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カテゴリー: ダム問題

淀川水系流域委員会の危機。


月曜日、鶴岡市議会一般質問の質問デイであり、質問をまとめ中。

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今朝のニュース、以下の社説が目にはいった。とても重要なので転載します。
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朝日新聞 社説。

流域委員会 淀川方式が決壊する

 河川計画に住民の意見を反映させるため、国土交通省の地方整備局に設けられている流域委員会。その存続が、関西を流れる淀川で危うくなっている。

 同省河川局から10月に着任した近畿地方整備局長が、委員の任期が切れる来年1月で休止させると表明した。

 住民の参画を徹底させる手法で、これからの河川政策のモデルといえる委員会だ。それが、まだ河川整備計画もできていないのに、仕事半ばで活動を止めるのは納得できない。

 実は似たような出来事が、関東の利根川や四国の吉野川でも起きている。「淀川のような流域委員会をつくってほしい」という住民の要望が退けられた。代わって、住民の意見は国交省が聴取するという方針に変わった。まるで淀川方式の波及を恐れるような対応である。

 97年に河川法が改正され、「住民の意見の反映」が盛り込まれた。それをきっかけに、河川計画を立てる審議に住民を加える流域委員会方式が広まった。

 とりわけ淀川の流域委は、これまでの役所の常識を百八十度変える運営方法だった。河川工学者ら第三者でつくる準備会議が委員を選んだ。一般公募の委員枠も設けた。事務局は民間機関に委託し、会議は公開、傍聴も自由にした。傍聴者の意見も募った。6年間で500回を超える審議を重ねてきた。

 近畿地方整備局は「時間とコストがかかり過ぎる」「流域委の意見を重視しすぎる、と首長から批判がある」と、休止の理由を説明する。

 しかし、それだけではあるまい。流域委は03年に「ダムは原則として建設しない」とする提言を出した。これに対し、河川局は05年、五つのダム計画のうち二つは中止するが、三つのダムは継続するとの方針を打ち出した。

 ダム建設を推進してきた河川局の意向に沿わない提言を出したことが、休止の本当の理由だろう。流域委を存続させれば、ダム建設に抵抗するのは目に見えている。それなら流域委の活動を止めてしまおうというわけだ。

 利根川では、反対運動が続く八ツ場ダム(群馬県)の計画がある。吉野川では、白紙になったとはいえ可動堰(ぜき)問題がくすぶる。淀川を含め3河川に共通するのは、いずれもダムや堰を疑問に思う住民の声が根強いことだ。こうした地域では、住民の声を反映する場をつくりたくないというのが国交省の本音だろう。

 しかし、意見の対立があるからこそ、流域委のような議論の場が必要なのだ。

 改正河川法に基づく1級河川の整備計画づくりはいま、全国でヤマ場を迎えている。淀川では、流域委に住民が参加することで、住民の間で川への関心が高まった。それは住民が洪水時の危険性を知ることにつながり、地域の防災力を高めることにもなる。

 治水を担う国交省が、その地域の住民の声に耳をふさぐ。それは時代に逆行するとしかいいようがない。
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本日の朝日新聞社説より。

97年に河川法が改正され、環境と「住民の意見の反映」が盛り込まれ、まさに理想的な徹底した参加と議論が展開されていた淀川水系流域委員会。ダム推進をストップされたくない国土交通省の官僚とある政党によってこうした民主主義の冒涜がおこなわれているのだと強く思う。朝日新聞、よくこの問題を取り上げてくれたと思う。
 小国川ダムの問題で、代替案を作成してくださったのがこの淀川水系流域委員会の委員長であられる今本博健先生だった。先生曰く「この川は朝まで雨が降っていても午後にはすっきりと澄み渡ってくる特性をもっている。天然遡上の鮎の経済効果も大きい。こんな川を穴あきダムで殺してはならない。温泉街の将来、流域の町の将来を考えてもこの川の魅力をいかせるような治水策にすべきだ」と。山形の土木部長は、これに対してまさに「聞く耳もたず」の姿勢をとった。斉藤山形県知事とて同じ。
 「県民の生命と財産を守る」とかと言って、とにかく「ダムダムダム」この淀川流域委員会で、真摯に議論されていた新しい視点の「治水」を無視してしまっている姿勢というのは、言語道断だ。
 
 治水論、ダム論。淀川水系流域委員会の真摯な議論、また長野県での河川審議会などの議論によって「古い公益」と「新しい公益」、「公益=官益」と「公益=住民の益」という戦いなのかもしれない。 

県知事宛要望書を提出


本日、以下のような要望書を県知事宛に提出。

知事面談の要望について
             
 2006年11月13日     
 斉藤 弘 山形県知事 様
                        
京都大学名誉教授   今本博健
新潟大学教授     大熊 孝
法政大学教授    五十嵐敬喜
アウトドアライター  天野礼子

                  
 私どもは、日本ではもう稀となった、天然アユが大量に溯上する最上小国川の美しい魅力を次世代に手渡しつつ、安全、安心とともに赤倉温泉の振興を叶える「真の治水」を求め、これまで地元の皆さんと協力し、現地調査や研究、勉強会などを行って参りました。

 10月28日には、民主党代表代行であられる菅直人氏を招いたシンポジウムを新庄市にて行い、元「京大防災研究所」の所長であり現「淀川水系流域委員会」委員長である京都大学名誉教授 今本博健、2004年の新潟水害の際の調査委員である新潟大学河川工学教授 大熊 孝、法政大学教授(公共事業論)五十嵐敬喜、作家 天野礼子が、地元の皆さんと共に、“穴あきダム”に替わる代替案を知事宛に提案させていただきました。
 11月8日には、河川工学の専門の立場から今本と、天野が地元の皆さんと、県土木部長ら担当の皆さんとこの代替案について、マスコミ公開のもとで討論させていただきました。

