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山形県議会 初一般質問の映像をぜひご覧下さい。。


9月議会、9月27日におこなわれた、草島初一般質問の映像を県議会のページでご覧になれます。

どうぞご覧下さい。
質問項目は、
1 県政運営について
2 広域水道事業について
3 地下水資源対策について
4 最上小国川ダムの見直しについて
5 風力等を利用したエネルギーの導入について
6 震災復興に向けたボランティアに対する支援について

です。山形県議会のページから、左段、県議回をみてみようの中の「議会中継」をクリック
山形県議会インターネット中継のページ 右 の青い「録画中継」をクリック
山形県議会録画配信 のページで「平成23年」をクリック
「9月定例会」をクリック
「9月27日(火)」をクリック

私の顔写真付きの質問項目の右の青い再生ボタンをクリック
でご覧になれます。 今もいろいろと反響をいただいております。

3.11以降、僕らは何を目指すべきか、山形でやらなきゃならないことはなにか
この4ヶ月ずっと取材調査をし続けてきてまとめあげた質問です。

どうぞ、ご覧下さいませ。草島

山形県議会 草島一般質問 後半


後半です。ちょっと長いですが、ぜひおつきあいのほどを。

4)最上小国川の見直しについて
5)風力発電について
6)ボランティアの支援について
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4 最上小国川ダムの見直しについて

2009年の政権交代後、国からの「できるだけダムに頼らない治水の検討」の要請を受けて、県が再検討をおこない、国が8月に認めたということで、いよいよダム建設ができるかとお思いの方もいらっしゃるかと思います。
 しかし、手続きは終わっておりません、この川の漁業権をもつ漁協は、ダムに反対しているのでありますから、熊本の川辺川同様、ダム本体工事は着工できないのであります。議論の余地はまだまだあるし、真実の議論はむしろこれからだ。と考えます。

(1)自然資本の価値と流域経済に対する影響について(県土整備部長)

鮎の漁獲高だけで、年間1億3千万円ある、最上小国川。
先日、舟形町でおこなわれた若鮎まつりは、2日間で2万4千人が訪れ、大変な賑わいでありました。交流人口を育む観光資源として、全国屈指の清流であり、天皇献上品の松原鮎として珍重された天然鮎が遡上する最上小国川は、歴史的な評価・社会的評価・稀少性・固有性・本物性 という、観光に適した5つの要件をどれも備えている優秀な自然資本であるといえます。
この小国川の自然資本の価値をこの夏、近畿大学農学部水産学科 
水産経済学研究室 有路昌彦(ありじまさひこ)准教授らの研究チームにより調査をしていただきました。小国川釣り客が支払っている費用を試算した結果、小国川の釣り客によって発生している経済効果は直接効果だけでも年間約21.8憶円。何らかの理由で河川環境や鮎資源の劣化が生じた場合、年間10億円、10年で100億規模の経済損失が発生することが思料(しりょう)されるとのことであります。
 調査にあたった有路先生は、この全国屈指の清流と鮎は、今後の流域のまちづくりの経済を担う試金石であること。更に、経済学の見地からダム建設投資は新しい価値を生み出さず長期的にみれば流域経済にとってマイナスになる。と言及されました。
 今般の再検証の中で、県は、ダム案による環境破壊が地域経済に及ぼす悪影響について、全く試算に入れていませんでした。これを考慮すれば、ダム案と川道改修案のコスト比較が逆転するのではないでしょうか。

また、県はこれまで、穴あきダムならば環境にやさしい 鮎に影響がほとんどないと強調してきました。
私は最新型の穴あきダムといわれる島根県益田川ダム、石川県金沢の辰巳ダムを視察しています。
 益田川ダムのある益田川は、工場廃液が流れ込む川であり漁業権はありません。また、辰巳ダムがある犀川は上流部に大型の犀川ダムがあり、すでに天然河川の様相はありませんでした。いずれも、ダム建設前後で鮎の遡上量の定量、定性的な調査はおこなわれておらず、益田川ダムの管理者は「穴あきダムは環境にやさしい事を目的に作ったのではなく、効果的に土砂を排出するためにつくられたダムである」と私に話されました。
また、小国川ダムと同様、鮎が豊富な川辺川に建設予定だった穴あきダム「川辺川ダム」については、蒲島熊本県知事が3年前の9月に、「人吉、球磨(くま)地域に生きる人々にとっては、球磨川そのものが、かけがえのない財産であり、守るべき宝なのではないかと思うに至った。」と工事進捗率81%にもかかわらず、ダム建設を白紙撤回しています。熊本県の担当に伺うと、「穴あきダムが鮎や環境に影響がない等」という事は議論にもならなかった。という事であります。穴あきダムでも、ダムはダムなのであります。

ダムのない、年1億3千万円もの鮎漁獲高を持つ天然河川に、穴あきダムが造られたためしはないのであり、小国川がはじめてなのであります。

穴あきダムが全国屈指の天然河川の鮎や環境にに影響をあたえないと主張されるなら、「穴あきダムをつくって10年、20年後でも鮎の環境に影響がなかった」という実証データを示してください。

又、今般お伝えした自然資本の価値とダムによる流域の経済損失についての県土整備部長の見解を伺います。


(2) 治水対策の見直しについて(県土整備部長)

