知事が穴あきダムを採用。「最上小国川を穴あきダムの実験台にするのか」
知事が穴あきダム案を採用と発表。
先日提出した公開質問状に答えることなく、また、今本名誉教授らとの再協議をすることなく、一方的な県土木、また国土交通省の情報のみで、判断した斉藤弘山形知事の姿勢は、市民サイドの声に立脚した田中康夫元山形県知事とは、全く違うものだとうことが明らかになった。
声を大にしていいいたいのは、
「山形の誇る清流、最上小国川を穴あきダムの実験台にするのか?」 ということだ。
ほとんど実績データ全く科学的根拠も示されないのに、穴あきダムが環境にやさしいダムなどといっているのは、全くおかしなことだ。現地にいってみてわかったのだが、この穴あきダムというのは、「堆砂」を排泄できる新たな方法というだけだ。結果として河道が上流部とつながり、運がよければ魚類がダムを通過できるという類のものだ。
下に穴がある分、上流や減水地プールに貯留した土砂やヘドロがじわじわと流れ続けるおそれがある。実際、川辺川流域の下に穴がある砂防ダムで、ずっと濁水が流れ続け、アユに深刻なダメージを与えているという報告がある。
それから、そもそも赤倉温泉地域の温泉街だが、川沿いに建ちすぎ、中には河道にせりだしているものもある。これは以前から景観的に問題があると住民自ら指摘されている。こうした温泉街を再生しながら拡幅したほうが、将来的に有利だというのが、私たちの代替案だ。
いかなる洪水にも対応でき、環境に甚大な影響を与えず、なおかつ日常的にも役に立つ治水。これを今本博健 京大名誉教授は「真の治水の3要素」という。
世界の潮流はとっくの昔にこうなっている。なぜなら、ダムを撤去しなければならない時代を迎え、その経済合理性が完全に崩壊しているからだ。そもそも河のそばで危険なところに立地している家屋などを移転し、河をダイナミズムのある自然のままにもどす。
実際、ダムが2つもあったのに、18名もの死者を発生させた新潟五十嵐川流域では400軒の移転をさせる計画が進んでいる。
そして、来年度から国土交通省は、「あふれる治水」を掲げ、新たな治水策へのメニューを創設しようとしている。
こうした時代に、この斉藤弘 山形県知事の判断というのは甚だ疑問だ。
「脱ダム宣言」の本意が全くわかってないな。この人は。
「改革派」としても「官僚の声は聞く。住民の声には聞く耳もたず」の姿勢だ。
市民サイドにつく、田中康夫 元長野県知事、かだ 滋賀県知事、潮谷 熊本県知事とは全く異なる姿勢の知事だということがはっきりした。