一般質問その1、バイオ研究投資について
一般質問。原稿、要旨を書き起こしたものを掲載しております。
はじめにバイオ研究投資について
「こうしたことはマニュフェストになじまない!?」
バイオへの投資事業
少子高齢化、人口減少。今、1000兆円もの借金をふくれあがらせている国の、三位一体の改革の名のもとで国、県からの交付税や補助金が削減され、合併にかかわらず地方自治体は大変厳しい時代を迎えています。
今年の6月20日、夕張市が500億円を超える負債をかかえ、財政再建団体になったニュースはみなさん記憶に新しいと思います。
当市の市民事情でいえば、
国の制度変更によるものもありますが、今年になってから 年金受給者の内、課税対象者が数千名も増えたり(約4000名)7月には、国保税、介護保険料の負担増。また、最近ようやく改築計画が発表されましたが、築40年以上の老朽化した小学校の問題、昨日も路線バスの廃止の問題がとりあげられておりました。
まさに公共サービスの低下と、市民への増税をともないつつ、現状の実質経済比率17.9%というのが鶴岡市の現状であります。
私たち議員は、さらに厳しい目をもって、行政施作をチェックし、見極めていかなければならないし、行政施作が、きちんと市民のコンセンサスを得ておこなわれているかを改めてチェックしなければならないと考えるものであります。
さて、先日、慶応大学先端生命科学研究所のオープンキャンパスがありまして、説明を受けました。
約15億円で建設した真新しい貸し事業所 メタボロームキャンパスや慶応大学の研究所には、一セット約5千万円とうかがった世界最先端のメタボローム解析装置が、全32セットあり、こんなに恵まれた環境はない。世界最大規模のメタボローム研究所なのだという、自慢げな説明を受けました。
アドバイザーとして日経バイオ紙の宮田氏は、現状で、この研究所は機材なども最先端でトップクラスだが、このトップレベルを維持することというのは経済負担も伴うし、とても大変なことなのだということを示されておりました。高額な最先端の機材は早いもので1年で更新されるものであるからです。
増税とサービス低下に苦しむ多くの市民の生活とは完全に異質な 非常に贅沢な世界だなという印象でした。
この研究所には、市では土地、建物の他、研究資金約40億円の支援の上に、今年からは5年間補助金として市は3億1千5百万円、県とあわせて年間7億円の税金の投入がおこなわれる事は以前にも指摘したとおりであります。
先日も、現状の行政事業に対し、市がやるべきもの、県、国がやるべき事、行政事業として不要で民間でおこなうべきものを公開で外部委員も入れ、検証する 事業仕分けという改革手法の学習会がありましたが、今、財政難の時代。多くの自治体は、これまでの経営のやり方を変え、まさに聖域亡き改革として、すべての事業や業務、補助金交付事業などについて全面的に一度検証し、見直しをおこなっております。
そんな中で、これまで累積40億円、そして先般の協定により今後5年間年間3億円、もの市税投入が約束されているこの支援事業は、まさに「聖域」とえるのではないでしょうか。
当初の大学プロジェクトとしては、酒田、鶴岡ともにほぼ同様の財政支出をおこなってまいりましたが、特に今年度からの支援のあり方は、酒田市と鶴岡市では全く異なります。
ちなみに、酒田市では、現在大学に対して研究費などを支出することはほぼありません。大学は、大学生の学費によってまかわれるため、その自主資金によって経営がおこなわれている。これは当然のことであります。
しかしながら、鶴岡市の慶応大学の研究所の場合は、研究棟の中にいるのは学生ではなく、皆さん給料を得て、研究をされている方々であります。
鶴岡市では、この研究者の皆さんに市、県の補助金から人件費を含む研究費用を捻出しているという実態です。昨年までは約1億4千万円。そして今年からは県、市から拠出される7億円の補助金の内、今般情報公開で入手した情報によれば1億3千7百万円がさらに加わり、約2億8千万が、人件費として支出されると認識しています。
先般、研究所で100名雇用が発生している旨の説明がありましたが、その多くはこの多くが莫大な補助金によるものでして、正確な把握が必要であり、喜んでばかりもいられません。
