漁業権とダムについての公開質問状 提出6月20日
2014年6月20日
山形県知事 吉村美栄子殿
山形県議会議員 草島進一
最上小国川ダムについての公開質問状
- 6月8日おこなわれた小国川漁協の総代会では「ダム建設やむなし」とする決議案に対して、賛成57、反対46という結果でありました。
しかしながら、この議決によってダム着工できる等の法的根拠はありません。ダムを認める権限など、漁協にはありませんし、ダムの是非を水産業協同組合法に基づいて決めることはできません。又、ダムをつくることによって、漁業権を喪失するなど損害を受ける組合員の同意がなければ、水面上の工事の着工はできません。
漁業権や財産権をもつ権利者全員の同意かつ補償が満たせなければダムの着工は法的に不可能であります。よって、漁協の組合員をはじめ、権利者への補償交渉が成立してもいないのにもかかわらず「組合員の意向調査」にすぎない今般の漁協の決議を根拠に「漁協がダム容認である」等と扱い、「ダムを前提とした漁業振興」の協定を結ぶ等という6月16日の言動は、違法行為ではないでしょうか。
見解を求めます。
2)そもそも漁業振興策は、ダム建設など開発行為とは切り離しておこなわれるべきものであります。
昨日担当に伺えば、喫緊の課題である漁協のアユの中間育成施設等の井戸の整備は、ダム建設の有無に関係なくおこなわれるとのことと伺いました。しかしながら漁協の総代会以前は、多くの組合員や総代がダムとセットではじめてそれが行われる旨の説明を受けていたようですが、県がそうした説明や誘導をしていたのではないですか。総代会前の県の姿勢、又、現時点のダムと特に中間育成施設の井戸整備などの漁業振興策の関連性について改めて確認いたします。
又、県が掲げる「ダムのない川以上の清流」などどこに先例があるのでしょうか?昨日担当に尋ねれば「ダムをつくるけれどもダムのない小国川と同等かそれ以上の清流を目指すのだ」ということであります。その前例はどこにあるのでしょうか。見解を求めます。
3)5月17、18日に最上小国川の清流を守る会が開催したシンポジウムの結論として、今後の観光振興策や地域の持続可能な発展を考慮した際、「ダムなしの治水対策と本来の川のポテンシャルを活かした漁業振興策」こそ、科学的に可能であり、赤倉温泉をはじめ小国川の流域の未来の発展につながるという結論が得られ、先日要旨をカラー刷りの資料でお渡ししました。全国から錚錚たる科学者が集い、最新の知見で話し合われた結論であります。これまで50人の有識者、50回の協議などとされていましたが、回数や人数の問題ではないことは自明であります。
この結果や最新の科学的な結論こそ、県政発展の試金石であります。こうした科学的な結論を貴殿は無視し、排除し続けるのでしょうか。見解を伺います。
また、今週末の6月21日の土曜日には、50年に渡りアユの研究に携わっておられる生態学の世界的権威である川那部浩哉先生が小国川を視察し講演をされます。(舟形町 午後7時 別紙)関係者の出席を求めますし、こうした研究者の見解を今後の漁業振興策に活かしていただきますよう、心よりお願い申し上げます。
以上、質問については、重要案件であり、基本的な知事の姿勢についての質問につき、来週冒頭に、可及的すみやかにご回答を公開の場で直接伺いたく存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上。
小国川漁協はダムを容認したのではありません。
6月8日、小国川漁協の総代会がありました。その際、ダム容認57対ダム容認反対46という結果でした。そもそもダムを容認するかどうかということは、漁業権に関わる案件ということで水協法で、総代会で特別決議2/3を以て決議できるということになっています。 6月8日、最上小国川の清流を守る会としては、以下の声明を発表しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2014年6月8日 小国川漁協の総代会の結果を受けた声明 報道機関各位 最上小国川の清流を守る会 本日、小国川漁協の総代会において、「ダム建設やむなし」という理事会の提案への決議について採決がおこなわれ、賛成57 反対46という結果になりました。 しかしながら、この議決によってダム着工できる等の法的根拠はありません。ダムを認める権限など、漁協にはありませんし、ダムの是非を水産業協同組合法に基づいて決めることはできません。又、ダムをつくることによって、漁業権を喪失するなど損害を受ける組合員の同意がなければ、水面上の工事の着工はできません。 今般46人もの総代の方々が、ダムによらない治水を求めました。 