24年9月一般 1)人工芝とマイクロプラ問題 2)給食センター 3)三瀬矢引風車
2番(草島進一議員) それでは、一般質問を行います。若干順番を変えていきます。 まず初めに、人工芝とマイクロプラスチック問題について質問をいたします。 鶴岡病院跡地の人工芝サッカー場については、現在建設計画が進行中だと思いますが、昨今、人工芝について深刻と言える環境問題として、国際的に、また国内で指摘があることを私自身再認識をいたしましたので、市の認識と対策を確認したいと思います。 まず、人工芝は人や環境への影響が懸念されるマイクロプラスチックの発生源であるということであります。世界で年間700トン、日本国内で約22トンのマイクロプラスチックが人工芝から流出している。日本国内では、流出したマイクロプラスチックのうち約20%を人工芝が占めているという試算があります。 人工芝は、芝の緑の葉の部分のパイルと、それを充填するチップから成るのですが、特にチップについて、2023年4月26日、EU加盟国はポリマー製インフィル材の市場投入を8年間の移行期間を設けつつ禁止するという改正REACH制限案を支持いたしました。これは、ポリマー製インフィル材を含む既存の人工芝フィールドが耐用年数に達するまでは維持するけれども、8年の移行期間後は、ポリマー製インフィル材を含む人工芝の販売は禁止されるということであります。 また、人工芝には有害な化学物質が含まれているとの指摘があります。緑の葉っぱの部分には、UV―328、ノニルフェノールなど内分泌攪乱作用物質、また充填材として使われるゴムチップは、毒性の高い鉛や酸化クロムなどの重金属のほか、また発がん性物質を含むPAHsや、内分泌攪乱作用のあるフタル酸エステル類などの有害性が指摘されています。米国では、人工芝から人体への影響が懸念されるPFASが検出され、アメリカのボストン市では公園への人工芝を禁止しているとのことであります。 国内でも、2018年6月改正の海岸漂着物処理推進法においてマイクロプラスチック対策の強化が盛り込まれ、G7広島サミットでは2040年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする、野心をもってプラスチック汚染を終わらせるとの宣言がなされております。今年5月28日には、マイクロプラスチックの流出抑制については、人工芝を使用する施設管理者や利用者に対して周知・協力を求める事務連絡が行われ、その中で環境省は事業者と作成をした対策リーフレットを紹介しているようです。 また、自治体としては、東京都多摩市では「テニスコート砂入り人工芝におけるマイクロプラスチック流出抑制対策ガイドライン」、大阪府では「大阪府内の人工芝施設におけるマイクロプラスチック流出抑制に関するガイドライン」を定め、流出抑制対策が取られているようです。 この8月22日には、WWFジャパンなど減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク及び賛同する36団体が、文科大臣にスポーツ振興くじの助成の見直しを求める要望書が提出されたところであります。 質問しますが、市としてこのマイクロプラスチックの問題や、有害物質として指摘されている人工芝の問題の認識と、実際今後のサッカー場への人工芝導入への対策をお伺いしたいと思います。 ◎教育部長(永壽祥司) ただいま、マイクロプラスチック等の問題の認識、そして今後の対策につきまして質問がございましたので、順次お答え申し上げます。 まず、このマイクロプラスチックにつきましては、暮らしの中で排出するプラスチックごみが環境中に出て、紫外線や川・海の流れの中で徐々に砕けて小さくなったもの、こういったものを指しているわけですけれども、昨今、全国各地におきまして、人工芝グラウンドを新たに整備する際に既存の人工芝を張り替える、改修されている、そういった状況もございます。 その人工芝を含むプラスチック製品の一部がマイクロプラスチックとなりまして、河川や海洋に流出し、それを海洋生物が摂取することで生態系への影響が出ているということにつきましては、環境省におかれましても「海洋プラスチックごみに関する既往研究と今後の重点課題」として報告していることにつきまして、教育委員会としても承知しているところでございます。 また、ただいま人工芝の緩衝材となるゴムチップにつきましても、EU加盟国の対応、あるいは化学物質含有等の情報を今議員から情報提供いただきましたので、そのような懸念事項についても共有してまいりたい、そのように考えております。 続きまして、対策についてでございます。 環境省では、人工芝からマイクロプラスチックが流出していると、こういった事態を受けまして、スポーツ施設、グランド等の設備について設計あるいは施工を行う、あるいは管理を行う者に対しまして、適切な使用と適切な管理を行ってマイクロプラスチックの流出防止に向けた協力の依頼、これが発出されているという状況でございます。 