共謀罪法案強行採決を許さない。真実を確かめ、廃案へ。 刑事法研究者の声明より。
共謀罪法案が先週19日に衆議院法務委員会で強行採決されました。共謀罪法案について与党は完全に真実を歪め、更に説明責任を全く果たさないまま、強行採決しました。「30時間超えました。もういいでしょう。これ以上の質疑は必要ない」などと議論を封じた丸山穂高 大阪維新の会議員をはじめ与党議員はとても内容を理解しているとはいいがたい。その道のプロである刑事法研究者の以下を踏まえてきちんと勉強してからにしてもらいたい。というのが真相です。
「テロ等準備罪」という名称自体が全くのウソ。30時間の答弁はぐらかしばかりの議論にもならない議論で説明できる議論ではありません。私たちは共謀罪法案の内容の真実を伝えることが重要だと思います。刑法学者の高山教授らが呼びかける刑事法研究者の声明が2月に提出され、現時点で162名の刑事法研究者の賛同者がおられます。以下、引用します。HP上にはPDFファイルもあります。
どうぞ共謀罪の真実を確かめ私たちの常識にし、そして、強行採決を阻止しましょう。
共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明 5つの真実。
1. テロ対策立法はすでに完結しています。
2. 国連国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結に、このような立法は不要です。
3. 極めて広い範囲にわたって捜査権限が濫用されるおそれがあります。
4. 日本は組織犯罪も含めた犯罪情勢を改善してきており、治安の悪い国のまねをする必要はありません
5. 武力行使をせずに、交渉によって平和的に物事を解決していく姿勢を示すことが、有効なテロ対策です。
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共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明
2017年2月1日
政府は、これまでに何度も廃案となっている共謀罪を、「テロ等準備罪」の呼び名のもとに新設する法案を国会に提出する予定であると報道されています。しかし、この立法は以下に述べるように、犯罪対策にとって不要であるばかりでなく、市民生活の重大な制約をもたらします。
1. テロ対策立法はすでに完結しています。
テロ対策の国際的枠組みとして、「爆弾テロ防止条約」や「テロ資金供与防止条約」を始めとする5つの国連条約、および、その他8つの国際条約が採択されています。日本は2001年9月11日の同時多発テロ後に採択された条約への対応も含め、早期に国内立法を行って、これらをすべて締結しています。
2. 国連国際組織犯罪防止条約の締結に、このような立法は不要です。
2000年に採択された国連国際組織犯罪防止条約は、国際的な組織犯罪への対策を目的とし、組織的な犯罪集団に参加する「参加罪」か、4年以上の自由刑を法定刑に含む犯罪の「共謀罪」のいずれかの処罰を締約国に義務づけているとされます。しかし、条約は、形式的にこの法定刑に該当するすべての罪の共謀罪の処罰を求めるものではありません。本条約についての国連の「立法ガイド」第51項は、もともと共謀罪や参加罪の概念を持っていなかった国が、それらを導入せずに、組織犯罪集団に対して有効な措置を講ずることも条約上認められるとしています。
政府は、同条約の締約国の中で、形式的な基準をそのまま適用する共謀罪立法を行った国として、ノルウェーとブルガリアを挙げています。しかし、これらの国は従来、予備行為の処罰を大幅に制限していたり、捜査・訴追権限の濫用を防止する各種の制度を充実させたりするなど、その立法の背景は日本とは相当に異なっています。ほとんどすべての締約国はこのような立法を行わず、条約の目的に沿った形で、自国の法制度に適合する法改正をしています。国内法で共謀罪を処罰してきた米国でさえ、共謀罪の処罰範囲を制限する留保を付した上で条約に参加しているのです。このような留保は、国会で留保なしに条約を承認した後でも可能です。
日本の法制度は、もともと「予備罪」や「準備罪」を極めて広く処罰してきた点に、他国とは異なる特徴があります。上記のテロ対策で一連の立法が実現したほか、従来から、刑法上の殺人予備罪・放火予備罪・内乱予備陰謀罪・凶器準備集合罪などのほか、爆発物取締罰則や破壊活動防止法などの特別法による予備罪・陰謀罪・教唆罪・せん動罪の処罰が広く法定されており、それらの数は70以上にも及びます。
一方、今般検討されている法案で「共謀罪」が新設される予定の犯罪の中には、大麻栽培罪など、テロとは関係のない内容のものが多数あります。そもそも、本条約はテロ対策のために採択されたものではなく、「共謀罪」の基準もテロとは全く関連づけられていません。本条約は、国境を越える経済犯罪への対処を主眼とし、「組織的な犯罪集団」の定義においても「直接又は間接に金銭的利益その他の物質的利益を得る」目的を要件としています。
3. 極めて広い範囲にわたって捜査権限が濫用されるおそれがあります。
政府は、現在検討している法案で、(1)適用対象の「組織的犯罪集団」を4年以上の自由刑にあたる罪の実行を目的とする団体とするとともに、共謀罪の処罰に(2)具体的・現実的な「合意」と(3)「準備行為」の実行を要件とすることで、範囲を限定すると主張しています。しかし、(1)「目的」を客観的に認定しようとすれば、結局、集団で対象犯罪を行おうとしているか、また、これまで行ってきたかというところから導かざるをえなくなり、さしたる限定の意味がなく、(2)概括的・黙示的・順次的な「合意」が排除されておらず、(3)「準備行為」の範囲も無限定です。
また、「共謀罪」の新設は、共謀の疑いを理由とする早期からの捜査を可能にします。およそ犯罪とは考えられない行為までが捜査の対象とされ、人が集まって話しているだけで容疑者とされてしまうかもしれません。大分県警別府署違法盗撮事件のような、警察による捜査権限の行使の現状を見ると、共謀罪の新設による捜査権限の前倒しは、捜査の公正性に対するさらに強い懸念を生みます。これまで基本的に許されないと解されてきた、犯罪の実行に着手する前の逮捕・勾留、捜索・差押えなどの強制捜査が可能になるためです。とりわけ、通信傍受(盗聴)の対象犯罪が大幅に拡大された現在、共謀罪が新設されれば、両者が相まって、電子メールも含めた市民の日常的な通信がたやすく傍受されかねません。将来的に、共謀罪の摘発の必要性を名目とする会話盗聴や身分秘匿捜査官の投入といった、歯止めのない捜査権限の拡大につながるおそれもあります。実行前の準備行為を犯罪化することには、捜査法の観点からも極めて慎重でなければなりません。
4. 日本は組織犯罪も含めた犯罪情勢を改善してきており、治安の悪い国のまねをする必要はありません。
公式統計によれば、組織犯罪を含む日本の過去15年間の犯罪情勢は大きく改善されています。日本は依然として世界で最も治安の良い国の1つであり、膨大な数の共謀罪を創設しなければならないような状況にはありません。今後犯罪情勢が変化するかもしれませんが、具体的な事実をふまえなければ、どのような対応が有効かつ適切なのかも吟味できないはずです。具体的な必要性もないのに、条約締結を口実として非常に多くの犯罪類型を一気に増やすべきではありません。
