2013年6月議会予算特別委員会02(エネルギーパス政策と再生可能エネルギー戦略)
◆草島進一委員
ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。今回、このテーマが軸となり、いろいろ展開をしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
省エネ・再エネによる産業振興・地域活性化について、これは環境エネルギー部長にお伺いしたいと思います。
現在のエネルギーの事情や私たちの置かれている周辺事情を考えますと、今後、世界的にピークオイル要因などによる原油価格の高騰、また、国内では電力価格、特に深夜電力の値上がりが予測されております。
さらに、きょう委員の御指摘もありましたとおり、二〇五〇年までに半減するといった急激な人口減少による地域経済の衰退が懸念されております。
この間、私は、人口減少を先取りして取り組んでいるドイツ北部などで、地域を豊かにするために再生可能エネルギーや省エネでエネルギー自立地域というものを地域活性の姿として取り組む自治体について、ドイツ在住の研究者や関係者らと情報交換してまいりました。
エネルギー自立地域というのは、地域住民や自治体が主体となり、省エネや再エネの普及を徹底し、これまで化石燃料の購入などで地域の外部に流出していったお金を地域の中に循環させ雇用や経済を育む、今、ドイツや北欧で始まり、ヨーロッパ全体に広がる国民運動であります。
エネルギー自立地域を目指す地域での取り組みとしてまず重要視されているのが、新築住宅、中古住宅の断熱性能をアップする省エネでありました。省エネ改修を行い家の性能を上げれば、その分、海外から購入する石油でのお金の流出を抑え、リフォームする地域の工務店の仕事をふやし、さらに年間光熱費を下げ、結果暮らしが豊かになる。
我が県でもリフォーム補助金制度は地域経済に好影響を与えていると思いますが、ドイツでは、二〇五〇年までに住宅でエネルギー消費量を五〇%削減するなど、徹底的な取り組みがなされております。ドイツの住宅と日本の新築における省エネ性能を比べますと、二倍から三倍の差があり、この差は年々広がっているということです。
省エネを促進する仕組みとして、ドイツに始まり現在EU全土で採用されているのが、国際規格ISO13790で規定されたエネルギーパスという家の燃費の表示です。これにより燃費の見える化が行われ、客観的な指標をもって無暖房ハウス、エネルギープラスハウスなどが定義されて、消費者は車の燃費と同じように高性能の家を選ぶことができます。
県のエネルギー戦略上でも、こうしたエコハウスについては、今、総合支庁単位でモデルづくりが進められて、県内でも取り組む工務店もふえているとうかがっていますが、現在、客観的なこうした燃費性能の物差しがないために、正当な性能評価ができていない現状です。施主側も、イニシャルコストとともに実際の燃費性能を把握したいという声も多く聞きます。
今、このエネルギーパスという燃費性能については、日本国内でも協会が立ち上がり、普及が始まっております。東京都や長野県などでは、省エネ政策の一環としてこうした評価ツールの講習会を行い普及させ、新築の建物を建てる前に、こうしたツールを使っての省エネルギー性能の検討の義務化というものを条例化しております。
県の省エネ政策をより充実させる一歩として、この家の燃費の制度の導入の検討を提案をいたしますが、いかがでしょうか。
あわせてもっと聞いていきますが、また、再生可能エネルギーについては、経済産業省の五月十七日発表によりますと、固定買取価格制度が施行された平成二十四年七月から平成二十五年二月までに導入された再生可能エネルギーの発電設備の容量というのは、百三十五・二万キロワットとのことです。県内でもかなり普及しているのではないかというふうに思います。
再生可能エネルギーは、農業革命、化石燃料による産業革命、ITによる情報通信革命に続く第四の革命という、二十一世紀の産業革命としても捉えられ、大規模集中型から小規模分散型で地域や市民が主体になれる経済や社会の変革であるとも捉えられております。
私は、前述のエネルギー自立地域や小規模分散型の再生可能エネルギーの特性を生かして、地域がオーナーシップを持ち、地域が意思決定をし、地域が便益を共有する、このコミュニティーパワーとしての再生可能エネルギー普及こそ、地域から流出していくお金を地域に循環させ、地域を福しく豊かにする仕組みであると考えます。
