平成24年度 決算認定への反対討論 慶応先端研 最上小国川ダム問題について
平成24年度 山形県一般会計決算の一部、決算認定しかねる重要案件2点のみに対し、反対の立場で討論いたします。
まず、慶応大学先端生命科学研究所 支援事業であります。24年度末まで県費、鶴岡市費あわせて拠出された金額は129億7500万円であります。毎年市と県併せて7億円という金額は慶応本体から拠出されている約3億円の約2倍であり、その金額の妥当性や更にそれにふさわしいガバナンスが行われているか、疑問であり認定しかねます。また県として遺伝子組み換えにともなうバイオハザードの環境対策については未だ未整備であり、早急に構築すべきであります。
次に、最上小国川ダム事業、5億7千200万円の執行についてであります。
24年9月25日、県民有志によりダム事業の違法性を指摘し執行を差し止める行政訴訟が提訴されました。又、地元の最上小国川漁協は平成18年の反対決議を貫いたままであります。県は昨年10月、漁業権をもつ漁協が反対しているのにも係わらず、ダム周辺工事を強行しました。ダム本体工事ができない事がわかっているのに、なぜ周辺工事を強行したのでしょうか。これは対話の県政を逸脱した、県民への背任行為ではないでしょうか。
今年10月5日、実際に流水型ダムの先例を調査されている京都大学防災研究所の竹門康弘(たけもんやすひろ)先生は「流水型ダムでも流域の生態系を変化させ、鮎などの生息に悪影響を与えうる。それに伴う経済損失も検討すべきである」と発表されました。これが最新の知見であります。県が、「流水型ダムなら環境に影響がない」とする見解はもはや盲信でしかないのであります。
今、赤倉温泉は、中心の旅館が倒産し、町全体の人口減少も伴って温泉街全体の存続すら危ぶまれています。地域を50年後、100年後も持続可能にできる政策が今、問われています。
ダムによる治水は、流域に魅力をつくるどころか年3万人訪れる鮎釣り客を減少させ、流域全体に甚大な経済損失をもたらしかねません。
地元住民が本当に望んでおり、我々が次世代のためにおこなうべきは、小国川の清流環境をより美しく保ち、河川改修とともに温泉街全体の再生事業をおこなう治水であります。まず県が建設して水害の原因をつくりだしている堰を取り去り、本来の河床にもどす事、左岸側の内水被害対策を施す事、そして河道拡幅にともない旅館群をコンパクトに再生する事。であります。
更に、「日本食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されようとしている今、山形を訪れる必然性に貢献してきた、小国川の鮎の食文化や絶対無二の清流を失ってはなりません。
ダム事業の強行に反対し、事業の根本的な見直しを求めるものです。
以上であります。