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カテゴリー: ダム問題

ダムが日本を滅ぼすー今本博健 先生の記事


朝日新聞、大阪版で、5年ほど前から大変お世話になっている、今本博健先生の著書「ダムが日本を滅ぼす」についての記事が掲載されました。
http://mytown.asahi.com/osaka/news.php?k_id=28000001010010001

ムダなダム 一刀両断 

2010年10月01日
写真

著書「ダムが国を滅ぼす」と今本博健さん=大阪市北区

 国の諮問機関・淀川水系流域委員会の元委員長で、ダム計画を「ダム偏重」として批判している今本博健(ひろたけ)・京大名誉教授(72)=京都市左京区=が、全国のダム問題について記した初の著書「ダムが国を滅ぼす」(扶桑社)を出版した。「週刊SPA!ダム取材班」との共著となる。

 今本さんは専門の河川工学の見地からダム問題に取り組んでおり、大阪府の槙尾川ダムの有識者会議では委員を務める。ここ数年は全国のダムの予定地を回った。「いかに世の中にいらんダムがたくさんあるのか、と思った」。治水の専門家として一つも必要だと思えるダムがなかったという。

 ダム建設に反対する住民とも交流し、住民側の変化を感じた。「昔のダム反対団体と言えば、環境偏重か政党絡みばかり。ここ最近は普通のおばさんらが参加している。すそ野が広がった」。淀川水系ダムや八ツ場ダム(群馬県)問題などで一般住民の意識が高まってきたタイミングで、著書の出版を決めたという。

 今本さんは著書で「いかなる洪水に対しても住民の生命と財産を守る」という治水の使命を強調する。一定の範囲内で起きた一定限度の洪水を封じ込めるダムに重点を置いても、予想外の洪水が起きたり堤防が切れたりしたら、壊滅的な被害を受ける、としたうえで、「ダムによって真に水害の発生を防止し得た例は皆無と言っていいほど少なく、逆に、ダムがありながら壊滅的な被害になった例は枚挙にいとまがない」と指摘し、堤防補強と避難対策を最優先にすべきだと記した。

 2章以降は、全国的な注目を集める八ツ場ダムや予定を上回るスピードで土砂がたまっている二風谷ダム(北海道)の現状を紹介。大阪府が計画する安威川、槙尾川の2ダムや、淀川水系の川上ダム(三重県)、民主党のダム政策についても手厚く取り上げており、末尾には全国で計画中のダム事業の一覧データも盛り込んだ。

 京大防災研究所長も務めた今本さんには、国や地方自治体でダム事業を担当している教え子も多い。「人の命を守るには、ダムより先にやるべきことが多すぎる。ぜひ、ダムにこだわる国や都道府県の河川管理者にこそ読んでほしい」と話している。四六判、327ページ。1400円(税抜き)。


ーーーーーーーーーーーーー以上引用。

この本は、まさにダム問題の真実が描かれていると私は思います。

今本先生には、これまで5回ほど山形にいらしていただき、穴あきダムの問題点などについて、非常に丁寧に説明をしてくださっています。
2008年の緊急フォーラムの際の動画。
http://homepage.mac.com/stern8/iMovieTheater48.html
また、この本の中には、最上小国川ダムの問題についてもとりあげていただいており、僕も情報提供をおこないました。



今本先生は
穴あきダムは環境にやさしい などということは欺瞞にすぎない。穴あきダムを口実に建設を強行することは、「歴史的愚行」にほかならない。と説いています。

ぜひ、県の関係者。自然と清流が大好きなみなさん。また、地元の土木建設業関係者の皆さんにもぜひお読みいただきたいと思っています。これまで旧来のまさに政治主導で作られ続けてきたダムの真実の姿とは。本当に地域に貢献する公共事業とは何なのか。おわかりいただけるはずです。