前回の質問でも、地域自然エネルギー基本条例を制定した滋賀県湖南市を御紹介いたしました。今、この湖南市というところでは、市民の出資でコナン市民共同発電所というものを設置し、太陽光発電で生み出された電気を売電して、得られた利益を出資者に地域商品券で還元するといった取り組みが行われています。
この三月には、山形県内でも、再生エネルギーの普及に取り組む民間やNPOなどの有志によるシンポジウムで、やまがた地域エネルギー宣言というのが行われました。この内容はといいますと、再生可能な山形の資源を使い、原発にも石油にも頼らない安全な日本を山形からつくる。二番目に、山形の再生可能エネルギーは、山形の企業・組織・個人が主体となって、地域の持続可能な社会的・経済的発展につながるように活用する。三番目に、特に山形の自然資源を生かしてきた農林漁業者とともに再生可能エネルギーの活用に取り組んでいくというものであります。
こうした、地域、住民が主体となって普及させるコミュニティーパワーや、エネルギー自立地域に向けた事業化モデルづくりこそこれからのモデルではないか、県としても積極的にかかわり、そうしたモデルを応援してはどうかと考えます。
本県では、エネルギー戦略策定後、この一年間、どのような取り組みを行ってこられたのか、また、省エネルギー対策の推進や再生可能エネルギーの導入促進による地域を福しくする方策について、私からの今の提案に対する見解も含め、環境エネルギー部長にお伺いします。
森谷俊雄環境エネルギー部長
再エネ元年の取り組みと、省エネ・再エネによる産業振興・地域の活性化についてのお尋ねでございます。エネルギー戦略の策定を受けまして、初年度になります昨年度、平成二十四年度を再エネ元年と位置づけまして、大規模事業の県内展開の促進では、県企業局によるメガソーラー事業の実施など、県が直接事業者となって先導的役割を果たしていく取り組み、これを進めますとともに、県内経済への波及という視点を重視した公募方式による公用地の提供、さらには新たな資金メニューの創設などによる支援、そういったことで県内事業者の取り組みを積極的に支援してまいりました。
また、地域分散型の導入の促進という面におきましても、家庭や事業所はもちろん、先駆的な取り組みとして公共施設への積極的な再エネなどの設備導入の促進、そしてエリア供給システムのための検討、こういったことに取り組んでまいりました。
こうした取り組みの中で、住宅の省エネルギー化の推進でございますけれども、現在、関係部局との連携のもとで、住宅の新築やリフォーム時の省エネルギー化、そして無料省エネ診断の受診・活用の促進、省エネ住宅の普及啓発や相談対応など、積極的に取り組んでいるところです。
委員のお話にもございましたけれども、各総合支庁におきましては、再生可能エネルギーの設備を備えた省エネ住宅の普及拡大に向けまして、地元の建築・設備業者等との意見交換、そして省エネ施工技術の向上を図るための講習会の開催支援などに取り組んでいるところでございます。
委員からお尋ねのありましたエネルギーパスでございますけれども、平成十五年に、EU加盟国において、エネルギー消費量の抑制を目的として義務づけされたものであり、住宅の電気、ガス、灯油などで使用される年間エネルギー量が床面積一平米当たり何キロワットアワーというような形で明示されると、いわば家の燃費を確認することができるものというふうに承知してございます。
我が国のエネルギー消費量の三割以上が住宅・建築物の部門で占められているというふうにも言われております。経済産業省、国土交通省、そして環境省等において、我が国でも、この住宅・建築物について、消費者がわかりやすい省エネ性能の評価・表示のあり方を検討していくというふうに聞いておりまして、県といたしましても、関係部局で連携しながら、先進県の事例なども含めまして研究してまいりたいというふうに考えております。
次に、再エネ導入を産業振興に結びつけていくための取り組みということでございますけれども、住民参加による事業主体の創設や県内事業者の参画を促していくということが非常に重要になってくると思っております。特に、エリア供給の推進に向けまして、こうした視点を大事にしていきたいというふうに考えております。
住民参加の取り組みにつきましては、先進事例の研究や勉強会、これも各総合支庁ごとに設置しております地域協議会で市町村も含めまして実施し、再エネ導入への理解促進と、みずからが参画する機運醸成といったことに取り組んでおります。
