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自然資本経営の時代。


自然の価値を踏まえた自然資本経営の必要性について。3年前の9月、初めての議会質問の際からダムの問題を巡って県政に働きかけてきました。

なかなか表すことのできない、、自然がもつ価値。

 

小国川にアユ釣りに来る3万人の方々を試算すると年間22億円。ダムで環境が破壊されると年間10億円の損失になると、議会活動の初っぱなに取り組んで、近畿大有路先生からはじめて「自然資本の価値」について評価した値を算出していただき、提言してきました。

県は、その時の質疑やこれまで、「流水型ダムなら環境に影響をほとんど与えないから、それを評価するに値しない」などと無視を決め込んでいました。

今般、今年8月に国際的なアユの研究者であられる川那部浩哉先生らから提出された意見書で「流水型ダムでも環境に影響を与えるので、その損失を計算にいれるべき」とされたものを提示しました。

県はずっと「環境に影響をあたえないから大丈夫」だとしてきました。しかし今、それは根底から覆っているのです。

先般、エコロジカル経済学の先人であるハーマンデイリー氏の講演があり参加しました。世界銀行の上級エコノミストです。彼はまさに自然資本が人間の営む経済の根底にあるというピラミッドを示しています。

以前からデビッドブラウアーの「地球を失ったらどんな経済も成立しない」を引用してきましたが、ハーマンデイリーの定常経済の考え方の根底には自然資本がありました。

私たちの山形県は、農林水産業を基幹産業としているわけですから、まさに自然資本が根底にあります。

庄内でいえば、月山から成る水系で農業がはぐくまれています。食文化は、赤川扇状地の地下水の文化がそれを支え続けてきました。

内水面漁業でいえば、自然資本である川の生態系がその漁業の根底を支えている。だから、その根底を支えている生態系の力を失ったら、その上で何をしようとしても経済が営めないのです。

沼沢組合長がずっと唱えていた「川本来の力を失ったら漁業振興にならない」は、まさにそれを言い得ており、川那部先生もまさに理に適った考え方と評価されておられました。

今、県が進めようとしている「ダムを前提にダムをつくってもダムのない川以上の清流を求めて」という漁業振興策は、全くこの理に適いません。

それともう一つ。アベノミクスの国土強靱化、原発再稼働、とにかく市場経済優先の方向性は、まさにこの自然資本経営とは真逆に近い考え方です。

宇沢弘文先生は、社会的共通資本として、自然の価値を評価されておられました。

私は、山形県の経済、庄内の経済として、自然の生態系サービスの価値、景観の価値をしっかりと踏まえた自然資本経営を更に提言しけてまいります。

ちなみにデイリーの定常型経済を記した岩波ブックレットが発売されています。皆さんどうぞご一読を、後で画像アップします。



山形県議会12月11日の予算特別委員会での質疑内容。


12月11日の草島進一 県議会議員 予算特別委員会での質疑内容です。メモから書き起こしました。正式な議事録は2ヶ月後にでてきます。

1)流域治水条例と地先の安全度マップについて

2)放射性廃棄物と原発再稼働について

3)最上小国川ダム問題について  ●漁業補償の締結の問題  ●環境影響など科学の排除 ●森里海連環をテーマとした豊かな海作り大会と小国川ダムとの矛盾について


草島進一

震災から本日で3年と9ヶ月であります。

3.11の津波災害と、福島第一原子力発電所の事故は、如何に私たちの社会が持続不可能な社会なのであるかを提示しました。

私は、あの2万人余の犠牲や、今もふるさとに戻れない12万人もの方々の立場にたって、「持続不可能な社会」を「持続可能な社会のあり方に変える。」これを念頭に議員活動を続けて参りました。

持続可能な社会には定義があることは3年前にお示ししました。

環境と社会と経済がバランスする持続可能な社会。

果たして今、その定義を満たす方向に、邁進できているでしょうか。

 教訓を紐解きながら、質問をしていきたいと思います。

あのとき、「想定外」という言葉をよく聞きました。津波災害からの教訓で言えば、岩手県田老町の世界一といわれた10メートルの防潮堤を津波が越え、一部を破壊し、防潮堤があるから安全だと思っていた住民198名の命を奪いました。私も現場を訪れましたが「想定したハード整備は、時に想定を超え、人命を奪うということであります。巨額の公費をかけても「想定外」として責任を問われない。無責任といわれても仕方ないと考えます。原発も然りであります。

2004年の新潟豪雨災害では。100年の洪水に耐えうる堤防が整備され、ダムが上流に2つもある五十嵐川という川で堤防が決壊し、「ダムがあるから安心」としていた住民を飲み込み9名の方々が命を落としました。この事はダム治水の限界を示し、災害に上限はない。治水に完全はない。という教訓になっています。

今年は想定を超える豪雨が相次ぎ、県内でも200ミリを超える豪雨があり、南陽市で水害が発生、広島では土砂災害で74名の命が奪われました。

私は、南陽市の現場とともに、広島の現場を訪れました。40人亡くなった最大の被災地には、県営住宅も土砂に呑まれており愕然としました。広島市安佐南区(あさみなみく)で起きた土砂災害ですが、山の全方位的に起きておりましたが、宅地開発の行われていない方角では、土砂崩れが起きても、人的被害がなかったということです。また砂防ダムが上流にあってもそこから得られる教訓は何か。土砂災害が予想される山裾には住宅開発を行ってはならないということに尽きると思います。間違っても「もっと砂防ダムを作れば安心だ」という誤った神話に導いてはならない。ということを確信いたしました。

今後求められてるのは、想定外を超える豪雨に対処した治水のあり方であります。が、戦後最大規模の雨を想定しても現在目標の4割しか達成できていない我が県にとって大きな課題だと認識しております。

 更に、現在進められている県の県有財産総合管理基本方針(案)」によれば、現在でているだけでも今後30年間で、ハコモノ3300億円、インフラ3900億円併せて7200億円ほどの更新費用が必要と試算されていることです。今後の人口減少の時代に今あるインフラでさえ更新できるのかが危惧されている。それを踏まえた公共事業のあり方が問われているということです。

 

ここで提起したいのは、流域治水という概念・方策であります。どのような洪水にあっても人命が失われることなく床上浸水などの生活再建が困難となる被害を避ける。

その方針の下で、これまで川の中にとどまっていた治水政策を川の外にも広げ、氾濫原の対策として実効性のある土地利用規制を書き込んだ、国内初の法令が、滋賀県の「流域治水推進条例」であります。今現在、山形県内の市町村が発行している洪水ハザードマップは、大河川からの流入だけを捕らえたものですが、しかし県内でも最近の浸水被害の中には、下水道や農業用水など身近な水路からの内水氾濫によるものもあります。滋賀県では、これらを組み合わせ「地先の安全度マップ」として危険度を表した新たなマップに落とし込みそれを昨年公表しました。それを治水対策の基礎情報として今年3月には流域治水条例が制定されました

 実際に滋賀県の担当者に伺ってきました。この地先の安全度マップにより、安全に通れる道路などが明快になり避難経路などが充実したそうです。条例では、どのような洪水にも命を守る事を考えた時に、河川整備の遅れ、水防活動、避難行動の遅れ、とともに、危険箇所での無防備な市街化が問題であると考慮する中で「まちづくり治水」として都市計画法や建築基準法の開発規制や建築規制が導入されています。先人の考え方として旧来危険なところに家を建てなかった事を制度にしたと伺いました。更にみちづくり治水、人づくり治水なども考慮されていました。

 国の「気候変動に適応した治水対策検討委員会」7月28日でも「気候変動に伴い、現況の安全度や計画規模を上回る外力の発生頻度の増大が予測されている。とした上で、地先の安全度マップを作成・公表し、河川整備のみならず、まちづくり、耐水化建築、避難体制の充実を図ることにより人命や経済的な被害を最小化するための「多重防御策」を推進すべきとこの政策を評価しているようであります

滋賀県では、部局横断の流域治水政策室をつくり、市町村とも連携して地先の安全度マップをつくりあげたようです。山形県でも河川担当の他、都市計画、下水道、農業水利など部署横断的に連携して「地先の安全度マップの作成を創ること」や流域治水の方策を提案します。県土整備部長に伺います。


県土整備部長

委員からご提案ありました「滋賀県流域治水の推進に関する条例」は、想定降雨による浸水の深さを「地先の安全度マップ」として明らかにした上で、①河川の整備、②集水地域における雨水の貯留浸透対策、③氾濫原における建築物の建築の制限等、④避難に必要な情報の伝達体制の整備等という4つの観点から、総合的な治水対策を進めるため、今年度に施行された条例です。なお、氾濫原における建築物の建築制限を設けたのは、治水関係条例では全国初になります。

 この条例が制定された背景としましては、①琵琶湖周辺に約140もの一級河川があると同時に天井川が非常に多く、河川の洪水のみならず内水氾濫が生じた場合の被害規模が大きいこと、②大都市圏に近く住宅建設等の開発圧力が高いこと、③雨の降り方が変化している中で、ハード整備の進捗が図れないこと等と聞いております。

 「地先の安全度マップ」は、一般的な洪水ハザードマップとは異なり、200年に1度の最大規模洪水による一級河川からの外水氾濫だけでなく、小河川や身近な水路が溢れた場合の内水氾濫についても考慮されています。また、浸水の深さや家屋流出等の発生確率が示されるなど、避難行動をより適切に行えるよう配慮されています。