そればかりでなく、広範囲にわたる「共謀罪」の新設は、内心や思想ではなく行為を処罰するとする行為主義、現実的結果を発生させた既遂の処罰が原則であって既遂に至らない未遂・予備の処罰は例外であること、処罰が真に必要な場合に市民の自由を過度に脅かさない範囲でのみ処罰が許されることなどの、日本の刑事司法と刑法理論の伝統を破壊してしまうものです。
5. 武力行使をせずに、交渉によって平和的に物事を解決していく姿勢を示すことが、有効なテロ対策です。
イスラム国などの過激派組織は、米国と共に武力を行使する国を敵とみなします。すでに、バングラデシュでは日本人農業家暗殺事件と、日本人をも被害者とする飲食店のテロ事件がありました。シリアではジャーナリストの拘束がありました。安保法制を廃止し、武力行使をしない国であると内外に示すことこそが、安全につながる方策です。
こうした多くの問題にかんがみ、私たちは、「テロ等準備罪」処罰を名目とする今般の法案の提出に反対します。
http://www.kt.rim.or.jp/~k-taka/kyobozai.html
呼びかけ人(五十音順)
葛野尋之(一橋大学教授)
高山佳奈子(京都大学教授)
田淵浩二(九州大学教授)
本庄武(一橋大学教授)
松宮孝明(立命館大学教授)
三島聡(大阪市立大学教授)
水谷規男(大阪大学教授)
賛同者
赤池一将(龍谷大学教授)
浅田和茂(立命館大学教授)
足立昌勝(関東学院大学名誉教授)
安達光治(立命館大学教授)
雨宮敬博(宮崎産業経営大学准教授)
甘利航司(國學院大學准教授)
荒川雅行(関西学院大学教授)
荒木伸怡(立教大学名誉教授)
生田勝義(立命館大学名誉教授)
石川友佳子(福岡大学准教授)
石田倫識(愛知学院大学准教授)
石塚伸一(龍谷大学教授)
石松竹雄(大阪弁護士会)
一原亜貴子(岡山大学准教授)
伊藤睦(三重大学教授)
稲田朗子(高知大学准教授)
稲田隆司(新潟大学教授)
指宿信(成城大学教授)
上田寛(立命館大学名誉教授)
上田信太郎(北海道大学教授)
上野達彦(三重大学名誉教授)
内田博文(九州大学名誉教授、神戸学院大学教授)
内山真由美(佐賀大学准教授)
内山安夫(東海大学教授)
梅崎進哉(西南学院大学教授)
梅田豊(愛知学院大学教授)
大貝葵(金沢大学准教授)
大久保哲(宮崎産業経営大学教授)
大出良知(東京経済大学教授)
大場史朗(大阪経済法科大学准教授)
大薮志保子(久留米大学准教授)
岡田行雄(熊本大学教授)
岡本洋一(熊本大学准教授)
小田中聰樹(東北大学名誉教授)
海渡雄一(第二東京弁護士会)
香川達夫(学習院大学名誉教授)
春日勉(神戸学院大学教授)
門田(秋野)成人(広島大学教授)
金澤文雄(広島大学名誉教授・岡山商科大学名誉教授)
金澤真理(大阪市立大学教授)
神山敏雄(岡山大学名誉教授)
嘉門優(立命館大学教授)
川崎英明(関西学院大学教授)
川口浩一(関西大学教授)
神例康博(岡山大学教授)
木谷明(元裁判官、元法政大学法科大学院教授、第二東京弁護士会)
北野通世(福岡大学教授・山形大学名誉教授)
金尚均(龍谷大学教授)
楠本孝(三重短期大学教授)
公文孝佳(神奈川大学准教授)
黒川亨子(宇都宮大学専任講師)
小浦美保(岡山大学准教授)
古川原明子(龍谷大学准教授)
後藤昭(青山学院大学教授)
小山雅亀(西南学院大学教授)
斎藤司(龍谷大学教授)
斉藤豊治(甲南大学名誉教授、大阪弁護士会)
三枝有(信州大学教授)
坂本学史(神戸学院大学准教授)
佐川友佳子(香川大学准教授)
櫻庭総(山口大学准教授)
佐々木光明(神戸学院大学教授)
笹倉香奈(甲南大学教授)
佐藤博史(元東京大学客員教授・元早稲田大学教授、第二東京弁護士会)
佐藤元治(岡山理科大学准教授)
塩谷毅(岡山大学教授)
四宮啓(國學院大學教授)
島岡まな(大阪大学教授)
白井諭(岡山商科大学准教授)
白取祐司(神奈川大学教授・北海道大学名誉教授)
新屋達之(福岡大学教授)
鈴木博康(九州国際大学教授)
末道康之(南山大学教授)
陶山二郎(茨城大学准教授)
関哲夫(國學院大学教授)
関口和徳(愛媛大学准教授)
曽根威彦(早稲田大学名誉教授)
園田寿(甲南大学教授、大阪弁護士会)
高倉新喜(山形大学教授)
高田昭正(立命館大学教授)
高橋有紀(福島大学准教授)
高平奇恵(九州大学助教)
田口敬也(早稲田大学研究員)
武内謙治(九州大学教授)
多田庶弘(神奈川工科大学非常勤講師)
辰井聡子(立教大学教授)
田中輝和(東北学院大学名誉教授)
恒光徹(大阪市立大学教授)
寺中誠(東京経済大学非常勤講師)
土井政和(九州大学教授)
戸浦雄史(大阪学院大学准教授)
徳永光(獨協大学教授)
冨田真(東北学院大学)
友田博之(立正大学准教授)
豊崎七絵(九州大学教授)
豊田兼彦(関西学院大学教授)
内藤大海(熊本大学准教授)
長井長信(明治学院大学教授)
長井圓(中央大学教授)
永井善之(金沢大学教授)
中川孝博(國學院大學教授)
中島洋樹(関西大学教授)
中島宏(鹿児島大学教授)
中村悠人(東京経済大学准教授)
名和鐵郎(静岡大学名誉教授)
新倉修(青山学院大学教授)
新村繁文(福島大学特任教授)
庭山英雄(元専修大学教授、東京弁護士会)
萩原滋(東洋大学教授)
朴元奎(北九州市立大学教授)
東澤靖(明治学院大学教授、第二東京弁護士会)
玄守道(龍谷大学教授)
平井佐和子(西南学院大学准教授)
平川宗信(名古屋大学名誉教授・中京大学名誉教授)
平田元(熊本大学教授)
福井厚(京都女子大学教授)
福島至(龍谷大学教授)
福永俊輔(西南学院大学准教授)
渕野貴生(立命館大学教授)
保条成宏(中京大学教授)
本田稔(立命館大学教授)
前田朗(東京造形大学教授)
前田忠弘(甲南大学教授)
前野育三(関西学院大学名誉教授、兵庫県弁護士会)
前原宏一(札幌大学教授)
正木祐史(静岡大学教授)
松岡正章(甲南大学名誉教授、大阪弁護士会)
松倉治代(大阪市立大学准教授)
松本英俊(駒澤大学教授)
丸山泰弘(立正大学准教授)
水野陽一(北九州市立大学専任講師)
緑大輔(一橋大学准教授)
光藤景皎(大阪市立大学名誉教授)
三宅孝之(島根大学名誉教授)
宮澤節生(神戸大学名誉教授・カリフォルニア大学ヘイスティングス・ロースクール教授)
宮本弘典(関東学院大学教授)
村井敏邦(一橋大学名誉教授)
村岡啓一(白鴎大学教授)
村田和宏(立正大学准教授)
森尾亮(久留米大学教授)
森川展男(京都看護大学教授)
森川恭剛(琉球大学教授)
森下忠(広島大学名誉教授)
森久智江(立命館大学准教授)
守屋克彦(元東北学院大学教授)
安田恵美(國學院大學専任講師)
山口直也(立命館大学教授)
山﨑俊恵(広島修道大学准教授)
山名京子(関西大学教授)
山中友理(関西大学准教授)
吉弘光男(久留米大学教授)
吉村真性(九州国際大学教授)
その他氏名非公開賛同者 3名
呼びかけ人・賛同者合計162名(2017年5月12日現在)
共謀罪法案ー国連報告者が安倍首相に共謀罪法案を懸念する緊急書簡を送付
大変重要と思いますのでこのブログでも転載いたします。
【全訳きました!】国連報告者が安倍首相に共謀罪法案を懸念する緊急書簡を送付
国連プライバシー権に関する特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏による、安倍首相への共謀罪法案を懸念する書簡送付の件について続報です。
海渡雄一弁護士から、国連プライバシー特別報告者からの書簡の解説と全文訳が届きました。「拡散希望です。ブログやフェイスブックに転載自由です。私のFBにも掲載しました」とのことです。
