日米ダム撤去委員会ーー穴空きダムはナンセンス
衆議院第2議員会館の会議室で開かれた日米ダム撤去委員会第2回国際会議
「国際的にも求められている治水論の大転換」に参加。
米国NGOアメリカンリバーズ エリザベスバーンバウムさん、オランダ交通水管理省 キースストームさんを招聘し、大熊孝 新潟大教授、岡本尚 森植物生理研究室学者、
今本博建 京都大学名誉教授 五十嵐敬喜 法政大学教授 百瀬敏昭 東海大学講師、といった第一線の研究者たちによる5時間にわたる国際会議。
天野礼子さんのエネルギーには毎度ながら関心する。
今回の会議冒頭には、本日9時から国会予算委員会で激しく追求をしていた前原民主党代表もスピーチし、しばし海外ゲストなどのプレゼンに耳を傾けた。
米国ではすでにダムの時代は終わり、年間役40の小規模ダムが撤去されており、大規模ダムについても検討され結局1999年以降700もの大小のダムの撤去が完了されている。ダムを撤去し、川の自然を取り戻し、結局は鮭がのぼる川にもどす。そして鮭が運ぶ養分を復活し森も回復する。そうした事が常識になっていりう。また
カトリーナ台風被害によって、特に治水のあり方、水源利用計画の変更が必要なことが証明され、米国の大部分の大規模水資源計画に責任をもつ陸軍工兵隊の姿勢の変更が必要なことを力説した。
キースさんは、オランダのハーリングフリート河口堰について、4000年に1回レベルの高潮から守られたが、汽水息などを失い生態系を破壊した代償は大きい。そのため、2008年に水門をあけ、自然のダイナミクスを回復するのだという事について説明があった。
大熊先生からは04年の新潟水害の際、ダムが2つもある五十嵐川で破堤による死者がでるという最悪の結果を招いてしまったことについて、ダムによる治水の限界。また治水政策自体は以前の方がすぐれていたのではないかということについて提示があった。
岡本先生からはダムの堆砂の問題についてのプレゼンがあり、国土交通省の堆砂速度の見つもりなどは現実のものとずいぶん食い違っているなどの提言。
その後、今本先生、五十嵐先生、天野さんをいれてのパネルディスカッションになったが、治水のあり方が世界中で見直されているということを印象づけた。
僕も一つだけ質問してみた。小国最上川ダム計画にも採用されている穴あきダムについて、米国の事例、また、河川工学の第一人者である今本先生におうかがいしてみた。
するとエリザベスさんは、そんな穴などあっても岩や木などが詰まってしまうのがおちなのではないですか。利水用の目的がないのなら、ダムなど造る必要はありません。
と「ほとんどナンセンス」というような姿勢を見せた。今本京都大名誉教授(河川工学)は、「穴あきダムなんていうのはインチキだ。治水専用でも環境への悪影響は大きい。ダムではなく河道改修や堤防強化などを優先すべきだ」と語りました。
米国では700ものダムを撤去して川の再生がはじまっている。日本では3000以上のダムをつくって、いまだに150ものダムを建設しようとしている。そしてトレンドが「穴あきダム」だ。天野さんが「今日、エリザベスさんがいいおみやぎをくれた。それは米国でダムをつくろうとすると、地域の自治体で25%の資金をださなければつくれないそのしくみだ。大熊先生の本に「技術にも自治がある」という本があるが、まさにそこに問題がある。日本ではダムをつくろうとすると県営ダムであってもほぼ9割以上国から建設費用が捻出される。小国川ダムについてもまさにそのためだ。
とにかく「穴あきダム」は米国のNGOに笑い者にされた。ダムを造り続けた河川工学者も疑問をあげている。山形の最後の清流にこんなナンセンスを許してはいけない。