持続可能な鶴岡ブログ

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カテゴリー: ダム問題

ダム案件。7月3日知事宛の意見書を提出しました。


今般6月議会で議論した小国川ダム案件。
改めて意見書を提出しました。
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2013年7月3日

山形県知事 吉村美栄子 様

意見書

小国川漁協の同意も得られないままのダム建設の強行を止めてください。
「ダムのない清流・最上小国川」を守り、ダムに依らない治水を叶えることこそ、
「真の漁業振興と流域経済の再生の道」であります。

山形県議会議員
草島進一

7月1日より山形県内のアユ釣りが解禁され、小国川周辺も賑やかになりました。
「ダムのない最上小国川の清流」は、山形県民の宝であります。
 もとより小国川漁協は、地元産の良質な種苗を放流し、全国的な友アユ釣り大会を誘致し、年間3万人もの釣り人が集う川にし、漁獲高1億2千万円(平成24年推計値)と、県内トップを誇る、全国的にも評価されている優秀な漁協です。今年もダイワ、シマノ、等の大手釣り具メーカー等5社が主催する友アユ釣り大会がおこなわれます。

 現在、県は漁協に対して漁業振興や治水の説明をしている旨を強調していますが、小国川漁協(1095人)はダム建設反対を貫いたままであり、ダム建設に対して、一切同意しておりません。財産権である漁業権をもつ漁業が反対している限り、ダム本体の着工は事実上不可能であります。
 しかし、「漁協から同意が得られるよう、努力する」とだけ説明をし、県はダム周辺工事に着手し、強行している状況です。木々が伐採され、取り付け道路などが切り拓かれ、今の時点で既に大規模な自然の破壊、改変がおこなわれています。今まさに、なし崩し的に周辺工事が進められている。これは「対話重視の吉村県政」として全くふさわしくありません。

 先般2040年の人口推計が発表されましたが、最上町舟形町流域人口推計で、2010年の16,011人から2040年には9,389人へと人口が減ると推測されている未来を踏まえ、流域町において如何に持続可能な発展を叶えるかという視点が最も大切と考えます。

東京海洋大名誉教授 水口憲哉先生は、「通常のダムでも穴あきダムでも建設時に河床を掘り返すなどで川は何年にもわたって大きく破壊される。」ダム建設を認めた段階で、小国川沿いで暮らす人々や全国から訪れる釣り人は、現在まで少なくとも115年以上維持されてきた「きれいな水と香りのよい苔で育まれた東北一美味しい松原鮎」という文化を未来永劫失ってしまう。と明治27年発行の資料をひもとき指摘しています。
ダムを建設すれば、「ダムのない清流」という小国川の大きな魅力はなくなります。それは流水型であろうと、そこを訪れる釣り人や観光客の思いは一緒です。環境影響についても、これまで建設された流水型ダムの2例(島根県 益田川ダム、石川県 辰巳ダム)上流には大型のダムがあり、小国川のような清流環境に及ぼす環境影響については全く実例がなく、科学的に「環境影響」の検証が甚だ不十分であります。「最上小国川流域環境保全協議会」で議論されている内容は河川の環境影響のごく一部のみであり、これをもって全体の影響を推し量るには無理があります。
 ダム建設をおこなえば、年3万人の釣り人、美味な「松原アユ」を食べに来る観光客など、この川にしかない魅力を求めて全国から訪れる観光交流人口に悪影響を与えると容易に考えられます。  近畿大学の試算は、小国川の自然資本についてはアユ釣りだけの経済効果だけとっても年21.8億円の経済効果、ダムなどによる環境悪化で年10億円の損失とされておりました。

小国川流域、赤倉温泉の近年の観光客数は、平成5年の20万人から減り続け、最近は6万人台となり、先般中心部の老舗旅館が自己破産し、それを引き継いだ企業も撤退を表明しました。
ダム開発で安全が保たれることによって果たして観光客は増えるのでしょうか?私は、今般のダム建設により、この地域本来の魅力を失ってしまい、更に赤倉温泉や瀨見温泉、そして観光客への悪影響を懸念するものです。
 今、ダム建設の一過性の経済よりも、その地域に根ざして毎年生産できる自然資本に立つ経済こそ、中長期的にみて優先されなければならない時代と考えます。

 さらに今年、県魚サクラマスがレッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されました。いくら放流をおこなっても減少の一途をたどっているとの報告があります。これはこれまで行われてきた河川へのダム建設や河川改修が原因していることが、水産学者や山形県水産試験場関係者より指摘されています。小国川は県内 サクラマスやヤマメにとっても産卵床として重要な河川です。小国川ダム建設はサクラマスの絶滅に拍車をかける恐れがあります。サクラマス保護の観点からも小国川のダム開発はやめるべきであります。