 一方、この条例については、幾つかの課題もあると聞いています。①「地先の安全度マップ」は、概ね5年毎に更新することになっていますが、開発事業による地盤高の変更や土地利用状況等の調査に多大なコストを要すること、②建築物の建築制限を行う区域の指定については、これから検討を始めるとのことですが、指定に際して、行政、住民、学識者からなる協議会を設立し、「水害に強い地域づくり計画」について合意形成を図る必要があり、1箇所の区域指定であっても一定の期間と労力を要する見込みであること、などです。

 ところで、本県の流域治水につきましては、平成22年3月に策定した「やまがた水害・土砂災害対策中期計画」に、ハード・ソフトが一体となった治水対策にその考え方が示されております。

 本県では、「地先の安全度マップ」に対応するものとして、市町村が作成・公表している洪水ハザードマップがあります。この洪水ハザードマップは、水防法に基づく洪水予報河川と水位周知河川の70河川について、県が作成した浸水想定区域図に基づき作成されております。なお、浸水想定区域図については、今年3月に国土交通省により作成マニュアルが改訂され、今後、計画の規模を上回る降雨等による新たな洪水外力が示される予定です。県としては、これを待って速やかに、浸水想定区域図の見直しの検討を始めたいと考えています。また、雨水の貯留については、土地の区画形質の変更を伴う5へクタール以上の開発行為において、河川へ雨水排水を無秩序に流入させないよう、県が「河川流域開発に伴う雨水排水対策指導要綱」を定め、必要に応じ、事業者に対し雨水対策のための調節池の設置を求めるなど、治水対策上の指導の上、開発許可を行っているところです。

 流域治水の考え方は、治水対策上、非常に重要であると考えております。今後、本県における流域治水につきましては、滋賀県の条例制定後の効果や影響をしっかりと検証しながら、今後の全国のハザードマップ見直しの動向も注視し、かつ、本県の河川流域の特性も十分に考慮しつつ、研究してまいります

草島

前回、治水上危険だからということでダム計画が議論されている赤倉温泉のそれも川沿いに、新しい建物がたったという「現制度の矛盾」を指摘しましたが、県内でもこの条例の必要性はあると思えます。

「12/2火の報道ステーションの特集では、滋賀は制度をつくっただけではなく、すでに県民自らが安全安心な県づくりに参加していることが取り上げられていました。
山形でも、県民自らが動き出せるように、まずは行政や県民が、水害リスクを共有することから始ませんか。よろしくお願いいたします。


草島

3.11のもう一つ大事な教訓は、日本国内に第三の被爆をもたらした「福島第一原発事故、原発政策であります。福島からの避難者の立場に立ち「卒原発」を滋賀県のかだ元知事とともに当初から掲げ、再生可能エネルギー政策に邁進されてきた吉村知事の姿勢は大変評価するものです。そこで、この関連を質問します。


●ここで、この関連を伺います。

2 原発事故で発生した放射性廃棄物の処分と原発再稼働に関する考え方について

(知事)

山形県境から1.4キロメートルの宮城県加美町に、東日本大震災に伴う原発事故で宮城県内に発生した8,000ベクレルを超える指定廃棄物及び稲わら等の農林業系副産物を焼却したことにより8,000ベクレルを超える指定廃棄物   8,700トンを最終処分する候補地が環境省によって検討され、現地で大きな反対運動が起きております。

現地に参り、加美町長にも実状を伺いに参りましたが、県境には分水嶺があり、また、強風が吹くところであり、もしも福島県鮫川村などで起きた事故などが発生したりすれば、風向きによっては、汚染は最上町や尾花沢市など県内隣接地に、さらに、水系を伝って広範囲にも及ぶことが想定されます。

また、県内にも少量でありますが2.7トンの指定廃棄物が保管されており、これは山形県内で処分する計画と伺っております。

こうした廃棄物の処分については、国際的な基本としても排出者責任が大原則であり、国の循環型社会形成推進基本法第11条1項にも、排出者(国、東電)が自らの責任でその排出した廃棄物等について適正に循環的な利用又は処分等をすべきであるとの責務を規定しています。

県内への影響を未然に防ぐためにも、福島県の東電敷地内へ戻すことを求め、国の特別措置法に基づく基本方針の見直しを県として働きかけるべきと思いますが、知事の見解を伺います。


知事

福島第一原発の事故では、ひとたび原発事故が起こればその影響は風評被害を含め、極めて広範囲に、そしてこれからの将来の幾世代にも及ぶということがわかりました。福島第一原発の事故で発生した、放射性物質濃度が1KGあたり8000ベクレルを超える指定廃棄物の処理につきましては、放射性物質汚染対象特別措置法に基づく政府の基本方針において、指定廃棄物が排出された都道府県内で行う事とされております。大量に発生している宮城県など5県につきましては、環境省による最終処分場設置に向けた検討、調整がおこなわれております。そのことに対して、地元の強い反対があり、調整が進んでいない状況にあると言うことを認識をいたしております。宮城県におきましては、栗原市、加美町、大和町の3箇所が候補地となっておりまして、加美町に設置された場合の場所は本県の県境の最も近いところでわずか約2キロメートルほどであります。処分計画では仮焼却炉での稲わらなどの焼却も含まれておりますので、隣接する尾花沢市において、風評による影響を懸念し、議会で反対する旨の意見書が採択されておりまして、私としましても懸念をしているところであります。政府においては候補地をはじめ、こうした不安の声を受け止め、設置場所の検討だけでなく、処分方法の安全性の確保と説明をしっかりとおこない、本県の周辺自治体の理解も得ることが不可欠であります。県としましては、県内の指定廃棄物の処理も含め、政府における検討調整の動向を把握し、関係市町と情報を共有しながら、その考えを十分に踏まえて対応して参りたいと考えております。

草島

ありがとうございました。ぜひ排出者責任が大原則。こういった事を踏まえていただき、毅然とした態度で向かっていただきたいと思います。

委員長

現在、政府は、鹿児島県川内(せんだい)原発をはじめ原発再稼働を着々と進める意向ですが、北欧などで常識であるコアキャッチャーや二重隔壁の整備はなされておらず、核のゴミの問題は未解決のままであります。このまま再稼働することは絶対に許されないことと思います。

山形県は、福島原発、柏崎原発、女川原発のいずれも半径250キロメートル圏の被害想定区域であることを踏まえ、原発再稼働に関する知事の考え方を伺います。


知事

原発の再稼働についてでありますが、私は、我が国は地震国であります。福島第一原発事故の検証をしっかりと行った上で、国民の不安を払拭していくことは重要であり、安全を第一に慎重にも慎重を期す必要があると申し上げて参りました。せんだい原発の再稼働につきましては、原子力規制委員会の審査や地元薩摩川内市と鹿児島県の同意の下、再稼働にむけた準備が進められているわけでありますが、再稼働に慎重な県民や周辺自治体の意見もあると承知をしております。政府においては責任をもって最終判断をおこなうとともに国民に対して十分な説明をつくしていただきたいと考えております。

 また、原発の安全性に対する国民の不安が払拭されていない現状と高レベル放射性廃棄物の処分の困難性を踏まえますと、政府においては次世代のためにも再生可能エネルギーの導入を着実に増やしていって、卒原発ということで卒原発に向けたエネルギー政策を進めていただきたいと考えております。

 

草島

ありがとうございました。卒原発の吉村知事の姿勢、これからもしっかりと貫いていただきたいと思います。これは再稼働についてもですね、やはり私が先ほど懸念した材料ありますので、しっかりとお踏まえいただき、今後もしっかりとした姿勢を保ち続けていただきたいと強く要望いたします。


( 最上小国川における治水対策について

① ダム建設に係る漁業補償に関する考え方について(農林水産部長)

草島

今般、9月28日の総代会の特別決議がなされました。しかしながら、漁業補償の締結について、県の姿勢に重大な問題があると考え、質問します。

漁業法第8条第1項に定められている、漁業協同組合の組合員がもつ権利である漁業行使権について、「水協法・漁業法の解説」によれば、漁業行使権の性格は、物権たる漁業権に基盤を置く権利として物権的性格を有し、物権的請求権を派生できる権利である。すなわち、漁業行使権の権利の目的である漁業利益の実現が妨害され、又は妨害されるおそれがある場合には、妨害者に対し、妨害の排除又はその予防を請求しうる権利である、とあります。「妨害排除請求権」又は「妨害予防請求権」を行使できることが認められているものであります。

また、漁業法143条には、「漁業権または漁業協同組合の組合員の漁業を営む権利を侵害した者は、20万円以下の罰金に処する」とあります。

これを踏まえた上で、質問します。

県は、9月28日の小国川漁協の総代会決議の結果より、漁業権をもつ漁協が同意したとしてダムに着工しようとしています。しかし、漁協総代会の決議以降も、小国川漁協組合員有志の反対する声はとどまらず、違法性をとなえております。

去る10月31日、組合員有志はダム本体着工に全く同意しておらず、このままのダム着工は財産権の侵害行為であることを断言した上で、漁業補償等の算定根拠などの説明を求め、知事に対して協議を要請しています。

10月10日には、水産庁から県に対して、「話合いに応ずべき」と指導助言を行ったと伺っています。しかしながら、11月4日の記者会見で、知事は、「協議の必要なし」と言う旨の発言を行いました。さらに、要請をもって意見を伺ったなどとする担当課長の発言が報道にありました。