2004年7月の新潟 7.13水害では、上流にダムが2つあり、その一つは穴あきダムある五十嵐川で堤防が決壊し、七千棟以上の床上床下浸水、死者9名の犠牲者を出しました。この9月の豪雨災害があった和歌山県では、3つのダムが満杯で治水の役目を果たしていなかったことが報道されています。和歌山県日高川に「100年に一度の雨に対応する」「つば山ダム」がありますが、氾濫し、家屋59棟が全壊、3人も死亡しています。
 それに対して新潟の五十嵐川では04年水害を教訓に、下流部200戸の移転をともなう河道拡幅をおこないました。今般7月末の豪雨ではそれが幸いし、下流域で犠牲をだすことはありませんでした。

 想定を越える超過洪水の際にはダムは機能せず、それに対して危険箇所の家屋移転と河道拡幅など、ダムに依らない治水が効果的でした。これは最近の実際の現場からの教訓であります。
 傾向として近年広範囲にわたる豪雨が発生している今、治水政策のトレンドは、「どのような洪水であっても人命が失われることを避ける。」ことであります。そのために河道内の流下能力を改善するとともに、田んぼダムのような雨水貯留(うすいちょりゅう)、また、土地利用規制や耐水化建築などの「氾濫原の減災対策」、そして「地域防災力の向上」を組み合わせた「総合治水」の取り組みであります。
 小国川ダム建設の目的は流域住民の生命と財産を守ることですが、その中でもつきだて地域と瀨見地域は、ほぼ50年確立の洪水に耐えられる治水が完了しています。つまりダムは、ほぼ赤倉温泉地域だけの治水対策であります。
 赤倉温泉地域には、河川管理者である県の責任が問われるいくつかの問題があります。まず、旅館群が河道を狭めるように立地させてしまっていること。中には建物が明らかに川に迫り出している旅館があります。更に致命的なのは、県が河道内につくった高さ1.7mの堰堤(えんてい)が、土砂を堆積させ、流下能力の乏しい危険な箇所ができている事です。
 「以前は親子で水泳ができたほど深かった場所が今膝丈ぐらいになっている」との証言が住民からあります。
 県がつくった堰堤が原因で流下能力を下げている、その河川管理の失策を棚にあげ て、今度はその除去はできないと主張して上流に巨額なダムをつくる。これは大きく矛盾していないでしょうか。

 頻繁に洪水災害になっていると県は殊更に強調されていますが、いつも床上、床下浸水で騒がれる箇所約4件は河川洪水の被害ではなく、内水氾濫による内水被害であります。
 又 今、赤倉温泉の川辺に、新しい建物の建築確認許可を県が平気でだして、建設が進んでいます。危険箇所に、また治水策の協議中になぜ新規の建物が建つんでしょうか。治水に「土地利用規制」の発想のない河川管理の問題であります。

県はこれまで、「湯脈に影響するので河床の掘削ができない」と主張し続け、河床掘削案を排除し続けてきました。
 2008年度におこなった温泉調査で県は「川と温泉は密接な関係にあることがわかった」「温泉に影響するから掘削できない」と、調査を途中で打ち切っています。しかし、この調査に実際に関わった山形大学の川辺教授は「あの調査から河床掘削工事が一切できない」という結論にはならない。」と主張しておられます。更に川辺教授は「岩風呂付近の水位を保てば、温泉に対する河川改修の影響は避けられる。」と言及されています。これは、重要な指摘ですが県は温泉調査の真実を曲解し、ダムによらない治水ができない論拠としているのであります。

 更に県は、今般の検証で「河川改修のみのプランだと安全確保に74年かかると試算しました。集落も田んぼも同様に50年確率の堤防などの整備を下流からおこない水を閉じ込めるプランになっていますが、遊水池等を活用した総合治水の観点から観れば全くナンセンスであります。
 ダムにこだわる旧来の治水論で思考停止しているようですが、このような姿勢で、今後の豪雨や洪水時に本当に県民の生命と財産を守れるか、逆に疑問であります。
 現在、熊本県では球磨川方式として、「基本高水」にこだわらず、ダムに依らない治水方策を積み上げ方式で流域に施し、治水安全度をあげる努力をおこなっています。滋賀県も同様に段階的整備をおこなっています。山形県も、熊本や滋賀県の姿勢に習うべきではないでしょうか。
 
 赤倉温泉の現状の流域の旅館群の景観は、歴史的とはいえ、「改修の度に段々と川に迫り出し、結果的に川幅を狭めてしまった」と流域の旅館主から伺っておりますが、旅館が河道内に迫り出し、護岸も老朽化し汚水の垂れ流しを含め、秩序を失った状況にあります。

 次世代にも引き継げる、持続可能な赤倉地域を叶えるためには、内水災害対策、固定堰の可動堰化による砂利除去、河道拡幅や遊水池確保などダムに頼らない総合治水を究極までおこないつつ、温泉街を再生させることが最善ではないでしょうか。
 県は、この機会に「日本一の清流に面した美しい温泉地域へ」、旅館街のリノベーションと組み合わせて治水を完成させる、いわば、まちづくり治水への政策転換を提案しますが、いかがでしょうか。県土整備部長の見解を伺います。


(3)
ダムによらない治水対策の検討について知事におうかがいします。

今般の検証は、「できるだけダムに頼らない治水への政策転換を進める」との意向の下での検証だったと思います。
しかし、県が検証の場とした会議「最上小国川流域の治水と活性化を考える懇談会」には「ダムによらない治水論」を主張できる河川工学者が一人も招聘されませんでした。
更に山形県公共事業評価監視委員会ですが、河川の再評価のはずであるのに、ここには河川工学者の姿がありません。ダムに依らない治水論を主張できる河川工学者への意見聴取もありませんでした。これが県の検証の実態で、ダムにたよらない治水の検証が全くできていないのであります。