また、住民の生命を守る治水の考え方についても、私達は、3.11の際、「想定外」として犠牲者をだした田老町の防潮堤の教訓や、近年の上流に2つもダムがあっても治水が叶わず犠牲をだした2004年の新潟水害、和歌山水害を教訓にするならば、効果が限定的な流水型ダムよりも、河道改修、河川整備で「いつ、どのような規模でおこるかわからない洪水に対して住民の命を守る」というダムに依らない「流域治水対策」に転換すべきと考えます。
今般指摘した「ダムによる受益地域に建設を認めた建築物についてですが、県の姿勢には、地先の安全を可能な限り確保する姿勢や現在滋賀県や兵庫県で進められている「流域治水」の観点の姿勢が全くない事を強く感じました。


これらを踏まえた上、今後の流域地域の生命と財産を守り、山形県の「持続可能な発展」を叶えるためにも、ダム建設については私は断固反対であり、見直しを図るべきと考えます。
 
先ずは、これまで地域に貢献し続けてきた小国川漁協の同意も得ないままのダム建設の強行を止めてください。
 そして、治水方策を「ダム」から赤倉温泉の再生を伴う「流域治水」に転換し全国的に希少価値の高い「ダムのない清流小国川」の特性を活かした地域振興、漁業振興に努めて頂きたく、ご提言申し上げます。

以上。

FUTURE EARTH ヒューチャーアースに応えてー山形の未来をつくろうーみどりの日2013にて


みどりの日

先日、大変興味深いシンポジウムに参加することができました。アジア保全生態学gcoe、生態適応gcoe、日本生態学会、環境経済政策学会、環境社会学会、環境評価、それぞれのリーダー、学会長がそろった改めて凄いシンポジウム「自然共生社会を拓くプロジェクトデザイン。環境省、文科省、JST、100名超の学者、企業の方々が参加していました。
 私自身は、ダム問題をこの20年ほど取り組んできて、何で未だに解決に至らないのか。未だにダムをつくり続ける常識が生態系を保全することよりも優先されてしまっているこの状況をなんとか変えないとと感じつつ、行動をおこしてきました。そのご縁でつながったのが東北大のGCOE生態適応というプログラムでした。生態学を学んでいる大学院生を通じて、社会的な取り組みについて企業やNGOなど、領域を超えて、持続可能な社会づくりについて学びあうというものでした。スウェーデンのNGO ナチュラルステップの高見元代表などとの関わりのある竹本さんがリーダーとなって、この5年間にわたり学び合いを続けてきました。私もコンソーシアムの一員として、また、中静先生をはじめ、東北大を中心とする生態学者の先生方に学ぶ機会を得、私自身も稚拙ながらダム問題の講義としてこれまでの体験をお話するなどをおこなって参りました。そのご縁で昨年は環境経済政策学会に参加しました。今般のシンポジウムは、その環境経済学と保全生態学、適応、など生態学をご専門にされている先生方を中心に、理学的な領域と社会学的な領域とが集う極めて意義深いものでした。

その中で中心の先生が述べ、そして文部科学省の担当官が示したものがFUTURE EARTHでした。

このシンポジウムの趣旨にも以下のように述べられています

このシンポジウムは、Future Earthという新たな国際プログラムの推進にも貢献することを意図して企画された。Future Earthは、DIVERSITAS(生物多様性国際研究プログラム)、IGBP、IHDP, WCRPという4つの地球観測プログラムを統合し、人文社会科学を加えた統域的研究(trans-disciplinary research)を推進することによって、人類が直面する持続可能性に関わる課題の解決をめざす、10年間の科学プログラムである。このプログラムがめざす統域的研究とは、単なる学際的研究(multi-disciplinary research)ではなく、多分野の知識を統合し、さらに新たな科学の創生をはかるものである。しかし、Future Earthがめざす統域的研究は、現状では概念にとどまっており、具体性に乏しい。
 このシンポジウムでは、生物多様性・生態系を題材として、Future Earthがめざす統域的研究の具体化をはかる。生物多様性・生態系分野では、自然再生・生態系管理など地域の具体的諸問題をめぐって、文理協働が進んでおり、統域的研究の具体化をはかる準備が整ってきた。この状況を背景に、2012年度には3回の研究会を持ち、自然科学者と社会科学者の対話を積み上げてきた。今回のシンポジウムでは、これらの議論の成果をふまえて、文理協働による研究プロジェクトの提案を具体的に検討し、統域的研究の推進計画を立案したい。

