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17年目の1.17に寄せてー新しい市民社会の文化を。


17年目の1.17に。

あれから17年もたってしまいました。ボランティア元年という言葉を生み出した1995年。私はその渦中の中で新たな人生を得た一人です。はじめの150日間は、テントで暮らしながらの被災地支援活動。3日のつもりが、1週間会社を休んでということになり、そして1ヶ月休職。そして更に。結局やっと入れた会社を2月の終わりに退職することに。そして4月から正式に神戸元気村の副代表を職業に歩み始めたのでした。確か8月までは無給で自分の銀行口座から持ち出し。でも炊き出しを食べたりみんなで自炊していたし、公園のテント生活で家賃もなく、24時間体制で被災者支援の活動に明け暮れていました。
 仮設住宅の独居のお年寄りをターゲットに、孤独死防止用のプロジェクト「ベルボックス」と被災地支援のコンサート(当時6千人の高校生を招待してワールド記念館でおこないました。ハービーハンコックら超一流アーティスト、JAZZ )のコーディネートなどに奔走していました。バウさん(山田和尚)の繰り出すアイデアを実行に移すのが僕の役目。当時感じていたのは「今が太い」日々をようやく手にいれた。という実感だったと思います。今という時しかない。そこには過去という時間も未来と言う時間もない。とにかく今を集中して生きるということ。
 やれたこと、やれなかったこと。様々有りますが、29歳までの自分が全く踏み出せなかった一歩を僕は踏み出せていた。そんな自分がありました。2月22日、被災地で多くの同士に祝福されながらの30歳を迎えていました。
 当時日々200人ぐらいのボランティアの中で次を生み出すことをバウさんとやっていたように思えます。次のニーズを読み解くこと。そのためにバウさんは昼夜を問わずメディアを問わず、場所を問わずリサーチをし、「次はこれなんやわ」と一瞬、奇想天外にも思えるが、よく考えると納得できる、ようなアイデアを僕に話し、僕はなんとかそれに応えようとしました。応え、動いて自分なりにいくつかの壁を越えることもできました。その時の一つ一つが自分の自信になっていきました。
 ボランティアの場に一歩踏み出すと、自分の世界が変わります。一つの笑顔をつくるために、あれをやったらどうか。いやまてよ、あれも必要かもしれないな。お、それならあの人に声をかけてみようか。などなど、実にクリエイティブな喜びがあります。そして、今まであったこともない人に会えたりします。僕は神戸以来特に、ずっとそんな出会いの連続に恵まれていたように思えます。

 僕が当時会社を辞めてまで神戸元気村を職業にやっていこうと思ったのは、実は長良川河口堰の反対運動の際に出会った NGOという世にも珍しい職業をやっていた人々に会ったからでもありました。デビッドブラウアーやオーウェンラマーズ、フィリップウイリアムス、などなど。学者の肩書きもある人もいましたが、ダムファイターとかアクティビスと(市民活動家)としてNGOを運営しているという人々でした。「ダム反対運動をやってそれを職業としてできるなんて、すごいな」僕も川を守る活動が職業にできたらとも考えていましたが、もしかするとこの震災復興だったらNGOというものが成り立つのかもしれない。と考えてもいました。

 結局3年、神戸にいて、後半はベルボックスと同時に仮設住宅から恒久住宅への引っ越し支援、お米で被災地と全国を結び直す3ライス神戸プロジェクトを展開していました。
 この3年は僕の今の政治の原点でもあります。市民が思いをもって動けば、物事や仕組みが変わるのだということ。私達の活動はボランティア元年という言葉を生み出し日本にNPO法を生み出しました。
その後、日本海重油災害では、はじめて社協とNPOと青年会議所が協働してボランティアセンターをつくるという文化を生み出しましたし、インターネットでのボランティアコーディネートの先駆けをおこなわせていただきました。

04年の新潟水害と中越大震災。中山間地への支援策などを展開しました。
そして昨年の東日本大震災。

神戸からの経験を活かしてやれたかなと思えるのは、3月19日にはいった石巻で、20日に当時現地入りしていたNPO、NGOと社会福祉協議会、行政との情報共有の場をつくることができたことです。
その2回目(3.21)の模様は、http://www.ustream.tv/recorded/13546578 で録画中継されています。
このNPOの連絡調整会議は、石巻災害復興支援協議会となり、奇跡のボランティアという集団として行政の最新情報を共有する中で複数団体の連携で町の泥だし作業や漁業支援など様々な新しい活動を展開してくれました。