新潟県での検証会議は、ダムによらない治水を主張できる河川工学者を座長にして、農業土木、河川工学者、経済学、観光の専門の先生方が、治水方策について徹底して議論をおこなっていました。結果、2つのダムがこの検証会議で中止になりました。これが「ダム検証の真実の姿」なのだと思います。

私は、最上小国川ダムの検討が始まった河川整備計画策定の流域委員会小委員会から傍聴しておりました。よく歴代の部長や地元の首長は「議論は尽くされた」とか「丁寧に丁寧に説明してきた」といわれています。が、私はそれは全く事実に反しているととらえています。

 致命的なのは流域小委員会の中で治水方策を検討する際、議論をリードする河川工学者が、ダム推進論者2名の参加のみで、ダムによらない治水を主張できる河川工学者は皆無のまま、議論が進んだ事であります。


 元京都大学防災研究所の所長であり元淀川水系流域委員会委員長である今本博健 京大名誉教授は、これまで5回ほど現地調査をされ、治水対策は全く検討不足。流域委員会では特に環境面の影響の検討が乏しく、委員の中で特に河川の専門家の見識を問いたい」と厳しく言及されておられます。

川辺川ダム建設計画を白紙撤回した蒲島熊本県知事は、
「国土交通省は、ダム建設上、生じる問題に対しては、熱心に研究、開発を行っているが、ダムによらない治水は、問題点の指摘にとどまり、極限までの努力を行っていない。そのため、住民の理解が得られてこなかったと考える。」 と言及していますが、私は、山形県に同様の姿勢を感じています。

 原発には原子力ムラという構造があって、それが真実の議論を排除し続けてきました。それと同様、ダムの周辺にも同様の構造で、政官業そして、御用学者のセットで、住民や世論を情報操作し、反論を排除し、論調をダム治水に有利なように推し進め、ダムを造り続けてきた構造があるのではないか。と私は考えます。

 先日滋賀県嘉田知事にお会いしましたが、全国の各県、伝統的に国土交通省から出向している部長や幹部の下で常にダムによる治水論で知事周辺を固め、それが、「ダムに頼らない総合治水」の真実の議論を遠ざけてきたのだということをご示唆いただきました。 

 山形県ではいかがでしょうか。

 こうした構造のため総合治水を叶えたい滋賀県では3年かけて土木部長を国土交通省ではない方に変えたそうであります。

長良川河口堰の国民的な反対運動を教訓に、97年改正された改正河川法の趣旨は、環境と住民参加であります。
発想の転換が必要なのであります。

小国川の清流環境が育む流域の釣り客によって発生している経済効果は年間約21.8憶円。全国屈指の清流と鮎は、今後の流域の農商工観連携まちづくりの経済を担う

本日の山形県議会 初の草島一般質問 前半


本日 11時10分から1時間おこなわれました、山形県議会9月定例議会での
私、草島進一の一般質問であります。私の原稿メモからそのまま書き出したものです。

当局の答えは後日。また、正式な県議会の議事録や録画映像のアーカイブは 1ヶ月後ぐらいに発表されるとのことであります。
●前半です。
1)県政運営について
2)広域水道事業について
3)地下水資源 対策について
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9月定例会一般質問 (9月27日) 草島進一 議員

初の一般質問をさせて頂きます。質問の機会を頂きました事に
心から感謝申し上げます。早速質問させていただきます。

1 県政運営について(知事)

 日本社会は、全国で年間40万人ずつ減少する人口減少社会、少子高齢化、莫大な国の財政赤字。経済危機、地球温暖化問題、更に今年3月11日の東日本大震災、福島第一原発の放射能汚染問題。と言ういくつもの難題に直面しております。
私は、犠牲になった方々、そして不自由な避難を強いられている福島の方々のためにも、この3月11日という日を、これまで持続不可能な道を歩み続けてきた日本を、持続可能な社会へ変える、ターニングポイントにしなくてはならないと考えております。

特に東京電力福島第一原発の事故では、メルトダウンと水素爆発による大量の放射能汚染を伴うレベル7の大惨事となりました。事故のリスクを想定できていない無責任な安全神話。活断層が数多く存在する地震国に54基もの原発をつくり続けてきた矛盾。電源三法交付金での誘導策による地域自治の破壊。放射能廃棄物の問題など、政治、官僚、業界、御用学者、時には報道機関の癒着の利権構造による「原子力ムラ」といった病理が、真実の議論を遠ざけ、問題を先送りし、ついに大惨事をひきおこしてしまったのだと考えます。
 吉村知事におかれましては、今般の東日本大震災でいち早く福島の自主避難者を受け入れ、更にその避難者の立場にたって「卒原発」の表明をされたことを大いに評価、賛同するものであります。日本社会において、エネルギーシフトは今後の持続可能な社会への転換の柱と考えます。


「持続可能な社会」「持続可能な発展」サスティナブルデベロップメントとは、特に1992年の国連地球サミットで、中心的な理念として「リオ宣言」や「アジェンダ21」に具体化され、日本では93年制定の環境基本法の基本理念となっています。

スウェーデンの国際NGOナチュラルステップではこれを次の4つのシステム条件で定義づけています。
1)地殻から掘り出した物質の濃度が増え続けない
2)人間が創り出した物質の濃度が増え続けない
3)自然が物理的に劣化しない
4)人々が満たそうとする基本的なニーズを妨げることをしない。ということです。

1番は化石燃料など、枯渇性資源から再生可能資源への転換です。

2は、農薬、化学薬品、放射能汚染など、科学物質汚染の抑制と   循環型社会の構築であります。

 3は生物多様性の尊重であり、昨年のCOP10の愛知ターゲットでも示されている、年間4万種もの生物の絶滅をいかに防ぐかということであります。 特にここ50年ほどの開発により水辺の生態系が深刻なダメージを受けています。私は山形では、指標を最上川におき、森、川、海、の連環とともに生物多様性を再生させるアクションプランを構築することと考えます。