シンポジウムで感じたのは、現場重視ということでありました。「現場の問題をなんとか解決したい」と思っている僕みたいなものにとっては大変ありがたいことであり、一言発言もさせていただきましたが、参画されている学会長さんはどの方も現場をお持ちの先生方であり、これ以上の日本の自然生態系を失う前に、こうした先生方の本意を受け止めた政治を実現せねばならないと思った次第です。

ヒューチャーアースについては、以下、日本学術会議の大西会長も新年のメッセージで以下のように述べられています。以下転載。
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日本学術会議
 大西隆会長からの新年のメッセージ
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新年明けましておめでとうございます。

 昨年末の総選挙で、安倍晋三内閣が誕生し、新たな気分で新年を迎えた方も多いこ
とと思います。新政権の下で、科学技術政策がさらに拡充され、科学技術立国が推進
されることを期待します。

 Future Earth(地球の未来)という国際的な研究プログラムが、日本学術会議も参
加するICSU(国際科学会議)や、ISSC(国際社会科学評議会)、国連組織等によって
準備されています。まだ全貌が見えていないのですが、地球環境問題で警鐘を鳴らし
てきた大気、海洋、陸地や地殻の地球観測に加えて、人間社会の政治、経済、文化等
も観察対象に取り込み、人間の活動と地球の変化を統合的に考察すること。地域間、
地域内等、様々なレベルでの公平性を重視しつつ世界の発展を追求すること。これら
を踏まえて、持続可能な未来を築くために、様々な主体による適切なガバナンスを構
築すること。という包括的で学際的なテーマが設定されていて、文明史的な観点から
現代工業社会を見つめ直し、新たな文明への手掛かりを掴もうという意欲的な試みで
す。日本学術会議も、Future Earthの国際的な取り組みに積極的に参加していきた
いと考えています。その理由は以下です。

 第一に、2011年3月11日の大震災によって、科学の探究とその応用が本当に人の生命
や幸福を重視して行われてきたのかに大きな疑問が投げかけられたことです。科学的
探究を中途半端なところで切り上げていないか、安全性に未だ不安があるにもかかわ
らず安易に応用されていないか、科学の応用を中止したり大きく方向転換したりする
勇気を持たなかったのではないか、という疑問に、特に日本の科学者は真剣に向き合
う責任があります。Future Earthは、人と地球の相互関係という大きな枠組みで、人
の営みを再考する大きなきっかけになります。

 第二に、日本が急速な人口減少社会に向かうことも、根本に立ち返って文明の在り
方を考える動機を与えます。総じて幸福で、不安の少ない人生を送る人が相対的に多
いと見られる日本社会では、子孫を残して同じような生活を送らせたいと思う人が多
くてもよさそうですが、現実は人口ゼロに向かって着実に進んでいるともいえます。
何がそうさせているのかを深く考えることは、これまで享受してきた物質文明、それ
を支える社会構造や価値観の全体を見直して、未来社会への革新の手掛かりを掴むこ
とに繋がります。これもFuture Earthの重要テーマです。

 第三に、Future Earthは文字通り地球規模で国際的に発想し、交流することを求め
るの

最上小国川の、内水面漁業の振興策とは


最上小国川の問題。12月の予算特別委員会でも渡辺議員がとりあげた。

知事は、「一日も早く、住民の安全安心を確保することが私の責務だが、内水面漁業の振興も重要な課題だ。地域の人たちと話し合いをしながら、しっかりと取り組む」

としているが、内水面漁業の振興で最もふさわしいのは、ダムをつくらないことだ。

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(読売新聞の記事を転載します)

ダム漁業権問題で知事、話し合う意向(最上小国川ダム)

(読売新聞山形版 2012年12月13日) http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/news/20121212-OYT8T01345.htm


県が建設を計画する最上小国川ダム(最上町)に対して、流域の漁業権を持つ小国川漁協が反対している問題で、吉村知事は12日、「漁業権の(強制)収用はできるだけしたくない」と述べ、話し合いによって漁協側の理解を得たいとの考えを示した。

県議会予算特別委員会で共産党の渡辺ゆり子議員の質問に答えた。

県は10月から、同ダム建設に向けて作業用道路の取り付け工事を行っている。

一方、小国川漁協は「ダム建設に同意する意志は全くない。補償交渉にも応じない」と一切の交渉を拒否する姿勢を見せている。

知事は答弁の中で「一日も早く、住民の安全安心を確保することが私の責務だが、内水面漁業の振興も重要な課題だ。地域の人たちと話し合いをしながら、しっかりと取り組む」と決意を述べた。

JBPRESS に小国川ダム問題が掲載されました。


JAPAN BUSINESS PRESS 日本ビジネスプレス 12/18版に、最上小国川ダム問題の記事。
必読です。高成田享(元朝日新聞論説委員 報道ステーション)