その後も、その姿勢が不当だとして、漁協組合員有志は、11月21日に再度同様の要請をおこなっています。

そこで質問します。

① まず、漁業補償の考え方でありますが、県は、臨時総代会の際に組合員から出された漁業補償の締結については、関係組合員全員の同意が必要ではないか」との質問に対して、その必要はないと指導したようですが、これは、昭和47年9月22日漁政部長通知にある、「埋立事業等に伴う漁業補償契約の締結にあたっては、組合は関係する組合員全員の同意をとって臨むよう指導されたい。」に反しています。関係組合員全員の同意は必要ないと言える法的論拠を伺います。

② 県と漁協の間で締結した「小国川漁協は、漁業補償を自主的に放棄する」という趣旨の覚書は、漁業行使権をもつ組合員の権利を侵害する無効な協定であると考えますが、これに対する見解を伺います。

③ 財産権を侵害するには補償が必ず必要であり、補償なくして侵害することは違法であると考えますが、これに対する見解を伺います。

④ 113万円の補償に関する漁協の意思決定(理事会や総代会での決定・決議)は無権代理行為に過ぎず、財産権を侵害される者の追認がないと無効であると考えますが、これに対する見解を伺います。

以上4点について、農林水産部長に伺います

農林水産部長

漁業補償につきましては、漁業法では公益上の必要があって、行政庁が漁業 経営を制限するような場合をのぞきまして、特に規定することはございません。漁業補償を求める求めないにかかわらず、漁業補償契約は、県と漁業権を有する小国川漁協と私法上の契約でありまして、その結果、今回漁業補償を求めないことを含んだ、覚え書き案が、9月28日の臨時総代会において、特別決議として議決され、これを踏まえ、県と漁業との間で正式に覚え書きの締結にいたったものであります。また、ただいま議員のほうからお話がありましたけれども昭和47年の漁政部長の通達でございますけれども関係する組合員全員の同意をとってのぞむよう指導されたいという風にされておりますけれども、これは海面における第一種共同漁業権についての行政姿勢でありまして、紹介に対する実例というのが、ひとつなっております。

また、漁業補償契約の締結に関連しましては、すべての種類の漁業権につきまして、平成14年の政府答弁がありまして、その中で統一見解としまして、組合運営の円滑な実践のため、組合員の同意を事前にとっておくことがのぞましい。と考えるとされております。これは、水産庁としての行政庁としての技術的助言という位置づけとなってまいります。そういう意味で必ずしも事前の同意が法的に必要であるという風なものには考えていないところであります。

草島

今、おっしゃった、全員の同意をとらなくてもいい、。まず、第五種共同漁業権ですね。河川の漁業権にはならないというのは、水産庁に聞いてきた物と完全に異なっています。水産庁は種別に関係なく適応になるとうかがっておりますが、ちがいますか。

若松農林水産部長

この件に関しましては農林水産部でも7月に確認しまして、昭和47年の法についておっしゃっているのでしょうけれどもこれについては改めて確認なり、勉強させていただきます。ただ後段のほうの先ほど申しました望ましいという風な指導については水産庁に確認しております。

あと次の、先ほどの2点目でございますが、覚え書き締結の法的効力についてでございます。

まず、小国川漁業に付与しております、第五種共同漁業権の設定につきましては、漁業法127条の規定によりまして、ひとつは当該内水面が養殖に適していること、二つ目は、かつ免許をうけたものが増殖をおこなうこと。のこの2つの条件を満たすことが必要となっております。この条件を満たすことができるというものは、組合員ではなく漁協という風なことになってまいります。また、平成14年に閣議決定された政府見解におきまして、漁業法においては第10条、第14条、第8項の規定によりまして、漁業共同漁業権を有する者は組合、または漁業共同組合連合会に限られるというふうにされております。‘これを踏まえますと、最上小国川を漁場区域とする漁業権は、小国川漁協が有しておりまして、漁業法第8条第1項の規定によりまして、組合員は漁業法を有する漁協が定める漁業権行使規則の範囲内において漁業を営む権利を有しているというふうなことになっております。今般の漁業補償にかかります、覚え書きは、県とただいま申し上げましたように漁業権を有する小国川漁協との間で協議を重ねた上で締結に至った物でありまして適切になされたものと考えております。

次に三番目のご質問でありますけれども漁業補償請求権の放棄と財産権の侵害についてでございます。漁業権の性質は、漁業法第23条によりまして、物権とみなし、土地に関する規定を準用するとされております。一般論といたしましては、物権である漁業権を侵害したものは、その侵害について損害賠償責任を負うことになります。具体的な取り扱いはとうしゅかんの話合いで決まるということになってまいります。県と漁協が締結いたしました、覚え書きの第七条、漁業法などの締結にいたしましては、漁業補償を要求しないとされておりますが、覚え書き第6条、漁場環境の担保の規定におきましては、将来に向かっては漁場環境への影響が発生したと考えられる場合、必要な調査、対策及び補償を求めることができるとしておりますので、内部的には適切であると考えております。

4番目もお応えさせていただきますが、

漁業補償にかかる漁協の意志決定につきましては、漁業権を有している小国川漁協が、定款に基づいて臨時総代会の特別決議で意志決定されておりまして、無権代理にはあたらないものと考えております。なお、補償に関する漁協の意志決定の過程で漁協においては、役員、支部長合同会議や各支部の総会などを通しまして総代や組合員に説明周知をはかりながら、適正な手続きのもとで手続きがされたものとしております。


 草島

●  今の答えで行くと、漁業行使権というのは、物権つまり財産権には値しないということをのべていらっしゃるのか。と思います。とんでもない間違いだとおもいますよ。先ほど解説を引用しましたけれども、漁業行使権の性格は、物権的性格を有し、物権的請求権を派生できる権利である。そして、漁業行使権の侵害は、親告罪として刑罰の対象ともなりますともあります。これは今の説明でどう解釈するんですか。わたくしは、事前に委任をとるとか、魚種に関係なくおこなわなければいけないことであると水産庁からうかがっております。組合の指導として水産庁が望ましいを全くやらなくてもいいとこれは、改めて皆さんの努力不足というか曲解という感じもします。

●  この143条というのは、立法趣旨について、明治43年にですね、証明している文章があるんですけれど、漁業行使権が物権的権利であり財産権であることを証明しているものです。ということがあります。‘

私は補償もなくダム着工するならば、漁業行使権になって、143条の刑罰に処せられる可能性があると考えますがいかがですか。‘
 

 若松農林水産部長

 ただいま漁業行使権のお話がありまして、冒頭委員の質問の中で、逐条解説ですか、水協法、漁業法の解説ですか。その中で説明がありました。ただ、その中でご紹介ありましたようにその中におきましては法律上、漁業権のようにまず物権であると規定されていませんが、今おっしゃったように物権的性格を有すると。いうことで派生できる権利であるというふうなことであると、それにこの解説の中におきましては、どういう風なものを想定されるか。と言う風なことで、妨害か妨害される恐れがある場合には排除●●というふうなことで主分を守るというような意味会いの中身のものが罰則とともに規定されると言うことだろうと思います。一つでございます。あともう一つのほうは、同意をすべて求める必要がある。おっしゃられましたけれども、基本的には技術的指導ということでのぞましいということでありますので、それを完全に無視しているということではなくてですね。最終的には先ほどもうしあげましたけれども、漁業権という漁協そのものに帰属するということが明確でありまして、そこがやはり最終的に漁協としての総合的な判断として対処していると理解しているところであります。‘


●草島

今ですね。漁業者で生計を営んでいる方が、権利の侵害を訴えているんですよ。これを無視したまま進めていいのかっていう問題なんです。漁業行使権を侵害するかたちでこの事業を進めていいのか。‘ということです。こうなったら、漁業権の侵害になって143条の刑罰に処せられる可能性は十分にあると思いますよ’今の解釈ですが、財産権は漁協にもあるんですが、漁業行使権者にも認められているんです。だから143条があるのではありませんか。この解釈は水産庁に紹介をしていただきたい。絶対におかしいと思います。



草島

最上小国川ダムの問題について、知事の姿勢について伺います。

 

原発事故の問題からもうひとつ、是が非でも学ばなくてはならないことがあります。

それは、原子力ムラという存在であります。政治と官僚と業界と学問と報道機関までもが癒着し、原子力安全神話というものを作り出し国民を欺き続けていたことです。原発を推し進めることに都合のいい科学者の見解は優遇され、それに警鐘を鳴らす科学者の見解は排除され続けてきた。電源喪失でメルトダウンする可能性を想定していた科学者も存在したけれども、茅の外におかれており結果として対策に盛り込まれていなかった。こうした、政治や行政がいかに科学を扱うか。という教訓であります。

私は、最上小国川のダム問題について、県知事の姿勢に私は原発安全神話をつくりあげてきたこの構造と同様の病理を感じずにはいられません。

議論は尽くした、50名50回の議論をしてきたからシンポジウムに参加する必要はないと知事は答えてきました。

 しかし、今、結局、流水型ダムの環境影響については、県が「影響が少ない」とする根拠としてきた「最上川流域環境保全協議会」の報告に対して「その協議会ではアユそのものに関する調査や検討が全く存在しない。小国川ダムをつくれば下流河川の生息環境は確実に変化すると考えられるし、アユの品質を低下させる可能性は否定できない」といった、アユ研究の国際的な権威である川那部浩哉先生ら4名のアユを専門とする研究者からの意見書。極めて重要な知見が、無視されたままになっております。