 4は、人々の基本的ニーズとして、衣食住などの生命維持、保護、愛情、理解、参加、創造、自由、休息、アイデンティティ、この9つのニーズを妨げないようにするということ。
情報公開、説明責任、住民参加を徹底させ、利権の「しがらみ」「なれあい」構造を解体し、健全な民主主義社会を実現していくことであります。
ちなみに原発はこの4つの条件全てに違反しています。
2008年、私が訪れたスウェーデンでは77の自治体が実際にこの定義を公共投資の判断基準にし、20年後、50年後の目指すべき社会像を組み立て、バックキャスティングアプローチにより、確実にそれに向かうまちづくりが進められておりました。

 右肩あがりの経済成長の時代につくられた都市や地域の開発指向の考え方を、自然と共生し、環境・社会・経済がバランスした「持続可能な社会」にむけ、シフトすることこそ、3月11日を踏まえ、我々山形県が目指すべき道と考えますが、知事のお考えをうかがいます

2 広域水道事業について(企業管理者)

2001年10月20日、鶴岡市民にとっては忘れられない日であります。昭和8年から鶴岡市民が慣れ親しんできた地下水100%の水道水原がダムの水源に切り替えられた日であります。今年、丁度あれから10年になります。改めて月山ダムに伴う庄内南部広域水道事業について検証します。

(1)水道料金について
まず水道料金についてです。
平成22年の山形県の市町村の水道料金平均は10㎥では全国で最も高く2,099円と日本水道協会の統計資料にあります。以前、鶴岡はその中では安価な方でしたが、水道料金はダム水移行後、最大で切り替え以前の1.85倍 約2倍になりました。
 計画の際、ダム建設工事費は780億円でしたが、完成時には1,687億円になりました。その金額が上乗せになったことと、庄内南部広域水道事業の算定の基準となる計画給水量として定めた基本水量10万9千700トンが当時の水使用量と大きく乖離していたこと、つまり水需要予測の失敗のツケが、値段の高騰につながったと考えます。

 2001年切り替え当時、県は私が提出した公開質問状に、この乖離について
「計画給水量は、将来の安定供給を踏まえて、長期的な観点から計画された」と、あたかも将来的にはそれを満たすかのように応えていました。
 しかし現状、鶴岡市地域は、年約1,000人ずつ人口減少する時代となりました。そして、水使用量は平成 6 年度をピークに結局この17年間減少傾向であります。この減少傾向は更に続き、給水量の増加は見込めない状況と鶴岡市水道ビジョンにも実際に記載されています。

庄内南部地域の水の使用量は、20年度で約5万トン。基本水量の46%にしか当たりません。
 使用水量では、例えば20年の年間の実際の使用量と料金算定根拠の責任水量とで127万トンの差が発生しています。その分の水代、年間約2,150万円は実際に自治体は使っていないのに県に料金を支払っていることになります。
 

山形県議会 一般質問9月27日午前11時から 傍聴大歓迎!


山形県議会 での初の一般質問を9月27日おこないます。

以前、11時30分と申し上げましたが、11時すぎ(大体11時10分ごろ)からおこなう予定になります。

通告しているのは

1)県政運営について(知事)

2)広域水道事業について(企業管理者)

3)地下水資源対策について(生活環境部長)

4)最上小国川ダムの見直しについて

●自然資本の価値と流域経済に対する影響について(県土整備部長)
●治水対策の見直しについて(県土整備部長)
●ダムによらない治水対策の検討について(知事)

5)風力を活用したエネルギーの導入について(生活環境部長)

6)震災復興に向けたボランティアに対する支援について (生活環境部長)

になります。60分、1本勝負。

当選後から、滋賀県、新潟県、熊本県、石川県への視察、また、大学の研究室と共同で現地調査をおこない、この1週間、執務室とホテル缶詰状態でなんとか書き上げました。

どうぞ皆さんご期待くださいませ。

当日、傍聴大歓迎です。また、インターネットでも放映されます。
 URL 
●http://www.pref.yamagata.jp/assembly/ から「議会中継」をたどっていってください。

中継のシステムがいまいちですが、、、。







鶴岡の水博士 桑原先生 の1999当時の水問題まとめ


2000年、鶴岡水道住民投票運動をご一緒した桑原先生のコラム。
広域水道事業の策定の歴史と10年前すでに抱えている矛盾を見ることができる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  「足るを知る」話

 -鶴岡市水道の地下水源を守るために-

    環境カウンセラー  桑原 英夫

 1980年9月に、鶴岡市議会が承認した「庄内地域広域的水道整備計画」は、「目標年度昭和80年」の鶴岡市の計画給水人口は115,420人、計画1日最大給水量は82,602 m3として立てられています。82,602 m3のうち、10,000 m3は既存の地下水源で賄い、残り72,602 m3を赤川ダムに頼るというものです。
 その後、「社会経済動向の変化に対応し、給水人口、給水量などを全面的に見直す」として、1985年に「計画変更」が行われました。その内容は、数字がゴチャゴチャといじられていて、私には十分に理解できません。分かったのは、「赤川」から「月山」へダムの名前が変わったこと、しかし、ダムに頼る水量は変わっていないことです。まさに、「始めにダムありき」なのです。
 その後とも、どこがどうなっているのか、数字的のことはよく分かりませんが、一昨年の水道料金の値上げを前にした『広報つるおか(1998.6.1)』に、「今の広域水道の計画では、鶴岡市が広域水道から受水する水を平成22年で1日最大72,602 m3、1日平均50,821 m3と予想しています」とあります。また、1996年から始まった鶴岡市水道の「第4期拡張事業」の「目標年度平成22年」での数字は、計画給水人口106,400人、計画1日最大給水量72,700 m3となっています。そして、「地下水」は、どこに消えたか、潜ったか、分かりません。