最上小国川ダム  治水と活性化懇談会 傍聴


第二回最上小国川ダムの治水と活性化の懇談会を傍聴す。ー県庁

舟形町長は、特に、内水被害対策として、常設型のポンプをつけて一定の解決をはかったケースを紹介した。これは毎回洪水時に浸水している映像に登場する赤倉温泉内の一部地域への対処方法の提示だったと考える。川沿いにある飲食店などの一角は、川の増水による浸水というよりも、背面の田んぼからの水による内水被害によるものだという事は次第に明らかになりつつある。
もう一枚のスライドは、これまで3つの治水方策の比較をしたものだ。

河川改修案と、放水路案、そして穴あきダム案の3つで県は「ダムありきではなく、他の治水プランも検討した」などと言い切ってきたが、この議論はとても丁寧におこなわれてきたとは言い難い。
河川改修案だが、多くの温泉宿が移転を余儀なくされる。流域の物件60件を移転する必要がある。という極端なかたちでしか議論されておらず、私たちはまだまだ、方策が考え得ると主張し続けてきた。
   また、河川改修案だと38年間も工事にかかるなどと主張し続けているが、これも果たしてどうなのかとも疑問をもつ。
国が提示した26の治水プランだが、今、とことんダムに依らない治水について、これまでの議論徹底して検討をすることが求めら得ていると考える。
議論の中で、
「ダムを受け入れつつ、清流を活かした地域づくりをする。親水空間を活用して交流人口を伸ばす」
などということを最上町長や観光分野の有識者が語っていたようだが、「穴あきダムとてダムはダムであり清流環境を破壊しかねない」。ということは、建設の見直しがおこなわれた川辺川ダムによる熊本県知事の姿勢から、僕らは多くを学ぶことができるはずだ。
 これまでのダム事業でも、数多くの地域で国土交通省は「清流環境は維持される」とか「あのヘドロのようなものはヘドロではなくシルトだ」とか、                                                                                                                                                放流量を調節して「魚の数は減っていない」、と言い続けてきたが、結局河川環境は大きく変化させられ続けてきていることは、アユ釣りや渓流釣りをする方々は感じ続けておられるだろう。

国の検証委員会の中間報告には、先日8月15日にパブリックコメントを提出している。コストの中に、今、営まれている流域経済が破壊されることの負のコストを計算の中にいれてもらいたいということだ。



検討委員会へのパブリックコメント


(8)検証に当たっては、各評価軸について的確な評価を行った上で、財政的、時間的な観点を加味して総合的に評価を行う。
(9)総合的な評価に当たって、一定の「安全度」を確保することを前提として、「コスト」を最も重視する。なお、これらの考え方によらずに、特に重視する評価軸により評価を行う場合等は、その理由を明示する。

意見
(要旨)ダム事業の「コスト」には生物多様性や自然破壊による「損失」を加味し、流域全体の長期的な経済の持続可能性の比較で治水プランの評価すべき。

米国、欧州の治水対策としてのダム事業の見直しやダム撤去の背景には、河川流域の経済が、特に長期的な視点を持った場合、ダム建設による生物多様性の消滅、流域の環境汚染、流域漁獲高の減少などによるダメージを大きく受けたという点が挙げられている。
 日本のダム建設事業の問題は、河川流域の生態系を破壊し、河川が本来持つ生物多様性を失わせ、川漁師で生計をたてたり、釣り人の滞在宿泊などによる流域経済を破壊し続けてきた点にある。短期的な建設コストによる治水安全度の向上の「コスト」だけで判断し続けてきた結果として、多くの河川流域で、本来の自然資本が失われ、流域の経済の持続可能性が失われてきた。 今般の「検証」は、先ずこれまでの反省に立脚をすべきであるが、その姿勢が全く感じられない。
 山形県での検証対象事業である最上小国川は、天然アユが年間300万匹も遡上し、釣り具メーカー主催などの友アユ釣りの大会が年間8回も行われ、流域の最上町、舟形町の交流人口、周辺旅館への滞在人口を増やすことに貢献し、山形県の観光やまちづくりの面でも、河川の清流環境に基づく流域経済が重要な要素となっている。
 県は「穴あきダム」は環境に影響を与えないとして、「ダム建設による流域経済の損失」について答えを拒み続け、コストといえばダムとダムではない放水路、河川改修の安全度の「コスト」による比較でダムが最も安いなどと言い続けてきた。しかし、寿命のあるコンクリート巨大構造物を長期にわたって建設する建設期間の清流環境へのダメージ、建設後の構造物への水やヘドロの滞留などによる環境へのダメージは、既存事業などから容易に想像できる。

