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カテゴリー: ダム問題

水源連ー秋田、成瀬川ダム問題に学ぶ。


全国水源問題連絡協議会  は、全国のダム事業の問題に取り組む老舗の団体。現地調査をおこない、嶋津先生を含め、その科学的な調査に基づく論証などをおこなう技術者の方々もいるたのもしい団体であり、私も、月山ダムの問題、最上小国川の問題などで、調査依頼をし、実際に現地調査をしていただいている。24日から25日にかけて秋田、横手市などで全国大会がおこなわれ、私も2日目のシンポジウムに参加しました。
以下は当日をとりあげた新聞記事。

横手市で「成瀬ダム問題全国集会」 建設現場の視察も

 国が東成瀬村に建設している成瀬ダムの必要性を考える「成瀬ダム問題全国集会」が25日、横手市のよこてシャイニーパレスで開かれた。ダム反対運動に取り組む市民団体の代表や国会議員が意見を述べたほか、「コンクリートのダムから緑と清流の時代へ」と題した集会宣言を採択、ダム依存の政策からの転換を国や県に求めていくことを確認した。

 横手市民らでつくる「成瀬ダムをストップさせる会」と、ダム事業中止を求める全国各地の市民団体でつくる「水源開発問題全国連絡会」(水源連)の主催。両会の会員ら約160人が参加した。民主党の京野公子衆院議員(秋田3区)と大河原雅子参院議員(東京都)、社民党の保坂展人副幹事長らが、ダム事業を含む公共事業の在り方について見解を述べた。

 京野議員は成瀬ダムについて「勉強中」と前置きした上で、「治山治水や利水、地域経済を支える公共事業という点で、地方自治体や農業団体から要望がある。ダム以外の選択肢がないか考えていくため(推進派と反対派が話し合う)円卓会議のような場が必要ではないか」と提案した。

 水源連の嶋津暉之(てるゆき)共同代表(66)は成瀬ダムについて独自の検証結果を報告。国土交通省が示す流水機能の維持や治水に関する費用対便益の数値について「恣意(しい)的な数値に基づいて計算している。現実に即して計算し直せば中止は確実」と述べた。

 集会に先立ち、水源連の会員ら約50人が、本体工事に入る前に川の流れを一時変える転流工工事などが進む成瀬ダム建設現場を視察した。
(2009/10/26 09:18 更新)

山形県自然保護連絡協議会総会に参加



小国町で開かれた 山形県自然保護連絡協議会総会に参加。「民主党の環境政策」ということで舟山やすえ参議院議員の話を聞き、最上小国川ダムの問題などを諸々協議した。
  政権交代を実現した後、前原大臣によって打ち出された全国のダム事業の検証のリストに山形では最上小国川ダムや長井ダムがリストアップされている。先日知事が現地視察しながら、「推進」の意向を発表していたようだが、これまで「ダム推進論」で固められてきた、国土交通省から派遣されている土木部長をはじめ、一方的な役所の治水策を聞いているだけなのだから仕方ない。改めて、真実を議論のテーブルの上にまずは載せる事を徹底していかねばならないと思うし、公開討論会のような場で“真の治水”論議を徹底的におこなう事をやらねばならない。よく、これまでの県知事や県は、「議論は尽くされた」などと言ってきたが、それはとんでもないご認識なのだ。これまでおこなわれてきた流域委員会、流域小委員会の会議はほぼ「ダム推進論者」だけで固められてきた。第一、「ダムに依らない治水論」を展開できる河川工学者は全国で2人しかいない。京大名誉教授の今本先生と新潟大名誉教授の大熊先生だ。その方々を議論にいれなければ、こうした会議でイニシアチブをとる「専門家の河川工学者」は、ダム推進論しか言わないのだ。これは全国のダム問題共通の抱える問題だろう。要するに、真の議論をしてこなかったのだ。まず、「検証」するには、「真の議論」をやり直すことではないか。

