持続可能な鶴岡ブログ

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月別ア―カイブ: 2月 2006

日米ダム撤去委員会ーー穴空きダムはナンセンス


衆議院第2議員会館の会議室で開かれた日米ダム撤去委員会第2回国際会議
「国際的にも求められている治水論の大転換」に参加。

米国NGOアメリカンリバーズ エリザベスバーンバウムさん、オランダ交通水管理省 キースストームさんを招聘し、大熊孝 新潟大教授、岡本尚 森植物生理研究室学者、
今本博建 京都大学名誉教授 五十嵐敬喜 法政大学教授 百瀬敏昭 東海大学講師、といった第一線の研究者たちによる5時間にわたる国際会議。
 天野礼子さんのエネルギーには毎度ながら関心する。
今回の会議冒頭には、本日9時から国会予算委員会で激しく追求をしていた前原民主党代表もスピーチし、しばし海外ゲストなどのプレゼンに耳を傾けた。

 米国ではすでにダムの時代は終わり、年間役40の小規模ダムが撤去されており、大規模ダムについても検討され結局1999年以降700もの大小のダムの撤去が完了されている。ダムを撤去し、川の自然を取り戻し、結局は鮭がのぼる川にもどす。そして鮭が運ぶ養分を復活し森も回復する。そうした事が常識になっていりう。また
カトリーナ台風被害によって、特に治水のあり方、水源利用計画の変更が必要なことが証明され、米国の大部分の大規模水資源計画に責任をもつ陸軍工兵隊の姿勢の変更が必要なことを力説した。

キースさんは、オランダのハーリングフリート河口堰について、4000年に1回レベルの高潮から守られたが、汽水息などを失い生態系を破壊した代償は大きい。そのため、2008年に水門をあけ、自然のダイナミクスを回復するのだという事について説明があった。

大熊先生からは04年の新潟水害の際、ダムが2つもある五十嵐川で破堤による死者がでるという最悪の結果を招いてしまったことについて、ダムによる治水の限界。また治水政策自体は以前の方がすぐれていたのではないかということについて提示があった。

岡本先生からはダムの堆砂の問題についてのプレゼンがあり、国土交通省の堆砂速度の見つもりなどは現実のものとずいぶん食い違っているなどの提言。

その後、今本先生、五十嵐先生、天野さんをいれてのパネルディスカッションになったが、治水のあり方が世界中で見直されているということを印象づけた。

僕も一つだけ質問してみた。小国最上川ダム計画にも採用されている穴あきダムについて、米国の事例、また、河川工学の第一人者である今本先生におうかがいしてみた。
するとエリザベスさんは、そんな穴などあっても岩や木などが詰まってしまうのがおちなのではないですか。利水用の目的がないのなら、ダムなど造る必要はありません。
と「ほとんどナンセンス」というような姿勢を見せた。今本京都大名誉教授(河川工学)は、「穴あきダムなんていうのはインチキだ。治水専用でも環境への悪影響は大きい。ダムではなく河道改修や堤防強化などを優先すべきだ」と語りました。
 
 米国では700ものダムを撤去して川の再生がはじまっている。日本では3000以上のダムをつくって、いまだに150ものダムを建設しようとしている。そしてトレンドが「穴あきダム」だ。天野さんが「今日、エリザベスさんがいいおみやぎをくれた。それは米国でダムをつくろうとすると、地域の自治体で25%の資金をださなければつくれないそのしくみだ。大熊先生の本に「技術にも自治がある」という本があるが、まさにそこに問題がある。日本ではダムをつくろうとすると県営ダムであってもほぼ9割以上国から建設費用が捻出される。小国川ダムについてもまさにそのためだ。
 
 とにかく「穴あきダム」は米国のNGOに笑い者にされた。ダムを造り続けた河川工学者も疑問をあげている。山形の最後の清流にこんなナンセンスを許してはいけない。



ボランティアフェスティバル参加


櫛引町でおこなわれたボランティアフェスティバルへ。

お水とり 絹織物


いなほが運休になっており、大雪警報などもでていたため出張をとりやめ。
善宝寺のお水とり、シルクフェアへ行く。庄内は、養蚕から縫製までおこなえる、 全国でも唯一といわれている地域。著名ブランドのシルクのスカーフなどが鶴岡でつくられていることを知らない人も結構いるのでは。若手のデザイナーなどと連携して、鶴岡ブランドがもっと発信できるといい。去年シルクサミットを契機につくられたサイトはhttp://www.silk.gr.jp/
はなかなかのものだと思うのだが。