今、東北の被災地では仮設住宅への支援が課題となっています。神戸での活動を踏襲するかたちで、当時の仲間達と絆ベースと協働して3ライス元気村プロジェクトをはじめました。私も年末の12月23日に現地にお米を持って行き、メッセージカードを添えて仮設住宅の65歳以上の一人暮らしの方々にお配りしました。「いつもは家にひきこもったままだ」「米を買うにも遠くてどうすればいいか」との声を伺いました。段々と報道も薄れ、どんどん寂しくなるのが被災地だということであり、山形のボランティアはむしろこれからだ。と考えているところです。

 「ボランティア元年」の17年後、2万名もの犠牲者に向けて僕らは何ができるか、問われていると考えます。
この1月9日は郡山を再度訪れました。手持ちのガイガーカウンターは0.6、0.8μシーベルトを記録。線量が高いままです。子ども達の室内遊び場を視察してきました。3連休は整理券待ちの大盛況。確かに園遊び場は豪華で実によくできていて、みんな楽しそうだったのだけれど、外に一歩でればかなり高い放射線を浴びることになる。正直子ども達は大丈夫なのか。本当に心配になりました。
 強制集団疎開でも考えていかねばならないのではないか。とも考えました。

1.14,15は脱原発世界会議が横浜で行われました。1日のみでしたが参加しました。
2日間で1万人の人が集まる大盛況ぶり。そして主体的に問題を解決しようとする一人一人の熱い行動に出会えました。
 
17年目の 1.17、今日はテレビで希望の灯をみてから上京、昼すぎから脱ダムのアクションと緊急フォーラムを国会近辺でおこないます。

僕にとって阪神淡路以来の被災地支援のボランティアも脱ダムや脱原発の行動も全く同じ思いでの行動です。県議会議員としての提言も追求も質問も全く同じ思いで行動しています。

一つでも人々の笑顔をつくるため。子ども達に恥ずかしくない未来を手渡すため。

311以

成人式に 恒例の街頭演説。




羽黒山伏山形勧進に同行ー知事へ


6日午後2時半。県庁の知事室に法螺貝が響き渡りました。

ということで。

安全 運転のために、昼間のライトアップを。


昨日、本日から仕事始めの方々がたくさんいらっしゃるかと思います。


写真は八文字屋前にて。

 

2012年 元旦 持続可能な社会への転換の元年に。


謹賀新年
ナチュラルステップ創設者、カールヘンリクロベール氏と。08年 ヘルシンボリ sweden


古い河川行政に戻すなー京都新聞社説よりー


以下 転載します。

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京都新聞社説 2011年12月25日

八ツ場ダム再開 古い河川行政に戻すな

無駄な公共事業の代表として、民主党が2009年の衆院選マニフェスト(政権公約)で建設中止を掲げた八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設工事再開が決まった。

「コンクリートから人へ」の理念はどうしたのか。あまりに明白な「変節」にあきれるしかない。

前田武志国土交通相は「マニフェスト通りの結果が得られなかったのは残念だが、苦渋の決断をした。代替案のないまま中断するのはよくない」と説明した。

すでに立ち退きを強いられた住民や流域6都県の反発は当初から予想されていたことだ。ダムに代わる地元振興策と治水策を示し、説得することこそ、政権党がなすべき一貫性のある態度だ。

2年前に国交相として建設中止を宣言した前原誠司党政調会長が頑強に抵抗したが、最後は決定を政府に委ねて容認した。筋を通したかに見える前原氏だが、自らが決めた事業検証の手順を逆手にとられる形で建設再開に道を開いたことは大きな失策と言えよう。

前原氏が設置した有識者会議の提言を受けて実施されたダム事業の検証は、国交省が実務を担い、コストの比較に重点が置かれた。その結果、すでに着工され、追加工費が少なくて済む既存事業の多くがコスト的に有利とされ、追認されたのは自然だ。こうした官僚主導の「検証」に基づく今回の再開決定は、民主党が目指す政治主導とは程遠いはずだ。