最上小国川 公開討論会を申し入れ。


クリスマス。未来の子供達に山形県随一の清流をプレゼントしたい。

そんな気持ちで最上小国川の治水事業についての公開討論会の申し入れと、11月17日に申し入れに未だ回答がないことに抗議をし、公開質問状を提出した。僕は、「マスコミがいるときだけ、対応がいいようだけれども、電話の対応とか、ひどいもんじゃないですか。そんな姿勢で、説明責任を果たしているといえるんですか」「すべて、県民の税金でおこなわれている事業です、きちんと説明責任を果たしてください」と追求。県 土木次長らは陳謝した。回答は1月10日に郵送で送ってくるとの確約を得た。

文書は以下のとおりだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
山形県知事 齋藤 弘 様
2008年12月25日         
最上小国川の“真の治水”を考える会 
最上小国川の真の治水を求める対策会議

最上小国川治水計画に関する「公開討論会」開催の申し入れ

 最上小国川の治水計画につきましては、私達はこれまでも繰り返し「ダムによらない治水計画」を求めてきたところであります。
ところが県は、12月4日の「赤倉地内温泉影響調査報告会」において、あらためて『赤倉地区の治水対策は、河川改修ではなく、穴あきダムでおこなう』ことを明らかにしました。
専門家の指導のもとに行ったとされる「温泉影響調査」から導き出されたこの結論には、調査手法や事実関係に誤認・歪曲があり、私達はとうてい認めることが出来ません。特に今般の説明中、「影響調査の考察」については、実際の温泉影響調査に携わった専門の研究者が異論を唱えております。また私達からみても、何の論拠もなく論理飛躍をしている点が認められます。
 県の姿勢はまさに、事実を歪曲して、県民世論をダム建設に誘導するものであります。
また、“穴あきダム”で本当に赤倉地区の水害は防げるか、また、内水被害対策はどうするか、県は、肝心の問いに回答しておりません。また、12月4日の説明会では県民からの質問があっても受け付けず、強行に会を終了しました。これまで同様、一貫して事業の説明責任が果たされていない状況であります。疑問点は数多くあります。
 私達は、流域住民をはじめ県民に正確な判断をしていただくため、互いの主張を公開の場で議論しあう「公開討論会」の開催を求めます。
県民に開かれた県政の実践として、下記に記す最上小国川治水計画に関する「公開討論会」に応じていただくよう申し入れます。
先ずは、開催の是非について、早急にご回答ください。

 日 時  2009年1月中
 場 所  最上町内
 テーマ  ①「温泉影響調査」報告内容の疑問点について 
      ②河川改修による治水対策の可能性について
      ③“穴あきダム”の治水効果について
 出席者  ・「温泉影響調査」関係者 特に調査に参加した3名の専門家
・ 最上小国川治水計画担当者
・ 最上小国川の“真の治水”を考える会 および 最上小国川の真の治水を求める対策会議の関係者 
ーーーーーーーーーーー
以上。



最上川 世界遺産シンポジウム チェスターリーブスさんの講演。



「最上川を世界遺産に」というシンポジウム、に参加。チェスター・リーブス氏の基調講演は、「living landscape 」というテーマを軸とした実に有意義なものでした。

知事の英語もまあまあやな。と思いながら、「7世代先の事を考えても、世界遺産登録」とかという言葉を聞きながら、苦笑するしかありませんでした。

さて、この世界遺産のシンポジウムで最後に、草島、質問をさせていただきました。


「今日は、リビングランドスケープというお話、大変興味深くお話を聴かせて頂きました。
この文化的景観の中に、自然だとか、環境のことについて、そこについて、なかなか語られていないように思います。実際に世界遺産登録の際には、イコモスもきますけれども、IUCN(国際自然保護連合)もきてチェックをするのだと聞いております。その中で、やはり最上川を見て、これから何を守るべきかという視点で考えますと、これまで上郷ダムが本流にあり、それによって、多くのバイオダイバーシティが破壊されてきた。ということがあると思います。そして、今、なお、その支流に、せっかく子供達が喜んで泳げる川。そして全国から鮎釣りに人々が来る川があるんですけれども、そこにまたダムが計画されている。私はやっぱり、今、リビングランドスケープということで、ドイツも、アメリカも、リビングリバーの時代だ。とうかがっております。ダムまで撤去する時代だと聞いております。そういう時代の中での、世界遺産として、私は、やはり環境の事をしっかりと考えて、今までの公共事業のあり方が良かったのか。それと、これから、更にダムをつくっていいのか。という視点をきちんともって、この世界遺産の事については考えないといけないと思うんですけれども。チェスターさん、どのようにお考えになりますでしょうか。世界の潮流として、川の考え方が変わってきているのではないかと思います。その潮流にのっていかないと、世界遺産どころの話ではないのではないかと思いますが、どうでしょうか。」