更に治水方策についても「ダムによらない治水方策は十分に可能であり、そのほうが、治水安全面でも環境面でも地域振興面でも得策であるとした、元京都大防災研所長である今本博健氏、新潟大大熊孝先生らの河川工学者らが指摘し続けている知見についても完全に排除されたままになっております。

こうした一方の科学を排除して議論させまいとする事は、3.11の教訓に全く学んでいない姿勢であり、最も我々が政治として戒めるべき事であると考えますがいかがですか。知事の見解をうかがいます。

吉村知事

最上小国川流域におきましては、過去にたびたび洪水による被害が発生したことから、昭和62年に最上町から治水対策の要望がなされ平成3年度から治水対策のための調査に着手しました。その後、事業着手に向けて河川整備計画を立案するため、地元説明会や学識経験者、および専門家からなる最上川水系流域委員会などの公開の場で様々な議論がなされてまいりました。私自身は、知事に就任当初、白紙の状態でしたから、いろいろな方からご意見をお聞きするため、小国川漁協や、自然保護団体の方とも直接お会いをいたしました。また、赤倉地区を訪れまして、現地の状況を自分の目で見ました。川底からわき出したお湯に直に手を入れたり、さらに機会をとらえては、地元の声を直接お聞きして県民の安全安心を確保するには、何が一番いいのかを熟慮してまいりました。そして平成22年には、できるだけダムにたよらない治水の政策見解に基づきまして政府が策定した、新たな基準に従い、河川改修のみならず雨水貯留施設や土地利用規制を含む26すべての方策について、最上町、赤倉地区での最適な方策を検討いたしました。その結果、適応可能な方策として絞られた、流水型ダム案、放水路案、河道改修案の4つの案についてコストや実現性、地域社会の影響、環境への影響など7つの評価軸で総合的に評価して流水型ダムに確定したところであります。そののち、流水型ダムについて治水とするときに、関係者のご理解を得るため、昨年は小国川漁協と県とで何回も意見交換をおこないました。また今年にはいりましてからは、漁協の方に加え、最上町長や舟形町長を交えて協議や実務者レベルの話合いを進めてきました。その中で、漁協の方々が一番心配されていた、穴づまりや濁りについて、具体的な対策の提案をおこない、理解を得ることができました。更に漁協の理事会や総代会などにおきましても、丁寧な説明につとめてきたところであります。こうした真摯で丁寧な対話の積み重ねによりまして、今年の10月に流水型ダムによる治水対策と内水面漁業振興の両立にむけた、協定を小国川漁協、最上町、舟形町と締結できたものと考えているところであります。

 

草島

さきほどちらりとお伝えした環境についてなんですけれども、これが全く無視されていますね。県が穴あきダムなら環境にやさしい、アユに影響がないなどとした根拠について、さきほどの川那部浩哉先生をはじめ魚類生態学者から、最上流域環境保全協議会について、1)調査の目的や方法が吟味されていない 2)限定的な調査データから逸脱した結論が導かれている。3)アユそのものに関する調査や検討が全く存在しない。などの指摘がありました。

「最上川流域環境保全協議会」の会長も、今年5月27日の報告会で「アユそのものへの影響の調査はこれからである」と名言され、私はのけぞりました。

せっかくですので、川那部 浩哉先生をはじめ、実際に益田川ダムなどの調査にあたっている4名の最新の知見の要点を紹介します。
「ピークカット率が高い小国川ダムでは、洪水攪乱規模の減少を通じて、下流河川の生態環境は確実に変化すると考えられる。その結果、ヤマメ・サクラマスの産卵床やアユの生息環境への影響や、鮎の品質を低下させる可能性は否定できない。長期的な観点から経済損失を検討し、事業計画の経済効果の計算に組み入れることが必要である。」

これらは、岩手県のレン滝ダム、外枡沢ダム(そとますざわ)、島根県の益田川ダムなどの調査で得られた知見から明白と考えられる。

また、濁水の問題では島根県の益田川ダムでも10PPM程の濁りが継続することが知られ、他のダムでの調査で3〜6PPMの濁度でアユの漁獲高が1/5になるなどの実例が岩手県でありました。

アユの漁獲量について山形県が調べた日向川(にっこうがわ)でも5PPM程度で影響すると報告がありました。

ダム建設時、濁水処理プラントが設置されますが、その排水の濁水の基準値は25PPMであります。工事期間中長期的に濁水が流れる為アユやサクラマスの生態に大きな影響を与える事は十分に考え得るのであります。

知事、まず、この環境における科学的な知見はこれまで流水型ダムなら「環境に影響は少ない」としてきたこの事業の根底を動かす知見であると思いますが違いますか。

これまで、小国川ほどの清流環境につくられたためしのない、流水型ダムに対する、最新の知見であります。

もし、この川の特性である清流環境が失われる事になったら、知事あなたは責任とれるんですか。‘

吉村知事

これまでもですね。最上小国川漁協と県とで何回も話合いをおこなってきたと思います。そしてその中でやはりアユの施設に関しても緊急的に措置をしなければならないというようなこともお聞きしたわけで、それにしっかりととりくんでいくこととしています。様々なご議論はあるかと思いますけれども、私としましては真摯にそれに対応しながら、流域に住んでいる住民の皆さんの、安心安全を第一に考えたいということ、そしてこれまで何年もかけて様々な議論をしながら、ここまでたどり着いているという経緯があること、そしてこれから先、しっかりとその委員の思いに答え、それはやはり清流を守ってもらいたいということである、そのことであると思いますので、そのことについて全力を尽くしていきたいと思っているところであります。

草島

私が言っているのは、この最新の環境の知見について無視し続けるのですかということです。知事、いかがですか。

知事

今のその最新の知見について無視するということではございません。やはりさまざまな意見を頂戴しながら、そしてそれを参考に、できる限り、参考にしながら、しっかりと将来に向けて反映して取り組んで参りたいと考えております。

委員長 草島委員に申し上げます。質問の意図を変えるようにしてください。同じです。

草島

最新の知見に対して向き合っていないんですよ。それに対して説明責任やはり果たさないといけない。そうしなかったら、このダム事業は進めちゃいけないと思います。

それから、治水の問題いいました。これは以前県の河川改修工事で湯温の低下があり賠償がおこなわれた金山荘事件について、県提出の資料によって温泉湯脈の温度低下と河道改修の時期が完全にずれていて、関連性がないものであることが立証されました。さらに県は「できない」と主張してきた河床掘削などについて、湯脈に影響なく掘削は可能という事が、複数の温泉研究者により立証されています。

以前は住民が木組みでつくり、洪水時には土砂と共に流出していた堰を、県が今つくれば河川構造例違反に成るコンクリート堰にして、土砂をせき止め河床が上がっている。この河床が高い状態では内水氾濫が根本解決できず、ダムがもし上流にできても危険であるということが指摘されております。今、温泉街については、

流域の旅館主からは、「今でさえも護岸が危険なところがあると以前から訴えてきた。でも全く県は対処しない。本当に安全安心を考えているのか。という声があります。

また他の経営者は、「息子」の代に継がすにも、現在のような規模では維持しきれない。河川改修に絡め規模縮小の改修工事ができるならば、それほどうれしいことはない。と言う声があります。

ダムに拠らない河道改修について科学的にはどうにでもできると。そして、河道改修による治水は赤倉温泉再生の絶好の機会である。とそして、こうしたダムによらない治水についてこれまでほどんど議論がおこなわれていなかった。私はこれからの時代を踏まえて、未来を見据えた価値を創造するような公共事業にするべきと考えます。

先ほどの最新の知見によって流水型ダムでも環境に影響を与えるということをご紹介しました。これまでのこの 年間3万人の釣り人が全国から集う。ダムのない小国川の清流というのは、これまで紹介してきたとおり、年間22億円の経済効果をもたらしております。そして釣り人にとっては、ダムのない清流はブランドであり、ダムができた川は価値を完全に失うんです。釣り人や、食通はすぐにウソを見破ります。本来の清流環境や、松原アユの味を失えば、瀬見、赤倉の旅館は更に衰退し、人口減少や地域消滅に更に拍車をかけることになるんではないか。と思います。

 国際的な絶滅危惧種のウナギも、国内準絶滅危惧種になった県魚 サクラマスも、その減少の最大の原因は、ダムで川を分断した事にあります。

今、熊本では荒瀬ダムを撤去している現状であり、米国では700以上のダムを撤去し、本来の川の力を取り戻し、漁業を再生させている。これが世界の潮流であります。

私は、平成28年開催予定の「全国豊かな海づくり大会」は森と川から海へとつなぐ 生命(いのち)のリレー」のテーマでありますけれども、森里海連環というのは、川と海を分断するダム、防潮堤というコンクリート文明から、森里海の連環を取り戻し自然と共生する文明への転換こそ必要なのだということだと思います。 私はこの運動で筆頭研究者である田中克先生という方とシンポジュウムでご一緒ました。やはり、この森里海連環をすすめるなら、このダムによってサクラマスの生息域がダムサイトで失われるようなこのダムの事業を進めるべきではない。と思いますが知事のお考えをお伺いします。

 