今後の河川行政への影響も大きい。全国で見直し対象のダム事業83のうち「検証」が終わったのは八ツ場を含む20事業。中止は6カ所にとどまり、14カ所は継続となった。八ツ場を突破口に、未検証の事業についても継続方針が続出する可能性がある。

国交省による「検証」には、今本博健京都大名誉教授ら河川工学の研究者らが異議を申し立てている。水需要の減少を無視しているうえ、局地的豪雨に対する効果は未知数というわけだ。自民党政権時代の政府答弁でも八ツ場ダムの治水効果は否定されている。

こうした問題を認識していたからこそ、民主党は「脱ダム」をマニフェストに盛り込んだはずだ。公共事業は止まらない、という象徴的な意味での痛手にとどまらず、今回の決定が「治水はダムで」という古い河川行政に逆戻りさせるのろしとならないか、懸念する。

国交省は、凍結していた東京外郭環状道路(外環道)の建設工事を再開し、整備新幹線の未着工3区間の着工を認可する方針だ。これでは「コンクリートから人へ」どころではない。

これ以上、時計の針を逆回転させてはならない。さもなくば、国民が政権交代で期待を託した民主党の存在意義が消えてしまう。

http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20111225_2.html

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古い河川行政をしっかと認識しているところに、関西のメディアの常識があります。
こうした認識、東北、山形はどうなんでしょう。

もう時代は変わっているのです。





脱ダム運動は、これからが勝負! 水源連からの声明。


連携してダムの問題を取り組んでいる水源連から以下の声明が発表された。

賛同す。

小国川の国の検証も然り。その前におこなわれた県の「検証」も、委員会の人選に「ダムに依らない河川工学者」が招聘されておらないなど、全く「検証」と呼べないものでした。
「環境影響についての委員会でも、今般、アユの研究者により、ダムによる影響としての検証不足が指摘されています。

国も、県も、ダムを建設しようとしている事業者側がおこなう「検証」なんて、所詮骨抜きになることが目に見えていたのです。だから、「検証」の委員会のあり方、構成こそ肝だった。
政権交代でやるべき鍵はそこにあったのに、前原氏はそれをやらなかった。委員の中に、元淀川流域委員会 委員長をおつとめになった 今本博健 氏、宮本博司 氏、大熊孝 氏、らをいれとけば、そして、オープンに会議をしておけば、しっかりとした検証になったはずだったのに。
残念でなりません。

「できるだけダムに依存しない治水・利水」への転換”という視点で正しく審査する第三者による「事業検証検討審査会」、これこそ必要です。

 マニュフェスト違反といわれて、開き直っているだけの民主党にはもう期待できないのかもしれませんが。でも、このまま、政権交代大失敗の道を続けて、昔の政治に戻ったら、更にヒドイことになると僕は考えます。もう一度ふんばってほしい。と感じています。
 ほんと、このままでいいんでしょうか。

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                                平成23年12月25日
内閣総理大臣・民主党代表
    野田佳彦 様
国土交通大臣
前田武志 様
            水源開発問題全国連絡会
           共同代表 嶋津暉之
           共同代表 遠藤保男

八ッ場ダム本体工事費計上決定への抗議と再審査の要請

 12月23日、政府・民主党三役会議は八ッ場ダム建設再開のための本体工事費の予算案計上を決定しました。八ッ場ダムの不要性、不当性を長年訴え続けてきた私たちは、この決定に対して心底からの怒りをもって抗議します。
本体工事費計上は、「民主党としては反対であるが、最終判断は政府にゆだねる」とした上で政府・民主党三役会議が決定しました。八ツ場ダム本体工事費を来年度予算に計上することは紛れもなく民主党政権の選択です。

2009年、国民は民主党政権を選択しました。それはこれまでの政治のあり方を変えることに国民が賛同したからです。その一つが「コンクリートから人へ」「できるだけダムに依存しない治水・利水」でした。新規のダムは、その必要性を喪失し、自然環境と地域社会の破壊という負の遺産を残すだけであるということが国民の知るところとなり、多くの国民が民主党政権の成立に大きな期待を寄せました。