また、お話にありましたように、公益財団法人日本スポーツ施設協会においては令和3年、大阪府では令和5年にこの流出抑制に係るガイドラインを策定しまして、海洋中の生態系にこれ以上影響を与えない対策について取組を紹介されております。 今後の具体的な対応としましては、例えばまず抜けにくい耐久性の高い人工芝を採用する。あるいは、抜けた人工芝が外に出ないようグラウンド内で捕捉する、除去する。また、それでも雨などでグラウンドの外に人工芝が出た場合に備えまして、排水路にフィルターを設置するなどの対策によりまして、マイクロプラスチックの流出抑制ができるものと考えております。 本市の人工芝グラウンド整備事業につきましては、令和9年度の供用開始に向けて、来年、令和7年度に実施設計を予定しておりますが、こうしたマイクロプラスチック流出抑制策などについて設計の中に盛り込んでいくことを検討してまいりたいと存じます。 マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響につきましては、現在世界中で研究が進められており、今後新たに対応すべき課題が生じる可能性もございますので、こうしたことにも留意しながら施設整備に努めてまいりたいと、このように考えております。以上でございます。 ◆2番(草島進一議員) 御回答ありがとうございました。 今、人工芝のグラウンドを造ろうとしているわけですけれども、今もありましたが、何を採用するのかということをしっかりと吟味していただきたいし、この間技術開発も行われるんだと思います。何を採用するかの段階でしっかりと適切なものを選択するということ、それから流出抑制については、今いろんなことが、実際行われているところがあります。それについては、ガイドラインの策定も含めてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 今年の末には、国連環境計画の国際プラスチック条約、これが締約予定ということであります。人工芝のことも通じて、海に面する我が市としても、この海洋マイクロプラスチックについて子供たちへの教育、まさにESDとして関心を高めたり、また究極は脱プラスチック社会へのライフスタイルの転換を提示したりしつつ、これは教育行政・環境行政一体となって取組を前に進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。 次の質問、給食について行います。 先日、総合教育会議の議論を伺って、説明資料も併せて拝見しましたが、何だかPFIの事業が既定路線のような感じに捉えられ、正直違和感を持ちました。 市長もよくお話しになる給食の発祥地であり、ユネスコ食文化創造都市鶴岡の給食として、私としては自治体行政施策として、まさにバックキャスト的に高い理想を掲げた明確な目標と方針があって当然ではないかと考えるものであります。 まず、PFIについてですが、一般論で申し上げます。PFI導入は、コスト削減や効率化を重視され、食育や地産地消など、鶴岡市が長年培ってきた給食の価値観を損なう可能性がある。地元の食材や調理業者との連携が鶴岡市の給食にとって非常に重要でもあるにもかかわらず、PFI導入によって大規模な民間事業者などが参入すると、地元業者が排除され、地域経済に悪影響を及ぼすだけではなく、新鮮な地元食材を使ったおいしい給食を提供することが難しくなる可能性がある。また、PFI導入によって給食の質が低下したり、柔軟な対応が難しくなったりすると、食育の推進にも支障が生じる可能性がある。これは、かなり一般的な見方ですけれども、PFIを導入した場合、こうした懸念、指摘は避けられないものだと感じます。 今、全国の給食の動きとしては、千葉県いすみ市などを筆頭として、安全・安心なオーガニック給食を実現しようという動きがあります。いすみ市は、市内の有機農業者ゼロの状態から、公共調達として給食で有機米を採用し、4年間かけて、2017年には給食の米を有機米100%にして、2018年からは有機野菜の供給も開始し、現在8品目を組み入れた給食にした自治体として知られております。 ほか、地元農協と組んで有機米やオーガニックの野菜を給食に組み入れようとしている茨城県常陸大宮市など、地域の農政のモデルづくりとともに、自治体の政策としての給食が行われています。 昨年訪れたユネスコ食文化創造都市2番手の大分県臼杵市でも、有機農業を促進する堆肥センターに投資するだけではなく、給食の食材として地元の野菜や有機野菜を時には職員が集荷などしつつも、地元の生産者や有機農業者を支援する取組が行われていました。 このようにして、給食を自治体の独自政策として真正面から取り組んで、子供たちに理想の給食や理想の農業の形を実現しようとする自治体は、じわじわと動きを見せております。また、こうした有機や地産地消率を高めるために、以前も紹介した災害時に迅速に温かい食事を提供できるようにと、愛媛県今治市、福岡県宗像市、新潟県五泉市をはじめ、センター方式から自校給食に切り替え、自校給食を実践する自治体もじわじわと増えているようであります。 