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36760


以下、転載します。

先日、山形市で開かれた「知事はなぜ、ダムにこだわるのか!?」と題した集会に参加した。山形県が同県最上町に計画している最上小国川(もがみおぐにがわ)ダムの建設に反対する「最上小国川の清流を守る会」が主催したもので、同県出身の評論家、佐高信さんや、山形大学の地質学者、川辺孝之教授、小国川漁協組合長の沼沢勝善さんらがこのダム計画の無謀さを語った。

 実は、私も登壇したのだが、この問題にはそれほど詳しくないので、「震災とコンクリート文明」と題して、漁業資源よりも漁港作りに力を入れてきた水産行政の失敗が今回の震災で露わになった、という話をした。

 私が小国川ダムの建設計画を知ったのは2004年10月に最上町の赤倉温泉で開かれた「東北自然保護の集い」に参加したときのこと。鮎釣りのメッカである小国川でのダム計画だけに、これが実現すれば鮎の生態に大きな影響を与えると心配する釣り人が多かった。

 その後、「コンクリートから人へ」を掲げる民主党政権ができたので、この計画は白紙になったはずだと思っていたのだが、今回の集会で、白紙どころか、ダム建設を前提にした周辺道路の工事が始まったと聞いて驚いた。

穴あき型ダムでも防げない赤倉温泉の洪水被害


山形県のホームページにある小国川ダムの概念図
 山形県のホームページから、「最上小国川ダムの概要」を探し出すと、小国川が最上川の支流で、山のふもとに建設しようとしていることが分かる。ダムのイラストはもちろん美しく描かれているが、渓流をせき止める人工物の異物感はぬぐい去れない。

 このページを見ながら面白いと思ったのは、「参考資料」として、従来の貯留型ダムと、小国川に計画している穴あき型ダムとの違いが図入りで出ていて、穴あき型は貯留型と違って、土砂の堆積や富栄養化がないと説明されていることだ。穴あき型は洪水発生時だけ川の流れをふさいで貯水し、平常時は貯水を行わない。

まるで従来の貯留型は欠陥ダムで、それと違って穴あき型は素晴らしいというわけだ。

 近年、「脱ダム」の動きが盛り上がったときに、その根拠の1つとなったのがダムは長年使っているうちに土砂が堆積して、ダムとしての機能が低下するということだった。山形県の説明を見れば、まさにそのことが事実として描かれている。

 こういう情報は、県独自で作るのではなく、国交省の「ご指導」の下に作られるはずだから、国交省も従来のダムは、土砂の堆積や富栄養化などの欠陥があることを当たり前のこととして認めていることになる。

 ダムを建設するときには、こうした懸念はあり得ないと説明していたはずだから、日本中の多くのダムが土砂の堆積で機能低下が起きていることは「想定外」ということになるのだろう。それなら、もうダムという発想はやめよう、とならず、穴あき型ダムというコンクリートで解決しようというところが、建設省の血脈が流れる国交省ということなのだろう。

 川辺教授は、穴あき型でも流木などで穴がつまり、貯留型と同じことになると解説していた。東日本大震災の津波に対して、三陸自動車道などが陸地の防潮堤として役立ったのは、自動車道の下を横切る一般道路が流木やがれきでふさがれ、津波が一般道から流れ込むことが少なかったからだ。私の直感でも、穴あき型は、何度か豪雨を経験すれば詰まってしまうし、それを取り除くには大変な労力と費用がかかるだろうと思う。穴あき型の限界は、すでに「想定内」になっているのだ。

 川辺教授によると、小国川沿いに建つ赤倉温泉の旅館は、河床よりも低い位置にあるので、豪雨になれば、山伝いに流れてくる水によって、冠水する可能性があるという。つまり、治水のためにダムを造って川の水を抑えても、山から温泉に流れてきた水を、それよりも水位の高い小国川に流すことはできないので、洪水・冠水の可能性は残るという。ダムが根本的な解決にはならないというのだ。

解決策はダムだけではないはず

 このダム計画は、赤倉温泉が洪水で冠水するのを防ぐのが目的だ。ダムに反対する人たちは、ダムの代わりに、川を深く掘り下げる、堤防を高くする、上流の山々を間伐などで丈夫にして「緑のダム」にする、などの組み合わせを提案している。

県は、洪水時に想定する水量、ダムによって制限する放水量などの数字を示して、穴あきダムがいかに有効であるかを示す一方、代替案では、河床の掘削によって温泉の源泉が枯れるなどの影響が出るおそれがあると説明しているという。