民主党政権成立後直ちに「川辺川ダム・八ツ場ダム中止」「すべてのダム事業の見直し」を前原誠司国土交通大臣が宣言しました。政治主導による河川行政の転換が一歩を踏み出しました。しかし、その後の歩みは河川官僚と地方自治体首長たちに巻き返され、政策転換は後退に後退を重ねました。その象徴が「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の人選・運営です。ダム懐疑派の専門家は排除され、会議は非公開で行われました。同会議の「中間とりまとめ」と、それに基づいて国土交通省が各ダム事業者に示した「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」は、検証のシステムも内容もダム事業者の意向通りに進むようにつくられました。

八ツ場ダム事業は、関東地方整備局がこの細目に即して、事業推進の結論が先にある形だけの検証を行い、「八ツ場ダムが最も有利」という検証結果を国交省に報告しました。有識者会議はその報告を「細目に即して検証されているので問題なし」と評価して、国交大臣が「八ツ場ダム事業推進」を決定し、政府・民主党三役会議も追認、というのがこれまでの流れです。

このように検証の本来の目的である河川行政の方向転換を反故にして、ダム事業推進の結論が先にある検証の流れを断ち切らなければなりません。

私たちは八ッ場ダム本体工事費計上決定の撤回を求めるとともに、現在の有識者会議を解散し、ダム事業者から報告される検証結果を“「できるだけダムに依存しない治水・利水」への転換”という視点で正しく審査する「事業検証検討審査会」を設置して、あらためて八ッ場ダム検証報告の審査を行うことを求めます。

連絡先 水源連事務局長(遠藤保男) 045-620-2284


クリスマスの日に、次の世代にあなたは何を手渡しますか。




10時の閣議で来年度国土交通予算決定概要が発表された。
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_001894.html

水管理・国土保全局【PDF形式】 には以下のように。
http://www.mlit.go.jp/common/000186708.pdf 

(4) ダム建設 【国費: 1,084億円】
検証を進めているダム事業については、基本的に、新たな段階に入らず、地
元住民の生活設計等への支障に配慮した上で、必要最小限の予算を計上。
検証の対象としない事業のうち、継続的に事業を進めることとしたダム事業
については、可能な限り計画的に事業を進めるために必要な予算を計上。また、
川辺川ダムについては、生活再建事業を継続するために必要な予算を計上。
八ッ場ダムについては、対応方針を「継続」としたことを踏まえ、生活再建
事業の他、本体工事の準備に必要な関連工事を進めるための予算を計上。
また、補助ダム事業については、今後、個別ダムの検証の動向を可能な限り
見極めた上で、適切に対応することとする。(実施計画において確定)

とある。さてはて。
 日本屈指の清流、最上小国川を破壊するダム建設予算はどうなることやら。

いずれにしても、今、科学者の方々から突きつけられている指摘や反論に対して、真相を明らかにして頂きたい。まずはそれからだとおもいます。

諸々の論証により、そして更に、、「今、何を大事にすべきか」という昨今の時代背景で、単に、「生命と財産を守るといってダムやればいいんだ!」という建設の根拠、大義が完全にどっかいっていると思うのは私だけでしょうか。僕は、本当に住民の「生命と財産」を守るのは、ダムじゃない。と考えます。
 
 2万本近い清流があった、どこにも川の民が存在した、この日本で、この数十年でどんどん本来の自然や野生を失ってきてしまった。もうダムのない川は小国川と数本しかありません。ダムをつくられたために川の土砂循環が失われ、海岸線はテトラポットだらけになりました。
 すでに土砂で埋まって使い物にならなくなったダムが日本国内にもでてきました。
 コンクリートが老朽化して危険なダムもでてきました。
 撤去にいくらかかるのか。全く計算にはいっていません。

 上甲晃先生が、先般の講演でお話されていました。

「このままでは、私達は次の世代に廃棄物と借金しか手渡せない」 と。

 ここを変えるのが、政権交代だったのではなかったのか。
 
少なくとも僕は、こうした思いであの政権交代を応援していました。

 八ッ場も、現場の検証をよーく確かめていると、でたらめ、いかさまなんですよ。

人口が急激に減少する日本で、首都圏だって同じこと。そこだけ水需要が増えるんでしょうか。

それと、ヒ素入りの水を東京の人達は飲みたいんでしょうか。

 小国川の事についても、温暖化で、関西以西のアユが採れなくなっている事を伺った事があります。そんな中で東北のアユはアドバンテージがある。でも太平洋側は3.11でダメージを受けています。小国川のアユの種苗アユは今年、岩手の気仙川で放たれています。
 こうした生命の源を、わざわざ、私たちの手で破壊してしまって良いのでしょうか。