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2017.5.20
国連プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏による日本政府に対する質問状について(解説)
海渡 雄一(共謀罪NO!実行委員会)
国連プライバシー権に関する特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏が、5月18日、共謀罪(テロ等準備罪)に関する法案はプライバシー権と表現の自由を制約するおそれがあるとして深刻な懸念を表明する書簡を安倍首相宛てに送付し、国連のウェブページで公表した。
書簡の全文は次のところで閲覧できる。
http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Privacy/OL_JPN.pdf
書簡では、法案の「計画」や「準備行為」、「組織的犯罪集団」の文言があいまいで、恣意的な適用のおそれがあること、対象となる277の犯罪が広範で、テロリズムや組織犯罪と無関係の犯罪を多く含んでいることを指摘し、いかなる行為が処罰の対象となるかが不明確であり刑罰法規の明確性の原則に照らして問題があるとしている。
さらに、共謀罪の制定が監視を強めることになることを指摘し、日本の法制度において、プライバシーを守るための法的な仕組み、監視捜査に対する令状主義の強化や、ナショナル・セキュリティのために行われる監視活動を事前に許可するための独立した機関の設置などが想定されていないことを指摘している。また、我が国の裁判所が、警察の捜査に対する監督として十分機能していないとの事実認識を示している。
そのうえで、政府に対して、法案とその審議に関する情報の提供を求め、さらに要望があれば、国連から法案の改善のために専門家を派遣する用意があることまで表明している。
日本政府は、この書簡に答えなければならない。
また、日本政府は、これまで共謀罪法案を制定する根拠として国連越境組織犯罪防止条約の批准のためとしてきた。同じ国連の人権理事会が選任した専門家から、人権高等弁務官事務所を介して、国会審議中の法案について、疑問が提起され、見直しが促されたことは極めて重要である。
日本政府は、23日にも衆議院で法案を採決する予定と伝えられるが、まず国連からの質問に答え、協議を開始し、そのため衆議院における法案の採決を棚上げにするべきである。そして、国連との対話を通じて、法案の策定作業を一からやり直すべきである。
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プライバシーに関する権利の国連特別報告者 ジョセフ・ケナタッチ氏
共謀罪法案について安倍内閣総理大臣宛の書簡全体の翻訳
翻訳担当 弁護士 海渡雄一・木下徹郎・小川隆太郎(質問部分の翻訳で藤本美枝弁護士の要約翻訳を参照した)
国連人権高等弁務官事務所
パレスデナシオンズ・1211ジェネバ10、スイス
TEL:+ 41229179359 / +41229179543・FAX:+4122 917 9008・EMail:
srprivacy@ohchr.org
プライバシーに関する権利に関する特別報告者のマンデート
参照番号JPN 3/2017
2017年5月18日
内閣総理大臣 閣下
私は、人権理事会の決議28/16に基づき、プライバシーに関する権利の特別報告者としての私の権限の範囲において、このお手紙を送ります。
これに関連して、組織犯罪処罰法の一部を改正するために提案された法案、いわゆる「共謀罪」法案に関し入手した情報について、閣下の政府にお伝え申し上げたいと思います。もし法案が法律として採択された場合、法律の広範な適用範囲によって、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性があります。
入手した情報によりますと次の事実が認められます:
組織的犯罪処罰法の一部を改正する法案、いわゆる共謀罪法案が2017年3月21日に日本政府によって国会に提出されました。
改正案は、組織的犯罪処罰法第6条(組織的な殺人等の予備)の範囲を大幅に拡大することを提案したとされています。
手持ちの改正案の翻訳によると、新しい条文は次のようになります:
6条
(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
安倍晋三首相 閣下
内閣官房、日本政府
さらにこの改正案によって、「別表4」で新たに277種類の犯罪の共謀罪が処罰の対象に加わることになりました。これほどに法律の重要な部分が別表に委ねられているために、市民や専門家にとって法の適用の実際の範囲を理解することが一層困難であることが懸念がされています。
加えて、別表4は、森林保護区域内の林業製品の盗難を処罰する森林法第198条や、許可を受けないで重要な文化財を輸出したり破壊したりすることを禁ずる文化財保護法第193条、195条、第196条、著作権侵害を禁ずる著作権法119条など、組織犯罪やテロリズムとは全く関連性のないように見える犯罪に対しても新法が適用されることを認めています。
新法案は、国内法を「国境を越えた組織犯罪に関する国連条約」に適合させ、テロとの戦いに取り組む国際社会を支援することを目的として提出されたとされます。しかし、この追加立法の適切性と必要性については疑問があります。
政府は、新法案に基づき捜査される対象は、「テロ集団を含む組織的犯罪集団」が現実的に関与すると予想される犯罪に限定されると主張しています。
しかし、「組織的犯罪集団」の定義は漠然としており、テロ組織に明らかに限定されているとはいえません。
新たな法案の適用範囲が広い点に疑問が呈されていることに対して、政府当局は、新たな法案では捜査を開始するための要件として、対象とされた活動の実行が「計画」されるだけでなく、「準備行為」が行われることを要求していると強調しています。
しかしながら、「計画」の具体的な定義について十分な説明がなく、「準備行為」は法案で禁止される行為の範囲を明確にするにはあまりにも曖昧な概念です。
これに追加すべき懸念としては、そのような「計画」と「準備行動」の存在と範囲を立証するためには、論理的には、起訴された者に対して、起訴に先立ち相当程度の監視が行われることになると想定されます。
このような監視の強化が予測されることから、プライバシーと監視に関する日本の法律に定められている保護及び救済の在り方が問題になります。
NGO、特に国家安全保障に関する機密性の高い分野で活動するNGOの業務に及ぼす法律の潜在的影響についても懸念されています。政府は、法律の適用がこの分野に影響を及ぼすことがないと繰り返しているようです。
しかし、「組織的犯罪集団」の定義の曖昧さが、例えば国益に反する活動を行っていると考えられるNGOに対する監視などを正当化する口実を作り出す可能性があるとも言われています。
最後に、法律原案の起草に関する透明性の欠如と、今月中に法案を採択させようとする政府の圧力によって、十分な国民的議論の促進が損なわれているということが報告で強調されています。
提案された法案は、広範な適用がされる可能性があることから、現状で、また他の法律と組み合わせてプライバシーに関する権利およびその他の基本的な国民の自由の行使に影響を及ぼすという深刻な懸念が示されています。
