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宇井純先生の志を胸に。


本日は、宇井純先生の葬儀がおこなわれた日でもありました。
11月11日にお亡くなりになった宇井先生。
私は2000年の12月、山下弘文氏を追悼する意味も込め、おこなわれた長良川デイ2000(http://kjc.ktroad.ne.jp/001217repo.html)
で先生の講演を聴きました。
以下、その時のルポよりーーーー

 反公害闘争の先駆者である宇井純・沖縄大学教授は、具体的に下水道をとりあげ、日本の公共事業がいかに環境を破壊し、ムダの多いものであるかを話した。
 かつて日本は、経済成長にばかり夢中になり、公害患者に対しては非常に冷淡だった。労働者を酷使し、自然を破壊し、農村漁民を工場にかりたて、“追いつけ追い越せ”でやってきたが、国民生活はいっこうに豊かになっていない。また、下水道にみられるように、“大きいことはいいことだ”でやってきた。
 いま、日本の行方やあり方を考えると、ずっと間違った道を歩んできたと思う。日本の環境問題についていえば、70年代後半からの20年間は“失われた20年間”であったと考えている。
 アメリカのように基本的なことを教える教科書に相当するものが、日本にはない。たとえば、下水道についていえば、その実態や問題点などを国民は知ったり、考えることができない。だから、役人が勝手に好き放題にやっている。下水道工事は、とんでもない伏魔殿となっていて、金をいくらかけても国民生活には役に立たないものになっている。いまの下水道は、工事が進めば進むほど自治体財政を圧迫し、住民は負担がどんどん増すことになっている。逆に、工事の進み具合をストップしたり、規模を縮小したり、小規模なものに転換すれば、自治体が喜ぶようになっている。
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杖をつき登壇した、先生の力強い口調は、当時、鶴岡水道の住民投票活動に打ち込んでいた僕の心に大きな励ましとなって響いていたことを今も覚えています。

先生は、水俣病の公害の問題の他、下水道問題、石垣空港の問題など、環境と公共事業の問題にずっと取り組み、政府の言うなりになって発言する「御用学者」に対し、市民のサイドにたって真実、真相を究明し、反論、時に企業や行政に対し訴訟を起こす側に立つ研究者を貫かれました。
   御用学者たちは、「今後の出世のために」「また仕事が県や国からもらえるように」と、はっきりしたことをいわず、そして時には真実を隠し、政府や自治体の都合のいい事だけを言います。
これまで政府や自治体の審議会、委員会第三者機関の「有識者」のほとんどが、こうした「御用」学者だけか、それに偏った形だったのではないでしょうか。
    田中康夫氏が知事として在任中の長野や、そして、全国の川の流域委員会では淀川水系流域委員会が、とても稀な形として、「御用」学者偏重でなく「真の公益」を軸とした「市民視点の研究者」を構成した第三者機関をもうけることができたのではないかと僕は思っています。
   ダム問題、原発の問題、下水道、薬害エイズ、GM、溶融炉、ダイオキシン問題,バイオ、、、全てにおいて、「真の公益よりも出世のため、研究費獲得のため、私欲のため」に動く「御用」学者がいる事を。また、御用でいなくてはならない立場にある研究者がほとんどである事を、私たちは知っていなければならないと想います。
  そして、宇井先生を代表とする、「万年助手」であっても、研究費を獲得できなくても、「真実を追求し、真相を明らかにし、住民のために尽くす」、研究者が少数ですが、存在することを私たちは忘れてはなりません。
  そして、公共事業の現場では、先日、新庄で菅直人さんも指摘されましたが「常につくる」側にインセンティブが働き、御用学者を動員し、理論構築していることを注意深くチェックしないといけない。ということだと思います。
   小国川の問題では、全国で最も、公益を貫いて議論をしていると評価されている淀川水系流域委員会の委員長である京都大学名誉教授 今本博健先生、又、長野や新潟の流域委員会の委員でもあり、全国各地のダム問題で対案としてのダムに依らない治水を唱え続けてきた大熊孝 新潟大学教授にご参画いただいています。まさに、お二人とも、宇井先生と同様、私利私欲ではない、真の公益に立脚した、研究者です。

  山形県でおこなわれている最上川流域委員会は、まさに「御用」学者で固められた流域委員会と指摘されても反論できないでしょう。

本来、私達の税金を使い、公益のために使われるはずの公共事業の多くが、実は「ある意志」に偏ったかたちで進んでいる事をもっと私たちは知らねばなりません。
  
今年おこなわれたボランティア学会では、学会代表の栗林先生から、宇井先生が、ボランティア学会で「私にとって、公害問題に取り組むことがボランティアだ」と名言されていたとおうかがいしました。
   
   僕も、災害ボランティアも、ダム問題も、全く同じ志で動いています。

宇井先生の志を、山下弘文氏の志を、デビッドブラウアーの志を胸に。 行動しましょう。