私は、吉村知事を応援する立場におりますが、この案件だけは絶対にゆずれません。
むしろ応援する立場だからこそ、ダムをつくらせてはならないと考えています。

真に持続可能な山形を実現するためには、エネルギーの事と同時に、この大きな難題を乗り越えて
いかねばならないからです。 

 ダム問題も大多数の方々は無関心です。だから、古い政治がまかりとおってしまうんだと思います。

 でも、今、私達が行動を興さないと、次の世代により良い未来を手渡せません。

「山形の食の文化、アユの文化」を失いかねない。まさに文化の消失の危機なのです。

ぜひ、多くの皆さんに考えて頂きたいと思います。

今日、クリスマスイブ、いい、日をお過ごし下さい。

そして、ちょっとだけ考えて欲しいのです。次の世代に何をプレゼントできるのか。を。







朝日、山形新聞に質問状提出が掲載


12月22日付けの新聞に、21日の公開質問状提出について掲載されました。
以下、内容をお知らせします。

朝日新聞 山形
「治水」巡り県に質問状
最上小国川ダム建設で「守る会」
県の最上小国川ダム建設計画に反対する「最上小国川の清流を守る会」(川辺孝幸山形大教授ら共同代表)は21日、県に対し、治水対策や環境への影響などに関する公開質問状を提出した。
 質問状であh、治水対策について「県が造った堰や床止めで河床が上昇し、洪水を引き起こしている。河床掘削で解決できる」と指摘。「ダムによるアユへの影響の検討が不十分」「対策を施せば、河床を掘削しても温泉への影響を回避できる」などとし、県の見解を求めた。
 県河川課は、「内容を確認し、なるべく早く回答したい」としている。

ーーーーーーーーーー
山形新聞
最上小国川ダムで県に公開質問状
建設反対派

最上小国川ダム(最上町)建設に反対する「最上小国川の清流を守る会」は21日、 河川環境、 治水 対策、湯脈調査の3分野について、県に公開質問状を提出した。ダム整備によりアユに及ぼす影響などについての県の見解を求めている。質問状を受け取った工藤雄一河川課長は「内容を確認し、速やかに回答したい」と述べた。

ーーー以上。

12月21日、県に対して公開質問状を提出しました。


 
本日、議会最終日。終了後、以下、公開質問状を提出いたしました。 


 公開質問状
                              2011年12月21日
山形県知事 吉村美栄子 殿
山形県土整備部長 鹿野正人 殿
       
                    最上小国川の清流を守る会
                      共同代表  川辺孝幸
                      共同代表  高桑順一
                      共同代表  草島進一

私達は、最上小国川、最上川流域の住民の生命と財産を守り、真に持続可能な発展を叶えるためには、全国的に希少価値のある最上小国川の自然環境を守るダムに依らない治水を実現することと考えるものであります。

最上小国川ダム建設について、科学者の方々から以下のような問題の指摘があり、県は回答を避けたままであります。これらは、県の説明会、知事と漁協、自然保護団体との面談、検証の際のパブリックコメント、更に議会質問でも指摘しているにもかかわらず、「聞き置く」だけ、もしくははぐらかしている案件がほとんどです。 更に県が出席を拒んだ11月27日の「県民による再検証」で科学者により指摘された新事実を含むものでもあります。12月県議会でも指摘しましたが、「新事実でもなんでもない」と部長は応えました。とんでもないことです。県民への説明責任を果たすべく、公開質問状に可及的速やかにお応え頂きたく存じます。



■治水対策について 
●理念について
1)2004年の新潟水害など、ダムが想定外の洪水時に機能せず死者を伴う甚大な被害を及ぼした教訓から、対象を越える洪水に対応できないダムによる「定量治水」から、あらゆる大きさの洪水を対象にし、流域全体で受け止め、壊滅的被害を回避する「非定量治水」に舵をきる治水の理念転換が科学者によって唱えられ、滋賀県をはじめ自治体で取り組みが見られます。
 3.11東日本大震災や今年9月の和歌山水害、昨今の広範囲のゲリラ豪雨を教訓とするならば、こうした新たな理念でのダムによらない治水策へ転換すべきと考えますが如何でしょうか。 (今本博健 元京大防災研 所長)


