2022. 12月議会 一般質問2 観光振興と関係人口の構築について
観光振興策と関係人口の構築について
お伺いする。
観光庁では、インバウンドの本格的な回復までにはまだ時間がかかると見られるため、国内観光の需要の掘り起こしが必要として、大都市居住者にとって魅力的な訪問コンテンツをつくり、繰り返し特定の地域を訪問するきっかけをつくりたいとして、第二のふるさとづくりプロジェクトを展開している。言わば第二のふるさととして「何度も地域に通う旅、帰る旅」というスタイルを推進・定着させることで新し 需要を掘り起こし、地域経済の活性化につなげることが重要とのことだ。
また、関係人口とは、移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない、地域や地域の人々と継続的に、また多様に関わる方のことと定義づけられているようです。人口減少時代に地方が活力を維持し持続可能にしていくために、関係人口の拡大は大変重要と考える。
観光面では、いかにリピーターを増やしていけるか。また、持続可能な観光地域づくりのための交流人口拡大、その発展型としての関係人口の構築と捉えていますが、その対策にとても有効なのが顧客を管理しマネジメントするCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)(顧客関係管理システム)と考える。
以前、この議会でもちょうどDMОの立ち上げ直前になりますが、宮城県気仙沼市の気仙沼クルーカードというポイントカードとそのマーケット戦略について御紹介したことがあった。
現在、クルーカードの取組は、市内の事業者 126店舗が加盟し、2万5,000件の会員を有し、 会員全体にアンケート調査を行って次のニーズ を踏まえて振興施策を展開したり、またこのコ ロナ禍においては、飲食店や宿泊業者の厳しい 状況を迅速に捉え、即テークアウト事業を推進 したり、また会員にDMを通じて情報発信をし、 観光客をつなぎ留めたりと細やかな情報発信と 戦略を展開し、威力を発揮しているようだ。
観光CRM(顧客関係管理システム)の取組は、観光庁でも令和2年度から宿泊施設などと連携したデータ収集、分析事業として実証実験が行われておりまして、データをリアルタイムに収集・分析する仕組みとして、宿泊データをDMOで一元管理し分析するシステムと、CRMアプリを両輪で展開されている。
昨年度は4つのモデル地域のDMOで実証実験を行っており、今年度も続いているようである。昨年度は一般社団法人ニセコプロモーションボード、また福島市観光コンベンション協会などで行われているようである。
そこで提案をするが、顧客との関係性を維持するリテンションを効かせ、観光面からの関係人口を拡大する仕組みとして、こうした観光CRMについてDEGAMを通じて取り組まれてはいかがでか、御見解を伺う。
観光CRMに引き続き、もう一つ、関係人口の取組として御紹介したいのが、総務省で関係人口拡大の取組としても捉えられているふるさと住民票の取組だ。
ふるさと住民票は、様々な形で自治体に関わりを持ちたい人で希望される人をふるさと住民 と認め、ふるさと住民票のカードを交付し、一 定の公共サービスを提供するといったシンクタ ンク「構想日本」が開発した取組であり、現在 10自治体が取り組んでいる。
主な対象者としては、自治体の出身者、ふるさと納税を行った人、通勤・通学をしている人などであり、登録者は市の広報など地域の情報が送付され、祭りや伝統行事の紹介や体験プログラムの参加案内、パブリックコメントへの参加ができるなどのサービスを受けられるといった仕組みになっている。
当市にとってもふるさと納税者や出身者などをメンバーシップ化し、観光情報や旬の食文化の情報を提供し、時には訪れていただいたり、まちづくりに参加していただいたりすることは、今後大変重要なことではないかと考える。
そこでまず伺うが、当市の関係人口拡大の取組の現状はいかがか、伺う。
また、一つ提案するが、今回、前段で紹介した観光CRMのアプリと後者のふるさと住民票を合体させたような仕組みで、市のファンクラブ、顧客データベースを作り、関係人口を一元的に捉え、情報発信をしたり、マーケティンに活用していく、これを市の事業として行うことを御提言申し上げる。見解を求める。
○商工観光部長 佐藤正胤
観光振興策と関係人 口の構築の御質問のうち、観光CRMの取組に ついては商工観光部から、また関係人口に関す る取組につきましては、企画部よりお答えをさ せていたたく。
観光CRMの取組についてであるが、議員御案内のとおり、持続可能な観光地域づくりを進めていくには、本市のファンを多く獲得し、また訪れたいと思うリピーターを増やしていくことが重要な視点であると認識をしている。
こうしたことから、本市ではマーケティング調査に基づき、観光戦略を策定し、DEGAMにおいてQRコードなどの情報管理技術、いわゆるICTを活用した観光動向調査を行い、会員事業者と共有しながら連携した観光誘客に取り組んでいる。
議員御案内の観光庁、観光地域づくり法人による宿泊施設等と連携したデータ収集・分析事業では、観光地域づくり法人が主体となり、宿泊施設をはじめとする地域の観光事業者を取りまとめ、来訪者データを収集・分析する仕組みを構築する実証事業を公募し、全国の4地域で行っております。