とりわけ私は、何が「計画」や「準備行為」を構成するのかという点について曖昧な定義になっていること、および法案別表は明らかにテロリズムや組織犯罪とは無関係な過度に広範な犯罪を含んでいるために法が恣意的に適用される危険を懸念します。
法的明確性の原則は、刑事的責任が法律の明確かつ正確な規定により限定されなければならないことを求め、もって何が法律で禁止される行為なのかについて合理的に認識できるようにし、不必要に禁止される行為の範囲が広がらないようにしています。現在の「共謀罪法案」は、抽象的かつ主観的な概念が極めて広く解釈され、法的な不透明性をもたらすことから、この原則に適合しているようには見えません。
プライバシーに関する権利は、この法律の幅広い適用の可能性によって特に影響を受けるように見えます。更なる懸念は、法案を押し通すために早められているとされる立法過程が、人権に悪影響を及ぼす可能性がある点です。立法が急がれることで、この重要な問題についての広範な国民的議論を不当に制限することになります。
マンデートは、特にプライバシー関連の保護と救済につき、以下の5点に着目します。
1 現時点の法案の分析によれば、新法に抵触する行為の存在を明らかにするためには監視を増強することになる中にあって、適切なプライバシー保護策を新たに導入する具体的条文や規定が新法やこれに付随する措置にはないと考えられます。
2 公開されている情報の範囲では、監視に対する事前の令状主義を強化することも何ら予定されていないようです。
3 国家安全保障を目的として行われる監視活動の実施を事前に許可するための独立した第三者機関を法令に基づき設置することも想定されていないようです。このような重要なチェック機関を設立するかどうかは、監視活動を実施する個別の機関の裁量に委ねられることになると思われます。
4 更に、捜査当局や安全保障機関、諜報機関の活動の監督について懸念があります。すなわちこれらの機関の活動が適法であるか、または必要でも相当でもない手段によりプライバシーに関する権利を侵害する程度についての監督です。この懸念の中には、警察がGPS捜査や電子機器の使用の監視などの捜査のために監視の許可を求めてきた際の裁判所による監督と検証の質という問題が含まれます。
5 嫌疑のかかっている個人の情報を捜索するための令状を警察が求める広範な機会を与えることになることから、新法の適用はプライバシーに関する権利に悪影響を及ぼすことが特に懸念されます。入手した情報によると、日本の裁判所はこれまで極めて容易に令状を発付するようです。2015年に行われた通信傍受令状請求のほとんどが認められたようです(数字によれば、却下された令状請求はわずか3%以下に留まります。)
私は、提案されている法改正及びその潜在的な日本におけるプライバシーに関する権利への影響に関する情報の正確性について早まった判断をするつもりはありません。ただ、閣下の政府に対しては、日本が1978年に批准した自由権規約(ICCPR)17条1項によって保障されているプライバシーに関する権利に関して国家が負っている義務を指摘させてください。
自由権規約第17条第1項は、とりわけ個人のプライバシーと通信に関する恣意的または違法な干渉から保護される権利を認め、誰もがそのような干渉から保護される権利を有することを規定しています。
さらに、国連総会決議A/RES/71/199も指摘いたします。そこでは「公共の安全に関する懸念は、機密情報の収集と保護を正当化するかもしれないが、国家は、国際人権法に基づいて負う義務の完全な履行を確保しなければならない」とされています。
人権理事会から与えられた権限のもと、私は担当事件の全てについて事実を解明する職責を有しております。つきましては、以下の諸点につき回答いただけますと幸いです。
1.上記の各主張の正確性に関して、追加情報および/または見解をお聞かせください。
2.「組織犯罪の処罰及び犯罪収入の管理に関する法律」の改正法案の審議状況について情報を提供して下さい。
3.国際人権法の規範および基準と法案との整合性に関して情報を提供してください。
4.法案の審議に関して公的な意見参加の機会について、市民社会の代表者が法案を検討し意見を述べる機会があるかどうかを含め、その詳細を提供してください。
要請があれば、国際法秩序と適合するように、日本の現在審議中の法案及びその他の既存の法律を改善するために、日本政府を支援するための専門知識と助言を提供することを慎んでお請け致します。
最後に、法案に関して既に立法過程が相当進んでいることに照らして、これは即時の公衆の注意を必要とする事項だと考えます。したがって、閣下の政府に対し、この書簡が一般に公開され、プライバシーに関する権利の特別報告者のマンデートのウェブサイトに掲載されること、また私の懸念を説明し、問題となっている点を明らかにするために閣下の政府と連絡を取ってきたことを明らかにするプレスリリースを準備していますことをお知らせいたします。
閣下の政府の回答も、上記ウェブサイトに掲載され、人権理事会の検討のために提出される報告書に掲載いたします。
閣下に最大の敬意を表します。
ジョセフ・ケナタッチ
プライバシーに関する権利の特別報告者
憲法施行70年の憲法記念日の日に
憲法施行70年の憲法記念日の日に
介護職の仕事帰りではありましたが、憲法記念日街頭演説をおこないました。共謀罪NOのプラカードをもちつつ。
憲法施行70年。
私たちはこの憲法によって支えられ70年、少なくとも私たちの国はこの間、戦争を引き起こすことはなかった。これは事実。
基本的な人権の保障、恒久の平和を念願。国民が主権者であることを定めた日本国憲法。
現日本国f憲法は、二度と戦争を引き起こさせないことと、国民の自由、人権を遵守ことを守るために国家権力を縛る立憲主義に基づく憲法だ。
5.3憲法記念日、安倍総理は「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と、9条を挙げて「1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値する」などとビデオメッセージを日本会議が主導する美しい日本の憲法をつくる国民の会などの改憲集会で伝えた。
これに対してだが、先ずは総理大臣が改憲派の集会でこうした発言をすること自体が「憲法99条の憲法遵守義務違反」として違憲そのものだという見解がでている。私自身もそれに賛同する。「オリンピックの年に憲法改正」とそもそも全く関係のないものを結びつけてそれらしく唱える事自体が全くおかしなことだと思う。
又、そもそもこうした言動自体が、憲法は国民が権力者を縛るものだ。とする立憲主義に反しているという見解に賛同する。改憲スケジュールを権力者側から提示すること自体が先ずはおかしい。そして、憲法9条2項について、自衛隊を明文で書き込むことによって自衛隊を正当化し、軍拡予算についての歯止めをとりはらう目的があるのではないかと憲法学者からの指摘はそのとおりだと思う。
今、政権を担う安倍政権は、次々と憲法違反行為をおこなっている。
集団的自衛権行使容認の閣議決定は、明らかな憲法違反。そして戦争法。護衛艦いずもが、米国の軍艦防護についた。これも憲法違反ではないか。
国会で教育勅語を容認するような発言も、国会でそれが排除、失効されたときの事を全く踏まえていない、違憲行為ではないか。
今、審議されている共謀罪は、政府に批判的な集団や個人を不当に取り締まるためにつくるものではないか。と次第に明らかになってきた。これも内心の自由に反するものだ。