 その際、穴あきダムの治水効果の認識、又、対案への認識をはじめ、多くの認識、見解の相違がございました。




土木部長は、「流域委員会で議論を尽くした」、特に「流域委員会に東北大の風間先生という河川工学者がいらしたから問題はない」と言及されましたが、私どもは、この11月8日の議論は、ダム推進、容認のプランと、可能な限りダムに依らない治水策を提唱する私どもの案が議論できた「初めての場」ではなかったかと感じました。しかしながら、対論の際、初めて両論が同じテーブルで討議されたことを重視せず、再検討する姿勢も全くみせようとせずに「流域委員会で議論をつくした」という姿勢を土木部長はとられました。1997年改正された「新河川法」の「住民対話」「環境重視」の趣旨を踏まえた上で「21世紀の治水方策」の議論を尽くそうという姿勢がみじんも感じられなかったことは、大変残念です。
 
 しかし、斉藤知事におかれましては、「子供夢未来宣言」を掲げられ、行政改革を進められる志のある改革知事の一人であると確信しておりますし、また選挙の際には「“脱”ダム宣言」をおこなわれた田中康夫 長野県知事に応援を要請された事も存じております。
 そこで、知事のご判断の前に、「清流環境」を活かし、安全安心とともに赤倉温泉地域の活性化を考慮した“真の治水策”を実現していただけるよう、私どもと知事の「対談」をお願いいたします。 
 
今の時代、また、将来にとってふさわしい「真の治水策」、「正しい公共事業」を実現するためにも何とぞご考慮お願いしたく存じます。
 このお願いペーパーの提出を、「最上小国川の“真の治水”を考える会」の皆さんに委任致しますので、よろしくご検討ください。
 
なお、作家・天野礼子の「日本の名河川を歩く」には、小国川が日本第二位の天然河川として紹介され、「だめダムが水害をつくる!?」のP118には、貴県の担当者の「なぜ小国川にダムが必要と考えるか」が公共事業問題の病理として取り上げられています。また、今年の8月13日、小国川の清流がNHK「ふるさと自然紀行」で取り上げられておりました。ご参照のためにお届けいたしますので、お目通しいただけると幸いです。
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この文書を県知事室秘書宛とどけました。





小国川ダム問題 県との交渉


11月9日、今本博健京都大学名誉教授、アウトドアライター天野礼子さんとともに、県 土木部長と折衝。報道は以下。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー朝日新聞
県と反対派 平行線
最上小国川 「穴あきダム」討論

最上小国川ダム建設問題で、反対派の「最上・小国川の真の治水を考える会」(押切喜作代表)と専門家らが8日、県と意見交換した。県が計画する「穴あきダム」案と、反対派のダムを造らない代替案について話し合ったが、議論は平行線。県は、穴あきダムによる河川計画を11月中に策定する方針だ。
 県は反対派が示した代替案のデメリットとして拡幅は多くの建物の移転が必要▽放置された人工林を伐採して森林の保水力を高めても大雨による大洪水は防げない▽建物の耐水化は費用負担が大きいことなどを挙げた。
 反対派の今本博健・京都大学名誉教授(河川工学)は「県は川底の掘削は湯脈を傷つけるというが、現在の技術なら可能」と主張。池田隆・土木部長は「硬い岩盤があり、影響がないように工事するのは不可能だ」と反論。
 また、ダムによる温泉街への影響も議論。県が「ダムは景観資源として地元の活性化につながる」と主張すると、反対派は「ダムがある温泉に誰が行くか」と一蹴。県は「安全安心な温泉街はつくれる」と議論はかみ合わなかった。
 アウトドアライターの天野礼子さんは「反対派と賛成派のそれぞれの立場の専門家が一緒に話し合うべきだ」と訴えた。
 意見交換後、池田土木部長は「計画を変更する必要はないと思う。十分議論した」と話した。反対派は「改革派の斉藤弘知事は無駄なものはいらないと考える人。(脱ダム宣言した)長野県の田中康夫前知事とも振興がある知事ならわかるはず」として、近く知事にも面会を求める。


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山形新聞 最上小国川 穴あきダム案
県と反対派 平行線
県と反対派、平行線−最上小国川穴あきダム案
県と反対派、平行線−最上小国川穴あきダム案
に対してダムに代わる案の検討を求めた今本博健京都大名誉教授(左から3人目)ら=県庁
 最上小国川で計画されている穴あきダム案をめぐり、見直しを求める市民団体「最上小国川の真の治水を考える会」と県との意見交換が8日、県庁で行われた。考える会側は、穴あきダム案で意見集約した最上川水系流域委員会を「十分に検討されていない」と批判し、再検討を求めたが、県は議論は十分と主張。議論は平行線をたどった。

 考える会側から、淀川水系流域委員長の今本博健京都大名誉教授(河川工学)らが出席。既に提出している代替案をもとに河川拡幅や掘削、遊水地指定、間伐などを併用したダムによらない案を提唱したが、湯脈の調査技術、堆積(たいせき)土砂量のシミュレーションなど多くの点で見解の違いが目立った。

 再検討を求める考える会に対し、池田隆土木部長は「議論は尽くされており、これ以上の検討は必要ない」と回答した。

 今本名誉教授は「聞く耳を持たない行政の傲慢(ごうまん)さを感じた。自治体は補助金欲しさにダムを造るが、ダムが出来て栄えたまちはない」と指摘。県が今月中にも新たな河川整備計画を策定する方針のため、考える会は近く、斎藤弘知事に直接訴える場の設定を求めていくという。

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毎日新聞
最上小国川ダム問題
反対の市民団体との会合で県
最上小国川ダムの建設に反対する市民グループ(最上・小国川の真の治水を考える会」(押切喜作代表)と県は8日、県庁でダム建設の意見交換会をした。
 県側は、10月28日に同会が提出した「穴開きダムによらない最上小国川の真の治水案」に回答した。河川掘削や拡幅▽赤倉温泉下流域の遊水池指定▽上流部の森林の伐採ーーーなどの提案に対し、いずれも否定的な見解を示した。
 同会の今本博健京都大名誉教授は「穴あきダムの効果は温泉地区だけで、その下流域には効果はない。街づくりにも利用できる治水を検討すべきだ」と主著王した。
県側は5年、10年に1回の洪水でも被害が出る地域なので建設は急ぐ必要があり、穴あきダムは50年に1度の洪水でも耐えられるものになる」と反論し、議論は互いの立場に歩み寄りなく終わった
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土木部長は「議論をつくされた」などと主張していたが、
今般。ようやく今の時代の治水策にふさわしい本当の議論ができた感がある。