 そのデータや説明にうそはないと思うが、それなら本当かと問えば、与えられた条件の下では本当、という答えが返ってくるだけだろう。

 かつて、長良川の河口堰問題が起きたときに、建設省の役人の説明を受けたことがあるが、私は反対派の人たちが説明していた環境破壊への懸念の方に説得力があると思った。それにしても、そのときの役人たちの熱心さはすさまじく、まるで新興宗教の信者みたいだと感じた。あれから15年、現状は、自然保護団体などによれば、環境破壊が進んでいるというが、国交省は特段の問題が起きていない、という判断のようだ。つまり、地元の漁師たちが環境の悪化を訴えても、国交省はそれも認めないということだ。

 私は、小国川ダムに反対か賛成かという議論は、それだけなら不毛だと思っている。釣り人も渓流釣りを楽しみ、赤倉温泉街も今よりも洪水の被害が少なくなり、多くの人々が訪れるようにするには、どうしたらよいかを考えれば、ダムとは異なる結論が出てくると思うからだ。

 ダムを建設すれば、「ダムのない渓流」という小国川の大きな魅力はなくなる。温泉街も洪水の被害が少なくなるのなら、ダムはない方がいいはずだ。八ッ場ダムのように利水がからむと、ダムそのものの必要性が問われ、上流と下流の人々の間で利害の衝突が起こるが、小国川ダムでは、治水が目的だから、そこで多くが納得するプランができれば、ダムは二の次になる。

 ダムの建設を中止して、赤倉温泉の再活性化プラン作りに切り替えれば、大きな話題になるとともに、全国から渓流を楽しんだり、「脱ダム」の視察に来たり する人々でにぎわうだろう。自然と共生する思想は、もはや時代が共有する考え方で、民主党も自民党も第三極もないはずだ。


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地域振興策の考え方について、今の時代、生物多様性を活かすことが、地域の振興策になるのだということを9月の山形議会の予算審議で正した。

年間22億円の経済効果があると近畿大の有路先生が試算してくださったアユ効果を活かすことが地域振興なのだということ。また、今年7月に、黄金アユを守ろうとして照葉樹林伐採計画に反対したところからはじまった、宮崎県 綾町は、国連MAB計画、ユネスコエコパークとなって、国際的な発信をはじめたこと。また、島根県の高津川流域では、清流日本一とアユの流域を更に磨きをかけようと、国の特区として、森里海連環の振興策を、森林整備、アユのCAS冷凍保存流通、河川の自然再生などに取り組んでいる事などを紹介しながら、実は小国川流域は、森里海連環のユネスコエコパークのモデルとなりうることを提起し、ダムをつくれば、それが全て台無しになることを示して知事に見直しを迫った。

ここで高成田さんが書いて下さった

「ダムの建設を中止して、赤倉温泉の再活性化プラン作りに切り替えれば、大きな話題になるとともに、全国から渓流を楽しんだり、「脱ダム」の視察に来たりする人々でにぎわうだろう。自然と共生する思想は、もはや時代が共有する考え方で、民主党も自民党も第三極もないはずだ。」

こそ、まさに正論であり、今の時代におこなわれるべき、地域振興の姿だと考える。

山形県の今後の発展を考える、経済人の皆様にこそ、ぜひ考えて頂きたいのだ。








総選挙。12月5日、小国川を守ろう!緊急集会 と12月議会。


明日から衆議院選挙がはじまりますね。それと同時に県議会は明日4日より12月議会です。
高成田さんは、元朝日新聞論説委員、アメリカ総支局長、報道ステーションでコメンテーターを務められた後、石巻支局長に2年。東日本大震災後、石巻で精力的に取材、支援活動を進めている方です。
集会では佐高信さんの講演、高成田さんの講演とともに、11月27日裁判の口頭弁論の報告、小国川漁協、沼沢さんからの報告などを行います。どうぞお集まりください。

山形県議会は、明日12月4日から20日まで12月議会がおこなわれます。冒頭、23年度の決算について、私が討論する予定です。

さて、明日からの選挙。私は、脱原発、脱ダム、反TPP、反消費税増税、憲法9条守 というスタンスの候補、そして、草の根民主主義が解る、持続可能な社会を叶える軸をもった政治を支持しています。
嘉田さん、飯田さんが立ち上げた日本未来の党には大いに共感、その政策、趣旨に賛同しています。
また、脱ダム宣言元祖の新党日本の田中康夫さんは、あいかわらず、さすがの政策を掲げています。(尼崎の方はよろしく。)

この選挙がポスト311、持続可能な日本へのターニングポイントになることを心から念じつつ、行動をしていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。