●赤倉温泉地域の堰、床止めなどの河川構造物について
河川課長は12月議会の質疑において「橋脚の保護とか護岸の保護、温泉水の維持などを目的につくったもの」と言及し、「温泉水の維持」を目的と認めているようですが、県がつくった床止め、堰、落差工によって土砂堆積し、結果的に異常に河床があがっている事。それが洪水被害を引き起こす原因となっている事。本来計画河床高に合わせて造るべき床止めとは異なる設置様式になっている事が 河川工学者によって指摘されています。河川管理者自らの河川工事による構造物により、周辺住民を危険にしてきたのではないかという重大な指摘であります。

 山形県作成の縦断図(図1)で、大熊孝新潟大学名誉教授(河川工学)は「36.7kmあたりから37.3kmあたりまで、河床が高くなっている。これは36.7kmあたりの床止めの影響だと思います。この床止めを取れば、河床が平滑化して、洪水位も下がるのではないかと思います。」と指摘しています。
図2でも本来の床止めとは異なり、下流部の堰にあわせ、意図的に高く管理された河床に合わせている事が図から見て取れます。また、洪水被害箇所はこの河床が上昇している地域と一致しています。

図1(山形県土整備部作成)

図2)県の資料を基に国土問題研究会作成 (中川 学 他)
図3県資料 昭和49年の集中豪雨による被害状況

1)県がつくった構造物によって川床が上昇していることは認めますか
論拠と共に回答してください。

2)これまでの洪水被害はほぼ内水氾濫による被害でした。この解消策は河床を下げることであるとの指摘が河川工学者からされております。早期に周辺住民の生命と財産を守る為には、県が造った構造物を除去し、河床の土砂除去、河床掘削をすることが先決ではないですか?

3) 赤倉温泉流域の河床上昇をそのまま放置して、流水型ダムに想定以上(ダムを越流するレベル)の洪水が生じたら、赤倉温泉地域は壊滅的な被害を受ける可能性があると指摘されています。その際、ダム案と改修案では赤倉温泉地域の被害はどちらが大きくなりますか。

4)流水型ダム「穴あきダム」は,ダムの上流で斜面崩壊や土石流が発生した場合,流れてきた樹木や土砂・砂礫によって穴が詰まって,「穴あきダム」の機能を失ってしまい,逆に被害を拡大する可能性をもっていることが,山口県防府市の老人ホームの土石流被害などの同様な形状の場所で明らかになっています.この指摘についての見解を求めます。

■ 2流水型ダム(穴あきダム)の河川環境(鮎)への影響について
(高橋勇夫 たかはし河川生物調査事務所 所長)

高橋勇夫氏の27日の論証は、これまでの県主催の「最上小国川流域環境保全検討会」で検討状況を丁寧に確認をした後に、アユへの影響の問題点について、新たに科学的に論証されたまさに「新事実」であります。(詳細は別紙資料参照)

1)検討されていない「当然検討すべきアユへ及ぼすと予想される影響」

流水型ダムであってもダム下流河川の攪乱強度、攪乱頻度の低下にともなう大型糸状藻類、コケ類、貝類の異常繁殖等、生物相の変化が起きる可能性は十分にあり、深刻な漁業被害が起きる可能性がある。仮に起きた場合、穴あきダムはそれを制御するすべを持たない(貯水ダムで行われているフラッシュ放流のような対策が行えない)。そして、そのことが将来への潜在的なリスクとなる。
攪乱強度、攪乱頻度の低下によるそうした水域の生物相が如何に変化するか、そのことがアユや漁業に影響を及ぼすか全く検討されていない。
●この指摘についての見解を伺います。

2)アユへの影響がすでに検討されているものについて、検討内容が正しいと言えないもの

A) 濁りの影響
 穴あきダムによって発生する濁りの濃度と継続時間は、「ダムなし」と比較して若干の差異が発生(シミュレーションの結果)するが、「アユへの影響は小さい」とされている(第7回資料)。そして、各治水対策を評価する中で穴あきダム案のみが「アユや生態系への影響も小さい」とされている(第8回資料)。
 しかし、最新の知見*では、アユに対する濁りの影響がより詳細に検討されており 、その実験結果から判断すると、穴あきダムによる高濁水(1000mg/L以上、粒径20-55μm)の発生時間の延長がアユに対して大きな影響(死亡)を及ぼすことが十分考えられる。この知見は穴あきダムによる濁水の影響検討が行われた後に出たものであり、検討時点での評価は仕方ないものではあるが今後、新しい知見に基づいて再検討されなければならない。
●再検討が促されているが見解を求めます。