 ところで、鶴岡市水道の給水人口は、1990年代に入って完全に横ばいです。給水量も、ほぼ横ばいですが、1994~96年ころをピークにして、減少傾向が現れてきました。
 先に挙げた、『広報つるおか』所載の数字、「1日最大72,602 m3、1日平均50,821 m3」を1人1日給水量に換算すると、2010年に、給水人口が計画通り106,400人に増えたとしても、最大給水量682l、平均給水量478lです。現在のままならば、最大726l、平均508lです。人口が減少すれば、さらに多くなります。こんなにたくさんの水が要るのでしょうか。

 昔、「水道の使用量は文化のバロメーター」という言葉がありました。この度、『平成9年度水道統計』を調べて驚きました。鶴岡市の1人1日当たりの給水量が、東京都のそれを上回っているのです。平均給水量でいえば、鶴岡市428l、東京都415lです。先の言葉に従えば、鶴岡市民の文化度は東京都民のそれを抜いているのです。
 でも、何か空しい気がしませんか。「消費は美徳」という時代は終わったのです。今や、量より質が問われる時代なのです。
 20年余り前から「渇水都市」の名で呼ばれる福岡市の市民は、306lの水で九州一の大都会を支えています。
 早くから「村山広域水道」からの給水を受け、県内で一番高い水道料金を払わせられている村山市民は、312lで暮らしています。
 さらに、東京都営水道への移行を拒み、鶴岡市と同じように「100%地下水」を守っている東京都昭島市(人口10万8千人)は、372lで「おいしい水」を誇っています。
 鶴岡市民にも、できないわけがありません。現在の水道使用量を少し減らすこと。それが、掛け替えのない「おいしい地下水」を守る第一の要件です。
 いま、鶴岡市民にとって必要なことは「足るを知る」ことです。

庄内南部広域水道事業の問題ー公開質問状


庄内南部広域水道と水道問題ー2000年。当時、市と県におこなった公開質問状です。
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庄内南部広域水道事業についての公開質問状と県の回答(10/20回答分)
2000年 10月 2日

山形県知事 高橋和雄 様
庄内南部広域水道事業について、未だ以下のような点が明らかにされておらず、多くの住民が不安を覚えています。以下の点への早急な回答をもとめます。
�庄内南部広域水道事業の給水契約に関する鶴岡市と県との間で行われている協議の具体的な内容、段階の詳細はどのようなものか。ただちに公開して欲しい。

給水協定(料金の算定期間に関わる年度別の1日最大給水量及び1日平均給水量などを定めるものの年内の締結に向け、もっか受水市町村と協議、調整中です。

�給水開始に至るまでの行政上の手続きスケジュール(予定)はどのようなものか。ただちに公開して欲しい。
上記1の調整が済めば、受水市町村と給水協定を締結し、その後、給水協定の内容を反映させた山形県水道用水料金条例の改正案を県議会に提案する予定です。
�受水開始当初の受水基本料金に関し、受水初年度から鶴岡市の最大契約水量の72,600�がかかってくるものと理解してよいか。この場合の基本料金単価はいくらとなる見通しか。
基本料金単価は、料金算定期間中における総費用の固定的経費及び施設の給水能力を基礎とする水量により算出されます。現在のところ、総費用について精査中ですので、基本料金単価については、いまだ公表できる段階に至っておりません。

・受水市町村からいただくことになる基本料金の額は、上記により算出された基本料金単価及び各受水市長村の1日最大給水能力を基礎とする基本水量により算出されます。
�庄内南部広域水道事業の目標年度までの鶴岡市への年度ごとの給水計画案はどのようになるのか、数値  /�で回答してほしい。また、その場合の給水単価は、150円�前後と見ていいか
・料金の算定期間に係る給水量については、受水市町村と調整中です。
・受水市町村平均の供給単価については、これまで150 円を上限とする旨説明してきました。
料金算定期間中の総費用は精査中ですが、この水準より30円程度引き下げることができるものと考えています、。
「供給単価」とは県から受水市町村に売りわたす水道用水1立方メートルあたりの単価です。
�広域水道事業の給水費に占める固定費と維持経費との割合はそれぞれどのくらいか。さらに、固定費の内訳とそれぞれの構成比率、維持経費の内訳とそれぞれの構成比率はどのくらいか。
料金算定の基礎となる費用については現在精査中ですが、固定的経費は、減価償却費、支払い利息、人件費(時間外手当などを除く)等で、変動的経費は、薬品費、動力費、修繕費、委託費、一般管理費等を考えています。
固定的経費、変動的経費の割合は、置賜、村山、最上広域水道用水供給事業に準じて、それぞれ80%、20%と考えています。」
�給水費の基本料金単価および使用料金単価の算定方法はそれぞれどのようなものか。
基本料金= 料金算定期間中総費用×固定的経費の割合
      基本水量の総和×料金算定期間中の日数
使用料金=  料金算定期間中総費用×変動的経費の割合
       料金算定期間中の使用水量の総和
�庄内南部広域水道事業の運営における年間固定費および維持経費のそれぞれの見積り額はいくらか。
料金算定の基礎となる費用について、現在精査中です。費用についての原案がまとまりましたら、その内容について受水市町村に提示し、協議を行うことになっておりますので、費用の内訳については、いまだ公表できる段階に至っておりません。
�庄内南部広域水道事業の経費において、事業主体である県企業局と、受水構成団体が負担する割合はそれぞれどれくらいか。
広域水道用水供給事業に要する経費は、受水市町村から料金という形でいただくことにしております。
なお、広域水道建設事業においては、水道水源開発施設整備費(ダム負担金)及び水道広域化施設整備費に国庫補助金、県一般会計出資金の支援を得ております。
�庄内南部広域水道事業の運営にさいして、県の一般会計予算からの繰り出し予定はあるか。ある場合、その額はいくらか。また、これはどのような経費に対して繰り出しされるものであるか。
県は、一般会計から、庄内広域水道に対して、平成12年度までに建設事業費の1/3(平成元年度までは1/10)に相当する約202億円を出資しています。また、給水開始後においても、平成元年度までの1/10と1/3の差額(7/30相当)について起債の元利償還に合わせて出資、提出していく予定です。