清流環境というかけがえのない自然資本の損失を、明確に建設の際の負のコストとしてとらえ、長期的な視点で、流域の持続可能性を叶える事業を検討するというスタンスで、治水方策を検討、検証しなおす姿勢を強く求める。
 ダム建設事業はこれまで日本固有の清流を破壊し続け、流域に自然生態的に、また社会経済的にも深刻なダメージを与え続け、更にダムの寿命をむかえたり堆砂で埋まった際には、莫大なコストが発生することがわかっている。撤去の費用も莫大である。そうした建造物ゆえに、ダムに依らない治水策を徹底的に検討することは当然である。今般発表された治水対策プランや検証の姿勢では、世界の河川政策の潮流に未だ逆行する河川政策を温存しかねない。
 検証の有識者会議の委員として、淀川水系流域委員会などで実績のある京大名誉教授今本博健先生、新潟大名誉教授 大熊孝先生らを任命し、これまでの河川政策の反省にたち、真に持続可能な流域の地域作りに貢献する、又、世界の河川政策潮流に合致する治水プランの検証が行われることを強く求める。

菅直人 @山形 での講演   公共事業 について




ダム問題や公共事業の問題に悩む僕らの呼びかけに、応えてくださり実現した2006年10月の菅直人 当時 民主党代表代行 を交えた、私たち最上小国川の真の治水を考える会、ウォーターワッチネットワーク主催シンポジウム@山形 の模様。菅直人×五十嵐敬喜×天野礼子 氏による対談。改めてUPします。薬害エイズ訴訟、長良川河口堰、諫早湾干潟、豊島の産廃問題などの現場を歩き、問題に直面する住民の声に耳傾け行動してきた菅さん。山形でも、真の住民の声を聞こうと現場に足を運び問題の核心をとらえていってくれました。このシンポジウムの中でもとても貴重な発言を残していってくれました。ちょっと長めですが、ぜひご覧下さい。

なお、この講演のテキストは、以下の頁にあります。
http://www.ogunigawa.org/pg96.html






吉野川の可動堰、建設なしのニュース。


以前、住民投票での勝利を成し遂げた、吉野川の可動堰について、前原大臣が建設しない考え方を表明というニュース。現地での活動に参加した一人としてとてもうれしい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー第十堰可動堰化を否定 国交相、保全軸に検討 2010/3/24
10:12 徳島新聞

 前原誠司国土交通相は23日、2000年1月の徳島市の住民投票を
受け、白紙状態となっている吉野川第十堰(ぜき)の可動堰化計画につ
いて市民団体のメンバーらと会談、「(可動堰は)選択肢にない」と述
べ、建設しない考えを表明した。

 前原氏は、約260年前に造られ、改修を重ねて使われてきた第十堰
の保全を軸に今後、流域住民の意見を反映させる委員会を設置し治水対
策を検討する方針も示した。

 国交省の大臣室で行われた会談には、市民団体側から吉野川シンポジ
ウム実行委員会の姫野雅義代表世話人ら9人が出席した。

 会談後、記者会見した姫野氏によると、前原氏は国交省の有識者会議
で検討している「できるだけダムに頼らない治水」の方針に沿って対策
を検討すると表明、国交省が持つ治水情報を提供する考えも明らかにし
た。

 さらに「第十堰は川の流れを邪魔していない。しかし、どの程度傷ん
でいるのか、治水の代替案をどうするのかを科学的にやらなければいけ
ない」とも述べ、早期に調査を始め、河川整備計画に盛り込みたいとの
意向を示したという。