格差拡大、森友学園問題のような政治の私物化。軍事研究予算の拡大、辺野古新基地の強行、、、。
安倍政権下では、現憲法をないがしろにする言動が次々とおこなわれている事を感じる。
憲法施行から70年。300万人もの犠牲を強いられた戦後、自由で平和な社会、を築き上げるために定められ、公権力による不当な人権侵害から、私たち一人一人の自由を守り続けてきたこの憲法価値を改めてかみしめ、この憲法理念にふさわしい政治を担っていこうと思う。これは私の掲げ続けてきた持続可能な社会づくりの基盤だと考える。
5.3の憲法記念日、昨年はむのたけじさんがおられた憲法集会。2017では落合惠子さんが訴え結びにこう伝えていた
戦争が終わって良かった。戦争は二度ともういやだ。この憲法が大事だ。と信じていた祖父母や父母の声をしっかりと受け継いでいきましょう。
我々にとっての安全保障は、テロの標的になるかもしれない原発をなくすことです。そして米軍基地をなくすこと、そして主権在民、基本的な人権、平和主義を更に育てることです。と発言し、大きな拍手が沸き起こっていた。
その通りだと思う。
2017年憲法集会
憲法特集
科学をねじ曲げる政治をぶっ飛ばせ!アースデイ2017
アースデイ2017
ワシントンDCでのスピーチがはじまった。巨大なステージで、子ども達、生物学者、大学教授、様々なジャンルの科学者、NGOの代表者、宇宙飛行士、アーティストが次々とスピーチしている。テーマは March for science 科学のための行進 だ。
地球温暖化の事実を米国トランプ大統領は否定している。
再生可能エネルギーの普及よりも、更にシェールガス開発を進め、先住民の土地の地下水汚染を引き起こす石油ダコタパイプラインの建設を推し進める。
Water is Life
オルタナティブ ファクトとして、嘘八百の事を言って社会を呑み込もうとする政治。
そんな政治をNO!とするスピーチが続いた。そしてデモ行進が始まった。
MARCH FOR SCIENCE
Science not Silence
米国のトランプ政権は環境保護庁(EPA)の予算を3割削減の他、NASAの衛生計画を打ち切り、エネルギー省科学局の予算を削減し、国立海洋大気庁の予算を大幅に削減など、科学に牙を剥く予算として知られており、それに対しての抵抗運動がこのアースデイのアクションになったように見受けられる。
僕もこのアクションもちろん大賛同する。そしてこの科学に牙を剥く政治という意味では日本国内でも至る所で見られるということを訴えたいと思う。 僕は、科学をねじ曲げる政治や行政の姿勢を正す市民活動や政治をこの20年近くやってきた。
科学的な真実から遠いところで政治がおこなわれている。
科学的な真実を踏みつぶして政治がおこなわれている。
科学的に、真に持続可能といえる社会づくりの為の政治をやりたい。
1999年より市議として10年、その後県議として4年。政治の場に関わってきた。
そもそもずっとその問題と苦闘してきた。ダム開発と地下水放棄の問題。ここで先ずそれにぶちあたった。
「今後の人口増のための水道を考えると今の地下水では足りない。だからダムの水をひかなきゃいけない」と当時の市長は伝えていた。その人口増の根拠となる厚労省のデータは現状を既に反映していなかった。僕自身は長良川河口堰問題や諫早湾干拓問題での環境破壊問題の現場を踏まえた後に地元に戻って1年。長年親しんできた地下水を水源とする水道事業を月山ダムからの水に切り替える問題を指摘し、地下水保全を主張し続けた。議会で論戦は続き、僕らは住民投票の直接請求署名までおこない、全国で初の水道水源切り替えを問う住民投票を行おうとした。市は断水騒ぎまで引き起こして「水が足りない」と主張した。あのとき、科学的な真実をたどれば、市は地下水の水収支の把握をおこなっていなかった。そして当時28本あった井戸の管理が不十分で能力が落ちていた井戸があった。実際、冬の取水制限の際は、道路や市が管理する火葬場の駐車場の消雪用の水がもの凄い勢いで流れていた。地下水が足りないのではなく、そもそも地下水を有効活用するための科学的な方策がとられていなかった。そしてダム切り替えを決めていた市は、井戸のメンテナンスを怠っていた。それを原因とする政策的な「断水」「取水制限」騒ぎだった。これは当時の議会で同僚だった石川一郎 議員とともに主張した事だ。
人口が当時から減少に転じることはデータででていた。でも当時の市は人口も水需要も微増するとしていた。更に地下水の重要性を問うた議会質問に対して、当時の市長は、「地下水は硝酸性窒素の問題もあり危険だ」と当時水道水源として使っていた地下水を取水していた場所とは全く異なる下川地域の地下水の事をとりあげて主張した。これもまさに科学を欺く派発言だった。
真実とかけ離れた嘘が、議会の多数の中で正当化され、それが報道され、世論が形成される。市議会時代からその事を痛いほど感じていた。
当時、僕は、発がん性物質トリハロメタンが増える問題を指摘した事で、問責決議を受け、水源切り替え後のアンケートで「おなかの具合が悪くなった」と書かれた市民の声を読み上げた事で懲罰動議がかかり懲罰委員会が続く中で戒告処分となった。
朝日新聞の山形版は私たちの主張を掲載してくれたりして健闘してくれたが、当時の山形新聞など地元新聞ではほぼ切り替え推進側の主張だけが正当化されて掲載されていた。
県議会でもダム問題の真実を伝える事には、多勢に無勢での戦いで苦戦は続いた。議会では一人だったが、頼りになるのは、誰にでも理解しやすい科学的な真実だった。たとえばダムが影響させかねない、鮎の経済効果について、私は全国の科学者を探し続けて近畿大の研究所を見つけ、年間3万人もの人がアユ釣りに来る川の経済効果は22億円。河川環境が悪化したら年10億円の損失と試算いただいた。これも科学が導き出した事実なのだが、県は河川環境の悪化はないなどとして無視し続けた。
何のために税を投入して事業をおこなうか。科学的な真実を踏まえていなかったら、そもそものところを改めて問わなければならない。
科学的に持続可能な社会に寄与する社会とはどんな社会かにはもはや定義がある。環境要件3つ、社会的要件1つ。これらを踏まえた政治を僕は県議会でも唱え、それを貫いてきた。
今、改めて環境も福祉も、教育も、都市計画も、あらゆる公共サービスを、目指すべき持続可能な社会に照らしてどうかということをしっかりと吟味し議論していきたいと思う。
科学を無視したり、科学的真実を、権力や多数の力でねじ曲げる政治に対しては断固として闘う。
今、米国のトランプ政権も、日本の安倍政権も オルタナティブ(もうひとつの)真実などと強弁をするのだが、権力や数の力で黒を白とすることはできない話だ。地球温暖化の原因が人類にあることを今更ながら否定できないことはIPCC等のレポートで科学的に明快に証明されている。又、日本の場合、一昨年強行採決された平和安全法「戦争法」は、法理論的に憲法違反であるということは事実なのだ。また、原発やダム開発などの巨大公共事業の周辺でも、権力のプロパガンダによる真実のねじ曲げが未だ方々に見られる。この間取り組んできた最上小国川ダムの周辺も然りだ。
アースデイ2017 Science no Silence 世界のアクションに呼応して、鶴岡、山形の地域で社会を、環境面でも社会面でも如何に持続可能にするか、この事にしっかりと軸足を置いた政治をやっていきたい。
Think Globally Act locally.