委員長 (答弁同じですが求めますが。同じです。ずっと。質問の意図をかえたほうがいいですわ。)

草島

こうした公共事業を進めるに当たって、2つの格言があります。

 

公共事業の遂行にあたっては、法にかない、理にかない、情にかなうものでなければならない。

そして、真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、ムラを破らず、人を殺さざるべし。

この2つをもう一度踏まえて検証してみていただきたい。先ほど、漁業法を曲解する姿勢、それから科学に対しては一部の科学を聞いていない。この姿勢、行政のなりふりかまわぬ圧力が垣間見れるそういった姿勢。この姿勢は文言に叶っていないと思います。

私は「ダムで川の力を失ったら、どんなことをやっても漁業振興にならない」この故沼沢勝義 小国川漁協の組合長の言葉、これやっぱりしっかり受け止めて、これからの事業をこの時代を踏まえて再検証する必要があると思います。いかがでしょうか。伺います。

知事

ダムといいますけれども、やはり貯水型と流水型では全然違うと思います。当初は貯水型だったと聞いておりますけれども、やはり自然環境に与える影響の小さいものをとお声をお聞きして、それを受け止めての流水型ダムになったという経緯をお聞きしているものであります。通常時は水の流れをせき止めるわけではなくて、流水型ダムというのは川の底に穴のあいたダムです。通常は自然河川と同じように水は流れますので、一般的なダムに比べて環境に与える影響は著しく小さいと言う風に考えているところです。皆無とは言っておりません。そして、流域に住む方々の安全安心を考え、また、内水面漁業振興とできる限り両立させていく。そしてできる限り清流を守っていくという対策をしっかりと持続しながらとりくんでいきたいと考えているものでございます。

 

草島

やはり私がいいたいのは環境に対して川那部浩哉先生、これはアユ研究野第一人者であります。その方々から確実に環境に影響がある。とされております。私は、やはり地域の資源として私はしっかりと守らなくてはならないことであると思います。この環境に影響があるという事について無視したままでは、このダムは進めてはならないと思いますので、ぜひ受け止めていただきたいと思います。



県議会代表質問より−住宅リフォーム補助金


山形県議会 本日 代表質問があった。

住宅リフォーム補助金、3年間で12000人が利用。360億円の補助金が活用された。経済効果は556億円とか。リフォームの中身は省エネ化、バリアフリーが8割 今後は、空き屋対策や三世代同居対策などを検討したいとのこと。

住宅リフォームを促し、省エネ化をはかることについては、社会的な大儀があると考えている。前回の議会予算質問にて、家の燃費、エネルギーパス を紹介し、更に省エネが実質的に進み、高性能な住宅が増えるようにすること。それによって外に化石燃料代として外に出て行くお金を減らすことになり、そのリフォームを行うお金が地域に循環することになる。ということを示した。

長野県では、新規の建物について、エネルギーパスかキャスビーかQPEXか いずれかの方法の省エネのツールで性能を評価する建築物環境エネルギー性能評価制度をとりいれている。

山形県でももう一歩、省エネ性能をアップできる仕組みの構築をさらに促したいものだ。

 



山形県議会本会議 12月議会 25年度決算に対して 認定しかねると討論


12月2日から山形県議会 12月議会がはじまりました。

冒頭、11月に審議した平成25年度の決算に対する審議の報告、討論、認定の採否 がおこなわれました。

以下、3分の討論時間が認められた中での討論です。


平成25年度 山形県一般会計決算の一部、決算認定しかねる案件2点のみに対し、反対の立場で討論いたします。

まず、慶応大学先端生命科学研究所 支援事業であります。25年度まで県と鶴岡市あわせて拠出された金額は136億7500万円であります。

今般 第三期3年間の評価のための評価委員会が招集され今後の支援のあり方が協議されました。懸案である年間7億円の補助金額の内訳について、まるで固定費のような扱いのままの評価プロセスに大きな疑問を覚えます。

 千葉県においては「かずさDNA研究所」への行政の補助金は序序に減額され自立的運営が促されております。人口減少や合併特例の算定替え時の財源不足を踏まえ、当研究所の今後の持続可能な発展のためにも、民間資金活用等、新しいスキームによる自立的な運営手法を構築する事を提言いたします。

次に、最上小国川ダム建設事業についてであります。25年度は漁協が反対している中でダム周辺工事が強行されております。

 今年2月10日に、県と交渉にあたっていた沼沢前組合長が自死されました。昨年末の漁業権更新時に、漁業権を楯にとり、ダム計画の協議に着かせるという強引な県の手法は、違法性も指摘されており、行政の姿勢として断じて許されるものではありません。

▼平成24年9月に提訴されたダム建設差し止め住民訴訟の裁判審議の場やシンポジウムの場などでは

● 県が赤倉地内につくった堰により土砂堆積し河床が上昇し、それが昨今の水害の原因になっていること。

● 「流水型ダムは、建設時から、流域の環境に影響を与え、アユやサクラマスの生態を脅かす事

● 「県提出の資料で以前損害賠償問題になっていた河道改修と温泉への影響は直接関係がないことが解り、温泉に影響なく河道改修は十分に可能であること」などが科学者によって次々と立証され、ダムよりも河道改修のほうが真の治水を叶えるに有効であることが示されています。

こうした新たな知見に対し十分な説明責任を果たさないまま、ダムを前提とした漁業振興策を推し進める県の姿勢は、愚行そのものというしかありません。

 以上、ダムに依らない治水事業への政策転換を強く求め、反対討論といたします。



さて、12月議会。12月11日は私の質問DAYです。


明日12月2日から12月議会。そして今般は衆議院選挙と全くかぶっている。

それを踏まえて今朝は八文字屋前で訴えました。選挙戦中は私自身のマイクでは街頭に立てませんので。

  今般の解散は、アベノミクス解散ということですけれど、アベノミクスは地方にどんな影響を与えているか。

結局のところ、大企業と中小企業、都会と地方、富裕層と低所得者層、輸出企業と内需ベース企業、製造業と非製造業という5面で格差が広がっている。これが実感なのではないか。これは田中秀正 元経済企画庁長官の言説。(週刊金曜日)その上での実質成長率 年率換算 マイナス1.6% 。これは大きい。と。現実は、格差拡大が助長されているだけで、都市の富裕層が美味しい思いをし、多くの庶民はほったらかし、非正規雇用は逆に増えて、生活に不安を覚える方が増えているということになるのでだろう。

これが実態のようだ。庄内でいえば、7割の農家が影響するといわれるコメの仮渡し金の減少 はえぬきで2500円減の影響は大きく、県内全体では140億円の影響。一家族あたり4町歩の田んぼでコメをつくっている農家で、米価仮渡し金の下落と直接支払い制度の減額で140万円ぐらいのマイナスになると県担当から聞いている。こうした経済が大きく響いている。

ニュースでは東京の高級デパートでの買い物行動でより高額な品が売れ、地方のショッピングセンターは軒並み消費が伸び悩んでいるとか。 結局こういうことなのだ。   今般の選挙は、集団的自衛権、原発再稼働の問題こそ重要だ。自民党政府は平気で原発をベースロード電源へと位置づけ再稼働を推し進めている。立憲主義を反故にした7月1日の集団的自衛権 行使容認の閣議決定の問題も大きい。 とにかく安倍政権の暴走に歯止めをかけることが今般の選挙の意味会いだと思う。

さて、今般の12月議会は、明日2日冒頭に25年度決算の討論からはじまる。そして12月11日には予算特別委員会での質問がある。1時間一本勝負。前回は23年6月議会での予算特別委員会での質疑だった。 今、諸々練って質問原稿を書いているところ。追って紹介していきたい。 なお、請願の締め切りは、明日いっぱい。メール、電話などでも受け付けていきたいのでよろしくお願いします。



小国川を守る闘いはこれからだ!ー会報への随筆


ダムで本来の力を失った最上小国川に、つり人は来ない

小国川を守る闘いはこれからだ!

最上小国川の清流を守る会 共同代表 山形県議会議員  草 島 進 一

 

故沼沢組合長の自死事件から未だ半年。

6月28日の臨時総代会では過半数の漁民はダムやむなしとしたが、特別決議で2/3をしめる得票には及ばなかった。しかし、山形県農林水産部の水産課はダム賛成の組合理事らとともに「ダムのない川以上の清流」といった漁業振興策を掲げ、ダム容認ならば懸案の中間育成施設の井戸の整備をやってあげる。ダムを拒否するならばそれはやらない」といった事を流布しながら漁協総代を懐柔し続けていったようだった。私は会のメンバーとともに、9月のはじめに発表された9月28日の臨時総代会に向けて、なんとしても1/3を死守したいという思いで県に対して申し入れをおこない、流域にちらしを配布し、車にスピーカーをつけて街宣活動もおこなった。

 総代の中には案の定「漁協幹部にダムを容認しなかったら死活問題の井戸の整備をやってもらえず、漁協はつぶれる」と諭され、「私は反対だったけれど漁協をつぶすわけにはいかない」と賛成にまわった方がいると報告をうけた。

 そこで9月県議会に計上されたアユ中間育成施設(井戸を含む)が漁協のダム容認と関係性があるのか、知事与党の県議会議員にはたらきかけ、9月22日、県から今般県議会に上程されているアユ育成施設の井戸整備に「条件はついていない」との見解を引き出した。