猛吹雪 再来。節分。



一日、資料の整理とHPの改修をする。猛吹雪。明日、みどりのネットワーク会議のための切符を求めに駅に行くと、普通列車が藤島で雪を抱えてストップ。その後のいなほなど、すべて運転の見込みなしとのこと。うーむ。切符は買ったが微妙。深夜バスも一杯のようだ。
 Newsクリップ2/2
エチゼンクラゲなど大型クラゲの大量発生に伴い、庄内沿岸で漁獲量減少や漁具破損といった被害が昨年9−12月の間に1405件(推定値)に上ったことが1日、県庄内総合支庁水産課のまとめで分かった。被害の内訳は小型底引き網が603件、定置網329件、ごち網471件、張り網2件。
 →エチゼンクラゲの被害は、今、日本海、そして津軽海峡を越えた太平洋側沿岸にまで達している。1年で超巨大になるこのクラゲだが、最近特に大きな問題となっている。富栄養化、海洋汚染、それほど海の環境が変わってきたということなのだろうか。
 テレビで「風の谷のナウシカ」をやっていた。この映画が公開されたのは1984年。僕が19歳の頃だ。予備校時代か。思わず見入ってしまったが、環境汚染や環境破壊によって増えた、毒の胞子を放つ腐海が、人類を滅ぼそうとする。しかしその腐海の底には、清冽な地下水が流れ、清浄な空気が満ちている。ナウシカは当時、「エコ」という言葉がはやる手前の時代に一つの提示を投げかけていたのだと感じたし、場面設定の緻密さや表現に深さを改めて感じた。
 エチゼンクラゲの被害については、目先の対処案も必要だが、根本的な海洋汚染についてのリサーチと対処が必要なのだろうと思う。

黒川能 soft power


2月1日。朝のつじ立ちから1日をはじめる。
一本「動物虐待」についての電話をいただく。茅原でブリーダーが飼育していた30頭もの犬が餓死したとの事。
午後、大学関連施設などについて意見交換。

毎年、2月1日は黒川能を楽しみにしている。2月1日、2日間、夜通しでおこなわれる黒川能。混雑が落ち着く時間を待って下座へいく。狂言、能を交互に「禰宜山伏」「石橋」「棒縛」「胡蝶」などを観る。気がついたら深夜2時をまわっていた。白々と明けるまでこの能はおこなわれる。

500年以上続くといわれているこの文化。エネルギー、凄いの一言だし、これを守り続ける集落の人達の信念、団結力。本質的な、強烈なまつりの美しいパワーを感じた。
 能の方は方言で演じられる言葉を理解することは難しいが、面、衣装、仕草。せりふ。一場面、一場面、一心に奉納の舞台を演じる一人一人をみていると、山伏修行の時、勤行を唱える如く、いつもは忘れていたけれども、何か、古くから遺伝子に組み込まれていたような時間の流れを感じるような瞬間がある。
 それに、ここに観ているものは、まつりとしての本当の美しさということか。このまつりには演じる人だけでも大地踏みを演じる小さな子供から白髪の大先達まで参加をする。準備で豆腐を焼く、雪かきをする、扇をかつぎ、春日神社の階段を駆け上る時は若い衆がめいっぱいの力を出す。資金を寄付する、などと集落の多くの人が多様なかたちで参画をしている。
 自然の恵み、神に感謝し、一心に演じられる能。一挙ににぎやかになる狂言。神が宿るゆるやかな時間の流れ中で、まつりにコミットしながら、集落のきずな、団結力が保たれて、幸せに満ちている。
 観客の僕らはその中のひとつまみの時間を共有し、高揚するのだが、こうしたまつりこそ、カネ、モノにしばられた呪縛を溶かし、触れることのできる本物の美しさであり、ソフトパワーなのではないか。
 
 このまつりは、この集落や鶴岡を超え、まぎれもない偉大なる宝ものだ。民がつくりあげるこうしたソフトパワーやクリエイティブこそ、この混迷の時代の闇を照らす光なのではないだろうか。

様々なご苦労があると思うが、この透明で偉大なエネルギーの場を生み出しつづけている、黒川の皆さんに拍手を送りたいし感謝したい。