会場しんとする中で、

チェスターさんは、「The point I think about 」とお答えになりました。

会が終わって、遊学館の出口のあたりでチェスターさんにごあいさつ申し上げ名刺交換させていただいた。会話の中で、「Dog &Demon」の話をしました。チェスターさんは、「ああ、Alex Kerrかい?日本の公共事業の話はよく知っているよ」といった調子で、と一言。本当に世界遺産にしたいから、この最上川を日本のターニングポイントにしたいんです。と僕はお話しました。
  今後、アレックスさんらも含めて、「文化的景観」の真の意味を問う機会を設けることができたらなあと考えております。

どこまでも新河川法に反した県土木部。県政を変えなきゃ。


市議会終了後、最上でおこなわれた温泉調査報告会に行く。県の説明の中に論理飛躍をはじめ、諸々問題箇所あり。第一、温泉調査の専門家が3名いて、なぜ、山大の先生方は一人も来ずに、高橋という温泉研究所の人しかこず、論理飛躍した調査報告を述べるだけだったのか。まず疑問を抱いて質問した「なぜ、あなた一人なのか。その結論に至るプロセスがわからないじゃないか」と正す。山大水文学の桑原先生は、温泉への影響について、論理飛躍している部分を指摘した。その後、質問しようとしても県は質問を遮り、質問を遮ったまま、会を無理矢理終了した。土砂の堆積量や砂礫除去によってどれだけ流量が確保できるかについても60トンとあったが、その論拠も全く示さなかった。全く卑怯なやり方だと思った。
  これが、県知事が「丁寧に丁寧に説明し続けてきた」の真相である。これまでの流域委員会でも、また、公聴会でも、こうした姿勢が貫かれていた。
   御用学者を使って、科学や技術の本意をねじ曲げる。都合の悪い声は排除する。要するにきちんとした説明責任が果たされていない。のだ。

   京都のシンポジウムで、淀川流域委員会の今本先生や宮本さん、嘉田知事らにお会いし、どれだけ「真の治水」を求めて議論がつみかさねているか。また、滋賀県で国土交通省に対峙して、「流域治水」として県独自の「ダムに依らない治水」案をどんな思いで作成しているのかを知ることができた。
  こうした動きとは真逆に動いているのが、「穴あきダム」を「日本一環境にやさしい」などといって進める山形県だ。従来のしがらみで政治を続けようとする人たちのために、住民が情報操作をされ、ダム推進に動かされている。
  今回の資料も、「やれない事」のオンパレードなのだが、山形県の河川技術者たちにはそんなに技術がないか。といいたくなる記述が見られる。とにかくどんなところにもダムをつくってしまう技術と比べたら、温泉に影響がないように、可動堰をつくることなど、簡単にできるように思えてくるし、実際に専門の方からもそんな評価を頂いた。本来の新河川法の趣旨を逸脱し、見せかけだけの住民参加をさせ、住民をごまかし続けている。
  そう、嘉田さんに会ってはっきりした。こういう河川行政を続けさせている県政トップを変えるしかないのだということ。
   熊本、滋賀、大阪、京都、三重、 ダム建設中止、白紙撤回を表明する県が相次いでいる。
なぜか。「守るべき宝」とは今の環境を維持した、数少ない河川環境だからに他ならない。

11月9日の緊急シンポジウムの特集を今週末に完成させるつもりだ。(動画)
どれだけ山形県のやっていることがおかしいかが、皆さんにわかるはず・
ぜひご覧いただきたい
http://www.ogunigawa.org