 前原氏は23日午前の記者会見で、可動堰計画について「川全体の治
水をどのように考えていくかを含めて検討したい」と述べ、包括的に見
直す考えを示していた。

 姫野氏は「大事なポイントでかなり具体的で、明快な話が出たと思
う。長かったが流域の人たちの意思表示が国に届いた。今後は国交相の
方針が反映され、早い段階で委員会が設置できるよう働き掛けたい」と
語った。

 吉野川第十堰の可動堰化計画 吉野川河口から約14キロ上流にある
固定堰が、治水上の支障になるとして取り壊し、その下流約1・2キロ
地点に新たな可動堰を設ける計画。2000年1月に徳島市の住民投票
で建設反対が9割に上り、当時の与党3党合意で「白紙」となった。0
9年8月に国が策定した吉野川水系河川整備計画には第十堰対策は盛り
込まれなかった。10年1月、仙谷由人国家戦略相が「復活はありえな
い」と可動堰計画の中止を明言。前原国交相は09年10月に「政権と
しての見解は今後詰めていく」と説明していた。

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森林の保水力を巡る議論。


 ダム関係のMLで示された、有識者会議での森の保水力についての記事。
転記します。
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保水力は裸地以下? 実測値から再計算を
東京新聞2010.3.7

 「この事例の一次流出率、飽和雨量は、はげ山の裸地斜面の流出より大
きい出水をもたらす。 一般性を持つ定数ではないと思われる」
 二月八日に国交省内で開かれた「今後の治水対策のあり方に関する有識
者会議」。同会議委員で、森林と水をめぐる「森林水文学」に取り組
んできた鈴木雅一・東京大大学院教授は、説明資料の中で、国の最大流量
の計算方法に疑間を投げかけた。
 鈴木氏は、この計算方法の問題点を報じた本紙(一月十六日朝刊)も資
料として提出し、「報道のとおりとすると、過大な流量を推定している可
能性」があるとしている。
 国は一九八〇年に策定した「利根川工事実施基本計画」で、四七年九月
のカスリーン台風並みの雨(三日間で三一九ミリ)があった場合、八斗島に
最大毎秒二万二千立方メートルの水が流れると試算した。
 国交省は約五千平方キロメートルと広大な八斗島から上流部の五十四流域を、
すべて「一次流出率」を○・五で、「飽和雨量」を四八ミリで計算している。
いずれも流域の保水力を示す定数で、「貯留関数法」での最大流量計算
に利用される。 一次流出率は降った雨がすぐに川に流れる割合を示し、率
が大きいほど、すぐに流れ出る量は増える。
 飽和雨量は雨水を上壌に貯める能力を示しており、飽和雨量が小さけれ
ば、より多くの水が河道に流れ込む。
 鈴木氏は、最大流量の算出に使われた一次流出率が大きすぎ、飽和雨量
は小さすぎるのではないかという。
 根拠は自らの研究結果だ。鈴木氏は一九六〇年代から八〇年代まで、滋
賀県南部の裸地や森林で、降雨時にどれだけ水や土砂が出るかを調査・
分析している。鈴木氏が有識者会議に提出した資料から読み取れる裸地で
の一次流出率は〇・四程度。森林流域ではさらに小さい。
 国の計算方法では、八斗島上流部の森林などの保水力を、裸地以下とみ
なしていることになる。
鈴木氏は取材に対し、「一次流出率〇・五」は「国交省が告示している
土地利用形態ごとの流出係数(定数)と比べても大きい」とも指摘す
る。
 「特定都市河川浸水被害対策法施行規則」の別表によると、「山地」は
〇・三、「林地、耕地、原野」などは〇・二だ。
 これは中小河川の流量計算で使われる「合理式」での定数だが「街中
だけでなく、一般的な場所を想定している」(国交省流域治水室) 。
鈴木氏も「経験上、感覚的に合う数字だ」という。
 鈴木氏が有識者会議に提出した資料では、森林の保水力が一三〇ミリ
程度と読み取れる。「常識的に言っても、森林の飽和雨量は一三〇ミリ
以上であることが多い。それに比べて、(国が計算で使用した)定数は
低すぎる」と鈴木氏。
 その上で、「貯留関数法で流量を計算するという方法はいいのだが、
(計算上)こういう数値が出た場合は、常識的にどうかということを
考える必要がある」と、定数を見直し、最大流量を再計算する必要性を
指摘している。
 鈴木氏の指摘について、国交省は「(一次流出率や飽和雨量を含む)
五つの定数で総合的に計算している。(最大流量の計算で使用した)
流出計算モデルは近年の洪水流量においても再現性がある」と説明。
計算方法は適正であり、一九八二、九八両年の大雨時の水の流れ方に
照らしても問題はないとの立場だ。
 だが、三月五日の衆院国土交通委員会で、国交省の三日月大造
政務官は最大流量について「定め方そのものも合め、有識者会議で
議員ともども議論をし、新しい評価軸を定めていきたい」と明言した。
 前原誠司国交省も一日の衆院予算委員会で、最大流量に関連し
「前提条件すべてを見直していくことを、有識者会議の中で議論して
いただいている」と、有識者会議重視の姿勢を強調している。
 同会議委員が最大流量の計算に疑問を投げかけたことで、今後、
国が最大流量を計算した際のデータ公開や、最大流量の再計算実施を
求める声が高まりそうだ。

