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本日の朝日新聞に国土交通大臣交渉が
本日の朝日新聞より
昨日の大臣交渉が朝日新聞二掲載、
論点は明快。
最上小国川ダム予算凍結を 反対派、国交相と面会 山形
2011年12月3日00時36分
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山形県が最上町に計画している最上小国川ダムの建設に反対する「最上小国川の清流を守る会」代表の川辺孝幸・山形大教授と小国川漁協の沼沢勝善組合長は1日、東京の国土交通省で前田武志国交相と面談し、河川改修による治水対策を訴え、ダム建設を補助する政府予算の凍結を求めた。
面談には草島進一県議、田中康夫・新党日本代表、今本博健・京大名誉教授らも同席。(1)「赤倉温泉の湯脈に影響するので河床掘削はできない」とする県の主張はうそ(2)県が設置した堰(せき)や床止工(とこどめこう)によって河床が上昇し危険(3)「穴あきダム」は土石流などで流れる樹木や土砂で穴が詰まり、被害を拡大する可能性がある(4)アユへの影響の損失コストを考えれば河川改修の方が安上がり――などと説明し、河道の掘削や拡幅などによる治水対策を求めた。
草島県議は面談後、「大臣は『国交省も持続可能性を大事に考えている』などと理解を示してくれた」と話した。同ダムは政権交代後の見直し対象になったが、国交省は今年8月、県の方針を受け入れて事業継続を決めた。(三浦亘)
最上小国川 赤倉温泉地域の治水方策への考察。
赤倉温泉地域の治水について
(県がつくったと認めた堰から上部にかけて土砂堆積している。)
これを除去することで河床を下げることができ、河道の流下能力を下げることができる。
県は、「河道掘削すると温泉の湯脈に影響を与えるので、河道掘削できない」と主張し続けてきた。しかし、それは県が温泉調査を依頼した川辺教授により完全に否定された。川辺教授は、そもそも県の調査は「温泉調査」が目的で河床掘削できるか否かが目的ではなかった。調査員3名が確認したのは温泉と川の水位が関連しているということのみで、工事期間の補償を含めた影響を除去する対策の検討は十分におこなわれなかった。そして、「『工事が温泉宿の湯船のお湯に影響を与える』から河川改修はできない」は、単に県がダムを優先するために創作した推論をおこなったものであることが論証された。
河川を掘削しても,対策をきちんととれば問題ないことや、現在も河川水と温泉水が混合して湯船に流れ込んでいるシステムで現在の温泉宿の湯船に流れ込むお湯は成り立っていること。
さらに、現状では河川の増水や渇水で温泉の利用ができなくなる状態であるが、河川掘削工事に伴ってより効率的な混合システムをつくることによって安定的にお湯を供給できるようになることや、更に、河床掘削による河川改修は温泉宿のお湯の確保の点でも有利になることを、川辺教授は論証した。
● 治水方策として優先されるべきこと。
1)現状で水害要因をつくりだしていると思料される落差工、床止めを除去し、河床掘削すること。
2)一軒の旅館(阿部旅館)について、湯量を維持する工作をおこない、影響がないように配慮し工事すること。
3)県は、河川水と関係のない「内水被害」で浸水していた箇所を殊更に強調してダム建設の理由に利用していた傾向があるが、この解消策は河床掘削で河床を下げることである。
4)温泉排水などの垂れ流しを止めること。
等をおこない、清流に面した美しい温泉街を再生しつつおこなう「まちづくり治水」こそ有効な治水対策である。
小国川流域で人口が密集する瀨見温泉地域、月館地域は、1/50確率の治水が完成している。赤倉温泉地域でこうした河川改修に伴う治水対策をおこなうことによって、人命を守る治水を叶えることができる。
河川改修を下流からおこなわねばならないので、河川改修で72年かかると検証の場で論じられていたが、通常の河川整備も暫定確率を設けて段階的に整備するのが通常である。「検証」の場において、ダムが有利と言いたいがために、全ての河道(つまり農地など)についても人家と同様の1/50確率の治水対策を下流からおこない、堤防内から水が逃がさないのが当然というような主張がおこなわれていたが、総合治水管理の流れからいえば一昔前の治水対策である。ゲリラ豪雨が広範囲で降る傾向がある近年、(今年9月の和歌山の豪雨災害がよい事例)、遊水池や田んぼダムなど、流域の氾濫原対策を加味するなどの方策を考慮に入れるべきである。
12.1 前田武志 国土交通大臣への申し入れ。
昨日午前2時20分から15分にわたりおこなわれた、前田武司国土交通大臣への申し入れについて。