流域小委員会を4回の予定を6回やったというが、10人の構成メンバー中2回まで推進派9対、ダムに依らない治水1(漁協)、3回からはダム容認、推進派10だけでおこなわれてきた「委員会」。
最上流域委員会は「小委員会の議論」を再検討することなく承認するという「真摯な議論が感じられない」委員会だった。
   部長は「風間先生が河川工学の専門家とはいっている。はいっている」と大きな声で主張したが、「ダム容認、推進の専門家」だけの構成では議論にならない。
また、最終の結論をだす流域委員会にその「専門家」は参加しなかった。

今本先生は「私だったら、この川の魅力、流域の魅力をそこなわないように慎重に考えつくす。議事録をみていて「なぜ、こうしたことが話題にならないのだろう」と疑問に思う箇所がたくさんあった。と指摘されている。

 ●今、タウンミーティングの「やらせ」問題が話題になっているが、この県でおこなわれている「流域委員会」は委員構成、から、「ダム推進」のアリバイづくりのためにおこなわれたものだととえられても仕方ない。

こんなことで、山形県内、唯一ダムのない天然河川のいのちが失われてはたまらない。

「小国川は山形が誇る天然資源」

真の治水をめぐる議論を求む。
 

最上小国川ダム 代替案の記事


昨日、県土木部宛に提出した代替案の記事が掲載されている。
以下転載ーーーーーーーーーーーーーーーー

山形新聞 11月1日
穴あきダム反対の市民団体
県に代替案を提出

最上町赤倉地区の最上小国川の河川整備で、最上川水系流域委員会(委員長・高野公男東北芸術工科大教授)が合意した穴あきダム案に反対する市民団体「最上小国川の真の治水を考える会」は31日、県土木部に対し、代替案の治水案を提出した。代替案は1)河川掘削や拡張で流下能力を拡大する2)温泉下流域を遊水池に指定し、洪水被害が生じた際には補償する。3)上流部の放置林を間伐して保水能力を高めるーーなどを挙げ、河川対応と流域対応の併用による治水を主張している。
 代替案を提出した草島進一事務局長(鶴岡市議)は、流域委のメンバー構成や検討経過を批判した上で「流域住民の真実の声を受け止め、新河川法がうたう住民参加型の議論を進めるべきだ」と訴えた。考える会の提案で、8日に協議の場をもつことを申し合わせた。
 流域委員会は11月2日に「穴あきダムが妥当」とする意見書を県に提出する。県は「十分な議論は尽くされている」とし、月内にも河川整備計画の「変更手続きを行う方針を変えていない。

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朝日新聞 11月1日

穴あきダム反対の市民団体
反対派が代替案
8日に県と協議 河川掘削や拡幅など
治水を目的に県が建設を計画している最上小国川ダム(最上町)について、反対派の「最上・小国川の真の治水を考える会」(押切喜作会長)は31日、県の有識者会議が示した「穴開きダム」案に対し、「ダム以外の治水策」を代替案として県に提出した。8日に県の担当部局と協議する。反対派は先月28日、河川工学の専門家らを招いて、新庄市でシンポジウムを開催。その際、河川の拡幅や、放置された人工林を間伐して森林の保水力を高めることなどを組み合わせた、複合的な治水策を代替案としてまとめる方針を確認していた。
 この日、提出した代替案には、流域の河川掘削や拡幅▽下流の遊水池指定▽洪水被害の補償▽上流の人工林の間伐▽建物の耐水化などが盛り込まれた。
 どうかいの草島進一事務局長は「県の有識者会議の議論で欠けていたことをまとめた」と話す。この案を元に8日、シンポジウムにも出席した今本博健・京大教授を招き、県に代替案を説明、ダムによる治水策の再考を促す。
 県の有識者会議は先月16日に結論を出した穴あきダム」案を意見書にまとめ、2日に正式に県に提出する。県は、これに沿った形で最上小国川流域の河川整備計画を11月中にも策定する方針を決めている。
 県河川砂防課の加藤令一課長は、反対派に対し「代替案に対してできるだけ早く検討したい」と返答。
 だが、「示された治水策の多くは、有識者会議ですでに話し合ってきた。穴あきダム案がくつがえる可能性はない」と話している。

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毎日新聞 山形版

ダムに代わる治水案提出
最上小国川で市民団体が知事に
最上小国川のダム建設に反対する市民グループ「最上・小国川の真の治水を考える会」押切喜作代表)は31日、「穴あきダム」に代わる治水案を斉藤弘知事宛に提出した。案は、河川掘削や拡幅などで河道の流下能力を拡大▽赤倉温泉下流域の流水地指定▽上流部の森林の間伐ーーなどの治水法を提案している。
 同会の草島進一事務局長が県庁を訪れ、加藤令一県河川砂防課長に手渡した。加藤課長は「内容を検討して回答する」と話した。(佐藤薫)

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毎日新聞 山形版 取材ノートから

ダム
最上町の赤倉温泉地区に計画されている最上小国川ダム建設問題で、流域委員会が「穴開きダムが妥当」と結論づけた。県はこの決定を受けて最終的な計画を策定する。決定に対し、アユ漁などへの影響を懸念する小国川漁協は、訴訟も視野に猛反対している▲10月28日に新庄市民プラザで、穴あきダム建設に反対する市民団体がシンポジウムを開き、菅直人・民主党代表代行や河川工学の専門家、漁協関係者ら約200人が参加した。ダム建設や公共事業についての意見交換があり、パネルディスカッションでは「ダムより先に赤倉温泉の損竿句を優先すべきだ」などの意見もでた。▲市民団体は穴あきダムの代替案として、ダムに頼らない治水策を県に提出した。自然保護か、洪水対策か。地元は県の対応を注視している。(米川康)
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読売新聞 山形版
最上小国川の穴あきダム計画