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森林の保水力は10年ぐらいまでから提示されていたのだが、なかなか表にでてきていなかった。
流量の計算、また、これが結局 ダムをつくる際の根拠となる基本高水を決める根拠となるのだが、
それがどうもあやしいということは、結構聞いていた。この記事は、よくぞ書いてくれた!という感じの記事。
最上小国川の上流部の森林もずいぶん伐採され続けてきたことが、神室の自然を守る会の報告で明らかにされている。森林の「ダム機能」を再考する時代がようやくやってきた。

2月23日の申し入れ文書


午後四時。県庁へ、申し入れに行く。

ダム撤去の時代の到来。


夜のニュースで 熊本、荒瀬ダムの撤去を樺島知事が発表する映像が流れた。

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朝日新聞より

熊本県の蒲島郁夫知事は3日、同県八代市の県営荒瀬ダムを撤去すると発表した。2012年度に撤去工事を始める。既存ダムの完全撤去は全国初。ただ、総額92億円とされる撤去費用の確保のめどは立っておらず、国に支援を求める。

 荒瀬ダムは球磨川中流にある発電専用ダムで、1955年に完成した。川の水質悪化や放流の際の振動などの環境被害、漁協への悪影響を訴える地元漁協からの求めで、熊本県は2002年、いったん撤去の方針を決めた。これに対し、08年に就任した蒲島知事は、撤去費用の試算が当初見通しより膨らんだことを理由に、存続へ方針転換した。

 だが、発電事業に必要な球磨川の水利権の期限が3月末に迫る中、水利権の再取得に必要な地元の同意は、地元漁協などの反対によって得られる見通しが立たず、ダム存続は困難な状況に追い込まれていた。県は近く、撤去を前提とした12年3月末までの水利権取得の手続きに入る。

 記者会見で蒲島知事は、再び撤去へ方針転換した理由について、「ダム存続の前提が大きく崩れた」と述べた。方針が二転三転したことについては「県民に心配をかけ、素直に謝りたい」と陳謝した。

 県は今後2年間の水利権を取得し、12年の撤去工事開始まで発電事業を続けながら泥土の除去など、撤去に向けた準備を進めたい考えだ。しかし、ダム撤去を求める地元の球磨川漁協は「水利権が切れる4月にはただちに撤去作業に入るべきだ」と主張。撤去を前提とした水利権の再取得手続きも、地元同意の取り付けなどで難航が予想される。(岡田将平)