�鶴岡市と県との間で締結される給水契約は、今後見直しの手続き規定をともなうか。ともなうとすればその具体的な内容。ともなわないとすればその理由は何か。

給水に関する契約(給水協定)は、山形県水道用水供給既定に基づいて、今後締結されるものです。
もっか受水市町村と協議・調整中です。

�庄内南部広域水道の構成8団体の99年度給水実績は合わせて81,843�であり、今の時点での広域水道事業の目標年度である平成29年の計画給水量109,700�とは27,857�の乖離がある。これは、構成団体が現在の水源を100%放棄してもなお余剰が出ると考えられる量であるが、この乖離について事業主体である県企業局はどのような見方をしているか見解をお尋ねしたい。

計画給水量は、目標年度における1日最大給水量をあらわすものであり、将来の安定供給を踏まえて、長期的な観点から計画されたものです。

wwn並びに住民投票の会では、この回答は肝心の事を応えていないとし、再質問状を提出しました。
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鶴岡市へ
庄内南部広域水道事業についての公開質問状
2000年10月2日
鶴岡市長 富塚陽一 様
庄内南部広域水道事業について、未だ以下のような点が明らかにされておらず、住民の多くが不安を覚えています。以下の点への早急な回答をもとめます。

→市から回答が23日に届きました。しかしながら、質問に全く答えていないと思われます。現在再質問状を作成中です。
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�庄内南部広域水道事業の受水契約に関する鶴岡市と県との間で行われている協議の

1999年、鶴岡の水道問題の市議会での初質問ー再掲載


□9月27日の山形県議会での質問を前に、鶴岡市議会で10年取り組んできた鶴岡の水道問題について、一般質問での質疑を再掲載していきます。99年当初の議会より、人口減少時代へ突入する日本社会にともなう転換を投げかけておりました。また水質の事では、トリハロメタンの問題について触れ、議事進行がかかり、初っぱなからもめることに、、、。
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一般質問:庄内南部広域水道計画の現状と今後の措置について

                            草島進一 

                        1999年6月 16日

議会制民主主義に基づき、鶴岡市民2968名の志の代表として質問いたします。

 庄内南部広域水道計画は、月山ダムの堤体工事が9月にほぼ完成する予定であり、また、広域水道の導水管も90%が完成していると聞いております。計画は、給水の開始に向けて着々と進んでいるといっていいでしょう。しかしながら、今、この計画が実現されるにあたって2つの重大な問題が、われわれ市民の前に立ちはだかっております。一つは言うまでもなく、今後長年にわたって非常に大幅な水道料金の値上がりを余儀なくされることであります。

もうひとつは、これまで慣れ親しみ大切にしてきた地下水からの水道用水がダムからの表流水にかわることによっての、水質、安全性、味の面での大きな変化の問題であります。

1、今後の水道料金の値上げについて

 まず、水道料金の大幅値上げに関する問題について問うてみたいと思います。

鶴岡市の水道事業経営にとって現在、もっとも切実な懸案となっているのは、予定どおり行けば2年後に迫った平成13年度から始まる広域水道からの受水にともなう費用をどうまかなうか、ということであります。 

 市水道部が平成9年度に「水道料金協議会」に出した資料によりますと、平成13年度の受水費の総額は、24億4476万円と試算されております。その前年までまったくゼロであった経費が一気に24億円以上も激増するという、たいへんな事態が起ころうとしています。しかも、この負担額は、平成13年度一年こっきりのことではなくて、平成14年度も15年度も、それ以降毎年毎年、ずっと将来にわたってかかってくる経費なのであります。

 現在、鶴岡市水道の年収はほぼ20億円です。これに対して維持費用、受水費併せて約45億円。24億円余りの新たな負担が今後ずっとかかってくることが明らかですから、このまま行けば当然のことながら、水道会計は毎年数十億円の赤字を積み上げてゆき、近いうちに経営破綻に追い込まれることは必須です。

そこで市水道部としては、「水道料金協議会」にはかり、まずは第一弾として昨年平成10年10月から平均30%の値上げの承認してもらう答申を得て、実際に、市民の水道負担は重くなりました。

現状、県からの受水費が明快に提示されておらず、水道料金の試算については、村山広域水道をもとに算出されていますが、それによると、値上げ前の2.5倍、平均家庭で使う水量20mlで2037円だったのが5092円になります。鶴岡市の平均水量の23mlだと、2285円だったのが、5712円。この値はほぼ全国トップクラスというべき水道料金負担です。