ダム強行時の知事発言。


ダム強行の式典、そして私たちの抗議行動の、9月29日の知事発言が県のホームページで公開されています。焦点となっているダム関連のところを抜き出します。

全文や動画は県のホームページでご覧頂けます。こちらもどうぞ。


ダムをやりつつ内水面漁業の振興って、!?  皆さんのコメントをお願いします。


記者
山形テレビ田島でございます。
本日ですね、最上小国川ダム、穴あきダムの建設工事の安全祈願祭が現地で行われております。県のお考えは決まっていると思いますけれども、改めて知事のお考えですね、最上小国川ダム建設についてお聞かせください。
知事
赤倉地区の住民の皆さんの安全・安心を守っていくということがやはり私の責務だと思っているところでございます。そういう意味でも、やはり早期に穴あきダムに取りかからなければならないと考えております。ただ、様々な皆さん方のご理解をいただかなければいけないし、話し合いをしっかりやらなければいけないという思いで、様々取組みを今まで行って進めてきておりました。現在は工事用道路の工事について進めているものでございます。そして、漁協の皆さんが大変心配されている、内水面漁業につきましても、やはり県政を預かる者として、皆さん方と内水面の漁業振興策ということにつきまして、これからもですね、しっかりと話をしていかなければならないと考えているところでございます。
内水面で生業をということもありますし、また、観光ということもございますので、そういったことも含めて、しっかりとそういった分野の皆さん方とも話し合いをしながら進めていきたいと思っているところでございます。
記者
漁協の皆さんは、絶対的にですね、話もしたくないんだというふうにもおっしゃっております。それで今後の話になってくるとは思うのですが、例えば漁業権の強制収用とか、法的には認められております。そういったことも含めまして、今後についてはどのように対応されていこうというお考えでございましょうか。
知事
私はやはり、そういう強制的なことというようなものはできるだけ採用したくはないというのが考えです。ただ、住民の皆さんの安全・安心を守らなければいけない、それに対して漁協の皆さんが反対なさるわけではないと思っています。やはり漁協の皆さんの真の意図というものは、アユなり、内水面漁業というものをしっかりと振興していく、そのことではないかと思うのですね。ですから安全・安心を確保するということ、そして内水面漁業というものを振興する、そのことをやはりしっかりと両面を取り組んでいく、対話をさせていただきながら取り組んでいくのが県としての役割であり姿勢でありますので、もっとしっかりお話をさせていただきたいと思っております。
記者
今、知事も触れていらっしゃいましたけれども、当然その安全・安心は漁協の皆さんもおっしゃっています。ただそのダムではなくて、やり方は別にあるでしょうと、こういうふうにおっしゃっています。この辺はいかがなんでしょうか。
知事
私が知事に就任した時といいますか、する前といいますか、その時に私は全く白紙の状態でした。それで、就任してから様々なその方策について検討しました。これまでの経過を聞き、検討し、また、現場に行って確認もしたところでございます。そういう経過をきちんと踏んでおりますので、その上での判断ということを私はご理解いただきたいと思っておりますし、また、その漁協の皆さん方のお考えというものをできるだけ尊重するということで、当初は穴あきでなかったものが穴あきダムになった、通常、普通どおりに水が流れている状況のダムになったということが1つあります。
それから、先ほど来申し上げている、内水面漁業ですが、その振興ということについて、もっともっときっちりと、県土整備部だけでなくて農林水産部とも連携して、これからもっともっと話し合いを進めていかなければならないと私は思っております。
やはり、ダムにだけ視点がいくわけではなく、その内水面漁業というところにも力を入れていかなければならないと思っております。
記者
読売新聞の吉岡です。今おっしゃった内水面漁業の振興ということなんですけれども、ダムを建設するとアユの数自体が減るという指摘もありますが、どのようにその振興策を両立するというお考えなんでしょうか。
知事
ダムを作ると必ず減るというようなことですが、そこははっきりは分からないという言葉はおかしいのですけれども、そういう具体的な例というものはないのではないかなと思っております。
そうなるのではないかというような恐れや大変心配な声が大きいことは間違いなく聞いておりますけれども、だからこそ、定期的にしっかりと確認をしながらアユの数が減らないように、あるいはアユがいる川が県内にも他にたくさんございますけれども、どうやって維持しているのかというようなこともきっちりと調査をして対策を立てなければならないのではないかというふうに思っています。

「危険!」とされる赤倉温泉地域の川沿いに新築の建物 事実確認に2週間以上経過。


先日、というか9月議会予算特別委員会の質疑の後に私は、当局の答弁、姿勢について10月10日、抗議と要請書を提出している。その中には、

県は、浸水被害を殊更に強調し、現在、赤倉温泉は危険なのだという認識に立っていると感じますが、それではなぜ、危険とされ、治水論の議論がおこなわれている箇所の川に面して、新しい建築物(平成23年完成)が立つんですか、県はその危険箇所になぜ、建築許可ができるんでしょうか。