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ダム推進国だった米国はいまやダム撤去を進め、すでに400以上のダムを撤去していると、もうこの10年前ぐらいから情報を得ていた。また、日本国内でも数年、「ダム撤去の手法」などについて紹介するシンポジウムなどがおこなわれている。結局流域の経済を考え、ダムを維持するよりも、撤去して清流をよみがえらせた方が経済的にも有利と考えて次々とダムが撤去されているそうである。小規模なものから、時には大規模なダムについても。1998年にInternational rivers network にインターンにいったときにすでに、ロワール川のダム撤去(一部爆破)の映像を見た覚えがあります。その後もアメリカンリバーズの方々の資料で撤去の様子。そしてその後10年で川が見違える様に回復し、結果として魚が戻り、流域を楽しむ人ももどって来た。結局は漁獲高、また、川のレジャーなど、流域経済が回復した来たというものでした。そうした実際があるし、すでに撤去のマニュアルもかなりソフィストケートされているようでした。不要なダム、危険な状態のダムを撤去する。これはまさに新しい公共事業。みんなで学習しましょう。
 先日の県への申し入れの席で、「朝日町の木川ダムは、96年の廃砂放流で下流に甚大な影響を与えたが、大規模林道工事の土砂流入によって再び膨大な土砂が堆積している。このダムの役割は終わったので撤去していただきたい。」とダム撤去の件についても申し入れしている。
  
熊本の樺島知事の 「ダム撤去」宣言。2年間の調整期間があるようだが、「日本のダム撤去」のはじまりだ。
山形でもぜひ学ぶべきである。

最上小国川穴あきダムへの申し入れの件 山形新聞


山形新聞より。昨日の申し入れの記事

吉村知事、最上小国川穴あきダム継続表明
2010年01月29日 08:08
県自然保護団体協議会が吉村美栄子知事(左)にダムに頼らない治水の検討を要望した=県庁
県自然保護団体協議会が吉村美栄子知事(左)にダムに頼らない治水の検討を要望した=県庁
 県自然保護団体協議会のメンバーが28日、県庁を訪れ、最上町の最上小国川で計画されている穴あきダムに関し、ダムに頼らない治水と公開討論会の開催を要望した。これに対し、吉村美栄子知事は「住民の安心、安全を守るのが重要」と述べ、あらためてダム事業継続の姿勢を示すとともに、討論会ではなく説明会を開催したいとの考えを表明した。

 構成18団体の中から7団体の代表らが訪れた。協議会側は、ダムに頼らない治水の検討を要望した上で、「一昨年末に県が行った報告会は(時間が)定められた1時間で、県側の一方的な説明に終始した。質疑が途中で打ち切られた」などとして、公開の討論会を開催するよう訴えた。「赤倉温泉に影響を与えずに河床の土砂を除去する方法も検討し得る」との意見も出た。

 これに対し、吉村知事は「わたし自身は(穴あきダムに関しては)白紙の状態で県庁に入った。経緯を聞き、現場に行き、なかなか掘れない、拡幅も大変ということを実感してきた」とし、「住民の安心、安全を守りながら、なおかつ自然環境をできるだけ守るという方向でたどり着いたのが穴あきダム」とダム建設の意義を強調。一方、「県民の皆さん全員に分かってもらえるように、県の今までの取り組み、今後の考えを説明していきたい」と述べ、討論会ではなく説明会を開催するとした。

 最上小国川の穴あきダムは国の補助を受けて、県が建設する補助ダムで、国土交通省から昨年末、新たな段階に入らない「検証対象」とされている。

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印象として、知事はこれまで、県土木部の一方的な見解を吹き込まれ続けていただけなのだと強く感じた。
「穴あきダム」といってもダムはダム。「環境にやさしいダム」などと堂々と吹聴しているのは、山形県だけの話だ。これ、いつも全国的な集会の中でそれを伝えると失笑を買う。この申し入れの際も「貯留型ダムよりも環境にやさしい」とかという説明を土木部長がおこなっているが、こんな説明でみなさん、ごまかされませんよね。
要は、天然鮎が遡上し、国内屈指の清流環境がそのまま維持できるぐらい、影響を及ぼさないダムなのか。ということには全く答えていない詭弁でしかないのだ。この穴あきダムについては、以前取材した映像をまたアップデートしておこうと思う。
最新型の穴あきダムは島根県の益田川ダム。この益田川には漁業権もないし、となりにある高津川と比べると清流とは言い難い川なのだ。

