市長の100万円不記載などの件での100条委員会設置への反対討論
年末から年頭にかけての報道などをきっかけに明らかになった、皆川治 鶴岡市長の選挙資金100万円の不記載の件について、議会で市長は12月27日、1月18日の2回の全員協議会で文書とともに説明、質疑応答をおこないました。
文章は以下のものです。
それぞれ、市長の説明に対して質疑がおこなわれました。
その後、「回答には納得でない」「真実をあきらかにしたい」という旨で新政クラブ、公明、無所属の3名によって、100条委員会設置の決議議案が提案されました。
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1月25日は、その決議案の提案、理由説明、質疑、討論、議決となりました。私は、提案者に次のように質問しました。
●証人喚問が必要と考える際、誰を証人喚問したいと考えているか。
●本当に喚問できるのか。100条が及ぶ範囲は行政事務に係る事となっている、市長や寄付者の証人喚問が地方自治法100条の規定を逸脱し、議会の権限濫用とならない法的根拠はどうなっているのか説明を。
●堺市の市長の場合は、多岐にわたる2億3千万円を越える不記載があって、政治資金規正法違反の容疑で刑事告発されている。その事実解明として選挙資金収支報告書について100条の調査がおこなわれているが、結局は何ら明らかにならなかったと総括されている。その場合「百条委に選挙資金調査権限はない」などの弁護士の見解を元に、市長らは出頭を拒否し、市議会は告発したのだが、大阪地検特捜部は不起訴処分としている。これが先例だ。本当に議会の権限濫用とならないのか。
●パワハラについて、実名での具体的な告発など、訴えはあったのか。。
●怪文書の一つに「パワハラの為、当該職員は極めて厳しい状況に追い詰められ、幹部職員や若手職員の早期退職や休職が相次ぎ、私達が把握されているだけでも一定数の職員がいるようです。」とあるがこの事実実態は調べたのか。以前と比べ、どのくらい増えているのか。
●誰が書いたか分からない怪文書を鵜呑みにして、それを根拠に疑惑として決めつけて調査できるのか
●実名で事実を明確にし、告発がおこなわれているのなら、分かるがこの怪文書2通と実名だけれども具体の事実の訴えでもない文書をうのみにして、100条調査委員会設置なんて、全く考えられない。と思う。
考えようによっては、匿名で怪文書などを創作して、「疑惑だ」と決めつけて、なんでも100条調査委員会を設置できることになってしまう。と思う。大変危険な事だと思う。が、そう思わないのか?伺う。
又、この案件は、実名で具体的に実態を告訴、告発があり、実態があったと判断されて、はじめて議会として動くことができる事だと思う。それもなしに、 怪文書などをうのみにして、事実確認もしないで、あたかも「パワハラがあったかのように疑惑として決めつけ、調査、それも100条委員会をおこなう事は、議会の判断として常軌を逸している。と考える。又、根拠なく疑惑が向けられる方 市長、に対して、名誉毀損にあたるのではないかと感じますがいかがか? 提案者の考え方を伺う。
など、質疑をおこないました。
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その後、討論となり、私は、以下、決議案に反対の立場で討論をおこないました。
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議会第10号 市長の不記載 100条委員会設置に関する決議につきまして、市民の声鶴岡を代表し、反対の立場から討論を行います。
地方自治法第100条の規定によるいわゆる百条調査権は、その第3項に「六箇月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する」との刑罰が明記されることから判断するに、100条第1項の権限を保持する委員会の設置は地方議会にとって極めて重要な責任が問われる決定であります。
ゆえに、通常の議会、委員会において十分に実効がおさめられない点を補完するときに限定をされる強制権の発動であり、その設置については極めて慎重に行われるべきものであります。
他議会の設置例としては、贈収賄や公金支出の不正、事務や予算の執行に明らかな不正があるなどの事例が認められますが、本件の「選挙資金収支報告の1件のみの不記載、それも訂正済み」に対する調査は、何の究明になるのかよくわからないのであります。
100条調査権は、あくまで行政事務への調査であって、
一部弁護士からは、「選挙資金問題等の調査は、地方自治法第100条の規定を逸脱し、議会の権限濫用であるという指摘があります。
実際にそれを根拠に出頭を拒んだ堺市長のケースがありました。その件に対して議会は告発しましたが不起訴処分となっています。
設置しても、証人喚問が法的に担保されているのかすらわからず、それにより、何を明らかにしたいのか、どうもよく分かりませんでした。
100万円の不記載については。これまでの2回の全員協議会での説明で、支援者からの100万円の寄付の選挙資金収支報告書への不記載があったこと。そして、事実に基づいて2回の収支報告書の修正を行った事。又、寄付を受けた100万円については、選挙資金ではなく自分のお金から返金していること。が明らかになっていると思います。
寄付の不記載については、時効を迎えていますが、違法行為ですのでそれはなんらかの動義的責任を問うことになると考えます。
返却した100万円については、議会で調査しても答えが出せるわけではなく、司法にゆだねるべき問題と考えます。
100条委員会の証人喚問などを行って何を明らかにしようとしているのか。100条設置のの意図、意味は何なのか。よくわかりません。
疑問があれば、更に全員協議会等で問えばいい問題だと考えます。‘
又、寄付をした当人についても、私も先日お伺いし、お話を伺いましたが、先ずは各会派調査し事実確認したらいかがでしょうか。