具体的には、1つ目、地域単位での宿泊者データを収集するプラットフォームシステムを開発すること。
2つ目として、来訪者を会員として囲い込む 顧客関係管理を行い、データを収集するものである。この顧客関係管理を「Customer Rel ationship Management」、この頭文字から略称 としてCRMと呼ばれているものだ。
観光庁事業において採択を受けた一般社団法 人下呂温泉観光協会では、約40年前から各宿泊 施設のデータを集積してきた歴史がございまし て、宿泊データのプラットフォーム化にスムー ズに移行しているという事例もある。
また、議員御案内の気仙沼市では、アンケートを活用して詳細な人数を把握することにより、地元の消費額の増加につなげている事例もある。
アフターコロナを見据えて効果的な観光プロモーションを展開するには、CRMの手法は大変重要であると認識をしている。
一方、宿泊したデータを地域で集積するCRMへの課題といたしましては、各宿泊施設が独自の顧客データを提供することに抵抗感があるものと考える。
本市といたしましては、引き続き全国の先進事例を研究するとともに、DEGAMをはじめ、関係者の皆様と意見交換をしながらCRMの理解を図りまして、持続可能な観光地域づくりを進めてまいりたいと考えている。
○企画部長 伊藤 敦 おはようございます。 それでは、関係人口に関する御質問について
は企画部のほうから御答弁を申し上げる。初めに、本市の関係人口拡大の取組についてお答えする。
本市では、市町村合併以前より首都圏等において本市の出身者や、鶴岡を応援したい方で構 成するふるさと会が旧市町村単位で活動してお り、会員総数は直近で約2,000人となっている。
東京事務所や各庁舎担当部署を通じて、会員の皆様とは定期的に交流や本市の情報を提供する機会を設けており、首都圏での物産展やSNSなどを通してふるさと鶴岡とつなぐ取組を行っております。会員の重複はございますが、首都圏在住の市内公立高校同窓会ともネットワークがある。
また、辻調理師専門学校の食をテーマにした鶴岡研修や、大東文化大学の学生による藤島地域を中心としたフィールドワークなどの継続的な取組のほか、鶴岡移住アンバサダーによる鶴岡PR活動や、コロナ禍における新たな取組であるワーケーションやテレワークの支援を通じて関係人口の拡大に努めている。
さらに近年の取組では、ふるさと納税を通じて関係性を築くことも有効な手段であろうといった考えから、全庁を挙げて鶴岡市の特産品をはじめ、工夫を凝らした返礼品開発に取り組んでおります。 昨年度のふるさと納税件数は約7万1,000件、 前年度比で約2.1倍となっており、今後もさら に伸長するよう取り組んでまいる。
次に、ふるさと住民票の取組についてお答えする。
議員御紹介のふるさと住民票については、福島県飯舘村や鳥取県日野町など、自治体が取り組んでいることは承知している。
御提言にございました観光CRMのアプリと、ふるさと住民票を組み合わせた仕組みによる関係人口拡大の取組につきましては、まずは先行事例などの情報収集に努めまして、市外に居住する方がファンクラブとして参加できる仕組みや、関係人口のデータベース化についてもより効果的な取組を検討してまいりたいというふうに考えている。
本市の新たな取組といたしましては、既に広 報12月号でお知らせさせていただきましたが、 市のLINE公式アカウントの機能を拡張いた しまして、これまでの新型コロナワクチン接種 予約のほかに、暮らしや防災などに関する情報 を発信している。
そこに新たな機能を付加していくことも可能であり、例えば観光やビジネスでの来訪者や、ふるさと納税に御協力いただいた方などから友達追加をしてもらう。そういったことで本市からの情報発信にも活用するなど、新しい関係人口の拡大にもつなげられるものというふうに考えている。
○草島
御答弁ありがとうございました。
観光CRMについては、今後のインバウンドの戦略も見据えて、ぜひ導入の検討をお願いしたいというふうに思う。
兄弟都市である鹿児島市でも、この12月1日 からCRMアプリが起動したようであります。 ぜひ参考にしていただきたいと思う。
また、観光庁の実証実験事業は来年度もあろうかと思うので、ぜひエントリーを検討していただければとも思う。よろしくお願いします。
また、関係人口のシステムについてですけれ ども、今回はふるさと住民票を取り上げました けれども、秋田県横手市では応援市民制度とし て登録者にアプローチをしているケース、また、 これは自治体でありませんけれども、一次産業 を起点とした関係人口の創出として、生産者と 消費者が直接つながり交流する機会を提供する 地方と都市をまたいでのCSR(地域支援農 業)に発展するポケットマルシェのようなケー スなどいろいろ事例はあるようですけれども、 いずれにしても一元化されたデータベースを使 って様々な働きかけを行っているというようです。ぜひ出羽三山や食文化などを慕う鶴 岡のファンクラブ、関係人口データベースをぜ ひ構築し、積極的な働きかけを行っていただき たいと思います。
ありがとうございました。以上です。