「穴あきダムだったら鮎に影響しない」「清流を破壊することはない」  この事には何の科学的、実証的な裏付けも論拠もない。ごまかされてはいけないし、全国屈指の最上小国川は、こんなダムの実験台にすることは、絶対に避けなければならないと思うのだ。

それに、治水論についてだが、流域委員会などで「専門家」として議論をひっぱることになる「河川工学者」には、ダムによる治水しか頭にない先生とダムによらない治水論を展開する先生がいらっしゃる。山形県が流域委員会で招聘した東北大の風間先生はダム論の河川工学者。そしてダムによらない治水論を展開する先生は議論のテーブルについていない。僕らは今本博健 京都大名誉教授、大熊孝 新潟大名誉教授に現地を見ていただいていて、ダムによらない治水案について提案をしている。本来はこうした先生方を議論のテーブルにつかせ、ダムによらない治水について、きちんと議論すべきなのだ。要するに、「議論をつくした」は真っ赤な嘘であり、「ダムによらない治水について」全く議論不足なのだ。知事対談の際。最後に僕は「ダムによらない治水についての議論が全く不十分」ということを伝えたつもりだ。
  
いずれにせよ。
吉村知事には、これから、しっかりとお勉強していただかなくては。ね。

↓必見!     清流最上小国川と穴あきダム   の真実。

http://www.youtube.com/watch?v=JnxABvLMRzQ

ダムに依らない治水を。


昨日は赤倉温泉で最上小国川ダム関連のミーティング。
今、全国で問われているダム事業。
山形県でも、最上小国川、赤倉温泉の上流に計画されている最上小国川ダムの問題が焦点になっている。

政権交代後、「コンクリートから人へ」の公共事業の転換を標榜した国土交通大臣の下、国が直接建設主体となる国直轄のダムについては、凍結し見直していく方針が示されていたが、都道府県が建設主体となる、補助ダムについては、「県知事の意向を尊重」との発言があり、補助ダムを抱えている全国の地域の活動団体の方々とともに、先日の12月16日には三日月政務官に直接出向き、要望書を手渡してきた。
  最上小国川ダムの問題については、以下のような要望書である。

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国民の選挙によって“政権交代”が実現し、新政権の誕生により、「ダム事業の見直し」が表明され、八ッ場ダムや川辺川ダムの建設中止に始まり、国直轄ダム工事が本年度見送られ、凍結されました。問題があっても住民の反対があっても、「いったん始まったら止まらない」と言われてきた公共事業の見直しに着手されたことを、心から歓迎します。
 しかし、各道府県の補助ダム事業は、「ダム事業の見直し」の前に本体工事の入札や事業認定申請などが「駆け込み的」に進められており、ダムに代わる新たな治水対策の基準 策定や見直しまでに、本体工事の着工などで後戻りができない状況となってしまいます。
 新政権の方針である「ダムに依存した河川行政からの全面的な転換」や「コンクリートから人へ」などの理念を実現するため、また、よりよい河川を次世代に引き継ぐべく、明治維新の廃藩置県を断行したときに匹敵する強い意志をもって、「脱ダム・堤防補強」を断行していただくためにも、早急に下記のことを実現していただくよう、要望いたします。

一、各道府県の補助ダムに対しても、「ダム事業計画の見直し」を推進するため、全ての補助ダム事業への予算づけを凍結すること。
二、新たな治水対策の基準を設け、「ダム事業計画」と「治水利水対策」を2年ほどの期間をかけて見直すこと。見直しには地域住民や市民団体などから意見聴取を行ない、事業計画にそれを反映させること。
三、この度設けられた有識者会議に於いても、「継続か、いったん凍結か」ではなく、先ず「全てを凍結」という上記の一、二を柱に進めること。

