組の一層充実、深化につなげることができるとされております。市としては、総合計画での1プロジェクト、地域国際化SDGs推進プロジェクトがつくられて進行されていること、あるいは昨年9月策定の鶴岡食文化創造都市推進プランでは、実際にSDGsをインジケーターとして使用していることは大変有意義だと思いますが、私のほうからは市民へのSDGsの普及という面でお伺いしたいと思います。市民への具体的な普及をどう図ろうとしているのかお伺いしたいと思います。それから、またユネスコ創造都市として鶴岡版ESDモデルの構築と新年度予算についてありましたけれども、どのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。

  以上です。

 

 

◎市民部長(渡会悟) それでは、私からSDGs、市民への普及、理解促進をどう図っていこうとしているかという御質問にお答えいたします。

  SDGsに取り組むための初めのステップといたしましては、SDGsは企業や団体等でも取組が浸透しつつあるといったことで、広くSDGs自体は市民の目に触れるようになった一方で、SDGsの特徴をどう理解し、取り組み、それぞれの行動にどうつなげていくかが課題であるというふうに認識しております。そのため、官民ともに理解促進に向けた普及啓発は大変重要であると考えており、取組を検討、実施しているところでございます。具体的なSDGsの理解促進、普及啓発の取組の事例を御紹介いたしますと、大山の自然学習交流館ほとりあで関係者を対象としたSDGs学習会を開催し、ほとりあで湿地再生を進めている都沢湿地の保全、再生活動をはじめとした各種事業をSDGsにひもづけることで、広く市民や企業参加を促す取組などについて意見交換をいたしました。

  また、三瀬地区自治会では平成28年度から環境省の補助事業の採択を受けながら、SDGsを核とした三瀬地域木質バイオマスエネルギー自給自足活動に取り組んでおり、地域の環境課題と社会問題を同時に解決するための活動が進められております。地域の森林資源を活用したこの取組は、化石エネルギー資源の代替と低炭素化、省資源化のほか、健全な森林の維持、地域への経済効果や雇用機会の拡大が期待されるところでございます。市といたしましても、こうした地域の先進的な取組などに対して、今後も継続的に関わりを持ち続けながら支援するとともに、SDGsの取組事例の実績やノウハウなど情報発信していきたいと考えております。自治体のSDGs推進のためには、市民や市内企業など多様な関係者、いわゆるステークホルダーの参加が不可欠であるため、市民や市内企業の積極的な参加を促せるように、官民ともにSDGsについて学び、理解を深めるための学習機会の創出や分かりやすい情報発信、工夫や強化に努め、さらなるSDGsの理解促進、普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

 

 

◎企画部長(阿部真一) 2点目の御質問、鶴岡版のESDモデルの構築はどのように取り組んでいくのかという御質問でありました。ESD、持続可能な開発のための教育は、2005年に我が国が国連に提唱したものであり、現行のSDGsにおきましても持続可能な社会づくりの担い手を育む教育が目標達成の有効な手段とされております。本市には食料を保存する知恵、あく抜きや塩漬けなどそのままでは食べられない食材を食べるための技術、焼き畑に代表される自然と共生する食品生産方法など、先人たちが積み重ねてきた食と食文化の知恵や工夫、そして技術が豊富であります。この鶴岡の食文化や取組自体がSDGsに貢献するものであり、これを全ての市民に分かりやすく伝えるとともに、正しく後世に伝承していくべきものと捉え、今年度より食と食文化を切り口とした鶴岡型のESDモデルの素案づくりに取り組んだところでございます。これまでもユネスコ食文化創造都市の役割として、世界の課題と鶴岡の食文化を考えるSDGsパネル展の開催や、小学生を対象とした食文化自由研究教室を通じ、本市の食文化の理解促進とSDGsの理解普及に努めてきたところでございます。また、試験的な取組といたしましては、ESDを既に実践している海外の料理人を講師に迎え、持続可能な地域の食や食文化の在り方、料理人としての心構え、取組など、本市の料理人を対象としたESD国際食文化研修を行っております。今後は、SDGsのさらなる推進を図るため、料理人教育だけではなく、食育事業、食文化継承事業につきましても持続可能な社会の担い手育成を取り入れた鶴岡型ESDとしての構築を図っていきたいと考えております。この食と食文化を活用したESDにつきましては、検討段階から専門機関や研究者等を交え、食や食文化の普遍的な価値の洗い出しを行い、その内容がSDGsに貢献するものかどうかの精査・検証を行いながら、国内外のそれぞれの地域でも実情に応じて応用可能な鶴岡型モデルとしてまとめていきたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

◆6番(草島進一議員) 鶴岡版ESDモデルの構築、大変有意義なものだと思います。ぜひ進めていただきたいと思います。

  あと三瀬地区のような取組ですけれども、SDGs、問題の同時解決型のモデルとして注目されているわけでして、まさにそれを実践しているところだと思います。こういった取組が横に広がっていくことが望まれるんじゃないかと思いますので、今後のこうした普及が行われることを求めまして質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。