 また、ダム建設に必要な「漁業補償契約の締結」について、関係組合員全員の同意は、「第五種の内水面漁業には必要ない」という県の見解が新聞に掲載された事を受け、9月17日、水産庁に確認に赴いた。水産庁の見解は「漁業種別に関係なく、影響を受けうる関係組合員全員の同意をとることがのぞましい」と指導助言をしているとのことだった。私は9月18日に記者会見を開き、それを記者に伝え、一部報道された。この趣旨は9月19日にダムに反対する漁協組合員有志から漁協に向けて提出された「穴あきダム問題に関する公開質問状」に反映された。すると公開質問状に対して漁協から9月24日「当組合は定款に基づき、また、漁業法及び水産業協同組合法に基づいて適正かつ適格に業務を行っております。ご指摘されるような事実は一切ございません」との回答がきた。それに対して9月25日、渡辺、三井、下山三名が共同代表を務める「ダムに拠らない治水と漁業振興を求める小国川漁協組合員の会」は抗議声明を提出した。

 

それは以下のようなものである。

 9月28日の総代会前日、熊本一規明治学院大学を迎え、清流を守る会のメンバーと漁協、総代の渡辺さんらとともに戦略会議をおこなった。

 9月28日の決議後「ダムに拠らない治水と漁業振興を求める小国川漁協組合員の会」は、「決議1,2ともに漁民の持つ漁業権などを補償なしに侵害することを決める違法な決議であり無効である」「ダムにより権利を侵害されるので補償を受ける権利があるが、県から説明も同意も求められていない」、ということで、漁協に補償を委任しない、と宣言した。

 10月8日、漁協、県、舟形町、最上町はダムを建設し、漁業振興策を図る協定を締結、ダム建設に伴う環境保全についての覚え書きも件と漁協で交わした。その際、高橋組合長は「本体着工容認は、漁協が一体となって考えた結果」と語ると同時に「前組合長に約束を果たしたぞと言いたい」などと会見の席で話した。これにはダム反対の漁協組合員が皆で激怒し、10月10日付けで抗議声明を組合に提出した。

 

10月10日に下山久伍共同代表、熊本一規明治学院大学教授とともに3名で水産庁を訪れ、以下の三点の見解について部長を含む5名の担当官と協議した。

1.9月28日小国川漁協総代会における1号議案決議は、権限のない者が勝手に声をあげたに過ぎず、小国川ダムにより損害を被る漁民の追認を得ない限り、「無権代理行為」にすぎない。当決議に基づいてダム建設に着工すれば、漁業行使権を侵害する違法な工事になる。

2.9月28日小国川漁協総代会における2号議案決議は、入会集団の決定を踏まえての決議でなく、入会集団の同意、及び漁協からの入会集団ヘの補償がなければ法的効力を生じない。

3.「禁漁区域」の設定に伴う漁業補償を県が支払うのは違法であり、漁協が支払わなければならない。小国川漁協の「補償は不要」は、補償を支払わなければならない者が「補償は不要」と言っていることになる。

 

 その場で下山氏は、アユ釣りでのおとり鮎の販売や、釣りガイド等で生計を立てていること、ダム建設で河川環境への影響が懸念される事、それによって釣り客の動向に影響する事等を説明した。二時間にわたる協議でそこに同席した方々の間では上記三項目は概ね同意をいただいた。協議中で感じたのは、水産庁の中には「総有説」が担保されているということである。

 

<*総有説=総有説は「共同漁業権は入会権と同性質の入会権的権利であり、入会集団が総有(一箇の団体が所有の主体であると同時にその構成員が構成員たる資格において共同に 所有の主体であるような共同所有)する権利である> 社員権説は 「共同漁業権は漁協の持つ権利で、組合員が共同漁業を営めるのは、漁協の構成員(社員)としての 社員権に基づく」とする。

 

 これらを受け、議事録を書き起こし、県への申し入れと会見内容を作成しつつ同意のポイントを探った結果、以下の公式見解となった。水産庁は当日、10月10日に山形県に対し指導・助言をおこなった。

○ 組合自らが補償交渉の当事者になるときにおいても、組合の運営が円滑に実施されるためには、漁業補償契約の締結及び補償金の配分に当たっては、組合は当該協同漁業権の変更等により影響をうけることになる組合員の同意をとっておくことが望ましい。2号議案も同様。

○ 財産権の侵害だといっておられる方がいらっしゃるなら、本日のやりとりを県に伝えるので、具体的に県と話合うべき。

 

というものである。このことは、読売新聞、朝日新聞に掲載された。

 しかし県は、「プロセスが重要な補償交渉の協議の必要性」をぼやかし、通常業務の聞き取りでいいなどと矮小化している。

 一年前、沼沢組合長が漁業権の剥奪を示唆され、無理矢理つかされた県との治水協議の場は「ダムありきの協議の場」であり「ダムに拠らない治水の協議がようやくできる」と考えていた沼沢さんの想いは無視され、無念のまま自死に至った。その後の協議はダム推進の組合長や漁協幹部がイニシアチブをとり、ダム容認とセットの漁業振興という県の思惑をそのままに受け入れた。更に以前から反対者に行政から圧力がかかるような町政の中、今般総代会の「記名投票」という手法が2/3の総代がダム容認に動くことになった。

 しかし、漁業を営まない組合委員がいくら多数欠で決議したとしても、漁業で生計をたてている方々(関係組合員・関係漁民)の漁業行使権や補償、その交渉のプロセスもなく奪うことはできない。水産庁は山形県や漁協のプロセスの問題を認識したようである。

 

 私は、これからの関係組合員・漁民と県との補償交渉の場を、故沼沢組合長が求め続けた真実の協議の場にしなければならないと考えている。本来は漁協がイニシアチブをとるはずだった協議の場を懐柔し、変容させ、清流の守り人である漁協組合員、漁民の権利を奪い、清流を破壊しようとしている県の暴挙を、なんとしても止めたい。

 実際に釣りやアユで生計を営む、または生計の足しにしている方々に対して、改めて結集を呼びかけたい。

 10月20日、岐阜県では長良川の清流とアユを世界農業遺産として申請し国内候補になったとのニュースがあった。ダム先進国米国がダム撤去に方向転換した事を伝えるドキュメンタリー映画「ダムネーション」も公開がはじまる。

 年間9千人も人口減少する山形県で最も大事にしなければならないことは、地域が本来持っている価値を失わないことだ。人がつくることのできない自然、豊かで多様な生物によって支えられた人々の営みが有ることこそ、山形の豊かさにつながっている。生物多様性の観点では淡水環境の消滅が国際的にも危惧され、森・川・海の連環を取り戻すダム撤去や河川を自然にもどす公共事業がもう十数年も前から世界の潮流になっている。

赤倉温泉街の治水対策は、ダムの無い治水とともに、温泉街に手をいれたほうが未来への発展と持続可能な地域づくりにつながることは明白だ。

県が進めようとしている穴あきダムが小国川のような清流環境につくられるためしはこれまでにない。

 私は山形の持続可能な発展のためにもダムによらない治水をなんとしても叶えたいと思うし、12月開催の山形県議会で改めて、以上の趣旨に添った質問を行なう予定だ。

今や希少な存在となった内水面漁業の漁業者を守り、この川のいのちを守りたい。

 がんばりましょう。



河野談話の見直しに対して反対! 9月議会ー意見書を求める請願などについて


請願78号 「河野談話を見直し新しい政府見解の表明を求める意見書の提出について」

現国会で安倍首相は「河野談話を継承」と表明しております。また「河野談話」は、「吉田証言」なるものをまったく根拠にしていないものであることは、この3日の国会の衆院予算委員会で菅官房長官が明らかにし安倍首相も同様の見解を示しました。

●河野談話には、「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」とあります。自由のない生活を強いられ、強制的に兵士の性の相手をさせられた。つまり性奴隷状態とされたという人権侵害の事実は、多数の被害者の証言とともに、揺るがすことができない事実であると考えます。
私は、この事実こそ、『軍性奴隷制』として世界からきびしく批判されている、日本軍『慰安婦』制度の最大の問題であり、これこそ国際社会が問題にしている本質であると考えます。

河野談話を否定することは、「歴史を偽造し、日本軍『慰安婦』問題という重大な戦争犯罪をおかした勢力を免罪しようというものにほかならないと考えます。
 
私たちは、河野談話、村山談話などからなる私たちの歴史的責任を公式に認め、謝罪し受け入れるべきであります。そして、二度とそうした過ちを繰り返せぬように、平和憲法を政府に遵守させ、戦争しない国家づくり、平和外交、立憲民主主義国家の道、持続可能な社会への道を堂々と歩むべきであると考えます。

以上 採択に反対の討論とします。

請願67号 「特定秘密保護法の廃止を求める意見書」
 ●特定秘密保護法は、強行採決で成立時より指摘され続けている国民の「知る権利」を侵害する恐れは全く払拭されておらず、廃止を求めることに賛同するものです。

請願74号 「消費税10%の中止を求める意見書」
 ●今般の消費税率8%の税率引き上げによる景気下振れは「想定外」に大きかったと指摘するエコノミストの声があります。私は確実に県民生活に影響していると考えます。更なる影響を鑑みれば10%への増税は中止すべきであると考え請願に賛成するものです‘