 また、見直しを行なう際の基準として、下記のことに取組んでいただくよう要望いたします。
1、「ダムに頼る治水計画」を見直すこと。これと係わる“基本高水”を出発点とする河川整備方針を見直すこと。「ダムは限定的な洪水による壊滅的でない被害の回避」に役立つ可能性があるだけで、平時は環境を破壊しつづける無用の長物である。本来、治水の使命は、いかなる大洪水が発生しようと壊滅的被害を回避することである。一定限度の洪水を対象にしていたのでは、この使命は果たされない。これからの治水は治水の使命を果たす原点に戻る必要がある。また、堤防強化策を最優先で実施するとともに、”流域治水”を推進すること。
2、「造ること」に国からの補助があった従来の補助制度のあり方を見直し、河川の維持管理に補助が行えるようにすること。例えば、地方の中小河川では、堤防の補強が必要な場合でも県単事業となるため、災害認定される状態になるまで放置されている。亀井静香氏が国交省大臣時代に中止した大仏ダム計画(長野県松本市)があった奈良井川改良事務所の職員は、「こまめな維持管理さえ行っていれば、それほど大きな災害は起こらない」と言っている。
3、利水対策においては、過大な需要予測の見直しを行うとともに、ダムに依らない他の供給先の確保に努めることを、先ず優先させること。
4、治水、利水等事業においては、自然との共生を重視し、河川の生態系保全の位置付けを高め、“生物多様性”を担保すること。
5、すでにダム本体工事が行われている、あるいは完成している場合でも、ダムがあることによる危険性などの問題点が指摘されている場合、貯水を止め見直し対象とすること。
6、見直しが完了するまで、石木ダム事業認定申請受理を凍結すること。
7、見直しが完了するまで、辰巳ダム、新内海ダムに関するそれぞれの事業認定取り消し訴訟において、被告である国は「事業見直し完了まで訴訟審理凍結」を裁判所に申し出ること
8、補助ダム事業の見直し作業は、公開の場で開催すること。 

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以下、最上小国川には、真の治水を考える会として以下を添付した。

●山形県、最上川支流で唯一ダムがない清流。地元小国川漁協が反対を貫いています。「ダムに依らない治水対策」の再検討を強く要望します。

最上小国川は山形県を貫く最上川水系の主要な支流の中で、唯一流域にダムが建設されていない河川である。そのため、流域内には手付かずの自然が多く残され、山形県内随一の天然アユが数多く遡上している。1300名の組合員がいる「小国川漁協」の川漁師の他、年間3万人に及ぶ釣り客が流域を訪れ、年間8回もの釣り具メーカ-主催の友鮎釣りの全国大会がおこなわれている。
 上流に位置する赤倉温泉地域の治水対策を主目的に1995年(平成7年)より「最上小国川ダム建設事業」として実施計画調査が開始され、07年12月、当時の斉藤前山形県知事が、「穴あきダム」建設を表明した。09年2月就任した吉村知事もダム推進の意向を表明している。

「問題点」
● 穴あきダム建設によって鮎をはじめとする流域の生物生態系に重大な悪影響を及ぼしかねない。
● 建設時、ダム完成後の流域生態系の改変により、鮎釣り等へのダメージが懸念され、鮎釣り客減少による流域温泉街の客の減少、交流人口減少など、多くのダメージが考え得る。
● 課題は赤倉温泉街の治水対策であるが、県は「温泉湯脈に影響がある」として、河床掘削等の検討を拒み続けてきた。 最上小国川漁協(組合員1,300名)はダム建設に反対し続けている。 2004年に「最上小国川の真の治水を考える会」が設立され、ダムに依らない「真の治水」を問う運動を展開。2006年より菅直人民主党代表代行(当時)をはじめ、天野礼子氏、五十嵐敬喜氏、らが、現地視察し、今本博健 京大名誉教授、大熊孝 新潟大名誉教授らの手により「真の治水」を叶える代替プラン(方針)を作成、県に提案した。その後、国土研究会の詳細調査により赤倉温泉地域の河川流域河床の堆積の土砂の除去や、温泉を維持するための堰堤の改良など、詳細による代