又、パワハラの項目ですが、実名での具体的な告発などの訴えがあったものでなく、事実確認もおこなわず、こともあろうに2通の誰が書いたかもわからない怪文書と、役所OBの実名入りかもしれないが、具体的事実の訴えとは到底認定できない1文書のみによって、あたかも、「パワハラ」があったかのように「疑惑」を決めつけ、無理やり100条調査の項目にすることは、議会として常軌を逸した暴挙であると考えます。これこそ、極めて慎重に行われるべきものであると考えます。
●100条委員会といえば、以前、4年前になりますが、私と共産党さんとで文化会館問題についての百条委員会の決議案を提案した事がありました。あのときは97億円の行政事務そのものが対象であり、我々が調査対象として議場でも述べた「議決を経ないで改築費増額した件については後に市の第三者調査・検討委員会から「違法」と答申され、不正が指摘された問題でありました。今般100条決議提案の新政クラブさんらによって反対され、廃案となった決議でありましたが、今般提案の決議案と比較すれば実に真っ当な決議案であったと考えます。
今般の100条委員会決議案は、調査に及んだ際、地方自治法第100条の規定を逸脱し、議会の権限濫用と指摘を受ける可能性もあり、さらには、何か特定される疑惑を明らかにしたいという本来の意図よりもただ、マスコミ受けを狙い市長の評判の印象操作のために、只設置したいがための設置のような気がして成りません。新政クラブさんの4年前の討論をそのまま返しますが、政治的パフォーマンスによりマイナスイメージを増幅させることは適当でないと考えます。
議会がそのような意図で、特に数の暴挙によって、ゆがめられてはならないと考えます。
以上、不当、不必要な100条委員会設置について、反対する意思を表明し、反対討論とします。
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しかしながら、100条委員会設置の決議案は、賛成多数で可決となり、設置し調査をおおなうこととなりました。
委員構成は以下のとおりです。
佐藤博幸 議員 委員長
加藤鉱一 議員 副委員長
田中宏 議員
石井清則 議員
菅井 巌 議員
富樫正毅 議員
黒井浩之 議員
石塚 慶 議員
佐藤昌哉 議員
五十嵐一彦議員
尾方昌彦 議員
草島進一 議員
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2月中には第一回委員会が開催と思われます。弁護士を立て、予算と時間を使っての調査となりますが、質疑、討論などで指摘したように、くれぐれも法の逸脱などのないように注意しつつ議論、調査をおこなっていきたいと考えています。
発端となった記事
山形新聞
鶴岡市長、収支報告書に100万円の寄付記載せず 17年選挙時に受領
2021/12/22 08:10
鶴岡市長の皆川治氏(47)が2017年10月の市長選の告示日翌日、男性支援者から現金100万円の寄付を受け取ったものの、選挙運動費用収支報告書に記載していなかったことが21日、山形新聞の取材で分かった。皆川氏の関係政治団体の政治資金収支報告書にも該当する寄付の記載はなかった。収支報告書の不記載などとして、公選法や政治資金規正法に抵触していた可能性がある。
同日の山形新聞の取材に対し、皆川氏は現金を受け取ったことを認め、収支報告書に記載が必要との認識はあったものの「市長選の忙しさの中で失念していた」と釈明した。今年の夏ごろに記載漏れがあるのではないかとの指摘があったとし「現金は使っていなかったので、返還させていただいた」と語った。
関係者によると、皆川氏は17年10月9日夜、同市藤島地域での個人演説会の後、移動のため車に乗り込んだ際、現金100万円が入った封筒を支援者から受け取った。
支援者はその後、他県での収支報告書の記載漏れに関連する類似事案の報道に触れ、自身の寄付も収支報告書に記載されていなければならないことを認識したという。今年7月ごろ皆川氏に電話し、報告書の訂正を求めた。
一方、皆川氏は寄付を受けてから約4年後の今年8月28日午前7時半ごろ、元県議の男性と共に「返金に来た」と支援者宅を訪問。受け取りを拒まれると、現金の入った封筒を玄関に置いて立ち去ったという。封筒は4年前に支援者が現金を入れたものとは別物だった。支援者は「報告書を訂正すべきで、返金を受けたつもりはない」としている。
政治資金規正法は政治家個人への現金の寄付を禁じているが、選挙運動に関する場合は認められる。公選法に基づき、選挙運動費用収支報告書に記載する必要があり、記載漏れや虚偽の記入は、3年以下の禁錮または50万円以下の罰金が科される。今回のケースは既に公訴時効を迎えている。
【皆川治氏の選挙と寄付の経過】
▽2017年10月8日
鶴岡市長選挙告示
▽同9日
支援者が現金100万円を皆川氏に手渡す
▽同15日
皆川氏が初当選
▽2021年3月2日
皆川氏が再選出馬を正式表明
▽同年8月28日
皆川氏が支援者宅を訪問し、100万円を返還する
▽同年10月3日
鶴岡市長選告示
▽同10日
皆川氏が再選を果たす
寄付した支援者、落胆「無かったことにされるのは悔しい」
封筒の頭をはさみで切ると、1万円札がばらばらと出てきた。新券ではなく、上下、裏表の向きもそろっていない。「残念だ」。寄付をした支援者はそう言って肩を落とした。8月下旬、皆川治氏が玄関に置いていったという封筒は開封せず、素手で触れることもなく保管してきた。
他県での政治資金収支報告書の不記載問題に触れ、支援者は今年夏ごろから、報告書の訂正を皆川氏に求めていた。「正々堂々としようと、助け船を出したつもりだったが、返金されるとは思わなかった。市政を良くしてほしいと願っての寄付だったが、無かったことにされるのは悔しい」と語った。
識者指摘「受け取った以上は不記載」
政治資金問題に詳しい上脇博之教授(神戸学院大)は「4年後に返そうと、受け取った以上は不記載で、違法行為であったことは間違いない。個人で100万円を寄付できる人は少なく、こうした寄付を記載しなかったことは重大だ」と指摘している。