こうした、本質的によりよい理想の給食を目指して行動している自治体の潮流からすると、鶴岡市の今のPFIの議論は筋が違うようにしか思えません。 これまで給食の発祥地として、またユネスコ食文化創造都市として、食文化については歴史的に違いを作り出し、全国から注目されてきた当市としては、まさに世界一と言える給食を目指して、とことん理想形で突き進むべきではないでしょうか。質的にいえば、おいしい給食というのは言うまでもありませんが、持続可能な給食として地産地消率・有機農業率をどこまでも高めていくということであり、例えば食文化創造都市の重要要素であり、生きた文化財としての60種類の在来作物の生産を給食の公共調達として支え、維持を図るなど、小規模ロットで地域の農生産者や食品加工者と密に結びつき、農業の在り方、食の在り方を学び、支援をし合いつつメニューを展開する。例えば、アリス・ウォータース氏が米国、バークレーで創設した学校でのオーガニック菜園、エディブル・スクールヤードなど、有機的に人と人との関係性を構築していく農業や食の在り方を求めていくことではないでしょうか。 こうした政策というのは、真新しいセンターに小手先の機能を盛り込んでも実現できないことだと考えます。給食の発祥地であり、ユネスコ食文化創造都市としての給食の在り方、世界一の給食とは何か、どんな政策が必要なのか、それを実現するにはどんな仕組みや施設が必要なのか、またその給食での公共調達によって、我が市の農業政策をいかに持続可能なものに転換させていくか、これは総合してしっかりと考え直していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。見解をお伺いします。 ◎教育部長(永壽祥司) ただいま、学校給食につきまして、世界一の給食、よりよい給食を実現するための施策、また公共調達と農業政策も含めた今後の取組、こちらについて御質問がありましたので、順次お答えしたいと思います。 まず、PFI手法で、食育あるいは地産地消などの我が鶴岡市が長年培ってきました給食の価値感が損なわれるのではないかという御懸念がございました。 現在、我々のほうで行っているPFI等の事業手法の検討につきましては、今年3月に策定されました鶴岡市のPPP/PFI手法導入の優先的検討規程に基づきまして、狭い意味、狭義でのPFI手法だけではなくて、包括的民間委託やデザインビルド方式など、多様な方式を検討の対象としております。また、画一的に民間に事業を全て委ねると、そういった観点だけではなくて、官民の役割分担、つまり今後も市が担っていく、行っていく業務、民間に委ねていく、お願いしていくことができる業務について、よりよい給食を効果的・効率的に提供するという観点から、最も有効な手法について、できるだけ細かく整理・検討しようというのが現在の作業となっております。 例えば、献立作成業務、食育指導につきましては、引き続き市が担っていくということで、鶴岡の食文化を生かした給食の提供、あるいは食事そのもの、郷土に対する関心を高めることが可能ではないかと思っております。また、在来作物をはじめ、地元食材の活用の観点からも、その官民の役割分担の整理は重要であると考えております。 給食発祥の地であり、国内初の食文化創造都市であります本市の給食については、おいしく安全・安心で、食文化の継承につながるという基本構想の実現が何より重要でございますので、これを達成させる観点から検討を進めてまいりたいと、そのように考えております。 続きまして、給食での公共調達と農業政策についてお答えいたします。 現在の地産地消の取組といたしましては、野菜では、鶴岡、たがわ、2つのJAと4つの協力農家組織、計6団体と協定書を締結いたしまして、品目や納入量の拡大に努めております。また、魚介類では、県漁協との間で新しいメニュー開発等によりまして、使用率の向上に努めているという状況でございます。 有機給食につきましても、年2回ではございますが、鶴岡産有機つや姫の提供、あるいは有機栽培ベビーリーフを使った献立を提供している、こんな状況でございます。 さきの総合教育会議では、鶴岡らしい特色ある給食を実現するために、その方向性の中で、食材調達方法の拡充といたしまして、例えば市内の生産者との連携体制の構築、あるいは地元産品を活用するための支援策を挙げております。そして、これらを推進していくために、教育委員会だけではなく、農林水産部はじめ関係部局と一緒に、全庁的な体制で専門的な検討を行っていくというふうなことでお示しさせていただいたところでございます。 鶴岡市の新しい学校給食センターは、教育委員会だけが所管して進めるというものではなく、ただいま申し上げたように全庁的な体制で、学校給食発祥の地であり、食文化創造都市鶴岡にふさわしい、鶴岡らしい特色のある給食の実現が求められていると考えております。