2021.12月議会 請願「沖縄戦戦没者の遺骨を含む土砂を埋め立て等に使用する計画の中止を国に求める意見書の提出を求める請願請願 審査と懲罰動議について
12月議会 請願「沖縄戦戦没者の遺骨を含む土砂を埋め立て等に使用する計画の中止を国に求める意見書の提出を求める請願」が提案されました。
草島は、紹介議員の一人として請願審査に臨みました。
総務常任委員会での質疑、討論を経て、反対多数で否決されました。
その後、本会議で賛成討論をおこないました。
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請願第10号
沖縄戦戦没者の遺骨を含む土砂を埋め立て等に使用する計画の中止を国に求める意見書の提出を求める請願 に対して市民の声・鶴岡を代表して討論をおこないます。
真珠湾攻撃からはじまり、310万人以上が犠牲となった、先の第二次世界大戦 太平洋戦争開戦から80年になります。これから未来へ向けて、平和を思う時、戦後に育った私達は、時に改めて過去の歴史にしっかりとむきあい、その戦後処理のありかたについても再認識すべきと考えます。
大戦末期、昭和20年、1945年3月末から6月末までおこなわれた沖縄戦では、上陸した米英軍と日本軍との間で地上戦がおこなわれ、日本兵の戦死者 6万6千人、沖縄県民は一般住民が9万4000人、軍人が約2万8千人、合計12万2000人、アメリカ兵と合わせ約20万人が犠牲になりました。その中には請願文にもあるように歩兵第32連帯として派兵されていた山形県出身の776名の命も含まれています。
特に糸満市を中心とした沖縄南部地域には、沖縄戦で犠牲になった住民、兵士の遺骨が数多く残されており、現在も遺骨の収集がおこなわれています。
この間、戦没者の遺骨を家族の元へ返すという戦後処理としての戦没者遺骨収集推進法が2016年に成立し、その後9年間を集中実施期間と定め、取り組みの強化が打ち出されています。DNA鑑定などを伴いながらおこなわれていますが、遺骨収集は未だ途上といわざるをえません。
40年近く遺骨収集をおこなっている遺骨収集ボランティアの具志堅高松氏は、これまで400柱の遺骨を見つけたそうですが、未だ2800柱の遺骨が地中に眠っているとのことであり、「我々の世代では、全ての遺骨収集をおこなうのは無理であり、次の世代に引き継ぐべき事だ」とも、会見で述べられております。
そんな中で、政府は、昨年4月に提出された「辺野古埋立設計変更申請書」において、この南部地区の山野の土砂を採掘して辺野古新基地建設の埋め立てに使用する計画を発表したのであります。
請願は、こうした埋め立てに、南部地域の遺骨が含まれた土砂を使わないでほしい、というものであります。
先日、沖縄戦に送られた、山形県、北海道などの出身者から成る 歩兵第32連帯の、山形県出身者の証言を記録したドキュメンタリーを見る機会がありました。繰り返される砲爆撃、火炎放射など、圧倒的な兵力の差の中で南部に撤退をし、沖縄住民を巻き込みながら、せい惨な闘いが繰り広げられていた事。住民や兵隊の死体の山、壕の中での悲劇などが次々と語られており、改めてその惨さを痛感しましたし、決して忘れてはならない事だと強く感じました。
沖縄南部の地域には、確実にその山形県出身者からなる歩兵第32連帯の遺骨が眠っています。
請願文にあるように、さきの大戦で犠牲になった人々の遺骨が入った土砂を、埋立てに使用することは、戦没者への冒涜であり、又、遺族の心を傷つけるものであり、人道上 絶対に許されない事であると考えます。
先ほどの反対討論では、計画の事について言っていましたけれども先ほど述べた 辺野古埋立設計変更申請書の計画はそのままあり続けておりますので、論外であると私は思います。
また、委員会での反対討論については、論者は外交・防衛問題について地方議会が国に対して意見書を上げる事は馴染まない。
とのことでありましたが、この請願は、基地建設の反対を求めているものでも、外交、防衛問題に意見する事を求めているものでもありません。