B)土砂移動の影響
 穴あきダムの土砂の移動に関しては、最上小国川流域環境保全協議会では「ダムなしの状況と全体量がほぼ同じに移動すると考えられるが、土砂の移動する継続時間が変化することが予想される」 とされている。
しかし、島根県益田ダム(穴あきダム)では、洪水時に形成される貯水池の流入点付近に大粒径の礫が大量に取り残された状態となっている(現地調査した研究者への聞き取り)。この事実は、「洪水時に運ばれてきた土砂はその全体量が『ダムがない状態』とほぼ同じに移動する」という県の判断のようには移動せず、貯水池でふるいにかけられ、比較的粒径の小さいものが選択的に下流に流される可能性があることを示唆している。その場合、下流河川の環境は変化することになる。
●見解を伺います。

3) 判断が不適切と考えられるもの

「各治水対策案の評価((第8回最上小国川流域環境保全協議会資料)」において、改修工事など各種の治水対策が穴あきダムとともに比較検討されている。その中の「生物多様性の確保及び流域の自然環境全体への影響」に関して、穴あきダム案は「魚類(アユなど)の生育や生態系への影響は小さい」と評価する一方で、河道改修案は「河道内の環境が改変されることから水中の生物への影響が考えられる」と負の評価を受けている。
しかし、穴あきダム案が「影響が小さい」とは必ずしも言えないことは上記の通りであり、他方、「河道改修案」に関しては工法(近自然河川工法、多自然工法)を選択することによって、影響はほとんど出ないようにできることもある。日本の河川行政、河川工学に関わる研究者・技術者は、多自然川づくりや近自然河川工法を導入することで、自然環境に負荷を与えないことに真剣に取り組んでおり、その成果も上がっている。河道改修に対する今回の評価は、このような全国的な動きを無視した形となっていて、不適切と言わざるを得ない。
●見解を伺います。
■3「温泉の湯脈に影響するので河床掘削できない」について
 (川辺孝幸 山形大学教授)

1)県は報告書について「3名の研究者の同意だ」と主張されていますが、そもそも平成21年3月に発表された最終報告書は、3名の研究者が承認されたものなのですか。  中間報告では、「学識経験者から指導を受けて実施し、了承を受けた。」になっていますが、最終報告では、「下記の学識経験者から指導を受けて実施した」と「了承を受けた」が削除されています。いかがでしょうか。

2)県の報告書では、物理探査を含む各種調査結果から河床で湯脈の存在が明確に確認されたのは、阿部旅館と三之丞旅館の間のみで(三之丞旅館下流右岸でそれらしき兆候がある)、それ以外では確認できていません.「温泉の湯脈に影響する」についてですが、県がいう「温泉湯脈の影響」とは、赤倉温泉全域の温泉湯脈のことですか。 それとも左岸の旅館1軒もしくは2軒の温泉への影響ということですか。

3)現在も、報告書にあるように、護岸部分から突き出たパイプから流れ出る40数℃のお湯も、社会的にも認識され法律にも規定されている「温泉」だと、認識されているのでしょうか。

4)阿部旅館1軒のお湯とその水位の確保のみについて、対策を施せば、河床掘削などでの温泉への影響はほぼ回避されるとの川辺教授の論証があります(対策については、掘削した河岸の遮水を含む河川水・温泉混合システムが前回提出した資料に示されています)。これについてはいかがですか。

5)工事中も含め河床をいじれないとする県の立場では、環境・景観整備のための河川改修や、崩壊の危険性があって調査ができなかった右岸の護岸も含め、今後一切河川改修ができないということになりますが、穴あきダムができれば全て解決する問題とお考えなのでしょうか。


以上、可及的速やかなる誠意有る回答を求めます。

ここでお伝えした他にも、科学者同士が議論し、再検証すべき問題があります。これまでも再三にわたり要望しておりますが、県の説明責任を果たす公開討論会の開催を強く求めます。

以上