以下。山形新聞webより。
「赤倉温泉の源泉に影響大 県「河川改修より穴あきダム」
2008年12月04日 22:22
河川改修による赤倉温泉の源泉への影響などを説明した調査報告会=最上町中央公民館
河川改修による赤倉温泉の源泉への影響などを説明した調査報告会=最上町中央公民館
 最上町の最上小国川の穴あきダム建設をめぐり、県は4日、同町中央公民館で「赤倉地内温泉影響調査報告会」を開いた。県は河川改修をした場合、赤倉温泉の源泉へ与える影響は大きいとし、治水対策は穴あきダムで行うとの考えを住民らに伝えた。

 県が計画する穴あきダム建設については、財務省が2008年度政府予算原案で採択する一方、地元の小国川漁協(舟形町)などがアユへの影響などから反対の立場を取っている。調査は、漁協などが主張する河道改修案の可能性を探ろうと今年8月から10月にかけ、県が地質学と温泉学の専門家とともに赤倉地区で温泉がわき出す仕組みや河床掘削による温泉への影響などを調べた。

 報告会には流域の最上、舟形の両町民ら約250人が参加した。県側は調査の目的や方法、概要などについて説明。河川改修案については▽河床岩盤を掘削すると温泉水の湧出(ゆうしゅつ)機構を崩す▽河床砂礫(されき)を掘削すると河川水位が低下し、水位バランスの崩壊を招き、源泉に著しい影響を与える−として「困難」との結論を報告した。その上で「赤倉地区の治水対策は河川改修でなく、穴あきダムで行う」との考えを示した。

 質疑で、賛成派からは「1日も早い完成を期待する」との声が上がり、反対派からは「岩盤の扱いを丁寧にすれば工事はできるはずだ」「掘削が不可能ならば河川拡幅もある」などの意見が出た。

本日、今本先生 報道ステーションに。


今朝は、黄金保育園 にて、ムッレ教室のムッレ(森の妖精)になる。
さて、11月9日のシンポジウムで山形でご講演なさった、今本博健先生が本日の報道ステーションでとりあげられます。先週のはずが、本日になったようです。
ぜひ、みなさん、観ましょう。

斎藤知事へ申し入れ。


午前10時30分。県庁、土木部 河川砂防課にて、県知事へ、申し入れをおこなう。

申し入れ文書は、以下のとおり。


2008年 11月 17日

山形県知事 斎藤 弘 様    
          最上小国川の“真の治水”を考える会 代表 押切喜作
                        事務局長   草島進一

11月13日知事記者会見での「最上小国川ダム問題」への発言に対する申し入れ

知事が「最上小国川ダムに関し、11月13日、「河床掘削することは、源泉に対して著しい影響を与える恐れがあることから困難である」という発言について、以下、申し入れを行う。

1.今般の河床掘削に関する現地調査は、現地住民で構成される「最上小国川の“真の治水”を求める対策会議 が 今年6月におこなった申し入れの席で、土木部長が「掘削可能かどうかの調査をおこなう」と表明したことに起因するものである。しかし県は調査の際に協力した当事者である住民団体へ、内容の詳細などを全く説明することなく、県知事の会見に踏みきっている。
 住民団体は憤慨している。ただちに「対策会議」、関係者に対して「県見解」の論拠とする一切の資料を公開し説明すること。

2.知事見解の「情報操作」について
「河床掘削」は「岩盤掘削」しかないように歪曲して、「困難」と結論づけた13日の知事発言は、真実を歪曲した県民への「情報操作」である。2007年度詳細にわたり現地調査した国土問題研究会の研究者は、「赤倉温泉流域には多量の砂礫が堆積している。河川水位を保つために固定堰を可動堰に改修し、堰上流の河床中央部にたまった砂礫を取り除くことで、流下能力を80トンから100トン程度増加させることができる、その際は、岩盤掘削の必要性はない。と提案している。現地に4度訪れ今回も踏査された元京大防災研究所、元淀川水系流域委員会の今本博健 氏も同様の見解を示している。
 つまり温泉に影響することなく、砂礫撤去し流下能力を上げることが可能だということである。
 これまでも県は、積算根拠を明確にしないまま、河川改修の方が、ダム建設よりも年数や費用がかかる。などと説明をしてきた。また、根拠なき「日本一環境にやさしい穴あきダム」と称したビラを流域住民に配布するなど、「ダム建設」を助長する情報操作をおこない続けてきた。
その上、更に今般の知事の歪曲発言、県民への「情報操作」に、私たちは徹底抗議する。
 赤倉温泉流域の砂礫の堆積状況の詳細を示せ。又、固定堰を可動堰に替え、砂礫を除去した場合の洪水時の流下量を示すことを強く要求する。