この事業の説明を問われると、当局は、若年層を定着させるための新しい産業支援のあり方なのだ、都市戦略なのだという一言で片付けられております。今般の総括質問で若年層の定着、就業機会の拡充、バイオを中心とする産業化の可能性の展開への先行投資なのだ。ということ。」が市長から語られておりました。
これまで、企業誘致などのために、土地の造成、や一定の融資が公的支援のあり方だったところを、地元自治体の公的資金を捻出し、土地、建物を提供して、研究所を誘致し、さらに、研究費まで市税でまかなって、研究員の給料まで捻出し、起業化に結びつく産業としてバイオベンチャーを育成するシーズを形成する。地域の産業クラスターの土台を形成する。という手法をとり、これが、先般の大学側との協定により、今後5年、継続しようとしているわけです。
バイオの投資というのは、莫大な資金を長期にわたっておこなわないと成果に結びつかないというのが定説になっているようですが、本来はヴェンチャービジネスに投資する民間投資機関、ベンチャーキャピタルや、エンジェルといわれる個人投資家、つまり民間が本来おこなうべき事を、この鶴岡では市税でおこなっているという事ではないでしょうか。
これだけ厳しい時代とにおこなわれている、これだけ巨額といえる公共投資が、ある種特殊なかたちでおこなわれているのですから、行政、議会ともに、結果責任が問われるのはいうまでもありません。
▼さて、質問ですが、これまでの5年間、この研究所への国からの支援は約20億円と県担当者からうかがっております。したがって、この5年間であっても市と県のほうが直接の国からの支援よりも余計に支出してきました。
まず、今年度のそもそも慶応の生命科学研究所の予算の全額はどれだけて、そのなかで地方自治体からの補助金の割合はどのようになっているか、伺います。
▼ 慶応大に属する助教授、教授などを含む人件費の解釈に対して、市は前回、「研究活動に対する支援という意味合 いにおいて、人件費の補助をしている」限りにおいて、何ら問題がないと認識している。と答弁されておりました。ならば研究ならばなんでもいいのでしょうか。先日のオープンキャンパスの際に、研究についても説明をうけましたが、それぞれ比較的自由にテーマが設けられ、おおらかに研究がおこなわれておりました。
私は、なぜ、こんな全く鶴岡市民のサービスや鶴岡の資源と無関係なテーマの研究に市税を投入しなくてはいけないか、大いに疑問をもちました。
医療バイオ、環境バイオ、食品バイオの研究といいますが、研究内容が記載された補助金申請を受けて、市や県はどのようにその適正を判断し、補助決定をされているのでしょうか。
▼次に結果責任という視点でありますが、
研究所の成果がどういう道筋で県民や市民に還元されるのかその方向性を市当局は明らかにする義務があるし、納税市民は知る権利があると思います。
この事業は、ただ、進捗状況が述べられるだけで、財政支出がおこなわれるたぐいの事業ではないと私は考えます。
先日、オープンキャンパスに参りまして、説明を受け、先生方に市民への還元についての姿勢を聞く機会がございましたが、、そのお一人の先生は、「製薬企業の誘致や新規創設、と農業への応用」という事を掲げておられました。またもう一人の先生は、還元にとらわれず、常に最先端を走り続けることが何よりも戦略。とお答えになっていました。それぞれ、一定の方向性をお示しになったとは思いますが、漠然とした、方向性が語られたのみと感じました。
市の今までの説明も、そうした研究所側の漠然とした進捗状況がただのべられているにすぎないと感じます。
この事業はただ、進捗状況がのべられるだけで、財政支出がおこなわれるたくいの事業ではないと私は考えます。
要するに、市長はよく都市戦略というものの、市も県も同等に全く確固とした戦略が練られていないのではないでしょうか。
私は、これだけの市民の税が、投入されている事業について、市民への果実とは何なのか、これまで40億円で積み上げてきた成果は何で、何が担保されているのか、これまで以上の数年に及ぶ税の投入によって何が企業誘致、雇用のところまで、何が約束されるのか、段階を追って、筋道をたてた目標と市民との約束 まさに、マニュフェストが述べられるベキであると考えます。