2、広域水道の人口・水需要計画について

 水道料金協議会は、平成10年度1月に富塚市長に出した答申の中で、次のように述べています。諮問された49.53%という改定率についてですが、「市民生活への影響が大きく、また、受水前の改訂でもあり市民の理解を得ることが困難であると思料されることから、改定にあたっては市民生活及び低所得者層等へ及ぼす影響を十分に考慮し、水道財政の維持を損なわないことを考慮しつつ、35%以下に抑えるべきである」というものです。

 実に、水道料金の値上げというものは、市民の生活への影響が多大であります。第1弾の値上げを35%以下に抑えたからといって、その後の市民負担が減るどころか、かえって後の負担増が大きくなるわけです。たいへん残念なことですが、鶴岡市民は今、水道料金に関してたいへん過酷な負担を新たに背負わされようとしていることだけは事実であります

では、なぜ市民にこのような過酷な負担を強いなければならない事態におちいってしまったのでしょうか。「庄内南部広域水道計画」の中身について点検したいと思います。

 

当計画は、昭和55年に県によって策定され、鶴岡市も55年の市議会でこれに参加することを決定しました。厚生省の認可も受けたこの広域水道事業計画の目標年は、平成17年、西暦2005年です。当初その時点での鶴岡市の給水人口は、11万5420人と見積もられています。その後、昭和60年に一度修正され、計画給水人口11万人とされています。

現在、鶴岡市の人口は10万549名人です。ここ数年、人口は10万人代をほぼ横這いの傾向をたどっています。

 計画策定よりずっと前の昭和40年(1965年)ごろは、どうだったでしょうか。

9万5000人台です。ということは、この30数年間で鶴岡市の人口は、4000人から多くて5000人しか増えていないのです。

 さて、この先はどうでしょうか。厚生省の人口動態予測をごらん下さい。全国の(グラフを提示)人口は、2007年にピークを迎え、年間60万人づつ人口が減少するということです。また、この青色のグラフは山形県なのですが、山形県の人口、約125万人の人口は、なんと、ピークが昭和25年だそうで、それからほぼ横這い。そして、95年からは、年間4000人あまりづつ、減少の傾向にあります。

 このような全体的な傾向と、鶴岡市のこれまでの人口推移からみて、今後の鶴岡市の人口は、減ることはあっても11万人台に到達することは考えられません。仮に現状を維持できたとしても、広域水道計画だと給水人口が1万人余り、過大予測となるのではないでしょうか。

 

○計画給水量はどうでしょうか。一日最大給水量が7万2602トンと設定されています。これはいったいどれくらいの量かと言いますと、現在、鶴岡市の1日最大使用実績が多めの平成8年で5万3301トンです。1日ざっと2万トンもの水を、今よりも多く保有する勘定になります。2万トンの水の量というのは、現在平均的に鶴岡市で使っている1日の水量の半分弱にあたります。言ってみれば、この広域水道計画は、これまでの1・5倍もの水量をまったく新規に確保する、どう考えてみても過大な計画だといえましょう。

また、料金制

ダム問題 熊本の穴あきダム、川辺川ダムへの反対表明から3年。



先日視察で訪れた熊本県の川辺川ダム問題。

熊本県はダム反対表明からもう3年たつのか。川辺川ダムも最上小国川ダムと同じ穴あきダム。
とても有意義なインタビュー記事だ。熊本日日新聞 webより。

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ダム反対表明から3年 蒲島知事インタビュー
http://kumanichi.com/feature/kawabegawa/kiji/20110913001.shtml


 蒲島郁夫知事が2008年9月11日、国の川辺川ダム建設計画を
白紙撤回すべきと表明してから3年。翌年発足した民主党政権が全国
80以上のダムの検証を促すなど、熊本発の決断が日本政治に大きな
影響を与えた。一方で、川辺川とその本流球磨川はさまざまな懸案に
直面している。3年間の到達点と課題について知事に聞いた。(編集
委員 山口和也)
 ●表明の意義
 −ダム反対表明の意義を今、どう自己評価していますか。
 「3年たつと違った深みが出てくる。ダムという公共事業は、県民
の幸福量増大という目標に向けた手段に過ぎないのに、行政の目的化
していた。私の表明がそれをストップできることを示したのは、日本
政治にとって大きかった。河川工学上で正しいことと、政治上正しい
ことは同じではない。技術と政治は違うということを示すことができ
た。知事就任から半年という時間を区切り、議会や国・県などさまざ
まな関係者から精神の自由を保ち、公開の場で議論していった。それ
が私の決断を実らせた」
 ●水没予定地
 −県は6月、水没予定地を抱える五木村の生活再建事業費として5
0億円を約束し、国や村と合意しましたね。
 「当初は国と県と村が三すくみになり、なかなか前に進まなかった。
そこで『県はこれだけの額を先に出す』と表明して、国や村の理解を
得た。50億円は国がダムを造った場合でも県が負担しなければなら
なかった額だ」
 −前原誠司氏が国交相当時、五木村はじめ公共事業を中止した場合
の補償法案を約束したが、棚上げされたままです。
 「言ったことはやる、できないことは言わない。民主党にはそれが
大事だ。大臣が表明したことも個人が言ったことにしてしまい、責任
を持とうとしない。期待は失望に変わる。たとえ法律ができなくとも
県でできることからやっていく」
 ●球磨川方式
 −今月5日、1年2カ月ぶりに国、県、球磨川流域市町村による治
水協議が再開。知事は「財産より生命を優先した対策を急げ」と訴え
ましたが。
 「洪水防止は『生命・財産を守るため』とされてきた。しかし、東
日本大震災や台風12号被害を見ても分かる通り、財産は後で回復可
能だが、生命は補?[ほてん]できない。まずは生命を守るため、で
きることから着手すべきだ。たとえ100年に一度の洪水に備えると
いう大目標を掲げていても、今洪水が来たらどうするのか。ただちに
やれる対策をスピード感を持って積み上げる。それが球磨川方式だ」
 ●農業利水
 −農家には農業用水を望む声があるが、国営利水事業をめぐる地元
協議は5年以上合意に達していない。県は合意を待つだけですか。
 「川辺川ダムを造るか造らないか、地元では長年の対立があった。
農水省が提案している事業に乗るかどうか、なかなか合意形成できな
い背景にも、ダムをめぐる不信の構造が地元にあるように思う。だか
ら明確にダムに頼らない治水を進めることで、利水も理解してもらい
たい。急がば回れだ」
 ●五木ダム
 −川辺川ダム上流に予定されていた治水専用の県営五木ダムも先日、
建設中止を表明しましたね。
 「球磨川と川辺川は地域の宝というのが私の哲学。それと、五木ダ
ムがなくても洪水が防げるという技術論が一致できた。五木ダムによ
らない治水を県の責任で進める。先日、住民の方々にご説明した際、
要望があった通り、環境や景観に配慮する治水にしたい」
 ●「廃ダム」
 −全国初の「廃ダム」となる県営荒瀬ダムについて撤去の許可を国
に申請しましたが、国の財政支援策は先送りされています。
 「当初、国は老朽化したダムの撤去支援に荒瀬ダムを含むと言って
いた。これもまた、言ったことを守らない例だ。だが、撤去コスト削
減や護岸工事、国からの交付金の活用などでは、国も協力してくれて
いる。国からベストの回答が来なくとも、私の責任で撤去に踏み切る。
近くおおまかな資金計画を示す」