3.今年9月11日に蒲島郁夫熊本県知事が、川辺川ダム建設を白紙撤回することを発表し、11月11日、滋賀、京都、大阪、三重の4府県の知事はダム建設に対し共同で計画中止を求めた。 嘉田由紀子・滋賀県知事は「今は国が決めた計画に従うだけの時代ではない。今回の合意は地方自治の試金石になる」と強調した。こうした表明の根本には、淀川水系流域委員会の方針があり、今般11月9日のシンポジウムで講演された今本博健 元京大防災研所長はその治水論の中心人物である。
今本氏は、いままでのダム計画にたよる治水のあり方は行き詰まっている。これからの「治水の使命は、いかなる大洪水に対しても住民の生命と財産を守ること」であり、効果が限定的なダム建設ではなく河川対応と流域対応を併用して洪水を流域全体で受け止める必要がある。と説いている。また、これまでダムができたことにより、自然環境が破壊されなかった河川はない。環境は、基盤であり、治水のためといえども環境に重大な影響を与えてはならない。として、「ダムに依らない治水」を訴えている。
 最上小国川についても、穴あきダムができたら、環境への影響は避けられず、せっかくのこの川の清流の魅力が死んでしまう。治水安全上でも、財政的にも、持続可能な流域のためにも、効果が限定的なダムをつくる時代ではない。最上小国川の場合、流域委員会をはじめ、ダムに依らない治水の検討が全く足りなすぎる。と強く主張されている。知事が主張する「治水策をていねいに十分に検討してきた」もまた、真実と異なる県民に対する「情報操作」でしかないことは明らかである。
 先般11月14日には、4府県の動きなどを受け、金子国土交通大臣が国交省の既存のダム計画は「見直す時期だと思っている」との表明もあった。
 今、ダム建設や治水をめぐる状況が、大きく転換している。そうした状況下で、従来の「まずダム計画ありき」の旧来の国土交通省の姿勢に固執してダム建設を進めようとする山形県の姿勢は、その新たな潮流から逆行したものである。今、志ある知事らが県単位で河川の自治をとりもどし、住民は先進の知見sから新しい治水の常識を学びつつあるのに、山形県の場合、知事は自治を放棄していると考える。
 県知事は会見の席で「他の県とは事情が違う」と発言しているがその根拠を示せ。また、新たな“真の治水”の潮流に立脚した「ダムに依らない治水」策を再度議論し直す場の設置、又、河川整備計画のやり直しを要求する。

4.今年5月、「生物多様性基本法」が国会で可決成立した。2010年は国連の生物多様性年であり、国内でcop10がおこなわれる。その状況下で、自然環境の中の生物多様性を維持する責務を今まで以上に私たちは負っている。トウホクサンショウウオなどの貴重生物の他、流域の交流人口に貢献する天然鮎、サクラマス。また、最上川水系随一の清流環境は、この山形県が誇れる自然の財産、自然資本であると考える。
 県は「生命と財産」を守るためにダムが必要というが、熊本県で白紙撤回された川辺川ダムも小国川ダム同様の穴あきダムであり、「穴あきダムであれば環境に影響がない」としているのは山形県独自の曲解である。
 このダム建設の工事中や完成後に生じる河川の環境破壊、による生物多様性の損失、又、流域の経済的な損失、自然資本の損失をどのように考えているか。また、持続可能なまちづくりの観点で、ダムによる清流環境の破壊による、交流人口の消失、地域経済の衰退が懸念される。その消失をいかに考えるか。私たちは、この質問を、幾度も県知事、土木部長に問いかけてきたが未だに明快な回答がない。明確に、根拠を示し、答えよ。