また、関係部署や事業者が連携いたしまして、木質バイオマスや地中熱の利活用にかかわる検討を進めるなど、まずは熱資源の利用促進から着手しているところでございますけれども、電力の自由化などの動きも見据えながら、将来的には、熱はもちろん、電力の供給も担うような地域エネルギー事業の創出を検討する中で、具体的な仕組みづくりを検討してまいりたいというふうに考えてございます。
今後、エネルギー戦略の推進に当たりましては、省エネルギーの推進、そして再生可能エネルギーの導入促進、こういった両面から産業振興、地域活性化につながるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。
◆草島進一委員
ありがとうございました。エネルギーパスについては、ぜひ検討を進めていただきたいというふうに思います。あと、先日、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんを鶴岡にお招きして、いろいろお話をしていただきました。行政の役割、これは民間が仕事をするための開かれた土壌をつくることだ。ルール、仕組み、住民がしっかりと話し合って物事を決めていく、公平で開かれた土俵をつくることだと伝えてくれました。
また、国の政策というのは供給側の目線だった。これはやはり下流側の社会の、使う側からの目線で自治体の政策を組み立てていくことなんじゃないかというふうにありました。
もう一つお伝えしたいのが、そのエネルギーの熱の利用こそ未開の地だと。そこにこそ地域で生み出せる一番有効な資源、今、バイオマスのことをおっしゃったと思います、そこはまさにそこの部分だと思いますし、省エネというのは、実はエネルギー政策的にもまだまだ未開の地で、できることなんだということなので、それはぜひ受けとめていただきたいというふうに思います。
このエネルギー戦略の策定の際に、県内のさまざまな有識者の方が集められていたわけですけれども、これはやはりいろんな意味で、地域を福しくというところには、地域政策等徐々にいろんなことが生み出されていく、そのことと一緒になって政策の中に盛り込んでいくことが必要なんじゃないかというふうに思いますけれども、私は、政策策定の委員の先生方にもフィードバックしながら、改めてこの地域を福しく、これはやはり住民をもっと参加させていく、県民をもっと参加させていく中でいろんな意見を取り入れていくことが大事なんじゃないかというふうに思います。
そうしたことがこれから必要なんじゃないかと思いますけれども、そういった私の意見についてはどうお考えでしょうか、見解をお伺いします。
森谷俊雄環境エネルギー部長
エネルギー問題につきましては、生活、産業の根幹をなすものということで、国レベルで大きな政策ベースとして議論されている、それと並行して、やはり単に供給を受ける側としてだけでなくて、どう使っていくのか、どう活用していくのかという地域の取り組みも同時並行的に必要なんだと思います。まさにそれを気づかされたのが、今回の大震災であったかなというふうに思います。そういった意味では、本県は、熱利用も含めたエネルギー戦略を策定し、大規模事業の展開、そして地域分散型のエネルギー、両面から取り組んでいくということにしておりますので、そういった面からしっかり取り組んでいく必要があるというふうに思っております。
エネルギー問題については、つくる過程の問題、そして使う上での問題、非常に多岐にわたります。分野も広いです。専門的な有識者の方々のアドバイザリーボード、こういったことも活用しながら、しっかり取り組んでいきたいというふうに思います。
◆草島進一委員
ありがとうございます。 有識者のアドバイザリーボード、せっかくかかわって、今もその先生方はいろんな政策を生み出している方がたくさんいらっしゃいますので、ぜひ一緒に、私はこれからやっぱりこの地域の山形で、コミュニティーパワーでいったら、いかにこのビジネスモデルを一つでも生み出せるか、これを目標の一つに掲げていかなきゃいけない大きな課題だと思います。一つでも山形からすぐれたビジネスモデルをつくり出す、これをぜひ戦略に盛り込んでいただいて、この再生可能エネルギー、省エネとともにいいビジネスモデルをつくっていく、それに邁進していただきたいと思います。部長、ありがとうございました。