この中で地元産品の活用など、新センターの整備を待たずとも取り組める事柄につきましては、できるだけ早く検討作業を進め、具体的な取組につなげていきたい、このように考えております。以上でございます。 ◆2番(草島進一議員) 説明ありがとうございました。ちょっと確認したいんですけれども、括弧つきのPFIみたいな形の提示があったと思います。あくまでPFIで進めようという、そういう見解、そういう方向性なんでしょうか。独自の市の施策としてやらずに、民間事業者を含めたPFIとしてやっていこうという方針なんでしょうか。確認します。 ◎教育部長(永壽祥司) 先ほど、狭義のPFIだけでなくというふうに申し上げましたけれども、これからも市が担っていくこと、あるいは民間が担っていくと、ここを丁寧に整理していきたい、そういう考え方でございます。 ◆2番(草島進一議員) 先ほど紹介しました、PFIの一般的な捉え方がある。今私が紹介したのは、基本的には独自の自治体政策として、自治体が主体となって、総合政策として展開する給食の在り方であります。この給食というのは、まさに教育ももちろんなんですが、農政にも、そして環境行政にも自治体として介入できる大きな総合政策だと思うんです。この総合政策としての給食の考え方、ぜひこれ市長の総合政策としての給食の捉え方、改めてちょっと確認をしたい。ぜひ御見解をお伺いしたいと思います。 ◎市長(皆川治) まず、先ほど草島議員さんからPFIのお尋ねがありましたけれども、私は草島議員さんが思っているような狭い意味でのPFIということにはならないというふうに思っております。この鶴岡らしい給食を実現するために、これまで行政が担ってきたこと、また民間にお願いできること、これをしっかり整理していこうというのが基本的な考え方でございます。 また、今センター方式を取っておりまして、この改築ということで進んでいくわけでありますけれども、草島議員さんからは行政としての主体性というお話がありましたが、それも重要だと思いますが、私は地方自治というのは住民の自治、それから学校の自治、こういうことを大事にしていくべきだろうというふうに思っております。 このたびの、例えば五小改築におきましては、自校給食というようなことにはならなかったわけでありますけれども、住民の方々、またその学校の方々が地域づくり、それから学校づくりにおいてそういうことを求めるということであれば、私はそういった議論も排除しているものではございません。センター方式ということもこの改築で取り組んでまいりますけれども、個別の議論にもしっかり応じてまいりたいというふうに考えております。 ◆2番(草島進一議員) ありがとうございました。しっかり検討を重ねていただきたいと思います。 では、次の質問に参ります。三瀬矢引風車の問題について質問いたします。 先日まで縦覧されていた準備書で明らかになったのは、今回、出力が4.2メガワット、高さ172メーターの風車を6基建設するというものであります。また、その計画区域から500メーター以内には6軒、1キロ以内には582軒、1.5キロ以内には1,027軒、2キロまでだと計1,195軒の民家が現存するということも明らかになりました。4.2メガワットという巨大風車は、秋田県内では民家がない港湾の洋上に建設されたり、また周囲にほとんど家屋のない仁賀保高原に現存していますが、この巨大な4.2メガワット風車、1キロ圏内に500軒以上、1.5キロ圏内に1,000軒以上もの民家がある事例というのは極めて希有でありまして、私も確認しましたけれども、国内でも国外にも事例がありません。そのことをまずお伝えしたいと思います。 そして、北海道大学、田鎖助教が開発したシミュレーションソフト、H―RISKにこの風車の規模かつ位置で入力すると、約6,000人が入眠妨害、そして約70名が深刻な睡眠障害による不眠症のリスクというのが試算されます。 8月8日の説明会で、事業者はこの風車騒音と睡眠障害の指摘について、「環境省は風車騒音と睡眠影響について蓋然性がない」などと見解しておりましたが、環境省はそういうことは言っておらず、基本的には騒音による睡眠影響については認めております。なので、事業者の説明は何だったのかなという感じであります。 また、この70名の不眠症リスクについても、このソフトウエアというのは残留騒音や障害物の遮音効果について加味されていないので、過大な評価になるとして、事業者は結果を完全に否定をしました。 これについて田鎖助教は、残留騒音と風車音による健康リスクの関連性を示すという科学的知見というのは存在しないため、この開発ソフトウエアではそもそも残留騒音は考慮していないということ。また、障害物の遮音効果ですけれども、2024年度版のISOでは、建物などの影響は入れないほうが適切であるとされている。何デシベルか安全係数として評価すべきであり、それを踏まえれば、この結果はリスク評価として十分有用であると見解しております。 