この建物は、約2Mの耐水壁を設置し、治水対策をおこないつつ、建設がなされております。以前、赤倉温泉地域の目標となる340トンの基本高水水量が流れた際、基準点で1.42Mの水位上昇すると県は示しました。
 この壁はそれを想定して2Mにしているかのように見えます。要するに、こうした壁をつくるなど、建物の耐水化をはかることによって、治水対策は十分可能なのではないでしょうか。

よく県は浸水被害と強調しますが、たとえば21年水害で、3 件の浸水被害といわれていますが、この時は川はあふれたのですか?
これは明らかに内水氾濫による浸水被害ではないでしょうか。
 これまでの水害浸水被害において、どの被害で溢水(いっすい)などがおこっているのか。明らかに示して頂きたいと考えます。

また、知事は、歴史ある温泉街を現状のまま存続させると答弁しました。しかし、現在、明らかに河道に迫り出したままの温泉旅館があり、危険を自らつくりだしているように思えますが今般の治水事業でこうした河川管理者として不適切と思える箇所について工事をおこなわないのでしょうか。


 また、河川占有許可の表示がある電信柱よりも川に張り出して立地する温泉旅館があります。これについても「そのまま存続」ということでしょうか。
 更に、河川管理者である県の事業で明らかに川を狭め、流下能力を下げている護岸がありますが、これもそのままにするのでしょうか。

と問うている。

11月2日(金曜日)午後3時ごろ、改めてその回答を求めた。現場の工事はどんどん進んでいるのだからある。実は提出の際からずっと求め続けている。すると、河川課長と竹内ダム担当は、「本日はまだ回答できない。」「裁判案件なので部長決裁までしてからお知らせする、今日は部長がいないので即答はしかねる」「今までは直接すぐに答えられていたが今後はいいかげんな事は答えられませんから」などと答えた。「んじゃこれまでの僕に対する答えのどれはいいかげんな事なのか?どれが間違ったことだったのか?」と僕。10月10日の申し入れ案件、それも事実確認をとるだけの作業にどれだけ日数がかかるのだ?それも工事は強行されているのに。

今回の案件は治水対策への疑義そのものなのだ。

なお、本日は、昨日日東道のシンポで酒田にいらしていた佐高信 先生と会食しつつ今後の打ち合わせの機会を得た。先生にも随分がんばっていただいている 感謝。



山形新聞社説に小国川ダム問題が掲載。


本日の山形新聞 社説に最上小国川ダム建設問題がとりあげられました。
まずは皆さん、ご一読ください。「賛否のすれ違い解いて」との内容です。

漁業権問題はそれこそ強制収用ともなれば全国初事例でありますので、県民の多くの方々にこの問題を知って頂きたいと思います。そしてこのダム問題の現場は、貴重な生物多様性の宝庫であることを知って頂きたいと思います。

ただ、この中でいくつか問題と思える点がありますので、指摘しておきます。
私達は、ただ、感情論で反対を言っているわけではありません。鮎が大事か人の命が大事か。という論点でもの申している訳でもありません。
科学的に検討をしてくださる学識者の見解も得ながら、真に、流域の安全安心とともに流域の持続可能な発展を叶えられる、持続可能な地域づくりのために何が適切なのか。とまさに「真の治水」を考慮した上で、私達は、あまりにも一方的、乱暴な推論によってダム治水が良しと強行されている事に疑義をもつのです。

自然は一度破壊されたら100年かけても元にはもどりません。自然の改変を伴う公共事業は、未来への責務として、もっと慎重にやらねばならないと思うのですが、県の今の工事は、これから主流になりつつある「ダムによらない治水論」を踏襲し、検討したふりをしながら、実際には強く検討することもなく、ほぼ無視したまま、ダム治水をあまりにも安易に、採用し、強行に至っているということです。

「ダムの目的は何なのか」−川に自分で迫り出した旅館を含む、赤倉温泉街だけ、
約40件の治水対策に巨額なダムをつくろうとしている!?

1.洪水被害の実態について
1975年(昭和49年)8月の集中豪雨ですが、赤倉温泉から下流域一帯で300戸以上浸水とあります。この中で、赤倉温泉地域の浸水被害は約40件でした。この時の資料を見ても、どこから水が越流したのか、定かではありません。内水被害が半分以上とみられます。で、赤倉温泉地域の下流域は、治水対策工事を県がおこなっており、下流域の川に隣接している民家などは、ほぼ50年に1回の治水対策が施されています。なので、最大を見積もっても赤倉温泉地域だけ約40件の治水対策が目的としてのダムということになります。県は、278件とか300件とか、流域全体の数値を提示しますが、「赤倉温泉地域の水害は何件か」と問われると県は「当時の赤倉温泉地域内の件数は残っていないなど答え続け、「たった数十件」と書かれないようにしてきたのです。そこは勘違いしてほしくないのです。今般の、実際的過去の水害で被害が及んだ治水対象の件数は、赤倉温泉地域内の約40件、そのうち内水氾濫被害も含むという実態です。