請願79号 「集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を求める意見書」
● 集団的自衛権行使容認の閣議決定は、「他国の戦争に加担すること」を時の内閣が決定したものですが、日本国憲法に違反する行為そのものであり民主主義の手続き違反、立憲主義を破壊する暴挙であるという認識にゆるぎなく、政府はただちに撤回すべきであると考え、願意妥当、賛同するものです。



ダムを前提とした漁業振興策、流域振興策などありえない!9月補正予算 反対討論 


9月8日の討論。9月補正予算のうち、ダムを前提とした流域振興策の策定について

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計上されている補正予算の中、最上小国川ダムによる治水を前提とした地域振興計画案の策定にのみ反対するものです。

 ダムを前提とした清流未来振興図は、知事が掲げる自然と文明が調和する理想郷と、完全に矛盾しています。

 上流にダムをつくって、全体的に老朽化した赤倉温泉街に人が来て活性化するのでしょうか。ダムをつくれば小国川全体の環境にダメージを与え、松原アユの味がそこなわれ、アユやサクラマスの産卵や天然遡上を妨げる恐れがあります。さらにダムの穴の閉塞の懸念があり、閉塞した際は温泉街を今以上に危険にさらすリスクがあります。「ダムのない川」のブランドが崩れ、釣り客は激減するでしょう。
 
「ダムをつくってダムのない川以上の清流を目指す」などとした「最上小国川清流未来振興図」は、最新の魚類生態学や河川工学から申し入れた反論を完全に無視した科学的にありえないものであります。
 川本来の力を失ったらどんな漁業振興策もなりたちにくい事はいまや国際的に常識になっています。

 

それよりも、治水事業として赤倉温泉流域の河道改修とともに、秩序なく川に迫り出す旅館に手を入れ、温泉街自体の再生事業をおこなえば、安全安心を叶え老朽化でなやむ温泉街を救うことができます。まさに新しい価値をつくる公共事業となります。これは私たちが提案しているものです。

 

また、今般予算計上されている、アユ中間育成施設の井戸整備は、前組合長の時代から要望されていた、小国川漁協にとって死活問題といっていい喫緊の課題であります。

 

 今般の漁協総代会前に漁協幹部は「ダムを容認しなかったら井戸の整備をしてもらえず、漁協がつぶれる」などと総代にダム容認を迫り「ダムやむなし」と判断した総代が多数いたようです。この予算について県がそうした条件を漁協に流布していた疑いがあり全く不当であると考えます。


 本日協定締結とも伺っていますが、現在、川で生計を営み続けてきた組合員が漁業権の侵害を訴えています。それは更に総会開催を求めうる漁協組合員としての権利行使の可能性をつぶす行為であります。
なんの説明も同意もなく漁業を営む権利を剥奪することは許されない行為です。締結(ていけつ)の見直しを求め反対の討論とします。



真に生命と財産を守る=滋賀県の流域治水条例に学ぶ。


議会報告「パドル」にも掲載した洪水被害や土砂災害対策。私が最も参考にしている実例は滋賀県の取り組みです。

ダムを6つ止めた滋賀県政。かだ知事は真の生命と財産を守る治水政策を掲げ、流域治水条例を制定。

水害リスクランキング、地先の安全度マップの公開、徹底した住民への対話を通じて、「危険なところに住まない」

危険を感じたら迅速に避難するを実践している。

嘉田前知事肝いりの流域政策室には二度訪ねており、二度目はほとんど三時間以上担当者のレクチャーを受け、その後も様々な意見交換をさせていただいている。

本日の朝6時20分ぐらいのNHKテレビで、滋賀県の取り組みが全国版で紹介された。住民に熱心にはたらきかける役所マンの姿が印象的だった。

そして以下、週間現代のWEBで、嘉田前滋賀県知事の告発として、広島土砂災害を例にとりながら流域治水の理念が説かれている。横田一さんの実にわかりやすいインタビュー記事だ。

今、私が取り組んでいる最上小国川の治水についてもこれと全く同様の事がいえる。今注目のダムは何のために造られるのか。赤倉温泉の治水のためだ。この赤倉温泉街にいくとすぐにわかるのが、川にせり出して建つ温泉旅館群だ。県知事はよく「歴史的な景観をとどめた赤倉温泉街」というが、歴史的にどんどん川に近く立地してそれも耐水化どころか、低い堤防の上にちょこんと乗ったような形になっている旅館があったりする。中心の阿部旅館が倒産して一年あまり。周辺の旅館も老朽化しているのがわかるし、そのご主人に伺うと、川にかけて旅館をコンパクトにするなどして旅館群を再生したほうが、次の世代のためになるのではないかと応えてくれた。

流域治水条例の思想でいえば、「危険なところに住まない」を原則に、少し川からセットバックして旅館を再生するほうが絶対に理にかなう治水事業だと思う。

前置きはこの辺にして現代の記事を読んでいただきたいと思います。

 

嘉田前滋賀県知事が告発 「広島土砂災害は自民政権の人災」

災害リスクは先進国の土地取引では重要事項

「日本人の命を守る」と豪語している安倍首相は、広島の土砂災害の際、のんきにゴルフに興じていて、叩かれた。しかし、この問題は危機意識や緊張感の問題とはちょっと違う。なぜ、日本ではかくも災害が多いのか。それは自民党政権による“人災”だという。前滋賀県知事が語る衝撃の“真相”――。

――広島土砂災害では73人の犠牲者が出ました。安倍首相は集団的自衛権や原発売り込みには熱心なのに、この時(8月20日)はゴルフをしていました。

安倍首相を含めて政権与党が「日本人の命、命」と言うのなら、まず、土砂災害や水害、そして「環境破壊災害」と位置づけられる原発事故から国民の命と財産を守るべきではないでしょうか。何度も安倍首相は「母親と子供が避難する米軍護送船を守り切れないので集団的自衛権が必要だ」とパネルを使って訴えていましたが、いま目の前の災害から国民を守れないことの方が切実です。

 災害リスクは先進国の土地取引では重要事項

――安倍首相は自分に都合がいい時にだけ「国民の命」を口にするんじゃないですか?

広島土砂災害は、まさに歴代の政権が戦後一貫して続けてきた「土地持ち階層優遇政策」が招いた人災の側面があると思います。戦後の政権与党の政治と行政の責任といえます。

――どういうことでしょうか? 

日本では、政府が国民に自然災害を受けるリスクを十分知らせず、危険な場所に住宅や福祉施設を拡大してきたのです。私は環境社会学者として滋賀県内や近畿圏の過去の水害被災地を調査しました。その結果、水害は社会現象の側面が強いということがよくわかりました。旧住民が経験で知っている水害リスクなどを新住民に知らせることなく、土地を売却して新しい宅地開発などをしているのです。海外の先進国との決定的な違いにも愕然とし、それが2006年、知事選に立候補した動機でもあるのです。

 災害リスクは先進国の土地取引では重要事項

――海外は違うのですか?

先進国では災害危険区域を地図に示した「ハザードマップ」が当たり前になっていました。アメリカではハザードマップを参考にして水害保険が運用されていますし、フランスでは「それぞれの土地で過去100年間、どういう水害があったのか」ということを反映したハザードマップが作成され、不動産取引における重要事項説明になっています。ところが、日本はハザードマップを持っていない。大きな河川のハザードマップは平成10年代にようやくでき始めました。しかし、一部の大河川だけで、小河川や農業用水や下水道などがあふれるリスク、あるいは土地が低い場合のリスクをも織り込んだ統合的リスクマップはなかった。滋賀県では流域治水条例を成立させ、「地先の安全度マップ」を作りましたが、これが全国で初めてでした。

――2期8年の嘉田県政の総決算ですね。

災害リスクは先進国の土地取引では重要事項

 当初、流域治水条例に多くの自民党県議が反対していました。実はハザードマップは、地価が下がるので土地所有者には不都合なのです。大量の土地を持っている人たちは、どちらかというと古くから住んでいる地主側です。この人たちは水害リスクの高いところは経験的に知っている。知っていて宅地開発業者などに売る。最近は福祉施設などが、リスクが高い地域にできる傾向にあり、大きな問題をはらんでいます。水害のリスクがあるのに知らされずに土地を買わされるというのは、不良品をつかまされるようなものです。行政としても責任を持って安全管理をしないといけない。それで、フランスでは当たり前の「土地取引でのリスクマップの提示」を流域治水条例に盛り込みました。土地取引時には「地先の安全度マップ」を提示する。これを宅地建物業者に努力義務化したのです。9月1日から施行しています。

 

「地下が下がる」と反対した市長たち

――地主の代弁者が自民党という構図ですか?

 

 政治的にはそのような傾向にあります。そもそもサラリーマン、被雇用者層は、議員になれない、なりにくいのが今の日本の政治体制です。土地持ちの古い保守層は自営業などが多く、政権与党の代弁者という傾向が強いですね。水が氾濫しやすい、水害を受けやすい場には新住民が住む傾向があり、その土地の成り立ちを知らず、水害に遭う。そんな例が日本各地にありました。私は土地を持てるものと持たざるものの間の社会的不正義が許せなかった。それがいまだに構造的に続いている。この不公平が世代を超えて継承される恐れがある。社会的正義感からして許されないことです。

 

――しかし、条例には反対が多かったのでしょう?