基地建設の反対、賛成 以前に、沖縄戦で戦死した遺骨が含まれる土砂を埋め立て用に使わないでほしい。戦没者の尊厳を損なわないようにしてほしい。という極めて人道的な願いの一点であります。
請願の願意をきちんと踏まえていただきたいと思います。
又、こうした市民が求める願意を込めた意見書によって、地方議会が国に意見する事は、馴染まないどころか、むしろ必要な事であり、平和都市宣言を行っている市議会として、実に有意義な事であると考えます。
実際に、同様の請願が提出され、意見書提出に至った自治体議会は、沖縄県議会をはじめ、全国に広がり、9月議会までで138自治体にのぼります。
この12月議会でも近隣では 同趣旨の請願に対し山形市議会が賛成多数。庄内町の町議会では全員賛成で採択されており、全国で更に多くの自治体議会が意見書提出をおこなうのではないかと思います。
今般、請願者である、若者なりに社会を考える会 つるおか「PITOPE」では沖縄からの声に応え8月から市民に働きかけ、1260筆の署名を集めて議会に提出されております。平和を思う市民の、特に若い方々の政治参加のあり方として高く評価すべき行動だと思います。
全国で意見書が提出される中、我が鶴岡市議会は、こうした1260名もの市民有志の賛同署名を伴いながらも、意見書提出が出来ないのでしょうか。だとしたら、あまりにも残念といわざるを得ません。
改めて申し上げたいと思います。
この請願は、基地建設の反対を求めているのではありません。戦没者の遺骨が含まれる土砂を埋め立てに使わないでほしいという、人道的な市民の願いであります。
改めて、この請願の本意を受け止めていただき、議員全員の賛同が得られますことを祈念いたしまして、賛成討論といたします。
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この賛成討論、反対討論が行われる中、田中宏議員の賛成討論で不穏当な部分があるとして、次の日の冒頭、田中宏議員が一部討論内容の文言を削除。それに対して小野議員から「削除したとしても冒涜にあたる」などと議事進行、又、佐藤博幸議員が「懲罰に付すべき」などと議事進行がかけられ、一時議会が中断。3名の議員によって懲罰動議が提出され、表決により賛成多数で懲罰委員会が設置され、3回の懲罰委員会が開かれた後、本会議 1月25日の臨時会での質疑、討論、採決となりました。
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懲罰動議に対して、反対の討論を述べました。
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田中宏 議員の懲罰に反対の立場で討論いたします。
●今般の田中議員の討論ですが、
討論の中身は、請願に係る委員会での質疑の実際を述べ、自ら感じたことや、その請願審査のあり方についての問題を提起し批判をしたものであります。
懲罰動議の提出理由 にある侮辱であるとか、人格を貶める(おとしめる)とか、名誉を傷つけたとか、精神的苦痛を与えたとか、人権侵害にあたるとか といった、文言や行為は存在しない。つまり、地方自治法第132条にある、無礼の言葉等はありませんでした。
一言、議長から不穏当と指摘された300字もの該当部分の周辺部分の文言は田中議員自ら取り消しを求め議事録から削除されています。それは、議員にとっては一定の罰を受けた事になると考えます。
「批判の自由は、民主主義を支えるものであります。」
今回のような討論に対して、明らかに懲罰に該当する文言がないにもかかわらず、。只多数の力によって懲罰を科すことは、言論の府たる議会が保証すべき発言の自由を、いたずらに封じ込める事になるのではないでしょうか。
それこそ議会として、あってはならないことであると考えます。
今般、品位や秩序を保つ議会として正されるべきは、今般の討論の批判の対象となった、請願審査のあり方であります。