 「洪水が度重なり」のほとんどは、内水被害であります。それと、赤倉温泉の旅館の実態は、堤防の上から河道内に旅館の建物が迫り出しているような実態であり、これはこれを認めてきた河川管理者の責任を問わなければならない問題なのだということを踏まえるべきです。
 更に言えば、最近水があがりやすい(といっても堤防を越える被害はないのですが)原因は、県がつくったと最近になってようやく認めた堰なのです。以前は粗だや板でくんでいて、洪水時には流されていたものを、県がコンクリートで造ってあげた。そのために土砂がその上流にむけて溜まっている。その上流は溜まった後に更に床止めをつくって、更に土砂が溜まっている。結果として、河床上昇し、溢水しやすく、排水処理も困難になっているということなのです。

要するに「県がつくった構造物が浸水被害を引き起こしやすい原因をつくりだしている」疑惑が歴然として存在するということです。



2.治水対策の科学的な曲解、誤解について

「県が穴あきダム」方式を決めるまでには河道改修や遊水池、放水路建設などの手法も検討してきた。国交省も事業採択に際し専門化(家)による有志医者会議を重ね、最も現実的で環境への負荷が少ない方法としてダム建設を採用した」

 とありますが、これら会議自体に問題があるということです。最も大きな問題は、河床の土砂除去を全く考慮していないという点です。実際に県が依頼して実際の調査にあたった川辺孝幸 山形大学教授は、温泉湯脈に影響を与えずに河床の土砂除去、掘削は可能と主張していますが、県はそれを曲解、全く無視したままです。

基本高水の水量もご多分にもれず過大といえる数値と評価されています。

今本博健 元防災研所長、大熊孝 新潟大名誉教授 は、現地に数回訪れ、不自然な、土砂堆積の現状を指摘しています。
 河川環境の問題については、たかはし河川生物調査事務所 高橋勇夫先生が、「穴あきダムでも甚大な環境への影響が考え得る。「これまでの県の委員会の議論は考慮すべき点を考慮していない」と批判しています。

こうした科学を無視したまま、結論を出してきた。要するに「ダムムラの内輪の研究者の推論」でしか検討をおこなってこなかったことを県は猛省すべきです。


なので、漁業権をもつ漁協に、ただ、今のダムありき論調で、「丁寧な説明をすればいい」ということではないことを、読者の皆さんにはご理解いただきたいと強く思う次第です。


まずは、説明責任不足のまま突き進む、理不尽なダム強行を止めて、徹底議論、再検証のテーブルをつくることです。

草島進一 文責

最上小国川ダムを強行するな!抗議行動をおこないました。


 本日抗議行動。先ほど午後6時のニュースで各社とりあげてくれました。ローカルな価値が重んじられる時代、最上町や舟形町にとって、この清流はその地域に住んでいる方々のアイデンティティそのものだと思っています。本日も、デモの後、赤倉温泉流域の食堂のお母さんとお話しましたが、そもそもの赤倉の住民の要望は、「川があふれるのでなんとかしてほしい」じゃなくて、「裏山から来る内水被害をなんとかしてほしい」だったとのこと。それと、「川があふれそうだ」ということも、川床に土砂が堆積してしまったことで河床があがっていることが原因になっていることを実感した次第です。るまで、治水を叶えることができません。超過洪水対策としても河道改修の方が有利であるといわれています。 これは滋賀県で実施済みです。限られた予算を使って、いかにバランス良く河川整備を果たしていくか。その方策です。

 「もともと内水氾濫対策などで家が水につかるのを早くなんとかしてほしい」「川があふれているわけではない」という住民の要望を「ダム事業を早くしてほしい」にすり替えられている。説明会にいっても疑問だった。そうしたのは誰なのか。と前述の食堂のお母さんは真摯にお話されていました。
 
 吉村知事、あなたは声の大きい、ダム推進の旅館のおかみや土建業者の声だけしか聞かないできたのではないですか? 
 
 本当に川やこの地域の自然とともに生きてきた、本当の住民、県民の声に耳かたむけて下さいよ。それと、研究者生命をかけて提言をしている河川の専門家を無視し続けてるっておかしくないですか。
 
 と声を大にして訴えたいのです。

ダム問題、現地の伐採が進んでいます。漁協も意思表示。


昨日は午前中、桑原先生と打ち合わせ。午後から小国川ダム建設の現場へ。森林伐採がかなり進んでいた。先週漁協が改めて反対表明をし、それ以前に差し止めの訴訟もおこなわれているというのに、まさに工事が強行されている。