市民団体が河川改修提言

最上町の赤倉温泉の治水などを目的に、県が同町の最上小国川に建設を計画している穴あきダムについて、市民グループ「最上小国川の真の治水を考える会」は31日、ダム建設によらず、河川改修などによる治水を求める提言を県に提出した。同会は「これまでのダム建設案に至る議論は不十分。最新の技術でダム以外の方法がないのか、検証されていない」と指摘。提言には、穴あきダムの建設に替えて、赤倉温泉付近の河川掘削や拡幅のほか、上流の森林整備で森林の保水能力を高めることなどを盛り込んでいる。この問題で、有識者による「最上小国川水系流域委員会は10月16日、「穴あきダムの建設が妥当」との意見書をまとめることで一致。意見書は2日に斉藤知事に提出される予定で、県は今月中に穴あきダム建設を明記した最上小国川の整備計画を策定、早ければ2007年度から建設に向けた地質調査などに取り組む方針だ。
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県の言い分は、「議論は尽くした」 だが、これはとんでもない話だ。記者会見の席でも話したがこれまでのいきさつの真実の姿はこうだ。
平成3年に、このダム計画がもちあがって、県は予備調査、平成7年に実施計画調査をおこなっている。平成12年には小国川漁協は当時1390名の総意としてダム建設に反対を表明。その後、最上小国川を考える懇談会が平成13年から14年にわたり5回開催されてきた。僕はこの懇談会の2回目から傍聴をしているが、傍聴をしにいって驚いたのは当時31名の委員の内、ダムに依らない治水策を訴える方は沼沢組合長ともう一人ぐらいだったことだ。ほぼ29対2の割合でダム推進派で占められていた。沼沢さんが反論するとたた みかけるように県や委員が反論する。とても議論などといえるシロモノではない会議だった。
その後、「最上川水系流域委員会最上地区小委員会」が今年1月から6回開かれているが、この委員会委員10名中、ダムに依らない治水策を提起している委員は沼沢組合長一人。まさにダム推進もしくは容認派9名vsダムに依らない治水1名 9対1といった不当な構成。
  ダムに依らない治水策については沼沢氏が拡幅、嵩上げなどを提案すると、県は、とにかくそれができない理由と反論を繰り返すだけ。放水路、拡幅、ダム案の三案で検討したなどといっているが、「まだまだ検討の余地はある」と今本教授が指摘しているようにごくごく一部の検討しかなされていないのが現状だ。
  
 我々の会からは以下のような意見書を県に提出している。

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山形県知事様

最上小国川に関わる流域委員会の正当な協議を求める意見書
                                                                               2006年 3月 1日
                                  最上川、最上小国川の真の治水を考える会 事務局長
                                                 環境NGOウォーターワッチネットワーク代表
                                                                                        草島進一 
                              
 去る2月24日、最上川水系流域委員会、最上地区小委員会において、小国川漁業協同組合長、沼沢氏が欠席し、委員の辞任届けを提出されました。事実上、流域委員会と小国川漁協との決裂であります。
 組合長によれば、この度の辞任の理由はこの「流域委員会」が、真の治水論よりも当局の提示する「ダム」案を追認するための委員会としてとらえられるような構成で、一方的に推し進められてきたことであるとのことです。
 この委員会の問題点は、まず、委員の構成です。平成13年当初からおこなわれている「最上小国川ダムを考える懇談会」同様、現在おこなわれている「最上地区小委員会」も、ダムに拠らない治水を正面から訴え続けているのは10名中、小国川漁協長一名のみでありました。また特に問題と考えるのは河川工学、自然生態などの学識者がダム推進、容認の方のみで占められていることであり、河川法改正後、特に隣県である新潟県、長野県などの同様の委員会をはじめ、正当性を保ち、治水の議論をつくそうとしている流域委員会がみられる中、極めて不当な委員会構成であり、協議内容であります。
  特に、県が推進している「穴あきダム」については、今本博健 京都大学名誉教授(河川工学)から、構造上の欠陥や環境への悪影響などの問題点が指摘されております(別途資料)。当該委員会ではこうした議論が全くといっていいほどおこなわれておりません。 全国的に問題が指摘されている穴あきダムやダム事業による環境への影響などの問題について、また治水論について、正しい情報を踏まえ、全国レベルの協議を求め、委員の再構成と正当な協議を強く求めるものです。
 特に、新潟水害の際の文部科学省 洪水調査の委員であられる、新潟大学 大熊孝教授、河川工学の京都大学 今本博健名誉教授、公共事業論の法政大学、五十嵐敬喜教授などの学識者の参画や、公開討論の場を設けることを提案し、強く要望します。
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以上。この意見書には何の回答もおこなわれず、不当な会議はまさにダム推進、容認論者のみという、不当なかたちで進められたのである。
   それから、県が「説明責任を果たした」などといっている論拠としての「公聴会」だが、以下のようなものだった。

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動員されたかと思える町民の多くが「ダム、はやくやってくれ」 との姿勢。
漁協が、穴あきダムといっても河川への影響、ダムでない治水論の浅はかさ。
また、3案のうち、ダム案だと130億と他の2案の160億に比べて小さい見積もりになっているが、たとえば月山ダムの場合もはじめ780億円といっておいて実際
1780億円にもなっている。1000億円も増大している。そうした事はないのか。などの質疑。

私のほうからは、まず、ダムに反対をしている。ダムによらない治水を求めているのは小国川漁協の方々だけではない事を冒頭申し上げ、6回開催された協議会の審議が、ダムによる治水、ダムによらない治水を双方議論するはずなのに、ダム推進派9対漁協1といった不正がおこなわれていたことを指摘。それでもフェアだという回答に、「それじゃ、沼沢氏の他にダムによらない治水論の立場をとる委員はだれか?」との問いに、「沼野さんや、新庄青年会議所の方」と、建設部長。 新庄JCの意見で覚えているのは、「これまでもダムによって環境に影響があったのか」の発言。そして最終日に「私はダムありきといった視点に立っているのではないが」などとわざとらしく一言いっていた事。部長はその最後の日のその一言だけを強調した。