請願の審査の際に、請願者自らの主旨説明や意見陳述をシャットアウトした上で、請願者の個人の詮索をおこなうような質問をおこない、請願の中身は全く質問しない。請願者は、「晒し者にされた」と意見しているわけですが、請願者に対して大変失礼な行為だったと思います。私の所にも市民の方から声が寄せられていますが、それこそ無礼ではないかと いうご意見であります。
当該議員には反省を促すとともに、議会としては、昨日も議会運営委員会で提案しましたが、せめて請願者が求めれば自動的に主旨説明や意見陳述できる議会に改革、改善を早急に行うことが必要であると考えます。
以上、反対の理由を申し上げ、懲罰の提案に対して反対の討論といたします。
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市民の声、市民フォーラム、SDGs鶴ヶ丘 共産党 の4会派の反対討論、新政クラブ、公明党の2会派の賛成討論の後、採決となり、新政クラブ、公明党、無所属2名の賛成多数で懲罰が決定。戒告処分となりました。
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コミュニティ新聞2月4日号より。
全体像や、周辺自治体動向をとらえた記事でしたので、ピックアップさせていただきます。
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鶴岡市議会
請願賛成の田中議員を懲罰
沖縄戦没者の遺骨絡む問題
鶴岡市議会は1月25日の臨時会本会議で、議員個人を特定して侮辱する不穏当な発言を行い、議会の品位を傷付けたとして、田中宏議員に戒告の懲罰を科した。最大会派の新政クラブや市議会公明党などの賛成多数で可決した。沖縄戦没者の遺骨が絡む微妙な問題を政争の具とした、とする見方もある。(後藤悟)
政争の具に、との見方も
田中議員は昨年12月16日の定例会本会議で「沖縄戦戦没者の遺骨を含む土砂を埋め立て等に使用する計画の中止を国に求める意見書の提出を求める請願」の賛成討論を行った際に、12月7日の総務常任委員会でのやり取りを取り上げた。
新政クラブの議員が請願の中身でなく、請願者を審査するような質問をしたことを指摘し、「副議長も務めたベテラン議員がそのような発言をされたことに耳を疑った」と述べた発言が問題視され、懲罰特別委員会が設置された。
総務常任委員会の議事録によると、請願者の発言許可願いは冒頭、賛成少数で否決された。一方、元副議長は▽請願団体の会員数や活動歴▽代表者の経歴と請願するに至った経緯▽集めたオンライン署名201筆の信頼性―に関心を寄せ、紹介議員にただした。趣旨説明をしたいと希望しながら認められず、傍聴席で聞いているだけだった請願者はどんな気持ちだったか。
元副議長は反対討論の中で、戦没者の遺骨収集の重要性や「沖縄県民の心情も十分に理解する」としながらも、普天間基地の早期返還の必要性、近隣諸国の軍事的脅威を指摘し、外交・防衛問題で地方自治体が国に意見するのはなじまないとした。
県内7議会では可決
沖縄県の米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐっては、防衛省が埋め立てに使う土砂の採取候補地に、沖縄本島南部を加えたことで、県民感情を逆なでした。住民を巻き込む地上戦となった沖縄戦では、本県出身の将兵776人を含む20万人以上が亡くなった。本島南部では戦後76年半を経た今なお、多くの遺骨が地下に眠っている。
同様の請願は昨年来、沖縄県内をはじめ全国各地の地方議会に出された。辺野古移設への賛否や党派の違いを超え、「人道上の問題」として意見書の提出を可決した議会は多い。昨年11月9日現在で138議会に上る。県内でも、これまでに山形、酒田、米沢、上山、村山、庄内、三川の7市町議会が可決している。
酒田市議会では昨年12月定例会に同じ趣旨の請願2件が別々に出された。20日の本会議では①戦没者の遺骨等が混入している南部地域の土砂はあらゆる埋め立てに使用しない②日本政府の責務として戦没者遺骨の収集を実施する―ことを要望する意見書を衆参両院議長、内閣総理大臣など9人あてに提出することを、全会一致で可決した。