この数は組合員の中にも数多くの方がダム反対であることを示しています。 漁業権や財産権をもつ権利者全員の同意かつ補償が満たせなければ、ダムの着工は法的に不可能であります。 仮に漁協が水協法に基づいてダムに同意できるという説に基づいた場合でも、 2/3以上の賛成が必要とされる特別決議が必要です。今般は普通決議で、かつ賛同者が2/3に達しておらず、ダムに着工できることにはなりません。 今後、補償交渉入りを県が提案してくると予想されますが、その際、権利者全員からの委任状を取得した上で補償契約を締結しなければ、ダムの着工はできません。 よって、ダム本体着工までは数多くの手続きが必要であります。 我々は、今後も故沼沢組合長の遺志を継ぐ組合員の皆様とともに、ダムに拠らない「真の治水」を求め続けて参ります。 以上。
本日のアクション。最上町長に提案する プランB
最上小国川ダム問題。本日は午後1時30分に、大場さんと2名で、最上町、町長室にて 副町長宛申し入れをしました。
2014年・6月3日
要請書
最上町 高橋重美 町長様
水源開発問題全国連絡会
ダム検証のあり方を問う科学者の会
最上小国川の清流を守る会
私たちは5月17日18日、故沼沢勝善小国川漁協組合長を追悼の意を込めシシンポジウム「最上小国川の真の治水を求めて」を開催した。 河川工学者として、今本博健 京都大学名誉教授、大熊孝 新潟大学名誉教
授 嶋津暉之 水源開発問題全国連絡会代表。魚類生態学者として 朝日田卓 北里大学教授。漁業法の専門家として 熊本一規 明治学院大学 教授 鮎釣りなどの漁業振興策の専門家として釣り人社 社長 鈴木康友氏を招聘し、温泉地質の専門である川辺孝幸 山形大教授(当会共同代表)とともに、これまでの県の見解に対する反論をはじめ、赤倉温泉をはじめ流域の「真の治水」について議論し、結論を導き出した。 総意として以下、添付する資料とともに提言する。
1)真の治水対策について 優先すべき「ダムなし治水と赤倉温泉の改修プランを改めて検討すること。 県は、ダムに拠らない治水を技術的に不可能として排除し続けてきた・ まず、裁判資料から、県が「河床掘削が温泉湯脈に影響するので不可能」と主張してきた拠り所としてきた金山荘賠償事件は、問題とされていた護岸工事では関係ないことが発覚し、根拠がないことが明らかになった。
今般招聘した3名の河川工学者は、川に面した温泉旅館の温泉の確保のために以前は木製だった堰を県がコンクリートで作ったために、土砂が堆積し、全体的に河床上昇がおきている事を確認した。そして県がつくった堰(落差工)を取り外し温泉湯脈に影響させることなく河床掘削や河川改修を行う事は技術的になんら問題はない。つまり県が主張してきた「技術的に不可能」という見解を完全に覆した。
「真の治水」とは、治水の対象となる赤倉温泉街や流域の未来に貢献する治水対策である。現在中心の旅館が倒産し、老朽化が進む旅館群を美しく、秩序をもって河川改修とともに、次世代に渡り持続可能であるように再生させるプランこそ、最善策である。 この図が添付するこの河川改修の構想図である。堰を取り払い、橋桁のない橋脚に付け替える。それと同時に15年前に東北芸術工科大とともに住民がおこなったまちづくりワークショップの際から課題であった「川に背を向けた温泉街」を「清流と共生する温泉街の景観」へ、又、現在老朽化している温泉旅館を、一部セットバック、コンパクト化し、次の時代に要請の応えた改修をおこなうものである。 地球温暖化、ゲリラ豪雨などが懸念される昨今、人口減少社会の社会コストを踏まえても、想定外の事態に対応できず、更に維持費が長年かかるダム等による「定量治水」よりも、どのような洪水にあっても命を守る」を目標とする「否定量治水」として水害に強いまちづくりを目指す「流域治水」が肝要であり、自然資本の価値を踏まえても流域治水としての河道改修、堤防強化が優先されるべきである。 以上、この図のような治水プランを抜本的に検討し直すことを提案する。 他、穴あきダム建設の問題として 2)流水型ダムの閉塞の問題 3)環境への影響 4)漁業振興策 についての科学者の見解は、添付の資料のとおりであり、重く受け止めていただきたい。先般5月26日開催された角哲也氏の講演はこれらの見解に対し、全く解決策になっていない。環境への影響については、先般講演終了後このうち朝日田 卓 北里大学教授の見解に沿って質問させていただいたが、全く回答をいただけなかった。 魚類生態学者や河川工学者が口をそろえ「清流小国川を破壊する」と評価する小国川ダム建設を止め、本来優先すべき河道改修プランを再検討することを提言する。 以上
(さらに…)