説明の後、「そうは言っても、議事録を全部みたけれど、ダムによらない治水論を提示されていたのは漁協だけだった。協議会は不正、不当なものだった」と僕は付け加えた。

 穴あきダムについての問題については、委員会の風間氏(河川工学)からも指摘されていた。そして、淀川流域委員会で、今本京都大学名誉教授(河川法)が、穴あきダムの問題点、環境への悪影響を指摘していることを提示。穴あきダムの問題についてもこうした公聴会で提示、説明すべきだと加えた。
 また、アユ釣り人口年間2万人ともいえる天然河川のもつ経済効果について、県では調査されたのか。と質問。
 県は「穴あきダムによって、アユが全滅するとは考えていない」などと、本旨を理解して答える姿勢がなかった。

1時半からの公聴会。3時30分まで、あいさつや当局説明。その後の肝心の質疑の時間は1時間足らず。そして県は、今回説明したが、とても説明責任を果た

小国川の真の治水を求めて


昨日のシンポジウム。「小国川の真の治水を求めて」には、200名以上の皆さんにお集まりいただきました。 おいで頂いた皆さん、本当にありがとうございました。

今朝の山形新聞に以下のように記事が掲載されました。
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民主・菅氏ら招き最上小国川の治水や公共事業考えるシンポ
公共事業の在り方などについて意見を交わしたシンポジウム=新庄市民プラザ 最上小国川の治水対策として県が最上町に建設を計画している穴あきダムに反対する市民団体「最上小国川の真の治水を考える会」主催のシンポジウムが28日、新庄市民プラザで開かれた。菅直人民主党代表代行らが公共事業の在り方などについて述べた。

 ダム建設に反対する小国川漁協の関係者など約200人が参加した。最初に今本博健京都大名誉教授と大熊孝新潟大教授、アウトドアライターの天野礼子氏が講演。引き続き天野氏をコーディネーターに、菅代表代行と五十嵐敬喜法政大教授が「本当に必要な公共事業を行うために」と題してパネルディスカッションを行った。

 菅代表代行は「役所は金を使えば使うほど権限が強くなり、『いい物を安く』という考え方はない。国は年間10兆円ほどの無駄遣いをしており、公共事業はその象徴。日本の財政再建のスタートはこの改善しかないと考えている。市民、県民が税金を何に使うべきかしっかり考え、声を出して行動することが大切。そうすれば大きく構造は変わる」と述べた。五十嵐教授は「安倍政権のスローガンは『美しい国へ』。穴あきダムを造るよりも赤倉温泉街の活性化に投資するのが美しい国の姿ではないか。ぜひ政策を転換してほしい」などと語った。

 最後に、河川掘削・拡幅などによる治水法を記した同会と今本名誉教授、大熊、五十嵐両教授、天野氏の連名による代替プラン「最上小国川真の治水案」を公表した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上山形新聞061029朝刊2面

今回、代替えプランとして発表したものは以下。
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「穴あきダム」に依らない
 最上小国川“真の治水”案 06.10.28
今本博健
大熊 孝
五十嵐敬喜
天野礼子
最上・小国川の真の治水を考える会
  
  これまでの「旧来型の治水」は、一定規模以下の洪水を対象とし、河道改修やダムによって洪水を河道に封じ込め、水害を発生させないことを目標にしてきた。
  私たちが21世紀にかなえたい“真の治水”は、「いかなる大洪水があろうとも少なくとも人命に及ぶような壊滅的な被害だけは避けるようにする」もので、しかも、河川環境に重大な影響を生じさせず、数十年に1度の洪水のときばかりでなく日常の生活にも役立つ治水方式である。

具体的には、河川対応と、流域対応による治水法を併用することとする。

1) 本来は河道であるところに建物が建ってしまっている。赤倉温泉地域の一 部を、河川掘削や拡幅、引き堤などで河道の流下能力を拡大させる。
2) 赤倉温泉下流域を「遊水地指定」し、洪水被害が生じたときには、「すべての被害」を補償する。
3)流域上流部の森林の、手入れがなされていない放置人工林等を間伐するなど、森林での保水能力を高める。
4)土地利用の規制・建物の耐水化・道路などの利用方法の2線堤化などによって、氾濫した場合の被害を少なくしていくことを考慮する。

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記者、会場からの質問の中で、田辺省二県議会議員から、これ案を承認する旨のご意見を頂戴したり、様々な質疑がおこなわれた。
  前の方にすわり、この提案に対して質問をして、菅直人氏らの対談の時に私語多数を天野氏に指摘されていた輩たちは、後に国土交通省の方々との事でした。マナーつうものを知らない輩でしたね。

いずれにしてもとても中身の濃いシンポジウムになりました。関係者各位、感謝申し上げます。また、私自身、凡ミスだらけの至らぬ事務局司会進行。大変失礼いたしました。

当日、うまく放映が叶わなかった最上小国川の映像は以下、アップデートしました。どうぞご覧ください。

http://homepage.mac.com/stern8/iMovieTheater21.html

とにかく、昨日のシンポを大きな布石とし、今後の運動に活かしていきましょう。

まだまだ、議論もこれからアクションもこれから、みんなで動き出しましょう。

山形に残る、一本の清流を救おう!   そこから真に美しい国づくりははじまる!