地球を失ったら どんな経済もありえない。 デビッドブラウアー
熊本地震から1年。防災士、災害NGOとしての活動より。
4月14日21時26分にM7.0、4月16日1時25分にM7.3を記録した熊本地震から1年。犠牲者数は、直接死50人、関連死を含め222人。現在も48000人もの方々が仮設住宅に避難しています。住宅被害は18万9921棟とのこと。
震災直後から仲間が動き、私も4月24日より(社)OPENJAPANの一員として2日間ではありましたが、益城町を中心に現地で活動しました。当初に現地入りしたメンバーと打ち合わせ、おこなったのは、100張り手配をしたキャンプ用テントを主に車中泊などの避難者に手渡すテントプロジェクトです。
このテントプロジェクトは2004年の中越地震の際におこなったものでした。当時700張りのテントをネット等で集め被災者に提供しました。プライバシー対策とともに、当時3名もの方々が車中泊でのエコノミークラス症候群で亡くなるという事が発生しており、報道でもとりあげられました。 今般は益城町の重機ボランティアで出会った方々、阿蘇大橋にほど近い地域から避難されていた方々、西原村の方々、熊本市内の方々などに手分けしてご利用をいただきました。自宅の隣に停めた軽ワンボックスで寝泊まりをしていた老夫婦がテントに入って満面の笑顔を浮かべたり、お二人の子どもと一緒に車中泊をされていたご家族がテントに移ってほっとしたりと、大変喜んで頂きました。
現地益城町では運動公園に野口健さんがテント村をつくり、又、スノーピーク社、モンベル社等がテント普及の活動をしておられました。
こうした活動は、アウトドア雑誌Be-palでとりあげられました。更に、9月9日、第1回避難所避難生活学会で発表させて頂きました。その際にざっと提供されたテント数をまとめてみたのですが、メーカーサイドからの新品のテントが約1500張り、全国のユーザーから寄付されたテントが500張り、併せて2千張りのテントが熊本地震被災地に提供されたことがわかりました。
避難所避難生活学会は、エコノミークラス症候群を専門とする医師、新潟大の榛澤先生らがたちあげた学会で、阪神淡路大震災以降、経験を積みながらもなかなか進化しないままの日本の避難所の風景を変える事を目標とする学会です。海外の先進国の被災地では、災害後、すぐにベッドが提供され、テントなどでプライバシーが確保されるのが当たり前とのことです。学会では、医師やNGO等の熊本や東日本大震災の実践例が紹介され、災害時、震災関連死を防止するためにも、段ボールベッドやキャンプ用ベッドなどを普及させる事の重要性が説かれていました。また国際的に、避難民への対応マニュアルとしてスフィア基準というのがあり、最低限一人につき3.3㎡のプライベートスペースが提供される事が必要という事であり、避難所での空間づくりやテントの重要性を改めて学ばせて頂きました。
8月30日には岩手や北海道で台風10号による水害が発生していました。私は9月10日、岩手県岩泉町を訪れ、9名犠牲となったグループホーム楽ん楽ん周辺の現場を視察。その後、岩泉町内の避難所のベッド普及の状況、福祉避難所の状況を確認。そしてその日からボランティアが入った安家地区の現場などでOPENJAPANのメンバーとともに支援活動をおこないました。
2015年11月、防災士の資格を所得し、日本防災士機構、同山形支部での活動もはじめました。阪神淡路大震災で3年。その後、新潟水害、中越地震、東日本大震災、そして今般の熊本地震等の現場での活動の経験やネットワークを、防災士としても今後の鶴岡の防災、災害支援活動に活かして参ります。
主要農産物種子法及び農業機械化促進法の廃止法案が可決
主要農産物種子法の話。本日参議院で参考人質疑等があり、舟山康江議員が質問をおこないました。
その後、舟山議員がまとめた問題点です。FB上のものをここに記載します。
私も以前から交流のある印禴さんらが立ち上げた「日本の種を守る会」の勉強会などからこの情報を知り、山形のコメの危機ではないかとの思いを持ち、国会論戦を注視していました。舟山議員は11日の質疑で、都道府県には全く意見を聞いていない農水省の姿勢を明らかにし、本日も登壇し参考人から意見聴取、質疑をおこない、問題点を露呈させました。以下、舟山議員がまとめた問題点です。極めて重要なのでここに転記します。
本日の農林水産委員会において、主要農産物種子法及び農業機械化促進法の廃止法案が可決されました。特に、種子法は問題山積。午前中には二人の参考人から意見聴取、質疑を行い、参考人からも、なぜ、どういう経緯で突然廃止となったのか、という疑問や種子の安定供給への不安、財政支援の継続の必要などが提起されました。
廃止決定を決めたのは、都道府県や農業者からの声ではなく官邸直属の「規制改革推進会議」と「未来投資会議」の提言です。このことからもわかるように、農業の現場のため、というより、企業の参入促進のための廃止、であるということです。
誰のための農林水産省か!!と言う思いでいっぱいです。
以下、問題点をまとめました。
主要農産物種子法廃止法案の問題点
1. 種子法廃止を決定するまでのプロセスがあいまいであること。
稲・麦・大豆の主要農作物は国の基本的な食糧、基幹的な作物であり、その安定供給は国の最大の責務である。このため、主要農産物種子法を定め、種子の生産及び普及のための都道府県の責務(原種及び原原種の生産、圃場の確保、奨励品種の決定など)を規定。
つまり、この法律の主役は都道府県であり、尊重すべきは都道府県の声であるにもかかわらず、今回の法律廃止に当たり、都道府県の意見を一切聞いていない。
一方で、規制改革派の委員をメンバーとした、官邸主導の「規制改革推進会議」「未来投資会議」からの提言のみで廃止という重要な決定を決めた。
本来重視すべきは現場の声であり、現場を知らない規制改革派委員の声で政策がゆがめられているのは大問題である。
2.食料の安定供給に問題が生じる可能性があること。
食料の安定供給の実現には、地域の環境に適した優良品種の開発とともに、必要な種子を確実に生産し、適正価格で生産農家に販売することが前提となる。
このため種子法は、主要農作物種子の開発、生産・普及、流通のうち、生産・普及における都道府県の役割を規定することで、食料の安定供給の前提となる種子供給体制の構築に重要な役割を果たしてきた。
政府は、種子法が廃止された後も、都道府県による原種・原原種の生産、種子協会による需給調整など、現行の種子供給体制は変わらないとしているが、根拠法を失うことにより、今まで責任ある立場で普及や開発、供給を担っていた都道府県の取り組みが継続されるだろうか。
さらに、これまでこの法律を根拠に種子生産に対する財政支援として、地方交付税交付金が配分されていたが、根拠法を失うことにより、交付税措置が確保できるのかどうかの担保を失う。都道府県財政当局が長期的に財源を確保することが困難になると危惧される。
3.民間企業の参入により国内の種子生産、利用に深刻な影響が生ずる危険性。
例えば、民間企業が開発したF1種子が広く普及した場合、その企業の種子への依存が高まり、地域農業が企業の方針に左右される危険性が生じる。
また、将来的に国際的な巨大資本による国内市場への参入や、国内企業の買収等が生じた場合、優良な品種が海外へ流出する懸念や、外資の種子のシェア拡大が食料安全保障に悪影響を及ぼす懸念がぬぐえない。