以下の文書を申し入れいたしました。
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2011年12月1日
国土交通大臣 前田武志 殿
最上小国川の清流を守る会
共同代表 川辺孝幸
共同代表 高桑順一
共同代表 草島進一
小国川漁業協同組合
組合長 沼沢勝善
「最上小国川ダム」建設中止を求める要望書
私達は、11月27日に開催した「県民による緊急検証 最上小国川ダム」において再検証した結果、最上小国川の治水対策は、穴あきダム建設ではなく河川改修にすべきという結論に至りました。
アユ踊る日本屈指の清流 最上小国川は、東日本大震災の津波や放射能汚染でダメージを受けた東北に残る生命の源。山形の宝、日本の宝であると私達は考えます。実際に小国川のアユは被災地岩手県の河川の放流用種苗になっています。
山形県の最上小国川、最上川流域住民の生命と財産を守り、持続可能な流域を叶えるためには、最上小国川の治水策として、穴あきダム建設は不要であり、河道掘削、拡幅などによる河道改修による治水対策を求めます。
よって、「穴あきダム建設を治水対策」とした国家予算の凍結を求めます。
論点。
1)県が主張していた「赤倉温泉の湯脈に著しく影響するため、河床掘削はできない」は、実際に県が温泉調査を依頼した川辺孝幸山形大学教授によって完全に否定された。そもそも県の調査は「温泉調査」が目的で河床掘削できるか否かが目的ではなかった。調査員3名が確認したのは温泉と川の水位が関連しているということのみで、工事期間の補償を含めた影響を除去する対策の検討を十分におこなわずに,「『工事が温泉宿の湯船のお湯に影響を与える』から河川改修はできない」と、県がダムを優先するために創作した推論でしかなかった。
河川を掘削しても,対策を施せば全く問題を生じない。現在も河川水と温泉水が混合して湯船に流れ込んでいるシステムで現在の温泉宿の湯船に流れ込むお湯は成り立っており、時々河川の増水や渇水で温泉の利用ができなくなる状態であるが、河川掘削工事に伴ってより効率的な混合システムをつくることによって安定的にお湯を供給できるようになるなど、河床掘削による河川改修は温泉宿のお湯の確保の点でも有利になる(川辺孝幸)
2)現在、赤倉温泉地域の河床は、県が設置した堰や床止めによる土砂堆積のために上昇し、それが洪水のたびに水害をもたらす原因になっている。一軒の旅館(阿部旅館)の温泉を維持するために、県が設置した堰、床止めによって河床上昇し、危険をもたらしている。県や国はそうした構造物を除去し、それを原因に堆積した土砂を除去する事がダムよりも先決である。
3)「穴あきダムは環境にやさしい」「鮎に影響がほとんどない」と山形県は主張し、流域住民に流布し続けてきた。しかし類似の穴あきダムは何れも上流にダムがある流域につくられた益田川ダムと辰巳ダムのみであり、小国川のような清流環境につくられた試しはなく「環境影響の実証」はないに等しい。
4)また、「穴あきダム」は、ダムの上流で斜面崩壊や土石流が発生した場合、流れてきた樹木や土砂・砂礫によって穴が詰まって、「穴あきダム」の機能を失ってしまい、逆に被害を拡大する可能性をもっていることが、山口県防府市の老人ホームの土石流被害などの同様な形状の場所で明らかになっている。
5)県の見解に対して、「アユへの影響が想定されるべき事象が評価されていない」「影響が小さいとはいえない」と高橋勇夫 (たかはし河川生物調査事務)が反論した。穴あきダムとて環境に影響を与える可能性が十分あり得ることが論証された。(要旨別紙)小国川のアユの経済効果は、年間22億円、環境悪化で年10億円ずつの損失(2011近畿大 有路研究室調べ 別紙)と推論されている。これについて、県は「環境やアユにほとんど影響ないので想定外」としていたが、環境悪化に依る損失をコスト比較にいれる必要がある。それを加味すれば、河川改修のコストがダム建設よりもはるかに低廉である。
6)年間1億3千万円(2009年実績)の漁獲高を誇る小国川漁協は、組織をあげて穴あきダム建設に反対を貫いている。漁業権をもつ漁協が反対しているダム建設は、本体着工が不可能であることは川辺川ダムで実証済みである。川辺川のように、本体着工の了承がとれぬまま周辺工事を進め、結局本体着工できなければ、公金のムダだけが残る結果となりかねない。
以上
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前田国土交通大臣への申し入れは田中議員、又、小国川を五回も踏査していただいている今本博健先生との同行の中で、終始おだやかに進められた。
交渉内容は再アップします。