最上小国川ダム反対の請願書を提出


産業建設常任委員会を終えてすぐ、僕は山形県議会へと向かった。
  その日より開催の9月県議会に、1つの請願書を提出するためだ。
  社民党 田辺県議に紹介議員になっていただき提出が叶った。議論は28日。傍聴行きたいけれど、市議会の予算特別委員会と重なっているなあ。

以下ーーーーーーーーーーーーーーーー
件名「最上小国川へのダム建設反対と真の治水を求める」請願

請願の趣旨


最上小国川は、山形県のシンボルである母なる川、最上川に注ぐ支流の中、天然遡上する「松原アユ」で知られる全国屈指の清流であります。
 最上川水系流域委員会最上地区小委員会(大久保博座長)は、平成18年5月23日付にて「最上小国川の治水対策として現制度の下では穴あきダム案に依るほかないと考えられる」との報告を最上川水系流域委員会委員長に提出し、県は、穴あきダムを建設する事業計画を発表しました。
 県は穴あきダム(流水型ダムともいう)は、堤体底部に放流口をもち、平常時は水を貯めないので、魚や土砂の移動が妨げられず、環境への影響は軽微であると説明されています。
 しかし、今年、7月24日、赤倉温泉地域を視察した、今本博健(いまもとひろたけ)京都大学名誉教授 河川工学国土交通省 淀川水系流域委員会委員長は、以下のように指摘しております。 

●穴あきダムは、松原アユをはじめとする自然環境に重大な負の影響が及ぶ恐れがあるうえ、計画規模を超える洪水に襲われると壊滅的な被害が発生する可能性がある。
●平常時の上流からの流れは、暗くて長いトンネル状の放流口を抜け、流れの勢いを弱める減勢工(エンド・シル)に空けられた狭い隙間を通って、下流へと出ていく。隙間での流れは非常に速く、魚の溯上が妨げられる。
● 洪水時の流れは、一時的とはいえ、ダムの上流に貯められるので、土砂堆積が発生します。この土砂は洪水の引き際に水の流れとともに排出されるが、かなりの部分がそのまま残る。(土砂流出の多い最上小国川の場合、総容量630万m3のうち実に24%の150万m3が堆砂容量)また、洪水時の流れは泥水なので、樹木などに泥が付着し、枯れる恐れがあるうえ、その後の降雨で付着した泥が洗い流され、下流は濁流 となる。沈殿していた有機物が徐々に溶出し、水質が悪化する恐れもある。
● 計画規模を超える洪水が発生した場合、洪水はダムを越えて流れるので、下流での洪水流量が急激に増え、逃げ遅れなどにより被害を激甚化する恐れがある。
●穴あきダムは中小洪水をほとんど調節しないので、自然環境にとって重要なダイナミズムは確保されるが、別の支川の流域に降雨が集中して下流が危険状態となっても、それを緩和することができない。
●穴あきダム完工後の湛水試験では、数か月という長期間にわたって水を貯めますので、水没した動植物が死に絶える恐れがある。周辺の景観が劇的に改変されることはいうまでもない。
●赤倉温泉地域の河道掘削は温泉の湯脈への影響の懸念により不可能とされてきたが、現代の工法では、湯脈に影響することなく河川を掘削することは十分に可能であり、まず河床掘削と拡幅によって河道の流下能力を増大することを優先的に実施すべきである。このまちの将来のためにも、この川の魅力を殺してはならない。河道改修により、治水上の住民の安全を果たすとともに、将来にわたる発展を考えた、美しい清流に面した温泉街としての景観を実現することが重要である。
●河川環境を一変させるダムは避けるべきで、ダムの他にやれる治水策はまだまだたくさんある。最上小委員会の議論は河道改修案など、ダム以外の治水策が全く検討不足であり、県も調査、説明不足である。

 以上、指摘のように、現在の治水計画は基本高水を河道とダムに配分するようにしており、超過洪水に対する配慮がなされていません。洪水は自然現象ですので、 超過洪水が発生する可能性はつねにあります。よっていかなる大洪水に襲われようと、少なくとも壊滅的な被害を避けるようにすべきです。
 また、「これからの治水は、まちを安全にするだけでなく、まちを活性化すべき」です。それが“真の治水”であります。
 最上小国川ダムは一定の治水の効果はあっても、赤倉温泉のまちの活性化にはつながりません。したがって、まず河床掘削と拡幅によって河道の流下能力を増大することを優先的に実施すべきです。河道内の建物は再配置し、清流に向き合った温泉街をつくることで、まちが活性化します。赤倉温泉の住民は、東北芸術工科大学とともに96年に「美しい赤倉温泉街」景観づくり事業として取り組み、報告書を作成していましたが、ダム事業によってこの構想が無になろうとしています。

また、県は、流域委員会などの説明の中で河道改修であれば全体工事費が161億円かかり、穴あきダムであれば130億円で済むなどと説明していますが、河道改修にかかるコスト根拠の詳細は提示されておりません。また、ダム工事は、これまでの事業実態を考慮すれば当初提示された予算の2倍、3倍に膨れ上がっているのが実態であり、このコスト比較は判断根拠となり得ません。                                                                                                                                また、多くのダム事業では建設費の8割以上が中央のゼネコン(大手建設業者)に行き、地元業者が入る余地は、ほとんどないというのが実態です。河川改修などの治水対策や景観整備であれば、地元業者の仕事になり、環境も保全され、将来にわたる資産になります。

 最上小国川は、山形県で最も天然鮎が溯上する清流であり全国からアユ釣り客が年間約3万人以上、訪れています。先日清流で知られる、高知、四万十川から来た鮎釣り師が「この川は四万十川よりもスゴい」と感激していきました。ダム開発などによって生き生きとした清流が次々と失われている今、小国川の清流の環境は、子供たちの生きる力を育む自然の宝物です。この清流こそ、将来にわたる我が県民の唯一無二の観光資源であります。
 
 最上川を県のシンボル、母なる河とし、また、子供未来宣言を発展ビジョンとして掲げる県として、ダム建設によって、県のシンボルでありまた次の世代に伝えるべき、最上川流域の環境を破壊することは許せません。

 全国に誇る清流とともに暮らす営みこそ、山形県が次世代に

国への概算要求


最上小国川の件、山形新聞30日に以下のような記事があった。
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国交省の07年度予算概算要求

国土交通省の東北地方整備局と北陸地方整備局は29日、2007年度予算の概算要求を発表した。本件分では豊北中央自動車道に、、、(略)小国町の横川ダムと米沢市の綱木川ダムの完成が盛り込まれた。また新規として、県が最上町赤倉温泉に計画している最上小国川ダムが採択された。ーーー

とあった。流域委員会は、事実上「手続き」にしかすぎないのか。といった姿勢が明確だ。

最上川流域委員会 


今、山形市 ホテルメトロポリタン3Fでおこなわれた最上川流域委員会からもどってきたところ。
ふう。
まず、会議がはじまる1時25分ごろに国土交通省担当者と県担当者に、今回の委員会についての公開質問状を提出する。