5.県は最上川の「世界遺産登録」の運動を進めている。しかしながら、この最上小国川は最上川流域随一のダムのない清流である。蒲島郁夫熊本県知事が川辺川ダム建設白紙撤回表

もはや恥ずかしい。ダム固執の斎藤知事と、悪質な県の河川行政。


京都のシンポジウムで、淀川流域委員会の真摯な議論の過程や、嘉田知事、山田知事のダムに依らない治水にいたる考え方を聞いた。滋賀県の河川行政の質が、山形の河川行政とは比較するのがはずかしいほど優れている事を強く感じた。京都で「山形では、最上川を世界遺産にという運動しながら、流域随一の清流に穴あきダムをつくろうとしている。そして県は「日本一環境にやさしい穴あきダム」などと推進大会のビラにうたい。私が昨年抗議したら「そういう風に努力する」などと言った。と発表した。会場で一笑されたし、懇親会などでで、「山形、なんとかしないとなあ。県のレベルが低すぎるねえ、流域委員会もひどかったそうだねえ」と研究者や関係者の方にいわれた。相当恥ずかしいと僕は思った。
 「でも救いは漁協の姿勢だね。それは立派だ」ともいわれた。川辺川でも、強固な漁協な姿勢、そして清流をなんとしても次の世代に手渡したい流域住民のおかげで、あの樺島知事の発言がある。漁協をはじめ、志ある市民のおかげで、なんとか山形の面目がたったという思いに至った。

先般、田中康夫さんにお会いしたときに、「そんな知事だったらやめさせたらいい」と一言いわれた。そもそも 住民の真意に耳傾けることなく、ただダムの利権構造のしがらみを温存したいがために、「日本一環境にやさしい穴あきダム」などとビラをつくって、町内会長に推進署名を集めさせて、民意をでっちあげる。つまり情報操作をおこなう。そして公聴会や、これは県知事と語る会でも尋ねたが「ダムによって、流域の自然環境が破壊される経済的な損失はどのくらいと考えるか?」と尋ねると「穴あきダムだから環境に影響はない」などと根拠も示さずに誤魔化してきた。そして、おまけに漁協の内部個人情報を漏洩していた事件もあった。
 それから、「湯脈の影響があるから河床掘削できない」とずっと言い続けていたが、その温泉のメカニズムについては、河床掘削しても源泉に影響するものではないということが研究者から指摘され、今般ようやくにして県は調査をおこなった。
 これはマスコミの皆さんも慎重に扱っていただきたいと思うのだが、僕らは、河床岩盤をがんがん掘ることで治水をやれといっているのではない。
 今回の岩盤調査の際も、また、11月の9日のシンポジウムの際に河川工学者の今本 元京都防災研所長にご覧いただいた際も、わかったのは、この河川流域に相当量の土砂が堆積しているということだ。
 元、相良村村長の矢上さんもシンポジウムで指摘していたが、「今のこの小国川の状況は、特に赤倉温泉流域。ほとんど、河川整備がされていない状況だ」ということだ。
 土砂が溜まりに貯まって、それが、洪水時に水かさを上げることになっている。
そうしたことに全く手をつけず、ダムダムといっている。土砂を取り除く。そしてパラペットなどを活用する。嵩上げも一部おこなう。そうした事で相当量の水量が流れるようになる。ということである。
 

そして「生命と財産」というが、この川の洪水災害で何名の人命を失った過去があるのだろうか。

実際に、滋賀県では、県内で治水必要度のランキングを作成していることを聞いた。洪水があってもその洪水が真に川によるものなのか、それとも川に起因しない、単に地盤が低いためにバックウォーターで水につかってしまうのか。人命は失われたのか。洪水時に氾濫源はどうなのか。などなどの項目で見直しているそうだ。するとダムをつくらねばならない場所は、なくなってしまったというのだ。