このシミュレーションソフトは、騒音制御学会で査読論文として発表されたもので、41デシベル以上で不眠症リスクが増大するという根拠についても、夜間で37デシベルの規制値を定めているデンマーク、また夜間で40デシベルのドイツなど、国際的に定められた規制値と同じレベルであります。こうしたシミュレーションの結果に全く科学的な根拠も示さず、完全否定する事業者の姿勢というのは全く論外であって、リスクコミュニケーションや説明責任を行うべきアセスの説明を逸脱したものであったと感じました。 田鎖先生らは、4メガ風車であれば、予防原則の安全率を取れば、最低でも2キロメートル以上離すべきと言及されております。世界各地離隔距離のガイドラインがありますが、例えばドイツ、バイエルン州では、テンハー、10Hルールというガイドラインがあって、風車の高さの10倍の離隔距離を民家から離すというものがあります。この10Hルールからすれば、高さ172メーターの矢引の風車1.72キロ以内に約1,000軒以上もの民家が存在するという今回の事例は、完全にガイドラインに違反するものになります。今回、1キロ以内に582軒もの民家があるということでありますけれども、特にこの風車騒音と健康被害の問題において大変大きな問題があるということだと思います。 今、市のガイドラインでは600メーターという値ですけれども、今般の4メガワットという巨大化した風車には対処できないものと考えます。ぜひ信頼できる有識者の方々にも相談し、民家と風車の離隔距離のガイドラインの見直しを行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか、お伺いします。 ◎市民部長(伊藤慶也) ただいま(仮称)三瀬矢引風力発電事業に係る本市ガイドラインの離隔距離に関する御質問がございましたので、お答えさせていただきます。 まず、事業者による環境影響評価法の手続におきましては、配慮書、方法書、準備書、評価書の4段階がございまして、この事業につきましては、これまで配慮書と方法書の手続が終了しており、国からは騒音の生活環境への影響や風車の影、鳥類・植物及び生態系への影響などについて適切な調査・予測・評価を行い、それら影響を回避または極力低減するよう、意見・勧告が出されているところです。 こうした手続を踏まえ、現在準備書の段階に入っておりますけれども、今後県から本市へ準備書に対する意見照会がございます。最終的な事業の認可・変更命令等の権原については、法令上国にあるものでございます。お尋ねの風車発電施設の騒音につきましては、この準備書を見ますと、国の風力発電施設から発生する騒音に関する指針では、残留騒音に5デシベルを加えた値を風車騒音に関する指針値としております。このたびの事業者が縦覧に供した準備書によりますと、三瀬矢引地区を含めた6地区全ての地域では、指針値を下回っているような状況でございます。 本市ガイドラインに定めております離隔距離に関する見直しにつきましては、年々風力発電施設の大型化や出力が増大しているという状況がございますので、国の動向等を注視しながら、見直しの必要性について検討してまいりたいと存じます。 ◆2番(草島進一議員) この騒音のことでいうと、何度も言うようですが、1キロ以内に582軒もある今回の事例というのは非常に希有、ほかにない。ほかにないんです。これは、重要なこととして市として受け止めて介入していただかないと、健康被害を生じる可能性があります。このことはしっかりと受け止めていただきたい。 それと、鳥類のことについてでありますが、昨年、加茂の風車は、マガン、オオヒシクイ、シジュウカラガンなど月1,000羽以上計画地に飛んでいるということで、撤退に至りました。全くこれと同じ状況なんです、矢引の風車というのは。だから、そういうことも踏まえないといけないということ。 また、シャドーフリッカー、これは12軒が年間8時間を超えるということになっています。これ、ないにこしたことはないし、シャドーフリッカーが12軒も発生するということは、いかにこの風車が民家に近いところにあるかということを示しています。 また、住民からは、今回の開発地域に3,500平米必要だということだったり、この作業道もかなり大きなものになり、この改変によって土砂災害を誘発する増災の可能性の指摘もあります。 以上のことから、私はこの計画というのは市からもしっかりと中止、撤退を求めていただきたいと思いますが、見解をお伺いします。 ◎市民部長(伊藤慶也) ただいまの質問に関しましては、本市の権限は限定的である中、事業者へ中止や撤退を求めることについては、本市にとって生活環境や自然環境等の観点において重大な影響、あるいは手続上の瑕疵など明確な根拠が必要と考えております。 本市といたしましては、今後県からの意見照会に対しまして、市民の声や市環境審議会での委員の声などを踏まえ、国が示す指針等を確認しながら、自然環境、住民生活等の観点から準備書の内容を十分精査し、意見を取りまとめてまいりたいと存じます。