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今回の最上川流域委員会について以下、質問致します。

可及的速やかにご回答いただきますようお願い申し上げます。


1) 記者会見から2日後。マスコミ報道の次の日にこうした会議を設定されてもほとんどの県民が傍聴などの参加ができません。県民の川、最上川の流域委員会という重要性をふまえれば、県民参加ができる委員会の設定が望ましいと考えます。なぜこのような広報の仕方をし、流域委員会を開催されたのですか

2) 流域委員会構成メンバーの選定理由をそれぞれお知らせください。
3) 淀川流域委員会などではおこなわれている傍聴者の発言を禁じているのはなぜですか
4) この議論についての資料、議事録、などについての情報公開の手法をお知らせください。いつ、どのような手法で県民に知らされるのですか。

以上。

流域委員会。特に最上小国川の問題について、大久保 山形大学教授は、最上小委員会の報告をおこない、県はあいかわらずの説明。そして公聴会や寄せられた意見の説明を読み上げながらおこなう。また、昨日の夕刻にようやく会で提示する旨を了解した「意見書」については、読み上げず、一言触れただけの対応。

委員会の構成は次のとおり。

青木孝弘 最上川リバーツーリズムネットワーク 事務局長
阿部康子 水と暮らしを考える下水道の会 会長
     山形短期大学総合文化学科教授
池田勝良 山形県土地改良事業団体連合会 会長
大久保 博 山形大学 農学部 教授
大沢八州男 日本野鳥の会山形県支部 副支部長
風間 聡  東北大学大学院 助教授
佐藤五郎 米沢中央高等学校 教頭
柴田洋雄 山形大学 理事 副学長
高野 公男 東北芸術工科大学 教授
東 英生 山形の野生動物を考える会 代表
本間義一郎 山形県内水面漁業共同組合連合会 代表理事会長
水戸部 知巳 (財)山形県企業振興公社 プロジェクトマネージャー
水戸部 浩子 をんな川会議 代表幹事

ちらほらとご存知の方もいらっしゃるでしょう。

委員会の意見としては、野鳥の会の大沢氏が、穴あきダムの環境への影響について真っ正面から問いかけるところからはじまった。県は、「影響は少ないと思われる」などと主張し続けたが、様々な環境への悪影響がある事が表沙汰になった。
 野生動物を考える会 代表の東氏は、ダムを容認し、野生動物に影響のないように環境整備をなどと主張した。
内水面漁協の代表理事、本間氏は、沼沢組合長と、流域小委員会とで交流や意見交換などがあるかなどと再々にわたり質問。漁協組合連合会の中では、最上小国川ダムの件はしっかりと議論されていないというような発言をされた。
水戸部知巳氏は、再三にわたり、「水などのダムではなく防災のためのダム。早く結論をなどと主張。とにかく早くダムをつくれという主張であった。
水戸部浩子氏は、「ダムに反対しているのは外部の人たちだけ。地元の人の意向を尊重するべき」などと主張した。この方は、庄内日報紙に、「月山ダム物語」というのを連載し、国土交通省の予算で「月山ダム物語」を出版した庄内日報の論説委員でもある。
   公共事業を論ずる委員会などで、結構こういった主張をされる方がいる。「地元の意向」というが、この人がいう地元とはどこなのだろう? 税金を使って豪華なパンフを使って誘導する国、県の意向を鵜呑みにしている地元の人たちではないか。
 結局自分の考えを放棄して「地元の意向を尊重する」などと言っているにすぎない。全くの無責任論である。そして、本当の現場が見えていない。
「月山ダム物語」も、水源の切り替えに悩む鶴岡市民の苦悩などはそっちのけで、国土交通省のダム工事をおこなう人々のみの主張で書いた、書籍だった。
また、「ダムに反対するのはきまって外部の人たちだけ」などといかにも迷惑そうに主張したが、全国的にも有数の清流である山形の川の治水論について、全国的なレベルで、恥ずかしくない最新のデータ、技術、知見にもとずいて、「真の治水策」を議論をすることに、何の問題があるのか。そして、地元に、こうした本質的な議論を通じて、全国的に評判の悪いダムではない、町の持続可能な振興も考えた治水策を求めている方がどれだけいらっしゃるか、こうしたいつも「指定席」に座っているような方々にはわからないだろう。

   とにかく、こういった人の主張が、最も本質的な議論を遠ざけ、議論を瑣末なものにするものと感じ、非常に頭にきた。もういいかげんにしてもらいたい。

   それと、河川工学者大久保、風間 両氏であるが、「小委員会で徹底して議論してきたので、後戻りするような議論はこの場にふさわしくない」などの主張をした。また、「様々な環境への問題については、十分にモニタリングするし、最終的なダムの設計には、この委員会とは別の専門委員会をもうけて設計するし、そこで十分に配慮するから、この場で、もう一度環境の影響について議論することは、やめたい。 風間氏は、「大久保先生は、とにかく今回まとめに苦労してきた。」などと擁護し、とにかくダムに依らない治水について、再度議論される事を拒むかのような主張を続けた。県は、河道改修、放水路、ダム案とで徹底協議した結果、穴あきダムというものになっていることを主張した。

   今回、委員長に東北芸術工科大学 教授の高野公男氏、副委員長に米沢中央高校教頭の佐藤五郎氏が選任された。高野氏は、最後に「参考資料」として添付された、8月11日の意見書について、「一定の見識のある方から提出された意見書である。」としてこの意見書に書かれた諸問題について。また「真の治水」について議論することはやぶさかではない旨の話をした。それに対し、大久保氏は、「真の治水について議論することはこの会にふさわしいと思うが、具体論をもう一度やることは疑問」と、最上小国川の真の治水策を検討するのは疑問 のような姿勢をとった。

   第一回流域員会では、結論はでなかった。傍聴席にいたダム推進派の住民とおぼしき方々は残念そうに立ち去った。県は、11月ぐらいにはまとめたいなどと当初言っていたが、水戸部氏や大久保