小国川の場合、赤倉の治水対策がメインなのだが、県が強調する洪水災害で、水がつく商店は、あきらかに、川に起因しない、単に地盤が低いためにバックウォーターで水につかってしまうケースだった。これは地域の人たちはみんな知っていることだ。それを
ダムをつくる理由に操作していることをぼくらは知らなければならない。

 とにかく、レベルが低すぎるのだ。今の山形県の河川行政におまかせにしてはいけない。こんな日本有数の清流が、穴あきダムの実験台になるなどということは絶対に許せない。
 2010年、生物多様性年を迎える。そして、改めて地域の持続可能性を考える意味で、地域ならではの宝物は何かを考え、交流人口をいかに促すか。という視点をおいて、住民は考え、末端の村や市から、反対が表明された。そして、樺島熊本県知事は苦渋の「ダム白紙撤回」をおこなった。そして11日、滋賀県、京都府、大阪府、の3県知事と三重県副知事が大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)を整備計画に盛り込まず、白紙撤回するよう求めることを正式に表明した。

 嘉田由紀子・滋賀県知事は「今は国が決めた計画に従うだけの時代ではない。今回の合意は地方自治の試金石になる」と強調し橋下徹・大阪府知事も「責任を取るのは我々政治家だ」と地元知事として国に反旗を翻した合意内容の重みを訴えた。

と言うご時世である。

最上川を世界遺産にといいながら支流にダムをつくる。
流域委員会はダム推進派の御用学者と県民代表でのみ強行に決定した。
「穴あきダムは日本一環境にやさしい」などと情報操作甚だしい。
漁協内の個人情報を漏洩した。
現場をみず、国土交通省のいいなりである。

どこが、「4つの府県の事情とは違う」なのか。政治家としての認識を疑う。地域ならではの自然資本の価値がわからないのだと思う。それより、従来の「しがらみ」が大事なのだろう。「地方自治の試金石」と嘉田さんが言っている。こうした姿勢は斎藤氏にはまったく感じられない。

そもそも、「市民派」のふりをして選挙戦で当時長野県知事だった田中康夫を呼び、田中氏は、演説の後、自民党の事務所に案内されて「だまされた」と怒って帰った野田と聞いている。選挙にうかったら、まさに、なんとなく マネごとをして、肝心のところは、旧態然としてしがらみ温存であり、その最も顕著な姿勢がこのダム事業に表れている。

田中康夫氏にいわれたように、こんな県知事は、辞めさせるしかないし、これ以上、県の河川、ダム担当の不正といえる行為は絶対に許せない。

いいかげんな情報操作はもういいかげんにやめてほしいものだ。






11月9日緊急シンポジウム


いよいよ明日、11月9日、山形の川に民主主義をとりもどすシンポジウム。11月2,3日に京都でおこなわれた「川の全国シンポジウム」からの潮流を東北、山形へ との思いで開催されるシンポジウムです。みなさん、ぜひおいでください。

京都。川の全国シンポジウム。



川の全国シンポジウム。民主党から前原誠司氏、共産党、穀田氏、新党日本、田中康夫氏がかけつけ、両党で、ダム政策をどうするか。しっかりとお話いただいた。

最後、以下の京都宣言が発表され、会を閉じた。2日間。淀川の文化、と流域市民の躍動を感じたシンポジウムだった。多くの示唆をえることができたし、滋賀県の嘉田知事の講演に、治水策の −−−−京都宣言−−−−
京都宣言
淀川は川ではなく水路になっています
琵琶湖はもはや死に瀕しています
淀川と琵琶湖の生命(いのち)が危ういのです
川に育まれる生き物たちの生命(いのち)が危ういのです
私たちの生命が危ういのです
この状況は、全国の川や湖でも同じです

このような川と湖を子や孫に引き継ぐことはできません
これまでの「川づくり」を根本的に変えなければなりません
もう行政にだけ任せてはいけません
任せてきた結果が現状なのですから

私たちは
川や湖を傷めつけてきた責任を痛感し
一人一人が考え方や生き方を変えることによって
川と湖の再生に取り組みます

2008年11月3日
川の全国シンポジウム−淀川からの発信−