避難所の風景を変える。避難所、避難生活学会で発表して参りました。
9月9日(金)一日お休みをいただき、前日の深夜バスに乗り込み、お茶の水駅のsolaシティであった「避難所・避難生活学会」に参加し、阪神淡路大震災以降の被災者支援活動の中で、特に避難所の課題解決について。神戸を教訓に中越大震災「中越元気村」から熊本「OPENJAPAN」 まで実践してきたテントプロジェクトについて、プレゼンをして参りました。
避難所・避難生活学会は、この春、熊本支援を通じて知り合った榛澤 新潟大学 医師(学会長)から、ぜひにと誘われて行った学会です。この学会の趣旨は明確でありました。当日プレゼンされたのは、中越地震の時にエコノミークラス症候群の診療にあたりその問題に直面し、その防止策を呼びかけ続けてこられ、弾性ストッキングや段ボールベッドなどの普及に取り組まれてきた榛澤先生を中核として、石巻、熊本、盛岡等最前線の現場で診療、対策に取り組まれてこられた医師の先生方、看護士、避難所運営、都市計画の専門家、災害関連法の進化に取り組む弁護士、被災地支援策を検討する大学教授とNGOなど。各々がプレゼン10分〜15分で午前8時半から午後5時までびっちりほぼ休みなく続くものでした。その後の懇親の場は、スピーカーの先生方や、南海トラフ地震に備える県の防災課長さんなどの実践の詳細に触れることができる貴重な場でありました。
エコノミークラス症候群の原因となる血栓の調査を実際に避難所でおこなった石巻赤十字病院の医師は、段ボールベッド導入により確実に避難所での問題であった多くが解決したことを発表されておられました。イタリアの被災地では24時間以内にテントや簡易ベッドが並び、各家庭プライバシーが確保されて避難できるということが20回以上、海外の被災地に足を運ばれたとお話しされていた榛澤先生をはじめ多くの先生方が共有されていました。
ここで私が発表したサマリーは以下のものです。
2000張 約1億円分のテントが熊本の被災者2千家族を支援した
•熊本地震 被災地への主なメーカーからのテント支援(各社WEB、聞き取り)
スノーピーク社 789張(無償貸与・提供)
日本コールマン社 416張(無償提供・内150販売協力)
モンベル社 262張(無償貸与・提供)
合計 1467張
全国からの寄付テント 546張(SP社が窓口)
合計 2013張 約2000張。2000家族(6000名) が利用
×約5万円=約1億円分のテントが被災地へ提供
RQ、アウトドア義援隊、チーム藤沢 ODSS、キャンプ協会、ガイド、アウトドア事業者が協力
そもそもテントを被災地で提供しようという活動は中越地震の際、中越元気村として私たちが呼びかけ集めた700張りのテントを手渡した(中越元気村)のがはじめでした。その後、能登沖地震、中越沖地震などで150張りのテントを手渡す活動をおこなってきました。今般の熊本ではアルピニスト、野口健さんが益城町につくった160張りのテント村が注目を集めました。しかしながら、中越地震以降、経験を積んだアウトドアメーカーが提供し、メーカー自らを含め山岳ガイド、アウトドア事業者などが協力して熊本の被災者に提供したテントが2000張り、約1億円分を超える事を改めて発表しました。
それと同時に私どもが中越沖地震後に試してきたキャンプ用簡易ベッドを並べる取り組みについて、避難所のお年寄りなどに試用していただいたり自治体幹部に試用して頂いた際に大変好評だったことを紹介しました。
その上でテントやベッドをそろそろ政府調達品、自治体備蓄品にし、阪神淡路代震災以降21年立っても変わらない避難所の風景を変えていきたいと結びました。
発表の中ではこの学会の事務局をつとめるJ-packs(株)の水谷さんより東日本大震災以降の段ボールベッドの普及の実態のご報告があり、各自治体と協定を結びつつ普及を進めていらっしゃること。また、内閣府の避難所運営ガイドラインにも簡易ベッドが明記されこれまで5000台普及させた実績などについて報告がありました。
避難所には十分な広さがること、安全なこと。そしてベッドが必要。又迅速な対応(TIME)も必要。これはカナダ、エドモントンの危機管理監が避難所に必要な事として伝えた事とのこと。カナダのフォートマクマレーの山火事被災地では、11時間で3000台の簡易ベッドが準備されたそうです。
9月9日のこの学会からまたも深夜バスでもどった10日の夜、気になっていた岩泉の水害の被災現場に車を走らせました。被災から1週間経過した被災地、グループホームの利用者9名が犠牲になった楽ん楽ん周辺の状況を見てから、役場、避難所、安家地区。OPENJAPANの先遣隊のひーさー氏がコーディネートして11日初めてのボランティアがはいっていました。噴霧器を届け、泥だしの現場に合流。ユンボを動かす吉村氏の現場避難所もみてまわり、いくつかの段ボールベッドが並んでいることやホテルを避難所に転用しているケースや福祉避難所の状況を確認しました。
避難所・避難生活学会はこれまでの経験を昇華させる上でも大変貴重な機会でありました
今後、被災地の避難所の風景を変える。は私にとっても阪神淡路代震災以降抱え続けてきた課題でありました。被災者の命を守るために、雑魚寝状態から脱却してくべきなのです。
簡易ベッドがやテントが素早く並ぶしくみの構築に、連携して尽力していきたいと考えています。