そうした市民と明快な成果目標の共有と、約束なしに、こうした投資事業は進められるものではないと考えますし、それなしに、議会もチェックもできないのであります。
ぜひ、中長期的な成果目標を示し、市民に対する約束というべきマニュフェストをお示しいただきたいのですが、いかがでしょうか。
▼次に公益性といった軸での適正についてでえす。
バイオベンチャーの育成。バイオクラスター事業ですが、これはすべて公益的事業として、市民からの税金を投入するに適切かという論点がひとつあります。
まず、最先端のバイオ研究がもたらすものとしては、市当局としては超最先端で玉上のように語られますが、先日から、すこしばかり議論しているように、バイオベンチャーの花形といわれたGM作物などでは環境汚染、多国籍巨大企業による種の支配など、まさに企業利益のみが優先され、伝統的な農業が消滅するという世界的な大きな社会問題が発生しているということであります
以前バイオの研究の現場にいらしたという市民の方から、以下の指摘もありました。
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●●近年の生命科学分野の著しい発展については、ヒトDNAの解読、ES細胞、クローン研究をはじめ、農業部門ではGMO作物開発など基礎研究が進展していることは十分に認識しているつもりです〔実は私自身つくば研究学園都市の一研究所でこの分野の研究管理をしていました〕。これらの研究は確かにその応用が期待されるところですが、それを支える生命倫理、安全安心の問題をめぐって、科学者と市民との間に大きな溝が残されているのが現状です。こうしたなかで地域都市が産業振興を期待して市民の大切な税金を多量に投入することはいかがなものでしょう。その成果が地域産業の発展になるというならば、さらに具体的な説明責任が市側にあるのではないでしょうか。
山大の食の都構想などにはごく微々な研究助成とのこと。私はこういった地産地消を守り発展させる研究分野「遺伝資源の保存」こそ多くの予算を付けて庄内農業発展さらには周辺産業の発展に寄与することになるのではないでしょうか。
というものです。。
▼要するに、長期的な視点をもてば、研究について、この地域にとってふさわしい研究かどうかという視点もをふまえなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
研究や、企業の方向性に対して一定の制御をおこなうことも、この事業を公共事業として進める市の役割ではないですか。お考えをうかがいます、。
●総務部長 (答え)
慶応の研究でありますが、どなたか先生、おっしゃったか知りませんけれども、これまでの5年間で、世界でも類を見ない、革新的な研究を確率するために様々な研究分野を結集しまして、基本的な研究から始まりまして、世界的に最先端の優秀な研究成果をあげておられる。ということで、研究分野の中には、応用分野の研究に取り組む段階のものもでてきたということで、実体的にもインキュベーション施設、産業支援センターでありますけれどもその方に我が国の代表的研究所であります理化学研究所が進出しているということ事態を見ましても、慶応の研究がいかに着目されておるかという実体的にも証明されていると思っております。
そうした中で、研究所が目指す、研究基礎を今後とも支えていくという必要性がある大変重要な時期にさしかかっているのだろうと思います。そういう意味で、慶応大学の基礎研究を拡充し、加えて具体的な応用研究に取り組もうとされている分野もでてきているわけでありますので、これについて、県とも一緒になりまして、研究基盤として支援を継続していこうということにだしたものでございます。
で、いろいろご質問ありましたけれども、予算の関係でありますけれども、今年度から、県、市あわせて7億円ということでありますけれども、そういう意味では慶応の研究所の幅広い研究活動の基礎的な研究を支えるというための役割を担うことができているのではないかと思いますけれども、慶応の研究所自体も国の競争的な資金でありますとか、他の民間機関からの資金等外部