県に意見書提出。


最上小国川のダム問題。

7月24日のフォーラムでの今本博建 京都大学名誉教授の発言を受け、蒼々たる研究者の皆さんが意見書を作成してくださり、アウトドアライター天野礼子氏がわざわざ来山し、意見書を提出。

以下のもの。

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平成18年8月11日

意見書

山形県知事    斉藤 弘  殿
山形県土木部長  池田 隆  殿

京都大学名誉教授  今本 博健
新潟大学教授    大熊 孝
法政大学教授    五十嵐敬喜
アウトドアライター 天野 礼子


 私たちは、この度、ダムのない天然アユ溯上河川・小国川を愛する 人々の要請で小国川を訪問し、貴職らが進められていますダム案よりも、ダムに頼らない“真の治水”を地元住民らと考えるべきであるという想いに達しています。
 しかしながら、最上川水系流域委員会最上地区小委員会(大久保博座長)は、平成18年5月23日付にて「最上小国川の治水対策として現制度の下では穴あきダム案に依るほかないと考えられる」との報告を最上川水系流域委員会委員長に提出されています。
 最上小国川は、「松原アユ」で知られます全国屈指の清流であり、ダムの計画地点下流には赤倉温泉と瀬見温泉が存在しています。もし仮に穴あきダムが建設されたとしますと、松原アユをはじめとする自然環境に重大な負の影響が及ぶ恐れがあるうえ、計画規模を超える洪水に襲われますと壊滅的な被害が発生する可能性があります。したがいまして、穴あきダム以外の“真の治水対策”を採用すべきであると確信いたしまして、本意見書を提出いたします。

 以下に、穴あきダムの問題点と真の治水対策を説明いたします。

 穴あきダム(流水型ダムともいう)は、堤体底部に放流口をもち、平常時は水を貯めないので、魚や土砂の移動が妨げられず、環境への影響は軽微であると説明されています。しかし、穴あきダムにはつぎのような問題があります。
 平常時の上流からの流れは、暗くて長いトンネル状の放流口を抜け、流れの勢いを弱める減勢工(エンド・シル)に空けられた狭い隙間を通って、下流へと出ていきます。隙間での流れは非常に速く、魚の溯上が妨げられます。
 洪水時の流れは、一時的とはいえ、ダムの上流に貯められますので、土砂の堆積が発生します。この土砂は洪水の引き際に水の流れとともに排出されますが、かなりの部分がそのまま残ります。このため穴あきダムにも堆砂容量が設定されるのです。土砂流出の多い最上小国川の場合、総容量630万m3のうち実に24%の150万m3が堆砂容量です。
 また、洪水時の流れは泥水ですので、樹木などに泥が付着し、枯れる恐れがあるうえ、その後の降雨で付着した泥が洗い流され、下流は濁流 となります。沈殿していた有機物が徐々に溶出し、水質が悪化する恐れもあります。
 計画規模を超える洪水が発生した場合、洪水はダムを越えて流れますので、下流での洪水流量が急激に増え、逃げ遅れなどにより被害を激甚化する恐れがあります。
 さらに、穴あきダムは中小洪水をほとんど調節しませんので、自然環境にとって重要なダイナミズムは確保されますが、別の支川の流域に降雨が集中して下流が危険状態となっても、それを緩和することができません。
 穴あきダム完工後の湛水試験では、数か月という長期間にわたって水を貯めますので、水没した動植物が死に絶える恐れがあります。
 周辺の景観が劇的に改変されることはいうまでもありません。

このように、穴あきダムは、洪水調節機能に欠陥があるうえ、自然環境 に及ぼす影響を無視できません。

 現在の治水計画は基本高水を河道とダムに配分するようにしており、超過洪水に対する配慮がなされていません。洪水は自然現象ですので、 超過洪水が発生する可能性はつねにあります。したがいまして、いかなる大洪水に襲われようと、少なくとも壊滅的な被害を避けるようにすべきです。
 また、「これからの治水は、まちを安全にするだけでなく、まちを活性化するようにすべき」です。それが“真の治水”です。
 最上小国川ダムは赤倉温泉の治水には一定の効果がありますが、まちの活性化にはつながりません。したがいまして、まず河床掘削と拡幅によって河道の流下能力を増大することを優先的に実施すべきです。河道内の建物は再配置し、清流に向き合った温泉街をつくることで、まちが活性化します。矢板やソイルセメントを用いた止水壁の設置により、河床掘削の湯脈への影響を防止することができます。河道の流下能力を超える洪水が発生した場合は、早期避難によって人命の損傷を防ぎ、高床式などの建物耐水化によって物的被害の軽減を図るべきです。

 山形県におかれましては、一時しのぎの「穴あきダム」を採用することなく、“真の治水”を実施して、地域に永続的な繁栄がもたらされるように、可及的速やかに勇気ある英断を下されますよう要望いたします。

以上
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ダムよりも真の治水。そして持続可能な赤倉温泉のまちづくりが提案されている。実に秀逸な意見書だ。

最上川流域委員会で無視されないようにワッチしていかねばならない。



つじ立ち。


26日、八文字屋前つちだちからスタート

●治水策として、ダム事業が見直されていること。
新潟豪雨災害では、ダムが2つある五十嵐川で堤防決壊し、死者がでる水害になってしまったこと。
●委員会審議会が県、市とも形骸化していること。
●超不透明行政がおこなわれていること

などを訴える。その後事務所で缶詰状態。

今回の今本先生のインタビューについては、
http://www.ybc.co.jp/
で動画でみれるようだ。
残念ながら、MACでは見れなかった。うーむ。

天野さんは、四国、四万十川、仁淀川がホームゲレンデという水産試験場のMさんとともにやってきて、25日、26日と小国川をつり歩いている。なんとMさんは、一日で84匹も釣り上げた。Mさんいわく、「四国の川よりもこの川のほうが全然いい。この鮎の数は圧巻だ。岩もきれいだし、最高。移りすむひとがいるのがよくわかる」とコメントしてくれた。

空港のビジネスルームより。午後は鶴岡市内。