 

「地先の安全度マップ」を公表しようとした時に「地価が下がる。人心を混乱に陥れるのはいかがなものか!」と徹底反対した市長さんたちが、滋賀県内にも何人かおられました。土地を持っている地主側の人が多かったですね。それぞれに利害をもって判断をされたようで、悲しいことです。

「地下が下がる」と反対した市長たち

――それでも滋賀県はマップができましたが、日本全国を見回せば、マップがない地域ばかりです。

 ハザードマップが十分に活用されていない日本の実情はあまりにひどい。これは地主や不動産開発業者ら利害集団に対する迎合政策としか言いようがありません。歴代の政権与党は危険地域に人が住むのを野放しにする一方、リスクが高まった水害対策としてダム建設などハード整備を訴えてきました。確かにある一定規模の水害まではダムは防げますけれども、巨額の税金をつぎ込む必要があり、効果が出るまでに何十年も時間がかかり、自然破壊や集落移転の弊害が伴う。先進国では常識のハザードマップを使って「ここは危ないところですよ」と住民に知らせ、また行政としても土地利用規制や建物規制をした方がはるかに有効なのに、ハザードマップの活用を十分に進めてこなかった。歴代の政権与党は、支持者である地主と業界団体のために人命軽視で非効率な防災政策を続けてきたとさえいえます。そもそも今、人口減少社会になってしまったわけですから、「危ないところには家を造らない。造るのだったら、かさ上げをするとか災害対策をして造る」という合理的な土地利用にすることが重要なのです。

「地下が下がる」と反対した市長たち

――災害危険区域に家が立ってしまっている場合でも、正直に「ここは危険ですよ」と伝えればいい。それをやっていないのが歴代政権であり、となると、「人災」といえる?

政府が15年前に土砂災害防止法を作った時にも同じような議論があった。「警戒区域に指定されたら、地価が下がる」と。土地を利用目線ではなく、販売、商売目線で見る人にとっては、リスク開示は不都合なのです。私は過去30年以上、河川政策と環境社会学を学んで、徹底的に原因調査を行い、何冊も本も書いてきました。欧州やアメリカの河川政策も現地訪問し研究しました。その結果、ダム以外の方法による治水のほうが合理的な場合が多いことがわかってきました。滋賀県が施行した流域治水政策は世界標準では当然です。政治のリーダーは災害リスクを科学的に正しく知って、正しく伝え、正しく備える仕組みを国民運動とすることに旗を振ってほしい。国民、住民も住んでいる場所の自然災害リスクを、自ら知って備える覚悟を持っていただきたいですね。(聞き手・横田一)

▽かだ・ゆきこ 1950年5月18日生まれ、京大大学院、米ウィスコンシン大大学院修了。農学博士。滋賀県立琵琶湖博物館総括学芸員、京都精華大学人文学部教授を歴任し、2006年7月2日の滋賀県知事選に当選。10年再選。12年の衆院選では「日本未来の党」をつくったが、翌年代表を辞任。びわこ成蹊スポーツ大学長就任予定。



「親愛なるデビッド・ブラウワー様 そして川を愛する皆様へ」パタゴニア社のカタログに掲載されたエッセイを再掲載。


http://www.patagonia.com/jp/patagonia.go?assetid=78639

 

親愛なるデビッド・ブラウワー様 そして川を愛する皆様へ

by 草島 進一
『Alpine 2012』カタログ掲載

 

1992年、リオで環境サミットがおこなわれたその年、私はカヌーの上にいました。そして大勢の仲間とともに300艇のカヌーで、完成間近の長良川河口堰に向かって「河口堰建設反対」 を叫んでいました。 貴方は長良川現地にいらして、全国から集まった1000人以上のアクティビストたちの先頭で行進していましたね。私は当時あの運動をきっかけに出会った仲間たちと、空と水の境目がわからなくなるような日本の数少ない清流でカヌーを漕ぐのが至福の時でした。

あれから20年。当時の長良川の運動は、堰は止められなかったものの、リーダー天野礼子氏の呼びかけと強烈なロビー活動により、日本の政治、官僚、建設業界、御用学者、報道機関が癒着した病気の構造が白日の下にさらされ、その結果いくつかのダムが止まり、河川法が変わって、環境と住民参加の重要な2項目が法律に加わりました。これで、2600基もの巨大ダムを作りつづけてきた土建国家は猛省し、変わるのかと思っていました。でも、実態はほとんど変わりませんでした。住民参加や環境も名ばかりで、ダムありきの委員会が跋扈し、ダム建設は進行していきました。

もちろん、志ある民は行動をつづけました。2010年に亡くなった姫野雅義氏は、2000年1月に吉野川可動堰の建設の是非をめぐる住民投票を実現。投票で住民が「NO」を突きつけ、事業を止めました。また同じ年、木頭村の藤田恵村長は細河内ダムの建設計画を、村を挙げてほぼ白紙撤回させました。2001年2月、田中康夫長野県知事(現衆議院議員)は、「脱ダム宣言」をおこないました。「数百億円を投じて建設されるコンクリートのダムは、看過し得ぬ負荷を地球環境へと与えてしまう・・・河川改修費用がダム建設より多額になろうとも、100年、200年先の我々の子孫に残す資産としての河川/湖沼の価値を重視したい・・・出来得るかぎり、コンクリートのダムを造るべきではない」という宣言と実際に4つのダムを止めた行動に、私たちは奮い立ちました。

40年間住民運動がつづいた川辺川。推進反対論者が徹底的に公開の場で議論する住民討論会で潮谷義子元知事が問題を明らかにし、2008年9月11日に蒲島熊本県知事が「いま、この時代に守られるべき生命と財産を踏まえたとき、球磨川の清流こそ、我々が守るべき宝」と表明して川辺川ダムを止めました。そして2009年9月、「コンクリートから人へ」を掲げた民主党への政権交代。当時の国土交通大臣の前原誠司氏は、「八つ場ダムと川辺川ダムの中止。そして全国のダムを一端凍結して再検証をおこなう」と画期的な表明をし、建設予定の83のダム建設に抵抗する私たちは万歳して涙を流しました。

けれどもそれから1年、私たちのあいだには失望が広がっています。ダムに依らない治水論の学者は検証委には入れず、ダム御用学者で構成される完全非公開の国のダム評価委員会は、次々と建設推進に「GO」を出し、反対する多くの住民やNGOの思いは完全に反故にされたのです。皮肉なことに、ダム検証がダム推進にお墨付きを与えています。全国に絶望が広がるなか、「もったいない」を掲げて2006年に当選した滋賀県の嘉田由紀子知事は3つのダムを止め、ダムに頼らない総合治水へと舵をきりました。基本高水論では埒が明かないと、どんな洪水でも非定量型治水流域政策局をつくり、大阪府、京都府、兵庫県など関西連合を導いています。

さて私はといえば、貴方の志を胸に、いま東北の山形の地で県議会議員として地元の月山ダム問題、最上小国川の問題に取り組んでいます。月山ダム建設の利水事業は止められませんでした。2001年のダム竣工により国内有数の地下水を保有する鶴岡市の水道水はダムの水に切り替わり、水道料金は2倍。住民は水質低下と不安定な水温に悩まされています。そしていま最上川の支流随一の清流、最上小国川には「治水専用穴あきダム(Dry Dam)」が計画され、反対運動を展開中です。現在では日本は人口減少社会に転じ、水が余って、貯水型ダムには歯止めがかかっています。国は貯水ダムの環境破壊はようやく認めたようですが、治水専用のいわゆる穴あきダムは環境に優しいと称して、普及させています。

本当にダムによる治水は可能なのか。2004年の新潟水害では、上流にダムのある五十嵐川で死者をともなう水害を引き起こしました。2011年和歌山では3つのダムが洪水で満杯になり、結局放水によって水害を大きくし、犠牲を出しました。原子力発電の安全神話が2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所事故で崩壊したのと同じように、じつはダム安全神話は崩れているのです。また東日本大震災の津波災害ではいくつかの場所で、津波が数千億円で作った潮止め堤防を乗り越え、大勢の方々が命を失いました。それは基本高水水量を想定してつくるダムも同じです。想定以上の洪水がくると、人命を奪う凶器にさえなる。私たちは教訓とすべきです。元京大防災研究所長の今本博健氏は、「穴あきダムはダムの延命策としか思えない歴史的愚行」と評しています。

貴方が「地球を失ったらどんな経済も成立しない」と伝えていた環境の経済価値。私はその自然資本(Natural Capital)を論点にしようと、鮎釣りに3万人訪れる小国川の価値を年22億円の経済効果、そしてそれがダムで失われれば年10億の損失と試算し、県議会で議論中です。今年の「リオ+20サミット」の中心テーマになっているグリーンエコノミーの内の「生物多様性の経済価値(TEEB)」は、2010年の生物多様性サミットでも目標が定められましたが、実効力は乏しいままです。米国では、流域の地域経済のためには漁業を復活させたり、レジャーに使ったりしたほうがいいと1994年にダム建設を止め、いまや700ものダムを撤去したと聞いています。でも日本では、いまだ土建会社が儲かれば地域経済は潤うとする古い政治屋たちが跋扈しているのです。

でももう市民は気づいています。ポスト311の希望の社会づくりには、原発もダムもいりません。古い利権ムラを脱して、社会のビジネスモデルを変えるときなのです。私たちが行動するとき、貴方のスピリットがいつも胸にあります。いま行動のとき。子どもたちとともに川に遊び、本来の美しさに触れ、それを未来に手渡すアクションをするときです。