加えて、農業競争力強化支援法案には、「都道府県が有する種子生産に関する知見の民間事業者への提供を促進する」との規定があり、知的財産、特許の流出にもつながりかねない。
4.そもそも今、種子法を廃止しなければならない理由がない。
規制改革推進会議や未来投資会議以外に種子法を廃止して欲しいと要望を出している関係者は見当たらない。
政府は種子法が民間の品種開発の意欲を阻害しているため廃止するとし、その根拠として民間の品種が都道府県の奨励品種に採用されていない事実を挙げているが、種子法は奨励品種の決定等について何ら規定しておらず、種子法によって民間の品種が奨励品種から排除された具体的事例も示されていない。
現実には、都道府県が自分たちの開発品種を自己都合で優先して奨励品種へ登録しているというよりも、民間の育成品種が本当に地域の気象や気候、地理に適合しているかというデータが不足していることから、データの蓄積のある県の育成品種を採用しているのであって、故意に排除しているわけではない。
不都合があるのなら、むしろ不都合部分の法律改正、もしくは制度の運用を改善すべきであり、このような対応により民間活力を活用しながら種子の安定的な供給体制を明確に担保していくべきではないか。
種子は国家戦略物資であり、国の責任で守るべきものである。
種子の国内自給を維持・向上させることは国の責務である。
種子法を廃止することは、このような国の責任・責務を放棄し、多様な環境にある地域農業を支えてきた都道府県による種子の生産・普及の仕組みを弱体化させるものである。
食料安全保障上の観点からも大きな問題があり、将来に禍根を残すことになる。
よって、本法案には反対である。
主要農作物種子法廃止法案に反対する。
主要農作物種子法廃止法案が今国会に提案され、衆議院は即通過、現在参議院で審議されている。本日はわが山形選出の舟山議員も質問にたった。
主要農作物とは、稲、麦、大豆のこと。この種子を守ってきたのが種子法。昭和27年、「戦後の食糧増産という国家的要請を背景に、国・都道府県が主導して、優良な種子の生産・普及を進める必要があるとの観点から制定」されたもの。「国家的要請」として、公的種子事業が制度化されたことが示されている。
この種子法によって稲・麦・大豆の種子を対象として、都道府県が自ら普及すべき優良品種(奨励品種)を指定し、原種と原原種の生産、種子生産ほ場の指定、種子の審査制度などが規定され、都道府県の役割が位置づけられている。
わが山形県でも農政で最も力をいれている一つが優良米の研究開発だ。「はえぬき」「つや姫」更なる優良品種の開発普及、ブランド米として取り組みがおこなわれている。地域の自然風土に合った優良米を県が率先して育種し、奨励品種を定め、種子生産や普及をおこなっていた根拠法がこの主要農作物種子法だ。
これをいきなり廃止するという法案が今回の法案だ。
政府の規制改革会議での議論からはじまった政策のようだが、農業の成長産業化の名のもとの政府・財界による新たな農業・農協攻撃であり、また、植物遺伝子資源を囲い込んで種子事業を民営化し、公共種子・農民種子を多国籍企業開発の特許種子に置き換えようとする種子ビジネスの攻勢との指摘がある。遺伝子組み換え作物の参入拡大を許すことにつながるとの懸念の声もある。
この問題については「日本の種を守る会」がこれまで2回議員会館で勉強会を開いて有識者の方々が真実を教えて下さっている。
第一回
第二回
なお、発信元の「日本の種子を守る有志の会」は
https://www.facebook.com/taneomamoru/
我々の命を支える食糧の根幹である稲、麦、大豆。
この種子はまさに国家戦略物資。国の責任を放棄して民間にゆだねていいわけはない。
これまで種子法によって都道府県を中心に守り育んできた種子を如何に国、都道府県の公共物として責任をもって守っていくかが重要なことだと思う。モンサントなど遺伝子組み換え作物を軸に種の支配をすすめている巨大グローバル企業による種の支配が及んだら大変なことになる。
参議院での本日の舟山議員の衆議院の差し戻しを訴えた質疑は実に真っ当だった。しかしながらこの種子法廃止法案についてはメディアの露出も少なく、ほとんどの方々が知らないままだ。
そのあたりから危惧を抱きつつ、私も細々ながらキャンペーンを展開する。
鶴岡新文化会館問題ー公文書公開資料からーその1 6回の指示書が存在。
3月のはじめに公文書公開申請を提出し、4月3日に設計変更前後の設計図、設計変更後の工事の発注に関する指示書が開示されました。 設計図面は550ページを超えます。
先ずは、開示請求の中身と、工事発注の指示書について お伝えします。 今般の5億4000万円の増額にかかる設計変更後の工事が一体いつに決定され、発注されたのか。 それからその際、金額の見積もりはどのように提示され、例えば1億5千万円以上と見積もった際はどのような 決裁の方法をとったのか。契約、仮契約はどのように締結されていたのか。等、とにかく設計変更から工事発注、施工 に係る、取り交わした資料一式を求めたつもりです。一端開示されたときは指示書もなく、再度求め、指示書が1週間後 ぐらい待たされた後にでてきました。 以下
ご覧いただくと
請負者 竹中工務店、菅原建設、鈴木工務店特定建設工事共同企業体
監督職員 鶴岡市役所 建築課 佐藤、伊藤、
係、主査、補佐、建築課長
指示書 設計図。
①平成27年6月26日 第1号 33p
②平成27年7月16日 第2号 12P
③平成28年2月2日 第3号 116p
④平成28年7月11日 第4号 129p
⑤平成28年8月25日 第5号 1p
⑥平成29年1月30日 第6号 88p
当初設計図面 216P
と設計変更後の工事は、計6回の指示がおこなわれ施工されていることがわかりました。それも第一号は27年の6月26日。6回分の指示書、それぞれのページ数が設計図面になっています。当初図面を超える枚数の設計図面が設計変更後につくられ、実際に施工されているということが明らかになりました。
しかしながら5億4千万円の積算根拠は示されず仕舞いです。それぞれの指示の際に金額について内部決裁したのではないかと推測しますが、その際の文書などはないとの見解でした。
又、指示書に金額の記載はなく、又、契約も仮契約さえも結んでいる形跡はなく、内部の決裁のみで工事が着手され、進められていたということかと思います。
いずれにしても、設計変更後、内部決裁だけで数億円の工事の発注の指示を今から1年9ヶ月前におこなっていた事がほぼわかりました。
このプロセスには疑問をもたざるを得ません。
とりいそぎ以上。3月5日 21時 草島進一
介護福祉の現場に 1 年半。最も政治に遠い現場より
草島進一の近況をお知らせいたします。2015 年 4 月の山形県議選後、地域福祉を学び直そうと、3 ヶ月間、地元の社協の介護職員初任者研修を受講。その年の8月より高齢 者デイサービスの福祉現場に勤務し 1 年半となりまし た。 要支援から要介護 4 までのご高齢の方、認知症の方、又、交 通事故の損傷などから生じる高次能機能障害の方、うつ症状の方と一緒に過ごしながら、ケアを実践する 日々です。