【写真】「川辺川ダムという公共事業をストップできることを示した
ことは、日本政治にとって大きかった」と語る蒲島郁夫知事=県庁
(小野宏明)


本日、県の自然エネルギー戦略会議


本日14日、県庁むかいの自治会館で午前10時から、山形県の自然エネルギー戦略会議がおこなわれる。
新聞報道であったが、県のホームページでは探せなかった。
公開の会議だが、積極的にお知らせしなかったら、非公開と同じ事だ。

これから参加します。10時から12時までの予定と伺っています。

福島のため池の決壊に学ぶ。これも必要なこと。


先日、視察した福島のダムが決壊したため池に学ぶ取り組みが先日これも訪れたまんのう池がある香川でおこなわれるようだ。
山形ではどうなんだろ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以下引用です。


毎日新聞香川版 2011年9月10日

東日本大震災:福島のダム湖決壊に学ぶ 県、ハザードマップ作成 /香川



◇ため池密集度全国一 「内陸の津波」に不安

11日に発生から半年を迎える東日本大震災。東北地方の太平洋岸では、津波で壊滅的な被害を受けたが、内陸部の福島県須賀川市でも、ダム湖が決壊して大量の水が住宅地に押し寄せて犠牲者を出した。ため池が1万4619カ所あり、密集度で全国一、数でも兵庫、広島に次いで3番目の県内でも、「内陸の津波」が起こりうる脅威が現実味を帯び、県などがハザードマップ作成に初めて乗り出した。【中村好見】

福島県須賀川市のダム湖「藤沼湖」は、3月11日の地震直後に決壊し、湖水がほぼすべて流出。下流で8人の死者・行方不明者が出た。福島大などの調査によると、震度6弱近い揺れによって、盛り土でできたダム(高さ約17・5メートル)に亀裂が生じ、決壊につながった可能性があるという。

高さ15メートルを超すダムやため池が地震で決壊したのは、安政南海地震(1854年)で満濃池(まんのう町)の堤が破れて以来とみられ、管理者の自治体などに大きな衝撃を与えた。

ため池について、国が震度5弱の揺れに耐えられるよう、設計基準を変更したのは、阪神大震災後の2000年。だが、県土地改良課によると、以降10年度末までに県内で改修されたのは、504カ所にとどまり、残り96%余りは、正確な耐震性すら把握されていないのが現状。一方、大震災を受けて国が基準を見直す可能性もあり、改修ペースを上げるのは難しいという。

そこで県は、容量10万トン以上の大規模ため池199カ所についてハザードマップを作り、まずソフト面で対応する方針だ。6月定例県議会で、今年度30カ所分1億5000万円の予算が可決された。50%を国が、県と実施主体の市町が25%ずつ負担する仕組みだ。

ハザードマップは、決壊して水がすべて流出したと想定。浸水区域や浸水深、到達時間を示した「浸水想定図」を作り、避難経路や避難場所を加える。

県方針を受け、高松市は9月定例市議会に提案した一般会計補正予算案に、野田池(松縄町、29万トン)、大池(木太町、37万トン)、橘池(国分寺町、56万トン)のマップ作成費1500万円を計上した。いずれも住宅密集地にあり、小中学校など公共施設も近く、決壊すると大きな被害が想定されるという。

今後、地域の自主防災組織やコミュニティー協議会とワークショップを開催。すでにある津波や高潮、土砂災害などのハザードマップと照合する必要があり、避難経路や場所の見直しを迫られる可能性もある。

浜田恵造知事は6月、国にため池対策強化の財源措置を要望。6月定例県議会では、耐震診断を早急に検討する考えを示した。高松市の担当者は「ハード面の改修工事も並行して必要だが、受益者の農家も約1割の負担が求められるため、高齢化や後継者不足でなかなか前に進まない。耐震性に問題があるため池が、無数に放置されるような事態にならないようにしなければ」と話している。

http://mainichi.jp/area/kagawa/news/20110910ddlk37040648000c.html