毎朝の送迎にはじまり、レクリエーション 指導、トイレやお風呂、食事介助、ご家族とケアマネー ジャーなどとの調整。初めの頃はトイレやお風呂介助 に若干の動揺もありましたが、ベテラン職員の方々か ら諸々ご指導を頂き、だいぶ慣れました。お一人お一 人生活環境も身体の状態も違い、更に 体調も日々変化する利用者の方々が如 何に笑顔で過ごせるかを考え、対話、 体操やレクリエーション、ドライブで 季節の花や景色を見にいったりといった毎日です。
そんな中、高齢者施設に障がい者を 受け入れる、基準該当サービスを申請し 認定を受け、それまで自費利用の利用者を無償化し、現在2名の障がい者と、 スタッフの赤ちゃんが同居する共生型 デイサービスにほど近い環境を実現で きました。
民家を改造した小規模の共生型デイサービ スは、少人数で利用者お一人お一人に気配りが効き、 若年の障がいの方がいるなど年齢的にも多様性がある 大家族のような環境であり、利用者同士が助け合う場 面も見られます。又、調理補助など、認知症に効くと される手続き記憶の実践もでき易く、ケアの場として、 とても有意義だと改めて実感しています。
90歳代の ご利用者の方から戦時中 20 代で上空 B29 の編隊を 観てぞっとした事や当時の苦労。シベリア抑留から終 戦後2年も戻れず大変な日々を過ごしていた事などの お話を伺ったり、又地域の祭事や食文化など、今まで 接することができなかった、「もうひとつの鶴岡」を 知る機会も頂きました。
2000 年にはじまった介護保険制度。度々の制度改正の中、最近の政府は処遇改善策を強調していますが、 そもそも 2015 年 4 月の介護報酬の切り下げによる施 設経営への悪影響は大きく、特に小規模施設の厳しさ を現場に入って改めて実感しました。 介護職の現場はほぼ最低賃金に近い給与体系であ り、その大変さも身にしみて感じています。又、市内 に車椅子の方をお連れした際、コンビニや公共施設で も、使う事ができるトイレが意外と少ないということ。 又、県内では比較的福祉が充実しているといわれる鶴 岡市であっても、不足している社会資源がある事にも 気づかされました。
介護職は、利用者の日々のいのちや暮らし又、人生に向き合いケアをおこなう有意義な仕事です。経験を積み、スキルアップすることによる専門性も高まりますし、それに伴い自信や、やりがいも得れる職種だと思います。なにより賃金等の処遇改善が大きな課題と実感しています。
今年 4 月から、要支援の介護予防対 象者は、国の介護保険対象から離れ市の 総合事業へ切り替わり、更に政府は介護 1,2の方々のサービスの切り捨てを検 討しはじめています。更に迎える超高齢化と人口減少社会。大きくしくみの改悪も予想される中、介護の現場と行政施策との矛盾を解決し、市としてよりよい地域包括ケアの体制、福祉、医療のモデルを如何につくるかは改めて大きな政策課題と感じています。
介護の現場は政治からもっとも遠い場です。しかしながらそこにこそ政治が必要である事を実感します。
福祉現場の実体験を活かし、更に声を踏まえ、よりよいしくみに変えていく政治を志して参ります。
PDFでもご覧になれます。どうぞ印刷してご覧下さい。 草の根通信320
草島は現在 市内伊勢原町 16-16 通所介護施設
「ハビビ伊勢原」の介護員、管理者、生活相談員と
して勤務中。福祉関連のご意見、ご相談もお待ち
しております 090-4388-3872
鶴岡市新文化会館 96 億 7600 万円 !? を問う。ー草の根通信320より
鶴岡市新文化会館 96 億 7600 万円 !? を問う。
草の根通信3.20 より。
近況をまとめ、簡易印刷で発行している草島進一の草の根通信 3.20号では 新文化会館問題についてピックアップしています。
現在介護現場で勤務中の草島です。仕事の合間を縫って議会のネット傍聴、友人の傍聴メモなどをまとめて情報を整理。
この間、このブログにも記載してきましたが、3月10日に「鶴岡持続可能社会研究会」代表として市に公開質問状を提出するなどしてきました。
先ず第一弾の問題抽出です。
以下、PDFです。どうぞ印刷してご覧下さい。
県議会議員選挙後、鶴岡市内のデイサービスの介護職 として福祉の現場に身を置いて1年半。
予算倍増、更に 8 億もの追加予算で疑問の声が沸いて いる鶴岡市文化会館の問題をピックアップします。
国の史跡、藩校致道館を呑み込むような、異様な 建物が姿を現しています。「あの異様な屋根の形は 何?」「滑り台?」「城下町にふさわしいの?」等、 市民の皆さんから驚きの声があがっています。また、 ここにきて 8 億 400 万円もの増額!当初予算 45 億の 2 倍以上の 96 億 7600 万円の金額とはとんでもな い!の声が広がっています。 この文化会館建設事業は、基本設計時では 45 億円。 その後、入札不調で建設費が膨れ 78 億9千万円を H26 年 8 月臨時議会で議決。H26 年9月 30 日に 78 億 8400 万円で落札(99.9%)され、H29 年8月 31 日までを工期とする工事が進められてきました。
新たな増額 8 億 400 万円の内訳は
設計変更による工事と追加工事 5 億 4000 万円
外構工事費 7700 万円
物価の高騰などのインフレ・スライド 1 億 8700 万円
市は設計変更分の追加工事 5 億 4000 万円について 1)屋根の下地をボードから、軽量コンクリートへ 変更。2)釣り天井の除去。3)今後の付帯工事等 を議会で示しました。
私が驚いたのは、先ず 5 億をも超える設計変更追加工事が完成直前の今になって示されたこと。更に、屋根下地は H27 年 6 月に設計変更し工事着手と、1
年半以上も前に工事に着手していた事です。議会で
当初の設計のミスではないか?等の指摘がありましたが、市は「設計者に責任はなく、増額は不
可抗力」などと応えました。又、工事金額の内訳は 差し控えるとの事でした。しかしながら屋根部分が 難工事で現場で施行方法の検討が生じたことを市は 示し、結局デザイン重視の設計が高額増額の原因で ある事は確かと感じました。 私が問題視したのは、1 億 5 千万円以上の工事契約は地方自治法や条例で議決が必要とされているの に、設計変更の際に議会や市民に説明もなく、工事 が先行されていたこと。
3 月 10 日に公開質問状を提 出しました。友人の市長経験者等から「余りに不透明」「裁量権の逸脱、濫用では ?」との声がありました。 ただでさえ増額を重ねている施設なのに、数億を 超える設計変更工事を議決もしないまま進めた、そ の説明責任は極めて不十分で、とても増額は認めら れません。市長の責任は重大であり、議会のチェッ クは甘すぎると感じています。 鶴岡市新文化会館は本体工事 86.9 億円、(1168 席)延床面積m²単価 110 万円。一席あたり 744 万円。 先日 69.8 億円で落札された山形駅西口の県の文 化会館 (2001 席)m²単価 44.7万円。1 席あたり 349 万円。全国初の大型木造建築で音響も抜群で大 変評価が高まっている南陽市文化会館。本体工事 60 億円(1403 席) は、m²単価 102 万円。1 席あた り 428 万円です。鶴岡市新文化会館は、他と比べ高 額な文化会館である事は明らかです。
今後の市民負担ですが、建設費は合併特例債を活 用し市民の実質負担は 29.5 億円との見込み。又、 維持管理費用は年間 1 億 4 千万円。
これが未来世代にずっとかかってくる市民負担となります。
何がおかしいか。更に調査を進めて参ります。